ワグナーの中和法の解説方法について(Wagner's Neutral Methode)

その1.Cpk・Cgk・Lp・Lgで構成されるブリッジ回路でバランスをとる方法
図1で、バランスがとれるとK-E間の電圧はP-G間の電圧と無関係になり、中和が実現する。
中和の条件は・・・

Lg+Lg'/Lp = Cpk/Cgk・・・Lp=プレートインダクタンス、Lg=グリッドリードインダクタンス、Lg'=外部インダクタ

管内のLgのみだと不足する場合、外部インダクタLg'を挿入しバランスをとる。

4極管のカソード接地アンプも同様に図2で・・・

Ls+Ls'/Lp = Cpg/Cgs・・・Ls=スクリーングリッドリードインダクタンス、Ls'=外部インダクタ

これも管内のLsのみだと不足するため、外部にLs'を挿入しバランスをとる。
 

その2.Cpk・Cgk・CpgのΔ回路をY回路に変換(Δ−Y変換)する方法
図3はΔ回路で図4は変換したY回路。図4で、ニュートラル点とグリッド間のキャパシタCeを、インダクタLnで直列共振させグランドEに落とす。これにより、入力と出力間の結合が遮断され中和が実現する。

Ce = Cpk/CpkCgk+CgkCpg+CpgCpk

4極管の場合も同様に・・・

Ce = Cpg1/Cpg1Cg1g2+Cg1g2Cpg2+Cpg2Cpg1・・・Cpg1:P-G1間容量、Cg1g2:G1-G2間容量、Cpg2:P-G2間容量

コメント:V/UHF帯のグリッド接地型アンプ(TV-Tx等)では、G-E間にL(インダクタ)を入れ、中和をとる方法が古くから使われていました。一般にこれを、「ワグナーの中和法」又は「ワグナーの自己中和法」と呼んでいます。その動作説明を上記の如く記述しました。
アマチュア的には@の解説の方が分かり易いと思いますが、Δ−Y変換を理解している方ならAの説明が分かり易いでしょう。
いずれにしても、回路内のバランス要素にインダクタとキャパシタが存在しますので、周波数が変わればバランスが崩れます。特にインダクタはHF帯など周波数が低ければ無視できますがVHF帯になると無視できなくなります。
したがって、マルチバンドアンプには馴染まず殆どがモノバンドアンプで使用されます。
一般に、V/UHF帯専用管を使ったGGアンプでは、真空管の「自己中和周波数」が帯域内にある場合が殆どです。このため、外部インダクタで中和を取るケースは極めて少ないか、或いは微調整の範囲と考えられます。
ワグナー(Wagner)とは人名と思われますが、手持ち資料では明確な情報を得られませんでした・・・ご存知の方の情報をお待ちしております。
参考文献:放送機(日本放送出版協会編)・無線工学ハンドブック(オーム社編)