赤い世界

 

生命の源         

 

       混沌の海

 

    魂の揺り籠

 

 

………これは貴方の望んだ世界   

  …僕が……望んだ…

そう…全てがひとつに重なった世界…

…全てが…

喜びも哀しみも…

…………

…苦しみも愛しさも…ひとつに融けた世界…

………………

…さあ、貴方もひとつになりましょう…

…あ…………

……これは貴方が望んだ…心地良い世界だから……

…………………違う…

……………

…違うと…思う……

……………

…確かに嫌なことばかりだったんだ…

思い出しても苦しいことばかりだった気がする…

……それでも、楽しいこともあったんだ。

ほんのちょっとだったかもしれないけど、嬉しいこともあったんだ……

………………

それはきっと、そこで出会えた人たちのおかげだから…

たとえそれが自分のためであっても、それでも……

………………

だから……だから、違うと、思う…

…………何を願うの…

えっ…

………貴方は、何を願うの………

……もう一度…

もう一度、皆に会いたい………

…それがまた他人という存在となって、貴方を傷つけることになっても?……

……それでも、僕は会いたいと思う

たとえ、また傷つくことになっても…この気持ちは、本当だと思うから……

 

 

 

 

赤い海に浮かび上がる3つの影

それはやがて3つの人影をかたちづくる

 

1つは少年、黒き瞳、漆黒の髪の少年

1つは少女、紅き瞳、蒼銀の髪の少女

1つは少年、紅き瞳、白銀の髪の少年

 

 

 

 

 

 

「やぁ、シンジ君」

「…カオル君」

「なんだい?また会えたのに喜んではくれないのかい?」

「でも、僕は君を…」

「あれは僕が望んだことだ。

だが、そのことで君を傷つけてしまったことはすまないと思ってる。」

「違う!誤らなきゃいけないのは僕のほうだ!

僕は卑怯で、ずるくて……逃げることしかしなかった!

もっと、別の方法もあったかもしれないのに!!」

「ありがとう、シンジ君。やっぱり君は好意に値するよ。」

「カオル君…」

「さて、君はこの世界を形作るコアだ。

傲慢な一部の人間達の計画によって君を通してこんな世界に導かれたみたいだけど、

君が望むなら、この世界はまた群体という魂の分離を得ることもできる。」

「じゃあ」

「けれど、あの世界にシンジ君が会いたいと願う人たち…

葛城ミサト、赤木リツコ、加持リョウジ、惣流アスカラングレー…

…碇ゲンドウ、碇ユイ…、そして僕たちも

戻ることは出来ない。」

「!、なんで!」

「この世界へと変革する前に肉体に死を迎えた者たちは戻るべき場所がもうないんだよ。」

「そんな…、何とか…何とかできないの!カオル君!!」

「元の世界でなければ、可能だわ」

「元の世界じゃ……ない?」

「新たなる世界の構築。

でもそれは、新たなる世界の始まりでもある。

その場合、シンジ君、たとえ姿かたちがそのままだとしても……

君達はきっとお互いのことを覚えていることはないだろう。」

「綾波、カオル君、君達のこともかい?」

「…えぇ…」

「…それでも、皆にまた出会うためには…」

「これしかないんだ。」

「なら、僕はそれを望むよ。

たとえ覚えていなくても皆に会うことができるなら…

綾波、カオル君…、君達と、皆とまた一緒に過ごすことができるのなら…

僕はそれを望む。」

「…シンジ君」

「…碇君」

 

「力を…貸してくれるかな?綾波。カオル君。」

「えぇ、行きましょう、碇君。」

「ふっ、当たり前だよ、シンジ君。」

 

 

 

手を取り合い円を描く

 

3人の輪の中心に輝く光が生まれる

 

 

 

「次の世界でも僕たち友達になれるかな?」

「大丈夫…、だって碇君だもの…」

「そうさ、たとえどんな状況であっても、僕らは親友だよ。」

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 

 

そして

新たなる物語が始まる

 

 

 

 

 

 

 

世界、重なりて           【・・・・・・・・・・・】

 


written by 2000.11.12 Ver.1

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