2006年7月の日記

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7月31日(月) 『クィーン・コング』『TAMALA 2010』

 今日も今日とてGyaOにて視聴。『クィーン・コング』(QUEEN KONG)ロビン・アスクウィズ、ルーラ・レンスカ、キャロル・ドリンクウォーター、リンダ・ヘイドン、ヴァレリー・レオン出演、フランク・アグラマ監督。(1976年イギリス・イタリア合作/1時間25分)
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 わははは、笑えました。キング・コングの女性版、しかもパロディです。製作年が1976年ということは、ディノ・デ・ラウレンティス&ジョン・ギラーミンのリメイク版『キング・コング』と同じじゃないですか。大掛かりなSFX、巨大なコングのロボットまでこさえたという大作だけあって、ラウレンティスはこのパロディ版を潰しにかかったというエピソードも。

 もうひとつ考えられるのは、あまりのおバカさに本家を食ってしまうと恐れたのでは?ということ。女性映画監督のルースは理想の主役レイを街で見つける・・・。この時、レイの登場ぶりがスゴイ、歯がキラリと光るのだ。しかも4回光る。(笑)今どきアニメでもこれだけのことはやるまい。

 美女が盛りだくさんで、水着で観客を悩殺。船でイギリスに連れてこられたクィーン・コングだが、彼女の活躍はウーマン・リヴ(女性解放運動)の旗となり、アフリカに帰してもらえることとなる。かわいそうなオリジナル版とは違い、最後はハッピーエンドを迎えるところも嬉しい。おバカ映画の理解できる人には最高傑作です。

 この日はもう1本。『TAMALA 2010 a punk cat in space』 武田真治、加藤 武、ベアトリス・ダル、佐藤54-71(声の出演)、t.o.L原作・脚本・監督・音楽。(2002年日本/1時間32分)
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 モノクロ・レトロ調のアニメーション。フラッシュで製作されたという噂も。資本主義批判などと能書き垂れる人もあるが、とてもそこまでの深さは感じられない。思いつくまま不条理を並べ立てただけ。可愛いネコのキャラクターで一発当てようとしているのだから、物質文明をとやかくいうものではないだろう。

 配信期限が8月1日の正午までと迫っていたため、私は大急ぎで観ました。その方法は1.4倍速という反則技。しかし1.4倍速で観ることのデメリットは感じられませんでした。時間を埋めるため、もともとの動きがスローだからです。4年の歳月をかけたとはいえ、ほとんど1人で作っちゃってるんだよな、これ。


7月30日(日) 『TUBE−チューブ』

 テレビで映画『TUBE−チューブ』(TUBE)を観ました。キム・ソックン、パク・サンミン、ペ・ドゥナ、ソン・ビョンホ、チョン・ジュン、キ・ジュボン、イム・ヒョンシク、クォン・オジュン出演、ペク・ウナク監督。(2003年韓国/1時間56分)

 調べてみると冒頭かなりのカットがあったようです。日本語吹き替えで観るのもあまり良いこととはいえません。しかし、その分大目に見ても印象は変わらないでしょう。“TUBE”(地下鉄)乗っ取りテロを題材にしたものですが、アクションだけがメインで、肝心の人間が描かれていないからです。

 刑事に思いを寄せる女スリ、ペ・ドゥナは可愛らしいのですが、この関係についてほとんど説明なし。妻をテロリストに殺された刑事の回想シーンも一瞬だけ、恋人を公安に殺され、テロリストと化した犯人についても一瞬だけ・・・こんな短い説明では感情の入れようがありません。

 冷徹なテロリストを演ずるパク・サンミンも、ちょい童顔で徹しきれません。要するに、大がかりな仕掛けとスタントを用いた大作であるにもかかわらず、演出が拙いため平板なアクション映画で終わってしまった、ということなのです。大量生産される韓国映画・・・ハズレもあるのです。


7月29日(土) 映画『夏音−caonne』初日舞台挨拶

 7月7日に試写会でも観ている『夏音』ですが、本日は初日舞台挨拶。
ポレポレ東中野は私の家から歩いてすぐ近くにあります。第1回(12:30〜)の上映後に舞台挨拶がありました。吉岡美穂さんはブルーのワンピースに、パステルカラーのスカーフを巻いて登場!キレイでした〜!

 壇上には監督のIZAMや多くの出演者。美穂さんはマイクを渡されると、ちょっととまどって、かつ、けっこう長くマイクを握って話してくれたような・・・。IZAMファンの女の子たちは皆、浴衣を着て来場していたので、会場のあちこちを楽しそうに見回していました。

 浴衣といえば、この日は隅田川花火大会でもあったわけですが・・・。でもやはり、舞台の進行はあまり気にしてないみたいでしたね。美穂ワールド全開!癒しのオーラが溢れ出てます。

 『王と鳥』劇場初公開

 BIGLOBEの週刊シネマスクランブルTVを観ていたら、『王と鳥』の文字が目に入りました。同名の別の映画?かと思ったらそうじゃない。1952年に未完成のまま『やぶにらみの暴君』のタイトルで公開され、1979年に『王と鳥』のタイトルで完成した、あのアニメーション映画だったのです。
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 私についていえば3歳のとき、初めて連れて行ってもらった映画館で、『ガリバーの宇宙旅行』(1965年東映)を観ました。後にこの映画が、『やぶにらみの暴君』に大きく影響された映画だということを知ります。

 小学館の百科事典(ジャポニカ)の“アニメーション”の項には『やぶにらみの暴君』のワンカットが載っていました。その絵は目に焼きついてしまいましたが、映画を観ることはできなかったのです。

 80年代アニメ・ブームの最中、1985年の第1回広島国際アニメ映画祭で大会委員長をつとめたポール・グリモー。後に伝え聞くところによると、『王様と幸運の鳥』というタイトルで上映されたといいます。

 1986年、『王様と幸運の鳥』は日本語吹き替え版LDがポニー・レコードから発売されました。¥8,800もしましたが私はこれを購入。プレーヤーは持っていなかったので、友人に頼んでVHSへと落としてもらいました。

 2000年に『王と鳥』のタイトルでDVD発売、2003年にパッケージを改装して再発売されています。が、実はLDの方が色はキレイなのです。今回、渋谷シネマ・アンジェリカまでわざわざ足を運んだのは、最新デジタル・リマスター版ということと、大スクリーンで観てみたかったから。

 評価は、LD>デジタル・リマスター>DVDでした。もっともLDは解像度低いし、既に劣化が見られます。現在はスタジオ・ジブリが権利を持っているので、デジタル・リマスター版の再発売を望みたいところ。オークションでLDを見つけたらそれは“買い”です、ゼッタイ。

 今回の劇場公開は原語(字幕)版でした。翻訳を正確にという配慮でしょうが、吹き替え版と比べると堅苦しく難解になってしまいました。美しい絵が字幕で隠れてしまうのも何だかなあ、と。キャッチコピーはいかにも現代ふう。

 LDの画質を再チェック!色彩に関してはベストなんですが、チラつき、ガタつきはかなりあります。DVDは退色したフィルムから起こしたもので最悪。劇場のデジタル・リマスター版は淡彩ながら非常に安定しています。この映画について語ると夜が明けてしまいますので、この辺で。


7月28日(金) カレーいろいろ

 私の舌で観測したカレーを扱う大手チェーンの比較表です。吉野家は和風を謳った“カレー丼”の頃はそこそこでしたが、現在のプレーンカレーなどまずくて食えません。店によっては平気で冷たいカレーを出してきますから。松屋も10年前の“辛口チキンカツカレー”は美味しかったんですけど、現在はメニューにないです。

店名 所在 得点 評価 備考
カレキチ チェーン店 まずい  
カレーデポ チェーン店 ★★ わりといける  
カレーの王様 チェーン店 ★★ わりといける  
牛丼太郎 チェーン店 ★★ わりといける  
グレートインディア チェーン店 ★★★ わりとうまい メニュー豊富
ココ壱番屋 チェーン店 ★★★ わりとうまい メニュー豊富
C&C チェーン店 食えないこともない  
サンマルコ チェーン店 ★★★ わりとうまい 関西・中部
なか卯 チェーン店 ★★ わりといける  
松屋 チェーン店 食えないこともない 味噌汁つき
吉野家 チェーン店 まずい  
リトルスプーン チェーン店 食えないこともない  
         
田毎(そば屋) 秋葉原 ★★ わりといける JR秋葉原6番線
ホームメイドカレー 秋葉原 ★★ わりといける JR秋葉原電気街口
キッチン南海 神田神保町 ★★★★ 癖になる 黒カレー
スマトラカレー共栄堂 神田神保町 ★★★★ 癖になる 黒カレー、スープつき


 ココ壱番屋のポークカレーはわりと“家庭ふう”ですが、必ず一皿分ずつ、直火で加熱するという姿勢がいいです。レトルトだって開封して直火で加熱した方が美味いです。「田毎」は普通の駅そばですが、案外そうした穴場に“いける”カレーが隠れてたりします。キッチン南海、共栄堂は評価高いです。

 ちなみに私はビンボなので、高級店は含まれておりません。また、味覚はあくまで個人の嗜好によるものなので、こんなの食ってんのかよと言われても仕方ありません。小麦粉バンバンのカレーも大好きです。また、冷たい(生ぬるい)カレーを出すお店は許せません。


7月27日(木) 欧風カレー¥900

 東中野商店街、いつも通り過ぎるだけで1度も入ったことのないカレー屋さんがありました。欧風カレーと銘打ったそのお店、情報誌にも掲載されたらしくコピーが店頭に飾られています。今日はこの店のカレーを試してみました。

 プレーンカレーは¥800ですが、これは肉が入っていないということ?ビーフカレーが¥900なのでそれを注文。厨房に2つの保温機があり、肉とソースが分けられていました。それを合わせるだけ・・・あまり熱くないんですけど。

 ご飯には最初からチーズがトッピングされていました。チーズの嫌いな人はどうするの?さて、特大の角切りが入ったカレーはありがたいんですが、ソースが甘いかな・・・いや普通かな。高級レストランのカレーみたい。

 付け合わせにじゃがバター。これは既に茹でてあるじゃがいもをレンジでチンしておりました・・・美味いはずがない。セルフサービスでコーヒーはお代わり自由。こうした特長が雑誌取材に向いていたのでしょう。

 コンサートやホテルに招かれたとき、外出する時間がなくて館内のレストランで食事することがあります。値段が高いので、いちばん安いカレーライスやミート・スパゲティ。そんなに美味いと思ったことはない。当たり前ですよね。缶詰を開けて盛っているだけなのですから。

 本当に美味いカレーというのは、食べ終わった後に、「ああ、もう終わっちゃった、もう少し食べたいな・・・」と思うこと。スプーンでソースを掻き寄せてきれいに食べること。少なくともこのお店にはそれが感じられませんでした。

 玉葱は炒めれば炒めるほど甘くなりますが、同時に酸味が増してきます。大量に作り置きして、保温機に長く寝かせてしまったカレーも酸っぱくなります。煮込めば煮込むほど美味くなる、というのはある程度当たっていますが、リミットを過ぎれば意味がありません。


7月26日(水) 『サンダーバード』

 BIGLOBEストリームで、『サンダーバード』の期間限定無料配信が始まりました。もちろん観ますとも、観ますともさっ!以前NHKで放送されてはいましたが、決められた時間にしか観れないというのはやはり難しいものなのです。ストリーミング万歳!

 第1回から第3回までを通して観てみました。現代にもじゅうぶん通用するというのは、ディティールをきちんと描いているからです。完璧主義ですよ!カタパルトの煤け具合までリアルですが、ここまで徹底したのは後世、『STAR WARS』まで途絶えていました。

 配信は日本語吹き替えですが、ところどころ字幕に変わるところがあります。これはテレビ放送時にカットされた部分を復元しているからでしょう。さらに気づいたのは、エンドタイトルのテーマ曲が第1回と、第2回以降でアレンジが異なっていることです。さっそく録音してチェック。


7月25日(火) スマトラカレー共栄堂

 仕事で神保町に出てきました。何年ぶりかで、
スマトラカレー共栄堂へ行ってみます。昨日、友人とカレーの話をしていたら、思い出してしまったのです。ポークカレー(¥800)を注文。

 ひょえ〜、美味しかったです。癖になりそう、とはまさにこのことでしょう。スープが付いてくることを忘れていました。肉のうまみが強烈です。スープだけでもライス1枚は食べられそう。(本当に!)

 美味しいものを食べた後というのは、えもいわれぬ幸福感に包まれます。中古レコード店を覗きながら、この日は本郷へと向かいました。¥100の中古レコードを1枚購入。


7月24日(月) 人間観察

 お昼過ぎに神保町のドトールで一服。私の席の隣に20代後半とおぼしき若い男が2人、向き合って座っておりました。雰囲気としては大学時代の先輩・後輩っぽい。

 先輩=紺の縦縞のスーツを着、ピカピカの革靴を履いています。
 後輩=半袖ワイシャツに紐タイ。安物だが履きごごちのよさそうな靴。

 先輩は後輩に、「今の仕事ぶりはどうだ」と訊いています。後輩、「そうっすねえ」みたいな感じでお茶をにごしている。そうこうしているうちにだんだんと先輩の語気が荒くなってきました。

 どうも後輩に、「ウチの会社に来ないか」と促しているような雰囲気。後輩、今の仕事にだいたい満足してて動きたくなさそうな気配。

 先輩:「お前、○○が今、どうしてるか知ってんの?結局、会社辞めて実家帰って、親に食わしてもらってんだぞ・・・。もっぺんだけ言うぞ、本当に自分がこのままでいいと思ってんのか?」
 後輩:「俺はこれでいいと思ってる。」

 先輩:「そうか、じゃあがんばれな!?」(嫌がらせ口調)

 自分も経験ありますが、波に乗ってる時の人間って、天狗になっちゃうんですよね。明日のことなんか分かるはずないじゃないですか。何より、紺の縦縞のスーツ=勝ち組エリート?というファッションに笑ってしまいました。おまけにここはドトールじゃっ!(笑)


7月23日(日) 『汚名』

 『汚名』(NOTORIOUS)イングリッド・バーグマン、ケイリー・グラント、クロード・レインズ、ルイス・カルハーン出演、アルフレッド・ヒッチコック監督。(1946年アメリカ/1時間41分)

 BIGLOBEストリームで観ようと思いました。が、3メガストリームにしては画像がよくなく、音声も聴き取りにくいのです。走査線が丸見え・・・ビデオ録画から変換したっぽい。Yahoo!動画にも同じプログラムがあるので切り替えました。1.5メガとビットレートは落ちますが、走査線は見えない。字幕がくっきりと見やすく、音質は同じくらいですが、音量が大きめなので聴き取りやすいということで。

 気づいたことは、BIGLOBEで欠けていた冒頭約1秒が、Yahoo!には収録されていること。BIGLOBEは4:3のサイズだが、Yahoo!はヴィスタサイズにトリミングされており、若干、顔が平べったくなります。ソースが同じだとしたら、走査線を目立たなくすることもできますが・・・どうなんでしょう。字幕の翻訳は同じような感じがします。まあ、どちらも信頼おけるものとはいえませんが・・・。

 映画そのものは20年ぶりに再見しました。大学生の頃に観たような・・・もうストーリーは忘れちゃってます。深夜に放送してたので、母はおせち料理の仕込みをしながら最後まで観たようです。私は3倍速ビデオで録画して後日観たんですが、その時の情景だけが残っています。年末のことでした。前日は『ダイヤルMを廻せ』だったと記憶します。母はヒッチコックのサスペンスが好きなのです。

 久しぶりに観てストーリーを再確認・・・ああ、『M:I-2』って、この映画のパクリだったんだ。(ジョン・ウー監督もインスパイアされたと発言している。)『M:I-2』のようなアクションはありませんけどね。脚本は少々、説得力に欠けるかも知れないけれど、すべて女性の目線で統一されており、バーグマンの個性で押し切ってしまった。(さすが!)

 『M:I-2』ではタンディ・ニュートンがワースト助演女優賞にノミネート。ワースト・リメイク・続編賞にもノミネートされたのはこおいうわけだったのか。確かにヘタクソだったけど、もっと深い意味があったんだ。ひっくり返せば、この『汚名』がどれだけ後世に影響を与えてるかってことです。クロード・レインズも好演。グラントより光ってるかもしれない。


7月22日(土) 『ミッション:インポッシブル』

 テレビで映画『ミッション:インポッシブル』(MISSION: IMPOSSIBLE)を観ました。現在、『M:i:III』が公開中なので、その宣伝を兼ねてということなのでしょう。トム・クルーズ、ジョン・ヴォイト、エマニュエル・ベアール、ヘンリー・ツェーニー、ジャン・レノ、ヴィング・レイムス、クリスティン・スコット・トーマス、ヴァネッサ・レッドグレーヴ出演、ブライアン・デ・パルマ監督、ダニー・エルフマン音楽。(1996年アメリカ/1時間50分)

 映画館通いをする前、普通にデートで観に行った映画でした。リアルタイムで観ています。その時はストーリーが複雑で、よく分からなく思えました。映画館の画像が暗いのと、イーサン・ハントの頭の中で描いている事象が、実際に映像で再現されるからでしょう。改めて観て確認した次第。

 テレビシリーズの『スパイ大作戦』は音楽と、冒頭のアニメーションしか知りません。もっともテレビシリーズとは全然違うみたいです。というわけで、次の『M:I-2』はもっとはちゃけた娯楽作品になりました。面白いけど2度観たいとは思わなかったですね。この映画化第1作も今観てみると何だかなあ・・・と。

 音楽を担当したダニー・エルフマンだけが、ラロ・シフリンのテーマ曲に理解を示していました。実に雰囲気豊かに演奏していたのです。特徴的な5拍子のこの曲も、次の『M:I-2』では4拍子に編曲されてしまいました。しかもヘヴィメタ。だんだんダメになっていくような気がして『M:i:III』はどうだかなあ?と不安。

 話を戻しますと、この映画制作当時はまだWindows95もなかった時代です。データの受け渡しはフロッピーディスク。インターネットは56Kアナログモデムなのです。コンピューターがお粗末な割に、CIAのセキュリティ・システムはおそろしくハイテクであります。データ転送で時間がかかってるのに。

 ラストシーンで赤いヘリコプターが一瞬、モロバレのCGで映る箇所があります。1996年ですからね。トム・クルーズは若いです。今の彼は何だか、科学の力で容貌を維持してる感じがします。『M:i:〜』も6作目になると、『MI6』(イギリス情報局秘密情報部)になってしまいますが、そこんとこはどうなんでしょうか?


7月21日(金) 『風林火山』

 勉強と愉しみを兼ね、来年のNHK大河ドラマの原作本、井上 靖の『風林火山』を買ってきて読んでます。吉川英治『宮本武蔵』は8巻でしたが、これは薄手の文庫本1冊。文字も大きいのですぐに読めちゃうでしょう。

 半分まで読んだところでの感想。映画『風林火山』(1969年/三船敏郎 主演、稲垣 浩 監督)は原作に忠実だってこと。Yさんいわく、「歴史ものはほとんど脚本で決まるからね」という・・・で調べてみた。

 橋本 忍、国弘威雄ということになっていました。おお、黒澤作品をはじめ、有名な作品が怒涛のように検索されます。インターネットって便利ですね。図書館で調べたってこんなわけにはいきません。


7月20日(木) 『マルクス兄弟 オペラは踊る』

 原稿の叩き台が上がったので届けに行きました。ついでにYahoo!動画のクラシック映画『マルクス兄弟 オペラは踊る』(A NIGHT AT THE OPERA)を鑑賞。グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、キティ・カーライル、アラン・ジョーンズ、ウォルター・ウォルフ・キング、マーガレット・デュモント、ジークフリード・ルーマン出演、サム・ウッド監督。(1935年アメリカ/1時間31分)

 インターネットを調べていて気づいたのですが、日本公開時のタイトルは『オペラは踊る』です。有名な映画『会議は踊る』(1931年)をもじったのでしょう。ドタバタ・ナンセンスの映画としてはぴったり!それをYahoo!動画では『オペラの夜』と直訳にしてしまいました。パブリック・ドメインとはいえ、センスを疑いますねえ。しかもYahoo!のページには出演者も監督も何にも情報がないのですから。

 映画は古いなあと感じさせる部分もありますが、面白かったです。ドリフターズのドタバタや、ジム・キャリーの毒舌トークはここにルーツがあったのかと。MGMの『ザッツ・エンタテインメント』(何作目か忘れた)でも紹介されていましたが、ミュージカルな要素を取り入れてチグハグに終わったような感もあります。監督は『誰がために鐘は鳴る』のサム・ウッドですが、こうした喜劇のほうが合ってますよね。


7月19日(水) ¥100で聴くバッハ(2)

 同じシリーズでもう1枚所蔵しているレコードを引っぱり出してきました。バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調BWV.1067、第3番ニ長調BWV.1068 ユーディ・メニューヒン指揮バース音楽祭管弦楽団/エレーヌ・シェッファー(フルート)(東芝EMI セラフィム名曲シリーズ AA-5036)

 現代の古楽器演奏ばかり(この文字並びは不可解)を聴かされるのは窮屈です。バッハの時代は、今そこにある楽器で間に合わせてしまうのが常でしたから、現代人ならモダン楽器で演奏すべきだと思うのです。エレーヌ・シェッファーの14Kフルートは美しい。木製の復元楽器よりもずっと。


7月18日(火) ¥100で聴くバッハ(1)

 ¥100で購入した中古レコードを聴いています。バッハ:音楽の捧げ物BWV.1079(ボイリング版) ユーディ・メニューヒン(ヴァイオリンと指揮)/バース音楽祭室内管弦楽団/エレーヌ・シェッファー(フルート)/アーチー・キャムデン(ファゴット)/キンロック・アンダーソン(チェンバロ)(東芝EMI セラフィム名曲シリーズ AA-5095)

 何も加えず、何も引かず。もちろんモダン楽器での演奏。“音楽を合わせる”という作業の中から、自然にインスピレーションが湧き上がってきます。楽譜編纂者のネヴィル・ボイリングは英EMIのレコーディング・エンジニアでもありました。この版の初演はバース音楽祭における同じメンバー。次いで録音を、という運びは幸運でした。


7月17日(月) 偏頭痛が治らない

 偏頭痛が治らないのですが、お仕事も進めなければなりません。三連休最終日(海の日)もお昼過ぎまで寝ていましたが、とりあえず起きだしてボツボツやり始めます。いちおう〆切は20日と約束していましたから。

 食欲がないので昨日はほとんど食べてませんでした。とりあえず何か口にせねばというので、のり弁当を買ってきて、ドラフトワンで流し込みます。食欲を促してくれるという意味で、酒は百薬の長であります。

 頭は痛むのですが、休み中、寝るだけ寝たので冴えています。というかこれ以上は寝られない。さあがんばるぞ、と自分に気合を入れます。20日までシャカリキにがんばって入稿しよう!


7月16日(日) 交響曲への誘い

 先日、中古LPレコード¥100均一で購入したものの1枚。東芝EMI AA-8117(定価¥2,000)。静電気防止のために開発された赤い半透明のLPレコードでした。

@ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 第1楽章
Aモーツァルト:交響曲第40番 第1楽章
Bシューベルト:交響曲第8番「未完成」 第1楽章
Cメンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」 第4楽章
Dモーツァルト:セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 第1楽章
Eベートーヴェン:交響曲第6番「田園」 第1楽章
Fドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 第2楽章
Gチャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」 第3楽章

 演奏はアンドレ・クリュイタンス指揮のウィーンフィルハーモニー管弦楽団。もっともB「未完成」はクーベリックの指揮。E「田園」はフルトヴェングラーの指揮・・・これは有名なスタジオ録音からの抜粋、が収録されています。

 既製録音から聴き所を切り張りしたのではなく、最初から、クリュイタンスの企画盤として商品化されたものです。オリジナルでは下記の2曲がカップリングされていたのですが、日本で発売される際に、差し替えられたようです。

 チャイコフスキー:交響曲第4番 第3楽章
 ベートーヴェン:交響曲第8番 第2楽章

 まあ、当時の日本でのクラシック普及度を考えれば、「未完成」・「田園」を収録した方が親切だったとは思います。LPレコードはたいへん高価なもの。ひと月に1枚か2枚購入できれば優雅なものだったでしょう。

 クリュインタンスは後に、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団とベートーヴェンの交響曲全集を完成させます。しかし結局、それ以外の全曲録音を遺していないのです。ここで聴く、「運命」第1楽章は全集とまったく違った柔軟性と奥行きを感じさせます。ウィーンフィルがいいんです。その他の演奏も、楽章単位で考えたら、同曲中のベストなんじゃないの?と思えてしまうくらい立派なできばえ。ドヴォルザークやチャイコフスキーの全曲も聴きたかったなあ。


7月15日(土) 展覧会の絵

 Mさんから、醍醐イサムさんの個展が新宿紀伊国屋ギャラリーで始まったと連絡をいただきました。以前にもMさん事務所で何度か一緒にお酒を呑み、親しくお話をさせていただいたので、芋焼酎(リーズナブルな銘柄)を下げて伺いました。もう夕方だったのですが、この日は午後に激しい夕立ちがあって、蒸し暑いの何の。

 会場は冷房が効いていて涼しかったのでした。(もう動きたくない。)Mさんは先に着いていて、既に酒盛りが始まっております。私はお酒呑みの前にぐるりと絵を拝見させていただきます。醍醐さんの絵を見たことがある人は分かると思いますが、墨一色で描かれた抽象画(表現が不適切ですみません)です。

 黒と白の濃淡の世界に、驚くべき質感が備わっていて、女の柔肌を感じさせるもの、砂浜に転がっている流木、激しく尖って爆発しそうな感じ、煮込んでトロトロになった白身の魚、イソギンチャクのような軟体動物、等々。見る人によって印象も異なるでしょうが、どの絵にも漲るパワーが感じられます。

 Mさんが、「この会場にBGMはないの?」と素朴な質問。音楽にも造詣の深い醍醐さんは、かつて何度か実験を試みているそうですが、ある時期から会場のBGMはやめてしまったそうです。さて、この絵画にはどんな音楽がピッタリくるのか?ムソルグスキーじゃないけど、手ごわいですね。


7月14日(金) ローソンストア100

 歯科医院の帰りに、
ローソンストア100へ寄り道。ひとつ発見したのは酒類を置くようになったこと。(¥100以外の商品もあります。)これはありがたい!ドラフトワンはスーパー並の価格だし、¥100の缶チューハイ、紙パックの鬼ころし(日本酒)だってあります。

 キャンドゥの食品は乾物中心で、大型店でもパン類と冷凍食品のみ。ショップ99には生鮮食料品もありますが、酒類は置いていません。ローソンストア100にはかなわないというわけ。それにしても小さなお店なのにうまく回転させているな・・・と感心しました。

 店舗によって違うと思いますが、ウチの近所のショップ99は、従業員の教育もできておりません。祭日ともなれば、売れ残り¥50引きのおにぎりがごっそり出てきます。安く買えるのはいいんだけど、仕入れコントロールはまったくできていないといえましょう。


7月13日(木) 『スカイハイ』(劇場版)

 パソコンテレビGyaOにて、映画『スカイハイ』(劇場版)を観ました。釈由美子、谷原章介、大沢たかお、戸田菜穂、田口浩正、岡本 綾、山田麻衣子 出演、北村龍平 監督。(2003年東映/2時間3分)
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 私は原作のマンガも、テレビシリーズも知らないので、「3年前に話題になった作品て、どんなんかな〜」と好奇心だけで観てみました。う〜ん、正直いって何が面白いのかさっぱり分かりません。キレーなおねーさんがたくさん出てきて、バトルを繰り広げるので眼の保養にはなりましたが。

 あ、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)も北村龍平 監督でしたか。怪獣映画なのにワイヤーアクションの方が長かったですな。菊川 怜と水野真紀がキレーなおみ足で登場してました。つまるところ同工異曲なのであります。アクションと女で構造が成り立っているのか、と。


7月12日(水) J-POP、メジャーとインディーズ

 IPラジオの部屋Uに掲載したJ-POPのラジオ、かなりリンク切れしております。LIVE365に新しく登録されたJ-POPラジオのリンクを引いてこようと、いろいろリスニングして吟味してはいるのですが。

 インディーズJ-POPだけのラジオというのもありまして、メジャーデビューしてないのだから、個人で交渉すればインターネットに乗せられるわけです。1時間ほど試聴してみましたが、これはいただけません、と判断。

 インディーズJ-POP、何がダメなのか?いや別にメジャーがいいとか、インディーズがダメとかいうんじゃないんです。ダメなインディーズはハッキリ理由があってダメなのです。

 ダメなインディーズJ-POP、共通する特徴。

@前奏がやたらと長い。頭4小節ないし8小節後にはヴォーカルが出てこないと。前奏を長くしたい場合は変化を持たせて、ヴォーカルが引き立つよう工夫しなければならない。

Aリフレイン(繰り返し)がやたらと多い。時間の水増しです。典型的なのは4小節のパターンを2回ずつ(8小節)繰り返しながら進行していく。アレンジを変えるとか、少しは工夫しろよ。

B単調な曲想・リズムが長く続くので飽きてくる。楽曲は3〜5分。その短い時間にどれだけ変化・工夫を凝らすことができるか重要なのに。間奏部分だけでも、ドラムの打ち方変えてみましょう。

Cヴォーカルの声が張れてない。鼻歌のようなふにゃふにゃの声で歌わないで。ヴォイス・トレーニングはどうしたあ?声域も極端に狭い。声を張る部分、抜く部分、メリハリを付けて。

 以上、基本的なことに留意していなければ、いくら練習しても上達しません。上手くなる人というのは、ひとつの(と同時にいくつもの)イメージを達成すると、またその先のイメージを描くことができる人です。


7月11日(火) 偏頭痛がっ!

 美容院へ行くためにシャンプーしておりました。昨今、ひどい偏頭痛に悩まされているのですが、左後頭部、ヘアブラシを当てただけで痛みを感じるのです。触ると痛い頭痛というのはどんな病気なんだろう。

 肩凝りか、歯の痛みに起因するとも考えられますが、仕事にも手が付けられないので、サロンパス貼って、頭痛薬飲んで寝ます。原因不明の偏頭痛はこの後、かなり長引くことになるのでした。


7月10日(月) 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』

 深夜のテレビから録画した映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(HEDWIG AND THE ANGRY INCH)を観ました。ジョン・キャメロン・ミッチェル、マイケル・ピット、ミリアム・ショア、スティーヴン・トラスク出演、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督、スティーヴン・トラスク音楽。(2001年アメリカ/1時間32分)
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 オカマのロックスターが主人公なんて、おバカ映画(いい意味で)だろうと想像していたら、エキセントリックではあるけれど、魂の叫びを歌ったロック・ミュージカルでした。可笑しくも哀しい、性転換手術で女になろうとしたけれど、怒りの“1インチ”が残ってしまった。あなたならどうする?

 まず、音楽がすごくいい。男なのに女として男を愛したい、そんな気持ちを、神話の世界になぞらえた歌詞が秀逸で、スクリーンいっぱいに拡がる、アメーバのようなアニメーションがまたいい。ここにはねじ曲がった、世間から疎まれる者たちにも立派な存在意義があると問うています。

 いつか観た『ハードロック・ハイジャック』(1994年)などは単純なドタバタ・コメディーで、音楽の中身はちゃらんぽらんでした。しかしここまで音楽に説得力のある映画も少ないでしょう。ふだん、クラシックしか聴かない私がこう言うんだから、騙されたと思っていっぺん観てみてちょ!


7月9日(日) 『ランダム・ハーツ』

 テレビから録画した映画『ランダム・ハーツ』(RANDOM HEARTS)を観ました。ハリソン・フォード、クリスティン・スコット・トーマス、チャールズ・S・ダットン、ボニー・ハント出演、シドニー・ポラック監督、デイヴ・グルーシン音楽。(1999年アメリカ/2時間12分)

 アクション・シーンのないハリソン・フォードなんて?と思われる方は別として、私はこの間、韓国映画『四月の雪』(2005年、ペ・ヨンジュン、ソン・イェジン主演)を観たばかり。そうか、『ランダム・ハーツ』が元ネタだったのか、と納得しました。ストーリーはかなり変えてあるので、別の映画と納得することもできますが、『ランダム・ハーツ』の方が明らかに出来はいいですね。

 2組の夫婦が飛行機事故でそれぞれの夫、妻を亡くす。でも実はその2人、不倫旅行に出かけるところであった。韓国版は自動車事故で、死にはしないが重症を負う。連れ合いを介護しながらそれぞれの男女が愛し合うようになり、女の夫は死亡、男の妻は息を吹き返す、といった具合。

 ペ・ヨンジュン&ソン・イェジンは美男美女で子供もいない。ハリソン・フォード&クリスティンも美男美女だが、熟年ともいうべきお年頃だから、女の方には高校生の娘がいる。男は刑事で捜査中の事件があり、女の方は下院議員の選挙活動中、という複雑なシチュエーションになっていました。ロマンスを楽しんでいる場合じゃないんですけどね。

 結果、さまざまな障害を乗り越えて、将来、結ばれるであろう兆しを見せたハリウッド版。バックに流れるジャジーな音楽もセンス良く、大人の恋愛を描いたものです。儒教の国・韓国では、人目を忍んで不倫に精出す、「悪しきことかな甘い蜜」の誘惑ですね。文化の違いがはっきり出てるけど、ストーリーの読めてしまう韓国版はどうかと。


7月8日(土) 『サイレン』

 テレビから録画した韓国映画『サイレン』(SIREN)を観ました。シン・ヒョンジュン、チョン・ジュノ、チャン・ジニョン出演、カン・ハニョン監督。(2000年韓国/1時間36分)

 ハリウッド映画『バックドラフト』(1991年)は観ていないが、韓国映画『リベラ・メ』(2000年)は観ました。火災・消防士ものとしては同年の製作じゃないですか?残念ながら『リベラ・メ』のようなサイコ・ミステリーでもなく、男の友情を描いたにしても説得力は弱いです。

 『リベラ・メ』では生き物のように動く炎が見せ所です。『サイレン』もそこそこ見せようとしてはいるが、いかんせん火災のシーンが短すぎます。主人公とライバルの持つトラウマも、ほんの一瞬の回想でしか見せない。脚本・演出の拙さがモロに出てしまいました。

 シン・ヒョンジュンもチョン・ジュノも演技には定評あるし、チャン・ジニョンもキュートでヒロインにはもってこい。しかし韓国映画お得意のメロドラマとしては、ちょっと底が浅いなと感じてしまいます。惜しい、この面子ならもっといい映画ができたハズなのになあ!


7月7日(金) 映画『夏音−caonne』完成披露試写会

 『夏音−caonne』 杉山彩乃、三浦アキフミ、吉岡美穂、北条隆博、大河、里中あや、IZAM、鈴木蘭々、いとうまい子、加勢大周 出演、IZAM 監督、伊藤ひさ子 音楽。(2006年日本)
公式ホームページ 『夏音』応援ブログ

 友人が試写会招待状を譲ってくれたので、観に行ってまいりました。お目当ての吉岡美穂さんは、今回の舞台挨拶に来られなかったんですけどね。永田町にある憲政記念会館ですが、道々、警官のたくさんいること。テポドン騒動で国会議事堂周辺はものものしい雰囲気でした。

 映画甲子園2006、つまり高校生の映画コンクールです。この映画は催しのシンボル映画として製作されました。舞台挨拶でのIZAMですが、もう女装メイクはしておりません。ひょろ長い普通のおじさんです。でも8cmくらいの上げ底靴を履いていました。さすがロケンローラ。

 生で見る加勢大周はさすがに男前でした。でも3〜4cmの上げ底靴を履いていました。身長183cm(公称)もあるのになぜ?ぷぷぷ。まあそれはさておき、吉岡美穂さんの出番はあまり多くなかったです。モエモエ美女先生といったコミカルな役どころで、鼻血ブーのカメラアングルが多かったような?

 同じワンエイトプロモーション所属でも、里中あやさんの方が出番が多かったです。主役らと一緒に行動する高校生役でしたから。自傷癖のあるヲタク高校生で表情に乏しい。演技じゃなく、ほとんど地でいってしまった感もあります。ラッキーといえばかなりラッキーかもしれない。

 さて、IZAMの演出についてですが、芸能人監督だからといって、そう悪く考えるものではないです。映画は力強く、中途半端なハリウッド映画より見応えがありました。低予算ですが、高校生たち(実年齢は大人かもしれない)のはじけた演技は、それを補って余りあるのです。

 また、演出やカメラワーク等、いかにも素人っぽい部分も散見されましたが、それが逆に意外な効果を生んでいたことも特筆されましょう。フィーリングとしては、O林宣彦監督作品に近いものを感じますが、既にそれを超えちゃってます。押し付け「少年少女」より、IZAMの方がより高校生たちに身近なのです。

 O林監督は展開に行きづまると、SFX(特殊効果)でうやむやにしてしまうけど、この映画は低予算ということも手伝って、ごまかしがききません。むしろ、これでもか!と荒々しく怒りをぶつけるのでした。試写会場は音響設備がよくなく、台詞がよく聴き取れませんでした。劇場でもう1度観てみたいです。


7月6日(木) 『儀式』

 パソコンテレビGyaOにて、映画『儀式』を観ました。河原崎建三、中村敦夫、賀来敦子、土屋 清、佐藤 慶、小山明子、乙羽信子 出演、大島 渚 監督、武満 徹 音楽。(1971年日本/2時間3分)

 “家”というものが重くのしかかっていた、60〜70年代の日本の風景ですな。結婚式やお葬式、そういう時にだけ顔を合わせる“ただの親戚の人”と笑っていえるようになったのは、21世紀・・・ほんの最近になってからのような気がします。(すべての家が、とはいいませんよ。)

 法ではそう定められていなくとも、長男=跡取りという図式はいまだ崩れていない。父親のエゴは絶対であり、それに逆らうことはご法度。日本の文化は“恥”の文化であります。そんなことをしたら世間の笑いものにされる、と頑なに信じてきたのですから。何とまあ閉塞的なことか。

 時代は変わりつつあります。今の若い人たちが観たら、何を言ってるのか、さっぱり分からないでしょう。結婚式やお葬式で親戚の人に会ったら、遠慮なく昔の話をきいてみましょう。わははは、そんなことがあったんだ。信じられないよね〜、と時代の変革を噛みしめて。


7月5日(水) 『忍者武芸帳』

 パソコンテレビGyaOにて、映画『忍者武芸帳』を観ました。白土三平 作画、戸浦六宏、山本 圭、小山明子、佐藤 慶、松本典子、福田善之、露口 茂、渡辺文雄、小松方正、小沢昭一 声の出演、大島 渚 監督、林 光 音楽。(1967年日本/1時間57分(2時間12分のデータもある))

 アニメではなく、白土三平の原画をそのまま、モノクロでクローズアップ。電気紙芝居といった方がいいかもしれない。もちろんスクリーン・トーンなどない昔のマンガだから、タッチはおそろしく粗々しい。しかし、観る者にイマジネーションを与えてくれるんですね。真の画力とは精密さと関係ないんです。

 役者さんが揃っていて、声にも迫力があります。何より、農民の視点で捉えた戦国の裏歴史というのがいい。私たちが教科書で学んだ歴史というのは、侍(権力者)の目で捉えただけのものなのだから。織田信長、明智光秀といった実在の人物とフィクションを織り交ぜ、リアルなストーリーを展開。

 フィクションといっても、よく研究されており、これが史実じゃないの?と思えるほど。まあ、一般的な“表”の歴史だって、八割以上はフィクションなんですから。農民の世の中を、武力で制しようとする信長。新陰流の祖、上泉信綱のエピソードまで出てくる。天下平定っていったい何なのさ?

 この作品、現代のアニメを観慣れた若い人たちには受け入れにくいらしい。まあ、今のアニメは流れていく絵をそのまんま眺めていればいいだけのことだから。ここで用いられている原画には、鉛筆の下書き線、修正跡まで生々しく見える。印刷された絵では得られない独特の雰囲気を放っています。


7月4日(火) LPレコードの整理

 先週、神保町に立ち寄ったとき、裏通りに中古レコード店を発見しました。不思議なことに店の前にバンが駐車してあり、店舗に置ききれない¥100レコードのセールを行っているのです。後部ハッチに身体を乗り入れ、一所懸命宝物探し。合計11枚のレコードをげっとしました。

 今日はジャケットの黴取り作業と、クリーニング。外袋を新品に交換しました。(内袋は既に交換済みでした。丁寧な中古店です。)作業しながら聴いた2枚のレコードをご紹介。

<東芝EMI セラフィム名曲シリーズ>
 AA-5007 チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」 コンスタンティン・シルヴェストリ指揮フィルハーモニア管弦楽団

 AA-5037 J.シュトラウス:ワルツ集(「ウィーンの森の物語」/皇帝円舞曲/「美しく青きドナウ」/「酒、女、歌」/「芸術家の生涯」) マルコム・サージェント指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

 シルヴェストリは鈍重なテンポで、あちこちに小ネタを効かせながらの演奏。こおいうスタイルは、チャイコフスキーなら許せるけど、古典派音楽にはそぐわないだろうな?いやいや実はチャイコフスキー、ストレートに流したほうがいいと思う。タイプとしてはストコフスキーに近いだろうか?

 フィルハーモニア管弦楽団はさすがに上手い。しかし「悲愴」といえば、ほとんど同時期(ステレオ初期)にカラヤンやジュリーニとも録音しているのです。そう考えるとシルヴェストリ、自分の個性を打ち出すためにずいぶん無理なことをやってしまったのだろうか?果たしてその成果は?

 J.シュトラウスのワルツといえば、ウィーン・フィルの演奏がスタンダード。カラヤンがフィルハーモニア管弦楽団と録音した演奏もそうだけど、英国は楽譜のアレンジが違うんですよね。サージェント指揮ロイヤルフィルもしかり。テンポもフレージングもウィーン風じゃないけれど、コンサートスタイルの堂々とした演奏。

 本場ものでなくとも、他国の指揮者&オーケストラが演奏すると、またちょっと違った音楽に聴こえて愉しめたりします。(カラヤンはオーストリア生まれでしたね。)もちろんセンスが良くなければダメですよ。J.シュトラウスのエルガー風といえば適切でしょうか?お気に入りに登録されました。


7月3日(月) 『ブラック・ダイヤモンド』

 HDDレコーダーの容量が満タンになってしまった!録画した映画を観て、消化していかなければなりません。この日はジェット・リー主演、『ブラック・ダイヤモンド』を観ました。

 『ブラック・ダイヤモンド』(CRADLE 2 THE GRAVE)ジェット・リー、DMX、マーク・ダカスコス、アンソニー・アンダーソン、ガブリエル・ユニオン、トム・アーノルド、ケリー・ヒュー出演、アンジェイ・バートコウィアク監督。(2003年アメリカ/1時間41分)

 うううむ、ハッキリ言って何が面白いのかさっぱり分かりません。その謎を考えていくと、誰が主役なのかハッキリしないということ。ジェット・リーは台湾の捜査官という設定ですが、それ以上の掘り下げがない。つまり誰の視点で話が展開しているのか、判然としないのです。

 誘拐されたDMXの娘を救出に向かう・・・終盤辺りから、ようやく動きに一貫性が見えた感じ。当たり前のことですが、登場人物に感情移入ができません。ただ豪華にアクション振りかざしてりゃ、いいってもんじゃないです。確かに物量は惜しみなく投入してますよ。

 『キス・オブ・ザ・ドラゴン』(2001年)のように、筋書きを練りこんで、泣かせるところあり、笑えるところあり、思わず「ガンバレ!」と叫びたくなったり、緩急を際立たせなくては。いくつものアクションを並行させ、ノン・ストップ&ハイ・スピードを謳ったところでどうにもならないのです。


7月2日(日) 小さな上映会

 谷根千工房で行われた、映画保存協会・小さな上映会(番外篇)に参加しました。DVD上映ということで、小さなテーブルを囲み、21インチのモニターテレビを使用。

 『ラ・シオタ駅への列車の到着』(1895年)リュミエール兄弟(14秒)
 『列車大強盗』(1906年)
 『テディ・ベア』(1907年)エジソン社 E.S.ポーター監督(13分)
 『ヘレンの冒険 エピソード26 ワイルドエンジン』(1915年)J.P.マクゴーワン監督(14分)

 映画を発明したのはエジソンなんだけど、覗きからくりでしかなかったフィルムを、スクリーンに映したのはリュミエール兄弟が最初。エジソンのは今でいう“ビデオ”であって、どうも彼は時代を先取りしすぎていたとも考えられます。ともあれ、劇映画の始祖と呼ばれるD.W.グリフィス以前にも、こんな作品があったのかという貴重なフィルムばかり。

 『ラ・シオタ駅』などはたった14秒だから、今のCMくらいの長さしかない。駅のホームに汽車が入線してくる、人々が列車から降り、また乗り込む人たち・・・といえば、ストーリーなんて無いに等しいようなものなんだけど、当時としては“動くスライドショー”だったのかも。これが限界だったのですね。

 1906年の『列車大強盗』にはきちんと筋書きがある。それどころか、「強盗ってのはこういう手順でやるモノ」ということを広めてしまったのさ。情報なんて何もなかった時代なのだから、そりゃもう受けたに違いないでしょう。ところどころ、手描き彩色でパートカラーになってる箇所もある。驚き桃の木。

 劇場映画で出遅れたエジソンでしたが、商売人でもある彼は、『テディ・ベア』(熊の縫いぐるみ)製造会社とタイアップした映画を製作。のっけから、着ぐるみを着た三匹の熊が登場。特殊撮影じゃないですか、円谷プロもスターウォーズも真っ青だよ。100年早すぎたというのは本当かもしれない。

 映画の途中、覗き穴から見た幻想的なシーン。おもちゃの縫いぐるみが動き出します。1907年にしてストップモーション・アニメとは顎が外れました。しかも相当よく動きますし、そこそこ長さもあるんですよ。ストーリー自体は、親熊が猟師に撃たれ、子熊だけが助けられるという味気ないものですが。

 『ヘレンの冒険』は男勝りの電信技士・ヘレンが、暴走する汽車を追いかけて止めるという冒険活劇。現代ならば、『キューティーハニー』ってとこでしょうか?いつの時代も、元気のいい女性は人気者。何だかそういうことを考えたら、映画の本質って意外と変わらないものだな、って思いました。


7月1日(土) 本郷クラブ7月例会

 7月は映画上映と講話。いつもの区民センターではなく、シビックセンターの会議室で行われました。というのも、液晶プロジェクターが安価で借りられるからです。そしてまたデメリットも・・・プロジェクターが当日会場の、開場時間にならないと借りられない。これまでのように試運転ができないのです。

 ナントカ30分前に開けてもらい、セッティングを始めたもののトラブルが・・・。ノートパソコンのモニター出力が、プロジェクターに出力されない。初めて扱うメーカーのプロジェクターですから、パソコンの仕様・相性については未知数です。貸し出す側も簡易説明書しか用意してないし、調べようがありません。

 分厚い方の説明書がなければ分からないし、付属品はモニターケーブルだけ。パソコン側にはS-VIDEO端子も付いていたのですが、接続コードがありません。途方にくれて急遽、会場のDVDプレーヤーをレンタルすることとなりました。アナログ出力ならまず間違いないでしょう。

 開演時間を過ぎてしまいました・・・DVDプレーヤーが到着したのは10分後。映画学校の生徒さんが手伝ってくれて、スクリーンのピント合わせも終了。私はプロジェクターに触ったことがなかったので、本当に助かりました。機材が変更になったため、アンプ内臓スピーカーに繋ぐコードがなくなってしまった。

 緊急時にと用意した、みの虫クリップが登場。危なっかしくはありますが、DVDプレーヤー→ウォークマン→アンプ内臓スピーカーへの接続を確立。音量調整は、映画が始まってから・・・かなり音割れするけれど、会場の後ろまで聞こえる音量に調整。PA用機器ではなく、家庭用ではこれが限界でしょう。

 映画は『URINARA』(祖国)・・・母のまなざし、息子の声。河 真鮮(女性監督)による、日本映画学校第18期映像ジャーナル・ゼミ卒業制作作品。(2005年度作品/60分)

 河監督は8年前、2人の子供を連れて日本にやってきました。韓国では離婚女性に対する風評が厳しく、まともに職にありつくこともできないといいます。そして息子の安君は高校3年になったとき、韓国の徴兵にいかなければならないことを知りました。「日本で生活しているのに、韓国に徴兵にいかなければならないのはなぜ?」

 「どうして軍隊が必要なのだろう?」自分の悩みを確かめるため、彼は2週間の体験入隊を志願します。母親である河監督は、安君の日本の高校生活から、軍隊での体験の様子をカメラで追って行きました。韓国国防省から撮影許可をもらうのは、かなり困難だったようです。

 やがて「この映画を見て、日本人がどういう感想を持つのか知りたい」ということで許可が降りました。しかし、同行した日本人スタッフの態度が悪く、監督はしばしばブチ切れたそうです。価値観の違いというのでしょうか?何度、挫折しそうになったか分からないほど。

 意見はいろいろあるでしょうが、ひとことで言うと韓国の人は、徴兵制をネガティヴに考えていないということです。“実戦なき訓練”という平和も後ろ盾になっています。とはいえ、やはり訓練は厳しいです。誰も好んで自分からやりたいとは思わないでしょう。

 でも彼らは底抜けに明るい。体験入隊には女子もいますが、女の子のまた元気なこと!“食事は残すことが許されない、でも本当はクタクタで食欲なんかない。でもそんな時は代りに食べてくれる友達がいる。友達が食べられないときは、皆で食べてあげる。”

 “サバイバル訓練”とプラス思考で考えてみてはどうでしょう。彼らが軍隊で養った気力・体力・規律は、社会に出てから大きな財産となるはずです。「これ見たら、韓国にはニートの若者なんか出てこないと思う。」そう語った会員さんがいました。日本の“ゆとり教育”はニートの若者を育てたのだから。


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