プリセレクタ"HARRIS RF-551A"の実力

All-Wave受信機の製作段階で業務用RFプリセレクタの実力が知りたくなり、米HARRIS CORPORATIONの名機RF-551Aの特性を見てみた。
ここでは7MHzに共振した拙作の接地型ビハインドアンテナ出力をスペアナで観測し、スルー状態とイン状態の表示を写真撮影した。

写真の下側がHARRISのプリセレクタRF-551A。スペックによれば中心周波数から10%離れた周波数で減衰量60dBを保障している。
上側で鎮座している怪しげなキカイは製作中のALL-Wave受信機。またその上の小さな箱はDBM(Mini-Circuits社 ADE-1内臓)。
DBMのRFポート(ANT)にRF-551Aを挿入しLOポートにDDS-VFOを、IFポートにはIF=455Kz…etcに見立てた受信機をつなげばそれなりの受信システムが出来上がってしまう。さらに受信周波数をBCDコードRF-551Aに返せば自動同調に発展する
こうしたテストでIF周波数とイメージ抑圧比との関係が感覚的に理解で出来るようになる。

(1)アンテナ出力スペクトラム

写真はATUにより7MHzにチューニングされた接地型アンテナの出力(2006年2月12日16時頃)。スパンは0-10MHzで中央が5MHzである
何もしない或いは広帯域のLPFの入力回路だとこれだけのエネルギーが怒涛の如くアンプやミキサに流入する事になる。ローカル局なら桁違いのレベルであろうから容易に能動デバイスを歪ませてしまうだろう。
またIF周波数が低ければイメージ周波数がモロにIFに変換されて混信となるに違いない。

RF-551Aの特徴としてBCDコードでサーボモーターを駆動する自動同調がある。フロントパネルの制御切り替えで"REMOTE"を選択すると外部からのBCDコードで周波数制御を行うことが出来る。受信機の受信周波数表示を5桁のBCDコードで取り出しインターフェイスすればそれが可能になる。

(2)RF-551A挿入時のスペクトラム
写真は(1)項の状態にRF-551Aを挿入し約5MHz付近に同調させた様子。周辺の成分が見事にノイズレベルまで落ち込んでいる。
自作のセットで筐体がアンテナ化(コモンモード輻射)してしまう経験が多かれ少なかれあると思うが、このRF-551Aは見事にその処理がなされており、筐体にアンテナをゴリゴリと押し付けても非常に静かである。
こうした状況を見るとやはり受信機トップに入れたくなる。

Typical Spec
Frequecy Range:2-29.999MHz
Selectivity:60dB at frequecy 10% removed
NF<15dB
Gain:8/-24dB
Impedance=50ohms
Power:45W