アンリツ製光アッテネータ"MN95D"について

世の中の信号伝送の主流が無線から光ファイバーに移って久しい。NTTの全国に張り巡らされ、鉄壁を誇ったあのマイクロウェーブ回線ですら、今や光ファイバー伝送に置き換えられようとしている。NTT局舎や山頂の中継所にあった大型のパラボラやホーンアンテナは一体何処へ行ってしまったのか・・・大変な時代になった。
無線をやっている人間としては、光を扱うようになると無線と同じでどうしても光のレベルやマージンが気になってくる。個人レベルで光アッテネータが必要になるかどうか分からないが、以下中古で入手したアンリツ製の光アッテネータ"MN95D"(NTT仕様FVAT-GI_A)につて紹介する。
なおアンリツのサイトによると現在もMN95Dがリストされ製品概要が公開されている。大変息の長い人気製品のようだ。

(1)概観
2個のATTダイアルノブと入出力コネクタが前面パネルにある。ATTは10dBステップのクリック式(0・10・20・30・40・50dB・∞)のものと0.5dBステップ目盛り(0〜15dB連続)のついたものの2個で構成される。両者合わせて最大75dB(λ=1.3μm)の減衰と∞を得ることが出来る。通過ロスの表示は無いがアンリツのWebサイトによれば3dBを唱っている。
コネクタはFC型(丸型金属)である。一般に使われているSC型コネクタ環境で使用するには変換ケーブルが必要。またケーブルは光伝送の黎明期から使われているGI(Greaded Index)型で、現在の中心であるSM(Single Mode)型ではない。このため、そのまま差込と勘合部でロスを発生する。
操作はAudioアッテネータと同じ様にいたって簡単で、ただ数字を読み通過ロス3dBを加算すれば良い。

アマチュアで光が使われているのはFTTHのBフレッツやAudio製品程度であるが、コネクタ形状はばらばらである。光マージンを測る習慣など皆無であろうが、定量的なデータ取得にはこうした物がないと手に負えない。確かにマニアックなツールであることは間違いないが、購入しても損はなさそうな価格と品質である。

(2)内部構造
ATTの構造は大きな減衰円盤が回転し減推量を決めるのだが、写真でそのメカニズムを見ることが出来る。右側の穴の開いた円盤が10dBステップ側で、穴の位置で減推量が異なるようだが、微調整のために穴の内側に樹脂性の接着剤の様なものが塗り付けられて固まっている。
光アッテネータは電気信号と同じように、光アンプや受光器には直線性やC/N特性があるので、その余裕度を確認するためには必須の測定器である。これがないと定量的な判定が下せない。

この光アッテネータはアンリツ製であるが背面の名盤には1986年3月製とあり、NTTのスタンプも押されている。また校正は1.3μmで校正されている。従って1.5μmで使用する場合は校正カーブを取り直す必要がある。単なる減衰器としては使用可能であるが、表示する減衰量ばかりかステップ間の減衰量も補償しないとメーカーは言っている。