月食から太陽の大きさと距離を探る menuへ
先日、20世紀で最も長時間続いためずらしい皆既月食がありました。これは月が地球の影のほぼ中心を通過し、地球からもっとも離れた最小の満月に起きたからです。このような条件の揃った皆既月食は、西暦3,787年7月まで見られないとのことです。(毎日新聞より)ここで重要なのは、月が地球の影のほぼ中心を通過したと言うことです。この時、太陽、地球、月が一直線上に並び、影の角度を手がかりにその関係を調べることができます。
この皆既月食の経過は次の通りです。
半影食始 |
欠け始 |
皆既食始 |
皆既食終 |
食終 |
半影食終 |
19:47 |
20:57 |
22:02 |
23:49 |
0:54 |
2:05 |
まもなく皆既月食へ 2000.7.16撮影写真 高木氏提供
これらの結果を使って皆既月食時の地球の影を図上に描き、地球から、およその太陽までの距離と太陽の大きさを同時に推定する方法を考えてみます。
上のデータの他に次の数字を使います。
月と太陽の見かけの大きさ |
約0.5度 |
地球と月の比較(直径) |
地球は月の約3.6倍 |
参考1、月の見かけの大きさは、50cm長の紙をまるめて紙筒を作り、これで満月をのぞいて、直径を満月の大きさにあわせます。直径5mm位であうでしよう。これを紙に写しとり、分度器で角度を測ります。50cm先の5mm高は、約0.5度になります。太陽はまぶしくない赤い夕日の時に同じようにして測れます。やはり約0.5度です。
参考2、ここでは、地球を月の約3.6倍の大きさとして扱います。
詳しくは当ホームぺージの「地球の大きさは、月の何倍か?」を御覧ください。
月食時の太陽-地球-月の関係を図にする
(小数第3位以下切り捨て)
月が本影を通るのに172分間、月が隠れるための時間は、65分間だから
172÷65=2.64地球の中心から見た本影幅のおよその角度は、
0.5×2.64=1.32度
地球は月の約3.6倍として、月が本影に架かった時、そこから地球の半球を見たおよその角度は、
0.5×3.6 ÷2=0.9度
また、地球の中心からのおよその角度は、
(180-1.32)÷2=89.34度
太陽からのAの線(月側)と地軸のおよその角度は、
180-(89.34+0.9)=89.76度
これに太陽の見かけの大きさ(0.5度)を足して180度からひけばBの線と地軸とのおよその角度が求められます。
180-(89.76+0.5)=89.74
AやCと地軸の太陽側の角度は、
180-89.76=90.24
これらから太陽からの3つA,B,Cの線と地球の地軸との角度は、上から90.24度、89.74度、90.24度となります。この3つの線を図上左に延長して決まる位置が地球の大きさと比べての相対的な太陽までの距離と太陽の大きさです。これは使用した数字や図がおおまかなので精密な答えにはなりませんが、少なくとも地球をもとにして太陽の巨大さ、遠距離感をつかむことはできると思います。(約1/4の規模)
2000年7月 記
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