不良PA基板のMRF429をチェックする(May 4, 2009)

MRF429(MP)プッシュプルのPA基板を実験中に2枚不良にしてしまった。ひとつはオーバードライブ、もうひとつは通電中に工具が転がりショートさせてしまったモノ。
この基板は、日本高周波製の工業用高周波電源(27MHz)でHPAとして使われていたもので、JA2XCR丸尾氏からの提供である。
プッシュプル構成のTrが同時に壊れる確立は少ない筈。しかし基板上では直流的につながっているためそのままではTr個別の良否判定が難しい。少しでも可能性があればと考え、基板からTrを外して様子を見る事にした。
取り外すか電極を浮かせTr4個をデジタルテスターの抵抗レンジであたる。C/E、B/E、C/B各間の直流抵抗をテスタリードを±双方向で確認した値を下表にまとめた。テスターはHi-Z型だと測定がクリチカルで安定しない場合(?部分)があるので、Trに影響が無い程度のロードが掛かるLow-Z型の方が扱い易いと思われる。
測定値によると方向性を持たず電極間が固定抵抗値になった物(2)と完全にオープンになった物(4)とが確認できる。また明らかに方向性を持った物(1/3)も確認できる。前者は「不良」と考えられるが、後者は方向性があり「生存」が期待出来る。 なお予想通り、同一基板上で同時に2個不良にはなり難く、2枚の基板とも片方のTrのみが不良だった。
これ幸いと不良Trを撤去して1枚の基板に良品と思われるTr(1/3)をまとめる。最初は半信半疑だったが、通電し確認すると見事にPA基板の動作が復活した。

まとめ
動作が不良になってもプッシュプルの場合は上記の如く片側不良の場合が殆どと思われる。マッチドペアでなくてもBIAS設定が個別に行える基板ならこのような対処療法も有効と考えられる。以上の作業により2枚ともダメかと思っていたPA基板が1枚復活し「トホホ」状態を僅かだが回避出来た。もう1枚はHFのPA実験用として保管する事にする。
写真は取り外したMRF429とPA基板。このタイプのTrの電極は写真の様に折り曲げて使うと半田付けや交換が比較的やり易い。平らな状態だと交換時の半田吸い取りに苦慮する。