1簡単にはできない!半月・太陽角測定体験
板に2本の棒を差し、糸を張り測定板を作り実際に測ってみました。暦から月が半月になる日を待って測定します。半月と太陽が同時に観測できる昼間行います。まず基点から太陽の方向と高度をはかり糸を決めます。次に同じ基点から半月の方向と高度を測り糸を決めます。こうしてできた2本の糸の間の角度を分度器で測ります。しかし、なかなか難しくて糸の角度が決まりません。太陽は、4分間で1度も動いてしまいます。月も動いています。この測定は、2つのものの方向と高度を同時にきめなければなりませんので意外と難しい。さらに2本の糸の作った角度をどうやってはかりとるか、これがまた難しい。
半月のでる日は1ケ月に2日しかありませんので7月から始めて8月までチャレンジしました。雲がでで月が観測できない日があったりして思うように行きません。やっと測れても立体的にできた2本の糸の角度に分度器をあてて角度を詳細に読みとることは困難です。空中にある2つのものの角度を測るのは大変です。実地に試してみて、角測定の困難さを痛感しました。2000年前の測定も大変だったと想像できます。よく87度と測れたものだと思います。きっとアリスタルコスは幾何学的信念をもって弟子たちを指導してやり遂げたのでしょう。
2 月・太陽測定器を使って測る(方位角目盛りを使って調べる)
次に月・太陽測定器を使って測ってみようと考えました。方位角の目盛りを使います。目盛りが1度単位で経ってないので90度付近は手で書き入れて使いました。
半月は昼間5時間ぐらいしか見られません。建物に隠されて日の出入りや月の出入りなど地平線に近いときは観測できないので正味では3時間ぐらいしかありません。とにかく昼の下弦の月はうすくて高度が低い時は、見にくくなります。次のように測定します。カメラの三脚に月・太陽測定器を乗せネジで固定して使います。(ネジが合います)台盤上に目をちかずけて月と太陽がそれぞれ台盤上の彼方に見えるよう台盤を斜めにかたむけて固定します。(台盤を斜めに傾けて台と太陽と月の3つをむすんでできる面にできるだけ平行にあわせる。これが難しい! 太陽にあわせる時は必ずサングラスをつける)
次に 月・太陽測定盤を回して、太陽の方向を方位角ゼロ度にあわせ固定します。そこから、測定器の鏡筒をまわして月に照準をあわせます。そこで、方位角度を読みとります。これで半月・太陽の角度が測れたことになります。
結果は、90度の少し前、手書きの目盛りで88度の角度を得て、やっと月・太陽角の測定に成功しました。下弦よりも上弦の月が測りよいでしょう。しかし、秋から冬にかけて何回か測定してみて90度になったり90度を超える値がでたりする日もあることがわかりました。これは暦上は同じ半月でも見える時間帯には、太陽光が月の半分を正確に照らしている時刻からずれている時間帯があるのではないだろうか。半月にも幅がある。双眼鏡で半月をのぞいてみてそんな感じがしました。
とにかく測れた88度を基に地球・太陽・月の大直角三角形(縮小図)を描いてみました。この三角形図は教室の正面黒板いっぱいになりました。ここに書けないほどの細長い直角三角形です。その結果、誤差はさけられないものの次のようになりました。この直角三角形から、地球〜太陽の距離は、月までの分の25倍以上と図示できました。見かけ上、月と太陽は、同じ大きさに見えるので、その大きさは月の25倍、地球は月の約3倍大だから太陽の大きさは、地球の8倍以上と推定できる。
そして、やはり次のようにつぶやいてしまいました。「アリストテレスたちは、太陽は地球の回りをまわっているといってるが、それはおかしい。太陽は、地球の8倍以上も大きい。その重さを考えると8の3乗で500倍以上も重いだろう。(実際は大きさ109倍 重さ33万倍)こんなに大きくて重いものが小さな地球のまわりを回っているはずがない。反対に地球が太陽のまわりをまわっているにちがいない。」と、、、、、、、、、。
その後、半月の観測に適した日がめぐってきたので、また角を測定をしました。以下はその観測メモです。夕方近くなって雲が切れ、観測できたものです。月がほぼ真上に近い高度でしたので測定器をあわせるのが大変でした。所要時間約20分。
観測メモ 2000年 4月11日 午後5:40 上弦の月と夕日の間の角度 88度
しかし、この日、正確に上弦の月=半月になる時間は、午後10:30でした。5時間以上の誤差がありました。肉眼では正確に半月になる瞬間を判定することは困難です。何しろ月面上で48km位の違いですから。これは千分の6度を見分けることとなりますので、強力な望遠鏡がなければできません。アリスタルコスの観測も、かなりの誤差があったことは否めないと思います。
2000年4月記