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「市民ケーン」(バーナード・ハーマン映画音楽集)

1.THE MAN WHO KNEW TOO MUCH (知りすぎていた男)(1956)
2.CITIZEN KANE (市民ケーン)(1941)
3.ON DANGEROUS GROUND (危険な場所で)(1951)
4.NORTH BY NORTHWEST (北北西に進路をとれ)(1959)
5.THE SEVENTH VOYAGE OF SHINBAD (シンドバッド7回目の航海)(1958)
6.THE GHOST AND MRS. MUIR (幽霊と未亡人)(1947)
7.TORN CURTAIN (引き裂かれたカーテン)(1966)
8.THE TWILIGHT ZONE (トワイライト・ゾーンTVシリーズ)(1959)
9.MARNIE (マーニー 赤い恐怖)(1964)
10.THE SNOWS OF KILIMANJARO (キリマンジャロの雪)(1952)
11.CAPE FEAR (恐怖の岬)(1962)
12.JASON AND THE ARGONAUTS (アルゴ探検隊の大冒険)(1963)
13.THE NAKED AND THE DEAD (裸者と死者)(1958)
14.THE DAY THE EARTH STOOD STILL (地球の静止する日)(1951)
15.THE THREE WORLDS OF GULLIVER (ガリバーの大冒険)(1960)
16.OBSESSION (愛のメモリー)(1976)
17.PSYCHO (サイコ)(1960)
18.MYSTERIOUS ISLAND (SF巨大生物の島)(1961)
19.THE TROUBLE WITH HARRY (ハリーの災難)(1955)
20.VERTIGO (めまい)(1958)
21.TAXI DRIVER (タクシー・ドライバー)(1976)

ポール・ベイトマン&ニック・ライン指揮シティ・オヴ・プラハ・フィルハーモニック管弦楽団
SILVA CLASSICS (輸入CD 2枚組)
SSD 1093

 バーナード・ハーマンは、ヒッチコックの映画音楽を担当して、一躍有名になった作曲家です。ヒッチコックはご存知でしょう?スリラー映画の最高峰ですよね。(^^)そして、ヒッチコックの映像を2倍、3倍にも引き立ててくれるのが、バーナード・ハーマンの強烈な個性を持った音楽なのです。(^^)

 例えば、「サイコ」のストーリーの始め。出来心から会社の金を横領してしまった女性が、車を運転するシーンがあります。この段階では、まだ事件として発覚していません。画面に写るのは、不安な顔でハンドルを握る女性、車窓に開ける前方の道路、バック・ミラーに写る後方の自動車。やがて土砂降りの雨、ワイパーがしきりにフロント・ガラスを交差する・・・。何でもない描写であるはずなのに、音楽は激しく、絶えず不安を掻き立て、この後に待ち構えている恐ろしい悲劇を暗示するのです。結末は・・・機会があればご覧くださいませ。(^^;

 作風としては、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、バルトーク等のモダンな野性味と、耽美的なマーラーの旋律美といったところでしょうか?不気味な雰囲気を演出する、ブラスの重低音。緊張を強いられるシーンであるはずなのに、躍動感溢れるリズミックな音楽を被せたりと、昨今の映画音楽でよく使われる手法も、すべて彼が編み出したものなのです。

 バーナード・ハーマン自身は非社交的、人間嫌いで孤独な人だったようです。後年はヒッチコックとのコンビも解消してしまい、新しい時代の流れの中で、作風も大きく変化していきました。このアルバムに収録されている、「引き裂かれたカーテン」の暴力的な音楽は、実際のフィルムからはカットされてしまった貴重な再現です。遺作となった「タクシー・ドライバー」では、ジャズの手法を取り入れて、大きな変革を遂げますが、その音楽の美しいこと!(^^)

 このCDは輸入盤で、SILVA SCREENというレーベルから発売されている2枚組です。高くないかって?値段は1枚分なんですよ。(^^;演奏は、プラハ・シティ・フィルという東欧のオケですが、これがめっちゃ上手いんだなあ。(^^)雑誌にも紹介されていないし、批評家さえ知らない、ねも艦長オリジナルの推薦盤です。(^^)

(2000年9月10日)



   

「もののけ姫」(英語版)(PRINCESS MONONOKE)

オリジナル・サウンド・トラックCD
MILAN (輸入CD)
73138 35864−2

 「もののけ姫・英語版」のサウンド・トラック盤です。国内盤なら、もちろん徳間コミュニケーションズ発売ですが、輸入盤は、MILANレーベルの発売となります。ここで「もののけ姫」の歌を歌っているのは、米良美一ではありません。ソプラノ(女声)で歌われる英語版「もののけ姫」の何と美しいこと。(^^)

 「久石譲の音楽について」
 久石譲は「風の谷のナウシカ」からずっと、宮崎作品の映画音楽を担当してきました。これまで軽んじられてきたアニメーションの音楽を、壮大なフル・スコアで彩り、確固たる地位を築き上げてきたことに異論はありません。私も久石譲の音楽は好きです。ストーリーの要所に的確な音楽の配置。耽美なメロディ。どうして文句のつけようがあるでしょうか?

 ここにもう1人の自分がいます。作曲技法解析の第一人者、ねも艦長です。意地悪なねも艦長は、久石譲の音楽を分析してしまうのです。(^^;そう、「ナウシカ」から始まった久石譲の音楽は、模倣のオン・パレードだったのです。それは巧妙にも、ヴィラ=ロボスのピアノ曲であったり、YMO(坂本龍一)の初期の作品であったり、ラヴェルの「パヴァーヌ」の旋律をちょっと加工したりと、素人さんには分からないやり方ではあったのですが・・・。(^^;

 しかし本当にそれだけなら、このサウンド・トラック盤はお薦めできません。(^^)今回のストーリーは、古代の日本を舞台としているだけに、取り組み方がまるで違うのです。「純粋に日本的なものって何だろう?」と考えるとき、これまでにない、オリジナリティ溢れる音楽が生まれているのです。だから映像を離れて、音楽だけ聴いても、かなり楽しめてしまう。今までの作品とは、完成度が桁外れに違いますよ!(^^)

 惜しむらくは、ラスト・シーンの美しいピアノのメロディ。また悪い癖が出ています。これって、アンドレ・ギャニオンと違うんかい?(^^;そう感じる人は、私と同じ人種かも知れない。軽く聞き流してねっ!(^^;

(2000年9月10日)



   

「ワールド・ビート・バッハ」

リチャード・ストルツマン(クラリネット)
国内CD BMGファンハウス BVCF31047 ¥2427(税別)
輸入CD 09026 63554−2 (オープン・プライス)

曲目
1.「目覚めよと呼ぶ声がきこえ」(サンバ)
2.メヌエット(ボサノヴァ)
3.シチリアーノへの序奏(スペイン)
4.シチリアーノ(アフロ・キューバ)
5.「イエスよ我が喜び」(タンゴ)
6.「主よ人の望みよ喜びよ」(西アフリカ)
7.インヴェンション(フラメンコ)
8.フーガハ短調(カリプソ)
9.アヴェ・マリア(サンバ)
10.「羊は安らかに草をはみ」(ボレロ)
11.アリオーソ(ゴスペル)
12.プレリュードホ長調(西アフリカ)
13.クーラント(ジャズ)
14.G線上のアリア(ボサ・ノヴァ)

 バッハといえば、パーマネントの立派なかつらを被り、気難しそうな顔をした肖像画が、どこの学校の音楽室にも掛けられていたことでしょう?
 「バッハをボサノヴァで?」いや〜、これが実に合うんですよ。(^^)いいカンジにできあがってしまったこのアルバム。あらためてバッハの音楽の懐の深さを知らされます。優しいクラリネットの音色が心地よい1枚です。

(2000年9月10日)



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