北米五大湖の一つ、エリ−湖は、アメリカ・カナダ国境のナイアガラの滝の上流の湖として有名です。ナイアガラ瀑布に流れ落ちる水は、1秒間に1万3000トンを優に超えています。これは、10年に1度位しかない大増水時の利根川の流量を凌ぐものです。この大流量を常時供給しているのがエリ−湖です。エリ−湖の名前は、インデアン語の「エリー」=「猫」に由来しています。古代からこの湖のほとりに住み着いていた先住民インデアンが、猫の形をしているとして「エリ−(ねこ)湖」と名付けたと言われています。これは、アメリカ大陸開拓当時にわかったことで、もともと、ここにすんでいたインデアン「エリ−族」に伝わる伝承です。(写真はナイアガラのカナダ滝 1998夏)
ところが、このエリ−湖は、五大湖の中では小さい方ですが、それでも四国より広く、長さは九州位の広大なみずうみです。古代のインデアン達は、どうやってこのみずうみの形が猫ににていると分かったのでしょう。この近くに高い山は皆無に等しいし、高度な測量技術もなく、飛行機も無い時代にです。しかも、エリ−湖は、はっきりとした手足のあるわかりやすい猫の形をしているわけではありません。
現在の地図をみても、よくよくみないと猫の形には見えません。西から見ると、猫の頭にわずかに両耳が付いていて、それと分かり、それに続いて丸い背とまがった尻尾で全体として「なるほど猫だ」と見ることができるのです。私などは、言われてみてやっと気づいた程度です。 これを発見した古代の人は、よほど猫好きの人であったのでしょう。それにしてもかなり正確に湖の形を調べなければわからなかったはずです。
ジェット機で数千メートルの高空から眺めてみても、広すぎて一目で、エリ−湖全体の形を確認することは、簡単ではありません。四国より広いこのエリ−湖の形を調べることがどんなに大変なことかは、日本で四国の形がいつごろわかったのかと比べてみれば理解できると思います。中世の行基の日本図にも桃山時代の浄得寺系の日本図屏風(16世紀末)にも四国の特徴を表す輪郭は描けていません。日本において四国の輪郭が正しく絵図に表されるようになったのは19世紀になってからではないでしょうか。
一体どうやって 古代インデアンは、このみずうみが猫の形ににていると分かったのだろう。遥かな昔にインデアンは、どんな調べ方や測量法を使ったのでしょうか? あなたも一度、北アメリカの地図を開いてエリ−湖の形を眺めてみましょう。カナダ・イエローナイフでの巨大なオーロラ 2005.1 撮影提供0氏 エリー湖の不思議 2000年4月記 menuへ戻る