マイクロ波発振機TO-454Aの内部(May 9. 2010)
2020年5月4日晩、犬の散歩中に近所の鉄工所でその場にそぐわない機械の山積みを発見。 近寄ってみると「マイクロ波発振機」と名盤にある。数えたら何と12台。フロントパネルには「SPC」なるロゴ。これはあの「島田理化工業」のロゴだ。また一部には「松下応用電気株式会社」と記したモノもある。
名盤に書かれた仕様と思われるデータを書き出すと・・・

 型 名:TO-454A3
 電 源:単相200V/60Hz
 発振出力:1.7KW
 入力電力:3.2KVA/16A
 最大負荷:VSWR=4  発振周波数:2460±30MHz

・・・写真は5月4日の翌朝、再び訪ねたときの様子。鉄工所のご主人に尋ねると高周波加熱機に使われていたとの事。早々に1台を譲り受ける事になった。重量は30Kg超。それにしても壮観だ。
犬が匂いをかぐのは、後述の如くカツオの加工工場で使われていた形跡があり、内部に染み付いた匂いが気になったようだ。

フロントパネルとアルミ製導波管。電子レンジの様に複雑な制御はしていないので、加工や部品取りは非常に簡単だ。
ただ劣悪な環境で、無線に関係のないユーザーが酷使している場合が多く、内部はかなり汚れている。
譲り受けた本機も例外ではなく、シャシ内部に一面にカツオの粉と思われる埃が付着していた。匂いを嗅ぐとまさにカツオブシだ。
ただマイクロ波関係はマグネトロンと導波管で密閉されているので非常に綺麗だ。
フロントパネル上段は左からPOWERランプ、時間計、アノードメータ、VFランプ、EBランプ。下段は左から電源SW(30A/NFB)、ヒューズ、ON/OFFスイッチ、AUTO/MANUALスイッチが並ぶ。
こんな装置に電磁ホーンでも付けて空中にマイクロ波を発したらとんでもない事になるだろうと苦笑いしている。

内部の部品配置の様子。左右3本ずつと上部2本のビスを緩めるとコの字カバーが外れる。
中央上の四角部分が日立製マグネトロン2M130。マグネトロンからのリードはフィラメントトランスからの配線。黒チューブ内でラグ端子がビス・ナット締めで中継されている。
その左側はORIXの200Vシロッコファン。その下に見え難いが電磁開閉器がある。中央下は高圧コンデンサ(6.8μF)。その左手の黒い長方形は整流器2個。高圧コンデンサの右が高圧電源トランス。電圧比を測定したら約11倍なので200V:2200Vとなる。
その右上の小型トランスはマグネトロンのフィラメント用。右のフレーム下方にあるスイッチはカバーを外したときに動作するインターロックスイッチ。
配線の多くはファストン端子やビス締めを使い、半田ゴテを当てなくても容易に部品交換が出来る作りになっている。
マグネトロンへの送風と排風ルートは直線的で気持ちが良い。外気の吸入にはファンを使い、一つは背面、もう一つは側面で高圧トランスの直近に配置している。
UHF-HPAユニットを製作しマグネトロンブロックと入れ替えたら簡単にEMEアンプが出来そうだが・・・。

高圧電源の様子。目的が高周波加熱なので電波の質は問題にならないと思われる。周波数はマグネトロン自身で決まってしまう。平滑回路小容量のコンデンサのみと非常に簡単だ。適度に飽和する様な作りでオーバーロード対策を行っていると思われる。1.7KW出力と言う数字は何を指しているのが良く分からない・・・尖頭値か平均値か。
高圧トランスのコアサイズは150mmx125mmx78mm。端子はファストン端子。アマチュア用HPAの高圧電源用として立派に使えそうだ。ただし高圧巻き線のコールド側はフォルマル(エナメル)線剥き出しなので、ブリッジ整流や倍電圧整流する場合には一工夫必要。2個用意し1次側を逆相駆動して、2次側のコールド側をCTとして接地する両波整流ならそのまま使える。
何となく茶色っぽく見えるのは付着したカツオ臭の埃。猫が喜びそうだが、通電しておいたらどうなるだろうか?。

背面パネル。導波管にはマグネトロンの輻射器が直接挿入される。
右側が吸気ファンで左側がマグネトロンを冷やした熱風が排気される。
ハモニカ端子は右がAC200V受電、左が制御用。導波管の右はヒューズ。 下は取り出した高圧トランス。ビス2本を緩め、ファストン端子を引き抜けば容易に取り外しが可能。
工具と軍手を並べてフロントパネル前でポーズ・・・モノバンドHPAならこのケースでも組めそうだと独り言。