ネオン管で定電圧効果を得る(Neon Tube for Voltage Stabilize)

ひょんな事から昔懐かしいネオン管の定電圧効果について議論になった。感じだけの話で終わるのは発展が無いので、テストしてみる事にした。図は真空管アンプのスクリーングリッド電源(360V)から、100KΩと200KΩの抵抗を経由して手元にあったネオン管(写真)に電源を供給する回路を示している。ここで抵抗の2倍の変化により電流Iは約1/2にが変化しているが、ネオン管両端の電圧は64Vから61Vへ僅か3Vしか変化していない。したがってこれは放電による定電圧効果が出ていると言える。
したがってこのネオン管を定電圧放電管やツェナーダイオードの代わりに使用する事が可能と思われる。触っても発熱は感じられず消費電力は非常に少ない。ただ放電なのでノイズの発生や電流の流し過ぎによる寿命への影響があるかも知れないが・・・。

最近はパーツショップで裸のネオン管を見る機会が減ったが岡谷電機産業では未だ製造を続けている。岡谷電機産業のデータシートによれば、同社ネオン管のブレークダウン電圧は65Vとなっている。

図はこの65Vネオン管5個を直列にしたものをMOS-FETのシリーズレギュレータに組込んで325V出力を想定したもの。ツェナーダイオードをそのままネオン管に置き換えただけである。ツェナーダイオードとは電流値が異なるので、ここではデータシートにあるRatedCurrent=1.5mAを参考に計算している。

ネオン管の消費電力は65Vで100mW程度と非常に少ないため発熱も少なく、レギュレータの基準電圧として有効である。パワーデバイスにMOS-FETが無かった頃はありがたみを感じなかったが、パワーMOS-FETが容易に入手できる時代になり、やや見方を変えなければいけないかも知れない。

ネオン管と言えば、ペンの柄に付けた検電器を思い出す。電極の両方が光れば交流で、片方なら直流。ACラインのホット側にタッチすると人の静電容量を通して光り、その昔の少年を電気の世界に誘ってくれた一品である。思いもよらぬところで現在のデバイスと融合する可能性を見つけ感慨深い。