エキサイタ出力に制限を掛けるPower Control Unitの試作 (Jun 3, 2006)
複数のリニアアンプを1台のエキサイタでドライブする場合の電力制限方法として、リニアアンプからのALC電圧をダイオードミックスしてエキサイタのALC回路を制御する方法がある。これはリニアアンプの利得が異なる場合に出力を法廷電力に揃える意味で有効である。
一方ALC出力を持たないリニアアンプやALC電圧の異なる場合は何らかの処理が必要になってくる。
電気通信管理局によっては落成検査時、エキサイタ出力をフルに上げた場合の状態を求めてくる場合もあるやに聞く。
こうした場合、容易に出力制限を自動制御する装置を製作し実装しておくと便利である。
以下は変更工事において、IC-PW1(icom)と自作GU-84Bリニアアンプの併用で上記状況に遭遇したため製作したPower Control Unitである。
このUnitは極めて簡単な造りである。アルミダイキャストボックスにM型コネクタ(又はN型)によるJ-Jを構成し、芯線の接続点から抵抗分岐によりRFを取り出して検波しマイナス方向のDC電圧を生成する。生成されたDC電圧はRCA-Jで出力されエキサイタのALC回路に返す。返す量はVRで調整し、エキサイタ側は他アンプのALC電圧とダイオードミックスされエキサイタをシステム的に制御する。
検波ダイオードは順方向ロスを考慮しGeダイオードを使用している。写真は板金作業後主要部品の取り付けが終わり配線作業を待つ段階のPowerControlUnit。VRは左回し一杯で最小出力、右回し一杯で最大出力(制限なし)となる。

写真は試作したPower Control Unitの内部構成である。最終的にピックアップは47KΩ/0.25Wの3パラレル接続抵抗(約15KΩ)と4.7KΩ/0.25Wの分割で行った。検波は1N60(Ge)で行い5KΩ(B)VRでレベル調整して出力している。1N60の出力側とRCA-J端子は1000PFでRFバイパスしている。
動作はすこぶる良好で最小15W〜最大100W間の設定が自由に出来る。
DC出力側のインピーダンスはVR右一杯で0Ω、左一杯で2KΩ程度である。この場合オープンならDC=-4V以下の電圧が容易に生成できるが、IC-756のALCラインのインピーダンスが比較的低いため接続するとDC=-1.5V程度になる。 過去の調査ではIC-756の場合DC=-1〜-1.7Vの範囲が出力=100W〜0Wの範囲に合致している。
本ユニットの試作目的は冒頭に記した様に、複数のリニアアンプを1台のエキサイタでドライブする場合において、ALC出力を持たないリニアアンプを併用したときに出力を法廷電力内に確保するためである。
TAKACHIの小型アルミダイキャストケースに収めたが、高さはM型コネクタぎりぎりのためナットは回すことが出来ずコネクタ側を回して締め込んでいる。
なお本ユニットの挿入で50MHzにおけるSWRの悪化は全く感じられない。同様な目的で電力制限を掛けたい方の参考になれば幸いである。
内部回路に併せ、複数のリニアアンプからのALC電圧(負電圧)を混合するミキサ(ダイオードOR)回路も以下に記した。