ツェナーダイオードのパワーアップ方法

リニアアンプのバイアス電圧発生で、どうしても高電力ツェナーダイオード(10W以上)が入手出来ない時の対策です。0.5W程度の小電力ツェナーダイオードが作る基準電圧を、パワートランジスタでブーストする方法です。左図(fig1)に回路図を示します。D1は目的電圧のツェナーダイオードでR1はD1がツェナー電流領域で動作する必要最小限の値で許容損失を超えない範囲に設定します。その電圧を基準としてトランジスタが定電圧動作制御されますが、総合的に見るとTr1のB-E間で発生する約0.7Vの順方向電圧が加算されます。またR1はベース電流と分流する事で、ベースに過大な電流が流れないようにし、Tr1の保護を狙ったものとも言えます。

高電力のツェナーダイオードに比べ一般的で安価な部品で製作が可能です。なお左図はTr1がNPN(2SC/2SD)トランジスタですが、PNP(2SA/2SB)トランジスタでも右図(fig2)の如く同様に使用出来ます。この場合はR1とD1の位置が入れ替わりますのでご注意を。またこちらは、取り付ける回路によってTr1のコレクタを接地出来ますので、放熱処理が楽に出来る場合があります。

注意! なお実装する場合はTrの電極間にバイパスコンデンサを入れ、Trが高周波で反応しないようにします。またベース電流の増大によるTrの保護のために、ベースに抵抗を入れ過電流を抑える方法もあります。

ここでは比較的電圧の低い場合の想定ですが、4極管のEsgやEcg電源にシャントレギュレータとして流用できます。シリーズレギュレーターとは違った味わいがあります一度お試し下さい。