トランスの巻数とインピーダンスの関係

低周波トランス(AudioFrequencyTransformer)では図に示す様に「巻数とインピーダンスの関係」が比較的容易に実験できる。 即ち1次と2次のインピーダンス比は巻数比の2乗に比例する。これは専用の低周波トランスなど持ち出さなくても、我々が一般的に使うであろう電源トランスで十分対応できる。例えばAC100V:10Vのトランスは巻数比が「100/10=10」であるから、インピーダンスはその2乗で「10X10=100」となる。したがって100倍又は1/100のインピーダンス変換が可能である。図はそれを説明するもので、N1とN2は1次と2次の巻数、R1とR2は1次と2次のインピーダンス、e1とe2は終端状態での1次と2次の電圧を示している。トランスのロスがゼロで完全終端の場合はe1/e=e2/e'=1/2となる。
現実的な話としてよく使うAC100V:AC12Vのトランスは、600Ωの信号源を8Ωのスピーカーラインに変換するような場合に十分使うことが出来る。電源トランスは一般に50Hz又は60Hzでの使用を前提としているので物によっては広域の周波数特性が暴れると思われるが、人の声(Voice)を中心とした音声帯域では問題なく使用できる。また昔の真空管式アンプの出力トランス、例えば8KΩ:8Ωの様な場合は、インピーダンス変換比がは「8000/8=1000」であるから、トランスの巻線比はその平方根「√1000≒33」となる。したがってAC200V:6V程度のトランスが使えそうである。適合した低周波トランスが入手できない場合は上記の如く代替できるのでお試しあれ。
また高周波においても基本的考え方は変らないが整合の概念が必要になってくる。コイルの持つインダクタンス・コア材料・巻数・ストレー容量等による影響が大きく影響し、回路に生ずるリアクタンス分を十分考慮に入れる必要がある。