TL-922の入出力コネクタの完全シールド化を考える(Sep 04, 2012)

TL-922を購入した1980年代から入出力コネクタからのノーマル系輻射が気になっていた。写真はそのコネクタ処理をシャシ側から撮影したもの。
これはTL-922に限ったことではなく、また送信機に限ったことでもない。
RF信号を取り扱う場合、送受信問わずもっと配慮が必要ではと常々考えている。写真の様なコネクタ処理では・・・。

@芯線とシールド線は同軸関係を失いSWRが悪化する
A芯線よりノーマル系輻射が行われる
Bシールド側もRF的に電位を持ち、ノーマル系又はコモン系輻射に至る

こうした問題を払拭するために入出力コネクタを完全同軸化する。当初は現状のMコネにシールド円錐管N-H-3(DDK製)を内側から被せる方法を考え部材を用意した。
ところがMコネと円錐管をタッピングビスで友締めしようとすると円錐管の直径(18mm)が大きく現状の穴(16mm)収まらない。それでNレセプタクルコネN-PJ118(NMC製)の登場となった。
なおRFメーター用RF信号の取り出しはリレー側で行っている。


写真左はNレセプタクルと接続されたテフロン同軸RGU-400。不用な輻射から回避される。
写真下は同軸ケーブルの完全シールド化に貢献するコネクタグッズ。左からMコネに被せた円錐管N-H-3(DDK製)、N-PJ118(NMC製)、5D-2Wが接続されたS-PJ049(NMC製)。



写真左はビス締めされたNレセプタクルの背面底からの様子。Mコネでこのタイプがあるとベストだが、現状では円錐管との組み合わせによる物しか存在しないと思われる。 円錐管は秋葉ラジオデパートの斉藤電気にあったが、既に品切れでメーカーも製造しないらしい。
折角の同軸関係を崩し、芯線とシールドに分離して配線すると、芯線からの不要輻射はもとより、シールド側でも高周波リターンルートにRやX成分が介在し、効果的な接地が期待できず不用輻射を招く。


写真左はTL-922内で配線処理された5D-2V。両端は全てこの様な状況だ。
これだけシールド側が長いと、ハイバンドでは接地電位の変動を招く。
同軸ケーブルの末端をどうしても芯線とシールドを分離させる必要がある場合は、下の様な処理をお勧めする。
シールド側は速やかに接地できる環境を作り、リード線として使う方法は極力避けたい。