HD-SDIパッシブスイッチャーのSWR特性

写真は須川映像技術研究所(SVE:Sugawa Video Engineering Co)のパッシブ型HD-SDIスイッチャーHSD-104である。社長の了解を得て分解写真を掲載した。1.4835/1.485GHzのHD-SDI(ハイビジョンシリアルデジタルインターフェイス)信号を直接切り替えるもので、OFFの系統は75Ω抵抗終端される。今までこの種の簡易スイッチャーが製品としてなく、ちょっとしたHD-SDI信号の切り替えをするのにも高価な設備を用意する必要があった。それが数万円で実現できることになり大変な人気を呼んでいる。入力数は最大8系統まででSWR=1.2以下を保障している。基板の長手方向に描かれたマイクロストリップラインをベースに、メカニカルスイッチとチップ抵抗を巧みに配置しHD-SDI信号のダイレクト切り替えを可能にしている。電源を必要としないため、用途を限定した簡易切り替え器として需要が多いようだ。各入力は切り替え出力までの経路長が均等ではないので使途によっては注意が必要だろう。
さてこうした映像機器の入出力インターフェイスはインピーダンス=75Ωであるから、無線系の仲間であるTV共聴設備には使えるのは当然だろうが、ひょっとしたら一般無線系の50Ωラインでも使えるのでは?と思いSWRデータをとってみたのがオンマウスカーソルで見えるグラフ。一番長い入力でSWRの暴れがあるが、それでもSWR=1.2以内に収まっている。KuranishiのSWRアナライザBR-400(50Ω)に直付けして測定したが、ケーブルで延長するとデータは変動があるものと思われる。高電力は無理だが受信機や測定器の切り替え等には十分使えるだろう。なおSVE社は放送用HD-SDI機器の専門メーカーで、他社や大手企業にない独特のアイデアを盛り込んだ製品(HD-SDI機器…スイッチャー・DVE・ダウンコンバータ・アップコンバータ・フレームシンクロナイザー・リピーター・D/A・A/D etc)を世に送り出している。