ヒースキットSB-220の修理(May 14, 2008)
岩手花巻のT氏から、ヒースキットのリニアアンプSB-220のNFBが飛ぶ旨の連絡があった。修復のための助言を求めて来られ、数回メールのやり取りをしたが結局現物が届いた。
SB-220は憧れのアンプだった。3-500Zパラで、当時の法定最大電力500Wも楽々だった。梱包を解くと懐かしいヒースカラーのパネルとノブ。憧れの製品を手にすると思い入れが先行し冷静さを失う・・・。
過去幾度か障害があった模様で、カバーを外すとT氏の苦労が伺える。まず得意の臭覚で部品の異常を探る・・・問題は無い。ダミーとTRCVをつなぎ電源を入れる。フィラメントが灯りHVメーターが振れる。これも問題はなさそう。いよいよ無入力で送信、BIASが流れる・・・すると数十秒でAC100VラインのNFBが飛ぶ・・・これだ!。NFBを押し込み再挑戦するが状況変らず。幾度か試すうちNFBの跳ね返りが弱い事に気付く・・・NFB電流値の値下りだ!。ワニ口でNFBを短絡し復活。3.5MHzの500Wで30分連続キーイング。安定している。NFBはACラインの往復で入っているが、片側のみで目的を果たせると判断、不良側をリード線でバイパスし仮復旧。SB-220は福井に1泊し岩手へ返送となった。
写真はヒースカラーが美しいSB-220のフロントパネル越しの内部。
SB-220不具合履歴
T氏からのメールによると・・・。
@3-500ZのGKタッチ
A電源のブロックコンとシャーシの絶縁不良
B前項に連動しツェナーダイオード不良
C高圧電圧計用のマルチ抵抗不良
DACラインNFB不良
・・・@BはTL-922等3-500Zで回路が似ているアンプ共通の課題ですね。
SB-220の改善したいところ
@スタンバイリレーの電圧又は駆動回路
A同軸コネクタ・リレーのケーブルむき出し配線
B部品交換しやすいレイアウト
CRFむき出し部分のシールド対策
DロードVCからの取出し(シャシ下部の2個の穴はシャシ上でまとめたい)
Eノーマル系の不要輻射の改善
FACラインNFBの増力(15〜20A)
Gプレート同調の減速機構(ボールドライブ追加)
SB-220の私的感想
@キットでこれだけのモノを提供した姿勢に敬服!
Aヒースカラーのパネルやノブは憧れ!
B硬質アルミを中心としたシャシ素材や構造は好感が持てる!
Cローバンドのタンクコイルはガラエポボビン巻で以外に小振り!
DDC100Vを超えるスタンバイリレーとアバウトなRF処理は如何?
Eグリッド回路のNFBネットワークは誰が始めたの?
F高圧ケミコンのスロットは通風を悪くしていないか?
Gキャビネットを外してもタンク箱のシールドが保たれるのはグッド!
HACラインのNFB=10Aは500W仕様でも少なすぎない?
IバンドSWの入力側と出力側の仕切りが巧妙だが手を入れ難い!
J大型ノブとメーターの配置が独特のイメージ・・・デザインの参考になる!
K高さを押さえるためにシャシは非常に浅く巧妙に作られている!
L大型ファンと隈取式モーターで冷却は非常に静か!
Mスタンバイリレーの音が非常に大きい!
N出力500W仕様だと電源トランスはこんなもの?
Oフィラメントは並列接続で2管でホット・コールドをクロスしている!
Pキャビネットからの出し入れがスムーズに出来ない!
Q多くの自作派のバイブル的存在で伝説や神話が語り継がれていった!
R随所にTL-922と似た部分・・・Kenwoodのお手本になったのだろうか?
S今の若い世代の技術・工作階層では完成は難しいかも知れない・・・!
a.50MHz専用に改造する向きがあるがこれは絶対に惜しく追加にしたい