2006年6月の日記

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6月30日(金) 東京に戻る

 名古屋から東京へ戻ります。アパートへ直に戻らず、いったんMさんの事務所へ行き、明日の本郷クラブの打ち合わせを。何だかんだと報告やら、インターネットで野球を観たり、お酒を呑んだりとワイワイガヤガヤやってました。

 ショルダーバッグが肩に食い込むし、新幹線の中でうたた寝したため、肩がパンパンに張ってしまいました。乗り物の中で寝るのはやはり身体によくないみたい。狭い座席で身動きできないのも辛い。両隣はバッチリ埋まってましたから。

 とりあえず、風呂に浸かって寝ます。疲れた・・・。


6月29日(木) 『ムーラン・ルージュ』

 NHKBSのミュージカル映画特集最終日は『ムーラン・ルージュ』(MOULIN ROUGE!)。ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、ジョン・レグイザモ、ジム・ブロードベント、リチャード・ロクスバーグ出演、バズ・ラーマン監督。(2001年アメリカ/2時間8分)
公式ホームページ

 この映画は2001年12月14日(金)、春日井のコロナ会館で観ているのですが、その頃は超多忙&体調不良につき、日記更新をサボっておりました。(睡魔と闘いながら観ていた。)最初観た時の感想は、やたらドタバタして騒がしい。かなり強引なところもあって、私は愉しめたけど、好き嫌いは分かれるだろうな、ということ。

 改めて感じたのは、ロック・ミュージカルだなこりゃ、と。ニコール・キッドマンもユアン・マクレガーも、ど根性で頑張っているな、と。しかし考えてみれば、この作品の音楽は、ほとんどパクリを繋ぎ合わせて出来ている。そりゃいきなり“サウンド・オブ・ミュージック”なんだもの。ストーリーも単純すぎて奥行きが無いんですよ。

 昨日、一昨日と『ザッツ・エンタテインメント』を観てしまったために、主役の2人は本職の歌手でないことが露呈してしまう。ミキシングで合成された歌なんだもの。最近の、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』にしろ、『シカゴ』にしろ、どうしても合成されたミュージカルしか観られないのか?どなたか傑作をこしらえてください。


6月28日(水) 『ザッツ・エンタテインメントPART 3』

 父親が大腸のポリープを切除(手術)するというので、応援(何もしてない)のために帰省した次第。手術といっても開腹するわけじゃなく、内視鏡を入れて切除するそうな。とはいえ、前日まで普通に食事。術日の午前中に下剤で町内洗浄。手術はわずか20分、痛みも何もナシ。そのまま帰宅して、普通に食事可能。結局、大げさに騒いでいたのは本人だけ。心配して損した気分です。

 風呂場が黴だらけ。新築してから18年、一度もタイルを磨いたことがないという。カビキラー(30%増量)を2本使い切り、壁・床・天井の6面を掃除しました。換気には注意していても、臭いで卒倒しそうになります。八割がた、目地は白くなったかな?18年も放ったらかしにしていれば、完全にというわけにはいきません。疲れました、飯を食ったら猛烈に眠い。でも映画は観たい。

 NHKBSで映画『ザッツ・エンタテインメントPART 3』(THAT'S ENTERTAINMENT!V)を観ました。(1994年アメリカ/1時間53分) PART 1、2から20年を経て製作されています。しかし少しも尻すぼみすることなく、MGMのフィルム保管庫から秘蔵フィルムが出てくる出てくる。

 白黒フィルムにデジタル技術で彩色した映像、本編ではカットされてしまったナンバー等々。あまりにもすばらしい出来なので、何故カットしてしまったのか理解に苦しむけど。また、おじいちゃん、おばあちゃんになった往年のスターたちが、MGMミュージカルの歴史を詳しく解説してくれます。

 眠い眼こすりながら観ていました。東京に戻ったらPART 1もレンタルで借りてこよう。本当は特典付きのDVD-BOXかLD-BOXが欲しいところです。ちなみにDVD-BOXとLD-BOXの特典内容は違うらしい。しかも限定生産で今では入手不能だということ。観れないとなるとどうしても観てみたいのが人情。


6月27日(火) 『ザッツ・エンタテインメントPART 2』

 所用で愛知県小牧市の実家に帰省しております。メリットといえば、NHKBSが観れることくらいかな?映画『ザッツ・エンタテインメントPART 2』(THAT'S ENTERTAINMENT, PART 2)を鑑賞。(1976年アメリカ/2時間)

 ジーン・ケリーの監修で、MGM黄金時代のミュージカル・ハイライトを繋ぎ合わせた120分。おそらく昨夜は『PART 1』が放送されたのでしょう。こういうのが観たかったんですよ!『トムとジェリー』に引用されたナンバーのオリジナルはコレだったのかと再発見。それにしても絢爛豪華!スゴイ。

 ジュディ・ガーランドといえば今では、『オズの魔法使い』(1939年)くらいしか観られないけれど、星の数ほどミュージカル映画に出演していたのか。日本未公開のものもあり、DVDで観られるものはごくわずか。彼女の歌は絶品です!発声がすごくいいんです。のびのびと歌っている。

 ジュディ・ガーランドの声に似ている?歌手をフト思い出していました。1998年(若干12歳)『天使の歌声』でデビューしたシャルロット・チャーチ。最近、音沙汰ないなあ・・・と調べてみたら、クラシック路線からドロップアウト。ヨゴレに転身してしまったそうな。天使の歌声はもう聴こえない。

 私生活ではジュディ・ガーランドも惨憺たる人生・・・47歳で亡くなってしまったけれど、スクリーンでもステージでも、彼女の姿に翳りはありません。プロ根性が座っていたのでしょう。親の敷いたレールの上は歩きたくないだろうなあ・・・シャルロット・チャーチよ、何時の日か『蝶々夫人』を歌ってほしいぞ。


6月26日(月) 『誰がために鐘は鳴る』

 BIGLOBEストリームにて視聴。『誰がために鐘は鳴る』(FOR WHOM THE BELL TOLLS)ゲーリー・クーパー、イングリッド・バーグマン、エイキム・タミロフ、アルトゥーロ・デ・コルドヴァ、カティーナ・パクシヌー、イヴォンヌ・デ・カーロ出演、サム・ウッド監督、ヴィクター・ヤング音楽。(1943年アメリカ/2時間38分)

 1943年公開時版は2時間10分、1998年に35分を追加し、2時間45分のビデオ「デジタル・ニューマスター特別復元版」がリリースされました。BIGLOBEストリームの尺は2時間38分?映画終了後に3分程度の、公開時予告編らしきものが付いていましたが?色彩もさほど鮮やかとはいえなかったのが不思議。

 出演者に、“フィオドール・シャリアピン”の名前を見つけたので気になっていました。クラシックにおけるロシアの大歌手じゃないですか?映画では『ドン・キホーテ』(1933年)にも出演しています・・・と思ったら、意外や意外。“カシュキン”という役名で、映画冒頭、ちょろっと出ただけで死んでしまいましたよ?

 それもそのはず、実はフィオドール・シャリアピンJr.(1907〜1992)といって、同じ名前の息子でありました。クラシック歌手ではなく役者の道を歩んだようです。

 前置きが長くなりましたが、私が最初にこの映画を観たのは20年くらい前。テレビで、しかも吹き替え版で。さらにカットが入っていたので正味100分くらいしかなかったはずです。感想は・・・イマイチ、何が言いたいのかよく分かんなかった。カット版ですからしょうがないでしょう・・・。

 二度目はNHKでしたから、字幕版でノーカット(2時間10分)。しかし、眠くなってしまいました。何が良くなかったんだろう?もう一度観てみたいと思ったものです。

 今回が三度目の正直です。2時間38分という、ノーカットに近い尺。ああ、そうでした・・・やたらゲーリー・クーパー&イングリッド・バーグマンの見つめ合う姿の多いこと。クローズアップばかりじゃないか?変化の無い岩場でのロケーションばかり。ストーリーはほとんど会話に頼っているので、観る者に忍耐を要します。

 音楽は美しいのですが、ダラダラと始終鳴りっ放し。ゲーリー・クーパー演じる主人公は、ハードボイルドなのか単なるお人よしなのか?思想的なものはほとんど何にも描かれていません。鉄橋爆破までの2時間は長いことといったら、そりゃもう、お尻に根っこが生えてしまいます。最後にリンゴーンと鐘の音。(意味不明)

 いやもちろん、鐘の音にも意味はあるのでしょうが、そこに至るまでの過程がない。台詞には“ジプシー”という言葉が、何度となく登場しますが、字幕には一度も登場しません。あ〜、自主規制ですか?ジプシーの占いは当たるんですよ、それをカットしてどないせいちゅうねん。この映画、バーグマン目当ての方だけどうぞ。


6月25日(日) ヴァンデルノートの幻想

 “コマンド・クラシックス”と銘打った日本コロムビアの廉価盤シリーズ。ウェストミンスター系列“abcコマンド”レーベルの録音です。米マーキュリーと同じく、35ミリのマグネティック・フィルムで録音された高音質レコード。先日購入したのはアンドレ・ヴァンデルノート指揮フランス国立放送管弦楽団によるベルリオーズ:幻想交響曲(OC-8001)でした。

 レコードの発売は1977年だけど、録音年月日は分からない。初発売は1963年頃と思われます。以前、読んだ雑誌には、木管楽器がプヨプヨと突出して不思議なバランスとか、耳慣れない音が聞こえる怪演・奇演の類と批評されていたような記憶が・・・。しかし、針を落としてみると、とんでもない誤解だということが分かりました。

 確かに木管楽器は浮き上がって聞こえます。でも、これは補助マイクのバランスを大きく録ってしまったため。昔のステレオ装置は音質も貧弱でしたから、聞こえにくい音を大きめにミックスしてしまったのです。それを分離の良い現代の装置で再生すると浮き上がって聞こえてしまう。冷静に耳を傾ければ、何も大胆な解釈ではないのです。

 全体に遅めのテンポで、丁寧に進められます。ヘッドホンで聴くとバランスが変てこに聞こえるため、スピーカーを鳴らして聴きましょう。第4楽章、第5楽章ではティンパニや大太鼓が、かなりデラックスに空気を揺さぶります。これぞ35ミリ・マグネティック・フィルムの真骨頂。この録音・・・CD化されてなかったですよね。


6月24日(土) ちまちま更新

 IPラジオの部屋、ちまちま更新やってます。ですが、6月も第4週にさしかかると、インターネットのテレビ番組を消化していかないと、消えちゃうんですよ。悲しいかな・・・『ジャングル大帝』とか『リボンの騎士』とか、冨田 勲が作曲している作品は観なくっちゃ。

 それで、『ジャングル大帝』の第11話〜第15話まで、合計2時間30分ぶっ通しで観ています。当然その間、パソコンで別の作業ができません。大昔のアニメって、今なら1時間くらいの内容をハイスピードで詰め込んであるんだもの。少しでも目を離すと途切れちゃう。


6月23日(金) 『下妻物語』

 『下妻物語』 深田恭子、土屋アンナ、宮迫博之、篠原涼子、樹木希林 出演、中島哲也 監督。(2004年東宝/1時間42分)
公式ホームページ

 テレビ放送されていたものをHDDレコーダーで録画、ようやく観たところです。面白い、かっこいい。『キルビル』(2003)公開間もない頃の作品ですが、テイストは見事にコピーされています。『キルビル』がなければこの映画はなかったろうな。アニメのシーン、アクションなどはえらく大雑把ですが。

 こういう映画が観たかった、という反面、感覚に酔ってしまっていいのかな?という疑問も。まあ、“日本の恥”みたいなモノを逆手に取っていて小気味よくもあります。「ジャスコの衣料品を着たら何か悪いのか?」というくらいバカにもしている。よくスポンサーをOKしたなあ、と。

 よく言われているような演技云々は関係ない、ストーリーがマンガチックなんだから。この爽快さには何の意味もいらないのです。映画館なんか行ったことのない人でも愉しめますが、これを小津の『浮草』などと比較すると、ずいぶん薄っぺらな感じがします。皆さん、もっと映画を観ましょう。


6月22日(木) スープカレー&あんかけパスタ

 話の種に、M屋の新メニュー、スープカレーを食べてきました。まあまあ及第点。ふだん食べているヘルシーチキンカレーは煮込みすぎているのか、野菜も肉もほとんど形がありません。スープカレーは一口でいうと、“肉じゃが”風。ソーセージまで入ってる。

 ルウはサラサラなので、ライスの皿にかけられない。ご飯をスープに浸して食べるようなスタイル。たぶんリピートはしないだろうな。競合店であるY屋も最近、カレーライスを始めましたが、これは見事に不味い。牛丼なしのY屋はいつまで続くのだろうか?

 愛知県人である私は、ココイチが全国区になってうれしい。東京ではゼッタイ食べられないと思っていた“あんかけパスタ”も“
パスタ・デ・ココ”というチェーン店が進出してきたようです。今度行ってみようかな?名古屋に勤務していた頃は毎週のように食べていたのですが。


6月21日(水) スピルバーグ&ジョン・ウィリアムズ

 
ニューヨーク・フィルハーモニックのオンデマンド放送、今週は映画音楽特集。ナレーターにマーティン・スコセッシ監督とスティーヴン・スピルバーグ監督。前半はヒッチコック映画でおなじみのバーナード・ハーマンの音楽。後半はスピルバーグと長きにわたってコンビを組んでいるジョン・ウィリアムズの音楽。

 指揮はもちろんジョン・ウィリアムズ。ステージにスクリーンを設置して、映画を映しながらの演奏もある。ところどころSEや俳優の台詞が聞こえてきます。こういうのはもちろん、パソコン付属のスピーカーではなく、ステレオ・コンポの大音量で聴きたいもの。録音もとびっきりいいです。


6月20日(火) 『奥様は魔女』(1942)

 Mさん事務所では、楽天VS巨人の最終戦を観ました。(インターネットで生中継が観られるって知ってました?)また勝ってしまったぞ。野球のことはよく分からないし、楽天ファンでもないけれど、最弱と呼ばれたチームが、ものすごく頑張っているのは分かります。しかもどう見ても上手くないんだ、これが。(笑)

 お酒をよばれて終電で帰る・・・だけど家に着いたら、ムズムズと映画が観たくなってしまった。Yahoo!動画で『奥様は魔女』(I MARRIED A WITCH)を。フレデリック・マーチ、ヴェロニカ・レイク、ロバート・ベンチリー、スーザン・ヘイワード、セシル・ケラウェイ出演、ルネ・クレール監督。(1942年アメリカ/1時間17分)

 あの有名なテレビドラマ『奥様は魔女』(1964〜72)ならびに、昨年、ニコール・キッドマン主演でリメイクされた『奥様は魔女』は原題が“BEWITCHED”。1942年の作品がアイディアの原典ではあろうけど、ストーリーはぜんぜん違います。まずそこんとこをよく理解していただいて・・・。

 17世紀ニューイングランドの片田舎、美しい魔女とその父親が火あぶりの刑にかけられました。告訴したのは意地悪なウーリー卿ですが、金髪の美しい娘は彼の記憶に深く焼きついたのです。んで、時は流れて270年後の現代・・・魔女の父娘は復活を遂げます。

 そこにはあのウーリー卿の子孫(まったく同じ顔)がおりました。彼は州知事選挙を控え、その前日には政略結婚の予定も立っております。復讐に燃える父娘は彼を苦しめてやろうと画策。好きな女と結婚できぬ男ほど不幸なものはない。娘よ、あの男を夢中にさせろ、と。

 すごく可愛らしい映画ですが、もやもやの画像はかなり観ずらい。キズはほとんど目立たないので、最新デジタル技術で焼き直して欲しかった。トリック撮影は地味です。『オズの魔法使い』が1939年だから、もっとびっくりさせる技術もあったと思うのですが・・・。

 ドラマ(演技)重視で統一されていますが、古くささは否めない。『奥様は魔女』の邦題はやはり違ったモノを求めてしまう。“結婚”とはチグハグなものをミックスさせなきゃいけない。相手が魔女でなくとも。そこに生まれるトラブルが親近感を生んだのです。ルネ・クレール版は純粋なファンタジーでした。


6月19日(月) 『浮草』

 Mさん事務所にてネット(GyaO)映画鑑賞会。本日のお題は『浮草』。中村鴈治郎(二代目)、京マチ子、若尾文子、川口 浩、杉村春子 出演、小津安二郎 監督。(1959年大映/1時間59分)

 観始めて少ししてから思い出しました。そうだ、この映画は20年くらい前にテレビで観たことがあった、と。昔の映画に興味があって、小津の作品は有名なものだけ何本か観ていたはずです。白黒のイメージがありましたが、リプリントされたフィルムの美しかったこと。

 20代の頃に観たのと、今では、まったく情報収集力が違います。見落としていた部分のいかに多かったかを知らされました。川口 浩って超正統ハンサムだったんだ。後に夫人となる野添ひとみも登場します。京マチ子、若尾文子の魅力はこの歳にならんと分からんよ。

 はあ、それにしても小津作品の雰囲気はいい。@悪人はぜったい登場しない。A大きな事件は起こらない。Bカメラは常に低い位置にあり、生活感を捉えている。

 この映画は昭和34年(1959)の作品ですが、調べてみると昭和9年(1934)にも『浮草物語』という映画があり、同じ小津監督作品・・・こちらは白黒、しかも無声映画ですが、リメイクであることが分かりました。役名は異なるが、ストーリーは同じ・・・いつか観れるのだろうか?


6月18日(日) チェコ生まれの猫

 メンテナンスしなければならないと分かっていながら、なかなか手の付けられなかったチェコのインターネットラジオ。週末3日がかりで終了。国営放送を除く40局は、いつのまにか53局に増えていました。

 インターネットラジオにおいて、チェコは先進国です。総じてかなり前から高音質を誇っていました。ソースもちゃんと解析できるようになっていて、公共性を考えてあります。もちろん保存も自由自在。

 サイトを徘徊するうちに、可愛らしい猫の壁紙を見つけました。猫はチェコ語で“kot”というらしい。ことばそのものからして可愛らしいじゃないですか?色彩も独特でいかにも東欧ふう。

   


6月17日(土) チェ・ジウ特集

 『ファースト・キス』(FIRST KISS)(原題:キス・ハルッカヨ(キスしましょうか?))チェ・ジウ、アン・ジェウク、ユ・ヘジョン、イ・ギョンヨン出演、イ・ヨンエ、チャン・ドンゴン特別出演、キム・テギュン監督。(1998年韓国/1時間45分)

 日本での公開は2005年ですが、製作されたのは1998年です。テレビドラマ『サラン〜LOVE〜』と同時期ということで、ユ・ヘジョンがやはりライバル役として登場するし、パンダ目、タラコ唇のメイクも当時そのまま。ちょっと垢抜けない感じのチェ・ジウです。

 無精髭生やしたアン・ジェウクは清潔さに欠けるし、ストーリーも平板なのに1時間45分はキツイ。軽いデート映画、ジウ姫ファンなら観れるかな?劇中、ミュージカル撮影のシーンで、イ・ヨンエ、チャン・ドンゴンが出演するのは華やか。主人公の2人はエキストラだったりして。

 『ピアノを弾く大統領』(THE ROMANTIC PRESIDENT)チェ・ジウ、アン・ソンギ、イム・スジョン出演、チョン・マンベ監督。(2002年韓国/1時間33分)

 こちらも日本公開は韓流ブームの2005年。男やもめの大統領が娘の担任教師に恋をする・・・と、いかにもくすぐったいロマンティック・コメディ。気の強い女教師を演じさせたら、そりゃもうチェ・ジウの魅力爆発でしょう。とても清々しい演技です、光ってます。

 『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨンが脚本を共同執筆。1時間33分を緩急のテンポよく描いています。アン・ソンギの大統領はある意味“理想の元首”かもしれません。こんな大統領がいたなら、世界は平和になります。往年の名画『慕情』のテーマも素敵ですね。


6月16日(金) 『時計じかけのオレンジ』

 『時計じかけのオレンジ』(A CLOCKWORK ORANGE)マルコム・マクダウェル、パトリック・マギー、エイドリアン・コリ、ウォーレン・クラーク、ジェームズ・マーカス、マッジ・ライアン、マイケル・ガバー、マイケル・ベイツ出演、スタンリー・キューブリック監督、ウォルター(ウェンディ)カーロス音楽。(1971年イギリス/2時間17分)

 恥ずかしながら初見。これまで何度か観ようと思っていたのに、“貸出し中”だったり、気分が乗らなかったりして。ようやく観てみると、いつのまにか近未来の話ではなく、凶悪事件ひしめく現代そのものになっていました。1971→2006・・・35年も経つとねえ。

 ケン・ラッセル監督の『マーラー』(1974)や『サロメ』(1987)を観ちゃった後なので、性描写や暴力についてさほどインパクトは感じられない。順序が逆になってしまうけど、意外と似てますよ?この雰囲気。しかし、私が『マーラー』を劇場で観たのは1987年でした。

 近未来のスラング。「ホラーショー」の字幕は、変だな?と思ったけど、やはりロシア語の「ハラショー」だったようです。調べていくと、アンソニー・バージェスの原作は第21章まで存在するのに、米国で出版されたとき最終章はカットされてしまった。キューブリックの映画は英国で製作されたにもかかわらず、米国版に依っているそうで、日本で出版されている版もやはり最終章がカットされているそうな。興味のある方は下記リンクをクリック!研究してみましょう。

 
時計じかけのオレンジ第21章翻訳 ナッドサット用語集


6月15日(木) 『インソムニア』

 テレビで映画『インソムニア』(INSOMNIA)を観ました。アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンク出演、クリストファー・ノーラン監督。(2002年アメリカ/1時間59分)

 あまり期待しないで観てましたが、なかなか凝ったストーリーで楽しめました。『メメント』のノーラン監督らしく、フラッシュバックがふんだんに使用されていますが、正攻法の方がよかったのでは?ちょっとワン・パターンかも。

 資料によれば、1997年に製作されたノルウェーの同名作品のリメイクだとか?オリジナルも観てみたいぞっ!と思ってしまう。主演の3人(超ベテラン)は上手いけれど、アル・パチーノの声を当てた野沢那智はよくなかった。

 吹き替えとしては当たり役だったはずなのだが、アル・パチーノの老け具合と、野沢那智の老け具合が一致しないのだ。C3PO(スターウォーズ)のカン高い声は違和感ないが、押し殺した低い声を出そうとして失敗した感じ。

 テレビ放送だからかなりのカットはあったと思う。ロビン・ウィリアムズの悪役はもっと変態チックだったかもしれない。ヒラリー・スワンクの存在感がすばらしい。


6月14日(水) 梱包のお手伝い

 M社へ梱包のお手伝いに行ってきました。引越しの後、旧事務所のシャッター内に置かせてもらった書籍カバーを大阪の倉庫へ送るためです。期限は15日(明日)となっていますから。晴天に恵まれたのは幸いで、実質、屋外での作業となりました。

 「大きさのちょうどよいダンボールがない」と聞いていたので、作業は手間取るかと思われましたが、実際あてがってみると、ほとんどのカバーが書籍用の通函に収まりました。正午にはほとんど終了。お昼をご馳走になりました。

 この日は蒸し暑く、午後にS事務所に入ったものの、けだるく眠かったためにアイスクリームを買って目覚まし。夕方は楽天のサイトで野球観戦。野球の分からない私でも、ダメ・チームと呼ばれた楽天が、阪神を相手に熱戦を繰り広げていたのに感動。


6月13日(火) パソコンでテレビ

 「パソコンでテレビが観れるようにしてほしい」ということで、知人宅へ招待されました。「起動が遅い」とも相談を受けましたが、これはメモリー食い虫“ノートン・インターネットセキュリティ”の仕業です。知らないと大変な目にあいますので、再度申し上げておきますと。

 ノートンは最新のパソコン環境、もしくは2〜3年前の環境まででないと、重くて使いづらいということ。
 ノートンにこだわるなら、総合ソフト“インターネットセキュリティ”より、単体の“ノートン・アンチウィルス”を。

 パソコンをある程度使いこなせ、自分で設定できるスキルがあり、お金をかけたくない!というのであれば、フリーのアンチウィルスソフト“Avast!4HomeEdition”がお薦め。動作も軽く、快適です。アダルト大好き、好奇心旺盛な方は救いようもないですが。(苦笑)

 ルータとの相性が悪いのか、ノートンが邪魔しているのか、フレッツスクウェアの設定ができなかったのは残念。ノートンは通常のプログラムをウィルスと誤診して、動かなくしてしまうことがあります。でもBIGLOBEストリームやGyaOの動画は観れるようになりました。


6月12日(月) 『ステルス』

 Mさん事務所にてDVD鑑賞会、本日のお題は『ステルス』。私は2005年11月に映画館で観ていますが、ミニコンポの音響でどれだけリアルな迫力を再現できるか実験です。

 AIWAのミニコンポはものすごい音響で、2人のおじさまを納得させました。しかし、その後がよくない。しょせんストーリーが平板なので、簡単に予測がついてしまう。

 「コンピューターが暴走するんでしょう?」、「ここらで1人くらい死ぬんでしょう?」、「後で助けに行くんでしょう?」といった具合。やはり大スクリーンでないと感銘は薄いかも。


6月11日(日) 古書ほうろう

 古書ほうろう+谷根千工房特別企画『稲垣書店がやってきた!日本一の映画古書店主、中山信如の世界』に行ってきました。映画専門古書店“稲垣書店”の棚を古書ほうろうに移動させ、映画文献、肉筆の原稿、書簡、色紙のポスター、スチール写真、ブロマイド等を展示即売するという。

 そして本日の講座は、店主の中山信如さんと南陀楼綾繁(聞き手)による対談。映画評論とか、そういった堅苦しいものではなく、いわば“日本一の映画バカ一代記”でした。藤純子の映画を観るために、大阪に1カ月逗留し、お金を稼ぐために飯場で働いちゃったりするのだから。

 ※ここで日記を書きながら、よく耳にはするものの、確認したことのない“飯場”というワードをネット検索。
「日雇い労働者のつくりかた」というレポートを見つけると、30分ばかり読みふけってしまいました。

 信如さんはパソコンの使えないアナログ世代。古書店目録をはじめ、月報、好きな俳優さんのフィルモグラフィをすべて手書きで作成される。回覧資料を見せてもらったけど、ものすごく細かいきれいな字でありました。凝り性と全体を見渡すバランスこそが古書店を永続させていくのだなと感じます。

 ※“藤純子”でネット検索すると、現在の芸名が富司純子。女優の寺島しのぶは娘であることも分かる。フィルモグラフィも一発で出てくるし、また各々の作品について詳細も分かる。データベースのジャンルにおいてやはりパソコンの効用は大きい。頑固親父にもぜひパソコンを。


6月10日(土) 今日はゆっくり休みます

 今日は何もしません、ひたすら日記を埋めます。3週間も更新されず、友人から「行方不明なのでは?」というお見舞いメールを頂きました。昼間っからビールが飲めます、お風呂に入れます、リラックスしてから書き始めます。

 6月8日ライヴ・ソロ・パフォーマンスのレビューは書くのやめようかと思ってしまいました。私は嘘もお世辞もつけません。実験作品なのだから、観客が不快に感じるのは自然だと思うのです。

 “よくわからない”という表現を用いる人はいますが、私は“好き”か“嫌い”かどちらかです。作品のある部分は“好き”だが、この部分は“嫌い”とはっきりカタを着けます。かつて自分は演奏者の端くれでしたから、“観る聴く”側に立ってもできるだけすべてを理解しようと努力します。

 ただ、最初は“嫌い”と思っても、繰り返し見聞きするうちに“好き”に変化していくことはありますが、これも人間だから仕方ないと思っています。逆もまたあり得ます。“よくわからない”と言って回避してしまうと、後々、自分の変化に気づきません。1分1秒でも早く成長したいのです。


6月9日(金) 『シーナ』

 本日のお題は深夜テレビから録画した『シーナ』(SHEENA, QUEEN OF THE JUNGLE)。タニア・ロバーツ、テッド・ワス、トレヴァー・トーマス出演、ジョン・ギラーミン監督。(1984年アメリカ/1時間56分)

 『シーナ』って何だ?女性版『ターザン』だよ。『ワンダーウーマン⇔スーパーマン』『キャットウーマン⇔バットマン』といった具合に、アメリカン・コミックには必ずスーパーヒーローのヒロイン版が存在します。(マイナーな存在のスーパーガール、バットガールは置いといて。)

 まっ、これは大した映画じゃございません。頭の中を空っぽにして、タニア・ロバーツのナイスバディを眺めていればいいのです。チャーリーズ・エンジェル、007のボンドガールまで務めたバディですから。オジサンは美しい女性と動物に癒されます。そおいう映画もあっていいと思うのです。

 サービスカットの入浴シーンも2回ございます。健康的でまったくいやらしさがございません。『ミラクルマスター/七つの大冒険』(1982)にも入浴シーンがありました。『ミラクルマスター』実は隠れた名作。DVD化されていないので、中古LDを捜索中です。(米国盤DVDは発売されている。)


6月8日(木) ライヴ・ソロ・パフォーマンス

 神田小川町にある画廊・・・日曜日に行けなかったYAさん(女性)のライヴを観に行きました。Mさんと一緒にパンフレット用のデザイン地図を頼りにうろうろ歩いていたら、間違って淡路町まで出てしまった。児童公園に設置された住宅地図を確かめて、さっき来た道を後戻り。

 画廊は白い空間、十坪くらいの広さだろうか?普段は絵が架かっているんだろうけど、夜間だけそれを撤去して開放しているものらしい。プログラムは、『毎日死んで、毎日生まれる』展。興味のあるヒトはブログを検索してみてちょ。本日の演目は『純粋培養』だったのけれど、思わずその場から逃げ出したくなってしまいました。

 ステージ中央に座っているのは、ひと目見てそれと分かるヲタク系大学院生(男性)。彼はまずフリートークで自己紹介を始める。大学院生に関する定義、スポーツに関する定義、はっきり言って聞きたくもない内容・・・。すかさず、脇に待機したYAさんが『自己紹介はいいから早く本題に入って』と遮る。

 二言三言も話さないうちに、『もっと低い声で!』、『もっとゆっくり!』、『あのー、そのーとかは言わないで!』、『接続詞は使わないで!』、『自分の恋愛の話をして!』、『彼女は目耳口がきけません、その状態で気持ちを伝えて!』、『好きと十回言って!』等々、サディスティックに言葉を遮る。

 男の方はといえば、すっかりうなだれてしまい、ことばをつまらせ、いかにも苦しそうだ。ことばのSMごっこ・・・聞いていて気持ちが悪くなってくる。私はフト、テレビで見た“鷹匠の話”を思い起こしていた。専門家ではないので記述に違いがあるかもしれないが、捕まえた野生の鷹を手なずける方法とは、まるまる一カ月の間、鷹を暗い部屋に閉じ込め、絶食させるのだ。鳥は暗闇ではまったく目が見えない。そんな自我を失った状態でヒトに餌を与えられたなら、まるで神様に食物を恵まれたように思えるだろう。

 “飴と鞭”・・・極限に追い詰められた状況で、『好きと十回言ってください!』と声をかけられたなら、それは天使の声にも聞こえてしまう。まず間違いなく“萌え”とは、“触れたいと切望しても触れられない葛藤”である。恵まれた時代に生まれ育った子供たちには、“ストレス”こそが生きている証なのだ。男は弱くなった、女は強くなった・・・思わせぶりに甘いことばを囁けば、いとも簡単に男を支配できる。

 うまく生きていく、心地よく生きていく方法は流されること。『一切シナリオなし、打ち合わせなし』のコンセプトは、“練習不要”という自己欺瞞を含んでいる。『毎日死んで、毎日生まれる』のだから、テレビゲームと同じでリセットしてしまえばラクだ。自分たちが楽しければそれでいい。経験値は財産だが、修練の積み重ねはむしろ邪魔になる。そんなパフォーマンスが40分は続いたろうか?

 後半はYAさんのヴォーカル、でもこれは歌じゃない。ステージ中央の長い箱にリバーブ装置が仕込んであり、それを叩いたり、声を発することで、ギターアンプとのハウリング効果を楽しむことができる。スチールギターをじゃらんと鳴らせばまた独特の響きを得られる。ワン・アイディア・・・初めて聴く人には新鮮だが、手法としてはもはや目新しいものではない。

 美しい声、ハウリング効果に倍音を重ねていく感性こそ豊かだが、楽譜は存在しない。即興演奏なので、短いことばを連ねていくしか方法がないのだ。イギリスの古いマドリガルとか、ケルト民謡を思わせる部分もある。ことばのイントネーションは多用だが、およそ30分ぐらいの間にネタ切れしてしまうだろう。画廊のアコースティックな音響に助けられている。

<クラシックな芸術>
 ガッチリと枠が決められており、お客さんもその中に入っている。演者は定められた空間で遊ぶことしかできないが、熟達者ならばそれを踏み台にして高くジャンプすることができる。フィギュアスケートだって同じだ。テクニカルを十二分にこなさなければ高得点はもらえない。四回転ジャンプを達成するには十年以上の鍛錬が必要。

<フリーな芸術>
 枠がなく、水平方向へと無限に拡がっている。お客さんはサークルの真ん中に存在する(ハズだ)が、演者が遠くへ走り去れば、時には視界から外れてしまう。いきなり近寄ってきて耳元で囁くこともあるだろう。“分かるヒトにだけ分かってもらえればいい”のだから、分からない人は去っていく。

 踏み台は存在しないので、高くジャンプすることはできない。お客さんの足元で仰向けに寝っ転がり、凝視することは可能。“心地好さ”を求めて木戸銭を払った人には甚だ不親切。一度目は好奇心をくすぐられようが、二度目は苦痛。感受性の強い人は3分で終わる。継続性が得られない。

<もしコレを見ていたら>
 私はクラシックな人です。正反対な位置に立つ者だから、アンチな意見を書いてしまってごめん。あなたは鋭い感性を持っているが、それを継続に耐えるものへと変化させていかなければ、活動を維持することが難しくなっていくだろう。

 CD-Rを頂いたけれど、それは剥き出しの状態でした。内容はともあれ、自分が世に送り出す作品なら、不織布の袋かケースに入れて渡すもの。トラックリスト&タイトルの紙も添付して。学校では教わらないプレゼンテーションの基本。

 鞄の中で埃まみれ、傷だらけになってしまったCD-Rを水洗いしたら、レーベルサインが水性ペンで書かれていたために流れてしまった。う〜ん仕方ないなあ・・・とオジサンは呟く。困ったちゃん!


6月7日(水) 合法海賊盤DVD

 近所の書店をチラッと見たら、白いワゴンが設置されています。「名作映画DVD1枚¥500」の看板・・・最近、書店や地下鉄駅のワゴンで販売されていますね。俗に“合法海賊盤DVD”と呼ばれている、製作から50年以上を経て著作権が失効したとされる映画たちです。

 ちょっと変わった断り書きが添付されていました。「・・・上記6タイトルは、在庫がなくなり次第生産終了となります。お早めに。」この6タイトルの中には、マリリン・モンローやオードリー・ヘップバーンのタイトルが含まれていたので、「ああ、やっぱりクレームが入ったのか」と解釈しました。

 製作から50年以上経てはいるのですが、50年前のフィルムから復刻したものではなく、正規盤DVDからコピーした疑いがあるのです。また、テレビ放送をエアチェックしたものもあるでしょう。製造は海外と表記されていますが、国内で製造された疑いはやはり晴れません。


6月6日(火) 『紳士協定』

 今日のお題は『紳士協定』(GENTLEMAN'S AGREEMENT)。グレゴリー・ペック、ドロシー・マクガイア、ジョン・ガーフィールド、セレステ・ホルム、アルバート・デッカー、ジェーン・ワイアット、アン・リヴェール、ディーン・ストックウェル出演、エリア・カザン監督。(1947年アメリカ/1時間58分)

 (あらすじ)
 記者のフィルは週刊誌の編集長に招かれ、ニューヨークへやってきた。依頼された仕事は、反ユダヤ主義についての記事を書くこと。この難しいオファーを一度は断ったフィルだったが、企画を発案した編集長の娘キャシーに惹かれ、引き受けることになる。

 資料を元ネタに書くことは簡単だが、それでは説得力ある文章にならない。やがて彼は奇抜な発想を得た。8週間限定で、彼は自分をユダヤ人と偽り、取材を始めたのだ。その噂はまたたく間に広まり、周囲は彼によそよそしい態度をとるようになった。

 1947年当時のアメリカでよくこんな映画が撮れたものだと思う。アメリカの暗部を描いた作品だったため、日本では40年後の1987年まで劇場公開されなかったそうな。リベラルを主張する紳士たちも、自分や家族の立場を考えると差別には口を噤むしかなかった。

 主人公フィルがエキセントリックなまでに仕事熱心で、キャシーとの仲も険悪な状態に陥ってしまう。彼女は企画発案者でもあるわけだが、この辺り、男と女の思考回路に食い違いが出てしまうのだな。極めて深い問題を恋愛に絡めたのは、無理な結末にも思えるが、監督の反骨精神には恐れ入る。


6月5日(月) 大阪のセンセ、『街の灯』

 Mさんから突然の電話。「Sさんが話してた大阪のセンセが、東京に来られてるんだって。今、こっちに出て来れますか?」というのでさっそく出かけました。事務所の扉を開けたら、ものすごい大きな声、コテコテの大阪弁を喋る白髪の紳士。この人に間違いあるまいと席に着きました。

 Mさん、Sさんを前にして、大阪のセンセは歴史学の講演中。Sさんは既に私のことをセンセに紹介していたらしく、「お〜、君がそうか〜!明日からでも大阪に来てくれや〜!」と、初対面なのにえらく気に入られてしまいました。う〜む、話がずいぶん飛躍してるなあ。

 歴史学の講義は延々1時間半に及んだ。私が到着する前から始まっていたらしく、2時間半は猛烈に喋っていたということか?それは“裏世界史”というべきもので、歴史の教科書がデタラメだということを証明する事実が盛りだくさん。戦争とはイデオロギーや宗教観の違いから自然発生するものではなく、黒幕によって仕掛けられたものであるということだ。

 「また来るでな〜!」大阪のセンセは事務所にあった数冊の歴史書をお土産にもらい、ニコニコ顔で帰られました。私はその後、小1時間ほど神保町で本探しに出かけます。abcコマンド(ウェストミンスター:日本コロムビア)のLP、ヴァンデルノート指揮フランス国立管弦楽団の幻想交響曲が¥300で買えました。

 音楽書専門店のK書店では、1979年のレコードイヤーブック(レコード芸術付録)と1980年度のクラシックレコード総目録をそれぞれ¥500で購入。思いがけなくいい買い物ができてしまいました。その後再び事務所に戻り、Sさんにお酒とうなぎをご馳走になってしまいました。天国!

 今日のお題はYAHOO!動画の無料ストリーミングで『街の灯』(CITY LIGHTS)。チャールズ・チャップリン、ヴァージニア・チェリル主演、チャールズ・チャップリン製作・監督・脚本・作曲。(アルフレッド・ニューマン音楽)(1931年アメリカ/1時間26分)

 何度観てもいいものです。思い起こすに私の観た、最初のチャップリンはコレでした。『至福のとき』(2002年中国/チャン・イーモウ監督)は、この映画を現代の中国に置き換えたもので、パクリでなく、極上のアレンジを施した別の作品に仕上がってますね。興味のある人はいっぺん観てみてちょ。


6月4日(日) 上野の社事典出版記念の会、『モダンタイムス』

 谷根千工房の方からお誘いを受け、新版・上野のお山を読む−上野の社事典出版記念の会へ出席させてもらいました。これが台東区の“市田邸”という粋な明治の小屋敷で行われたんですな。Mさんと根津の駅で待ち合わせ、開始時刻よりかなり早く着いてしまった。

 ちょっとその辺をぷらぷら歩き、時間を潰しましょう、ということで。天気はいいし涼しいし、すごく静かだし、“芸術喫茶”なるお店でローズヒップのジュースをご馳走になり、道端にある“黄色い招き猫”の店で立ち止まり、“徳川慶喜の墓”の看板につられて谷中霊園へと入っていきました。

 徳川家の墓は、霊園のかなり奥の方にありました。柵に囲まれてて中を覗けるだけですが、大きな蒸しパンのような丸い墓。その領域の向かい側、柵の外にも丸い墓があって、古くて立派な樅の木に守られています。徳川ゆかりの墓かと思ったら、近くにいたご婦人が、「勝海舟にゆかりのある・・・」と教えてくれました。(調べてみたら違うみたい。)

 市田邸では出版記念の会が始まりました。邸内には入りませんでしたが、庭のベンチに腰掛けて拝聴。このベンチがまたコンクリブロックに家屋の廃材・・・柱か梁の太い材木を乗っけた実に按配のいい座り心地。封筒にいっぱいのテキスト資料、絵地図、“上野戦争錦絵”なる貴重な多色刷りのカードまで頂いて、宝物がまたひとつ増えてしまいました。

 Mさんと私はこの後、もうひとつ出かけなければならないイベントがあったため、少し早い時間に退場。神田神保町にある画廊へと急ぎました。(実は神保町ではなかったのですが・・・)T新聞社のお誘いだったのですが、不手際で会場の住所も名前も連絡先も不明のままだったのです。T新聞社の近くだと勘違いしてました。

 結局、探し回ったけどそれらしい画廊は見つからず。T新聞社の窓は真っ暗で誰もいなさそうだし、時間だけが過ぎていきます。いったん事務所に戻って案内のFAX用紙を調べましたが、やはり何も書かれていなかったのですね。もう8時少し前になっていました。公演は1週間あるそうですから、日を改めて出直しましょう。

 YAHOO!動画の無料ストリーミングで『モダン・タイムス』(MODERN TIMES)を観ました。チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード出演。チャールズ・チャップリン製作・監督・脚本・音楽。(デヴィッド・ラクシン編曲)(1936年アメリカ/1時間27分)

 Mさんはチャップリンを観るのが初めてだといいます。でも、大変気に入られた様子。チャップリンが亡くなったのは1977年のクリスマス。だから私は中学生のとき、テレビでほとんどの長編映画を観ることができました。『モダン・タイムス』はいちばん好きかも。何はなくとも希望に満ち溢れたエンディングがいいです。


6月3日(土) 本郷クラブ6月例会

 今月の本郷クラブは夕方6時からなので、昼間はテレビで『TRICK〜絶対死なない老人ホーム』というのを観てました。劇場編とテレビドラマ作品と両方あるのですね。主役は同じ、ストーリーのパターンも同じで、ロケーションや照明その他の予算が違うだけか?映像は全体に白っぽい。

 マジックのネタばらしと、怪事件を結び付けた脚本アイディアは秀逸で、このパターンでシリーズが作れてしまいます。実際、マジックのネタを使った詐欺行為は日本全国にはびこっていて、そうした意味で警鐘を鳴らすのもいいかな。皆さんゆめゆめ騙されるべからず。

 コミック・ミステリーなんだけど仕掛けは(マジックなんだから当たり前)凝っていて、興味津々と引き込まれてしまいます。昨日の『レイクサイド マーダーケース』は何だったんだ?と改めて大きな疑問。観客に考えさせるミステリーの部分が全然なかったもんなあ・・・と。

 本郷クラブ6月例会は、『浅草』四部作を完結して・・・堀切直人さん(文芸評論家)の講座でした。“テキスト配布”となっていたものの、それは書評を切り張りしたコピー。ごめんなさい、肝心の本を読んでいない私にはピンと来ない部分が多すぎます。

 1冊¥2,000〜¥2,200の本4種類、これを「えいやっ!」とは買えないし、後でSさんに見せてもらおうっと。本書のダイジェスト部分でも“コピーテキスト”として配布してもらえるとありがたいけど・・・雰囲気は伝わると思うのです。こんなこと書いたら叱られるかな?


6月2日(金) 『レイクサイド マーダーケース』

 テレビ放送で映画『レイクサイド マーダーケース』を観ました。役所広司、薬師丸ひろ子、柄本 明、鶴見辰吾、杉田かおる、黒田福美、眞野裕子、豊川悦司 出演、青山真治 監督。(2004年東宝/1時間58分)

 豪華キャストではあるが、テレビ2時間ドラマふうの造り・・・もったいない。殺害されてしまう愛人役の眞野裕子はヌードを晒して迫真の演技。さて、原作は読んでいないがこの事件。タイムリーな“お受験”を扱いながら、ミステリーなのか?それとも家族愛なのか?途中までは緊張も感じられたけど、終盤どれも中途半端に思えてきました。

 愛するわが子のためなら何だってできる、それが夫婦?たまたまそうなってしまったのか?そう言いたいのか?それではなぜ、この作品(映画)はこの世に生まれてきたのか?全部投げ出したまま、スパッと切られてしまいました。おまけにテレビ放送特有のハサミが入っています。インターネットで調べたラストシーンと違うよ〜?消化不良。


6月1日(木) 『ワイアット・アープ』

 本日のお題はフレッツ・スクウェアで観る『ワイアット・アープ』(WYATT EARP)。ケヴィン・コスナー、デニス・クエイド、ジーン・ハックマン、マイケル・マドセン、デヴィッド・アンドリュース、リンデン・アシュビー、キャサリン・オハラ、イザベラ・ロッセリーニ、ジョアンナ・ゴーイング出演、ローレンス・カスダン監督。(1994年アメリカ/3時間11分)

 西部劇はほとんど見てない私でも、本作が“汚れた英雄・アープ”を描いたものであると分かる。ご丁寧に少年時代から、結婚。妻に先立たれてグレ中年になるシーン。ビッグな親父に助けられて出獄したりと、やけに盛りだくさんなのはいいが、のっぺり3時間強はダレ気味。

 また、ケヴィン・コスナーが製作にも参加しているため、やたら自分をカッコよく見せる映像、キザな台詞が出てくると観ていて恥ずかしい。豪華キャストでまあまあ、普通には面白かったですけど。(けなし言葉)配役ではデニス・クエイドのドク・ホリディが出色。なりきってます。


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