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三丁目の夕日(骨董ラジオ)



最近、アナログ生活が高じて、「おとなの道楽」として状態の良い骨董品の「BCLラジオ」の収集を始めました。
そもそもは、30年前、BCL(海外放送聴取)が流行した際に、スカイセンサー5800と5900で海外放送を聞いていたことが発端です。
当時は、ラジオの黎明期で、それまで実用品としてしか存在しなかったラジオが、短波放送の受信性能を上げ、
当時の深夜放送ブームと併せ、若者向けの個性派ラジオとなった時代です。
英語の勉強になるという口実でラジオを親から買ってもらい、実はエッチな深夜放送を聴いていたという人も相当いると思います。
私もチョットエッチなTBSの「ラジオ漫画」が大好きでした。ぜひもう一度、野沢那智のラジオ漫画を聴きたいものです。
SONYスカイセンサー、ナショナルクーガ、三菱ジーガム、東芝サウンド750など個性的な愛称を付けた商品がたくさんある時代でした。

当時は、家電メーカーも、BCLラジオの販売促進のため、BCL番組の制作放送にも熱心でした。
TBSラジオで深夜0:45〜1:00までSONYの提供により放送されていた「BCLジョッキー」は富山敬のDJで、布団の中で聴いていた記憶があります。
この放送は1973年から1977年12月まで行われていたそうです。
また、日本短波放送(当時はラジオ日経ではなくNSBと言っていました)では、三菱電器提供「ハロージーガム」が18:15〜18:30に放送され
ドラえもんのスネ夫の声で有名な肝付兼太氏のDJで、毎日聴いていた記憶があります。1974年1月〜76年3月まで放送されていたそうです。
また、松下電器提供は「BCLワールドタムタム」を1975年12月〜1983年9月までNSBで毎週土曜日18:00〜18:30に放送していたようですが
曜日の関係からかあまり聴いたことはありません。いずれにしてもBCLブームは73年頃始まり78年頃収束した5年程度のブームであったようです。

BCLラジオの歴史は「周波数直読を達成する」歴史で、ラジオという機械の進化を楽しむことができます。

第1段階は短波放送の「受信領域の拡大」の段階です。
ブームに至るまで、短波(SW、ショートウェーブの略)は、国内の株や競馬中継をしていたNSB(3.925MHZ、6.055MHZ)の受信ができればよかったので
3〜12MHZの受信領域が一般的でした(下のパナソニック8の時代です)。
ところが、外国の海外放送は15、17、21MHZという高い周波数で送信されており、これが受信できない状況でした。
1973年、SONYがSWを28MHZまで拡大したスカイセンサー5800を発売し、従来の未知の領域が聴けるとの期待と相まって爆発的にヒットしました。
SONYに対抗して松下もクーガ115を30MHZまで拡大して発売しました。いずれも検波回路はシングルスーパーでした。
周波数合わせは大雑把、物理的にダイヤル速度を減速するスローダイヤルや副ダイヤル(115のバーニヤダイヤル)によるものでした。
まだまだ、原始的な受信機で、受信範囲が拡大した程度にとどまっていた時代でした(5800、115の時代)。

第2段階はマーカー発信器搭載による10KHZ直読の時代です。
スローダイヤルやバーニヤダイヤルが装備されても、相対的な操作しかできず、絶対的な周波数がわからないのが難でした。
現実に7225khzで送信されていたBBCを受信し、ゆっくりとダイヤルを回し、7215khzのエクアドルの声にしていたものでした。
第2段階では、水晶に電流を加えるとある一定の振動(32748振動=HZ)をする性質を利用し、
それを分周(32で割れば1MHZの信号が出せる)して、基準信号を作り出す周波数マーカーが考えられました。
スカイセンサー5900やクーガ2200に搭載されているクリスタルマーカーがそれです。
これで基準点がわかるようになり、そこを出発点として、周波数の直線性の範囲(前後150HZ程度)で調整する仕組みです。
これは画期的でしたが、まだ、複雑な操作を要し、趣味人の領域を脱しませんでした。5900、2200の時代です。

第3期は周波数カウンターによる直読の時代です。
ナショナルがついにクーガ2800で受信している周波数を、周波数カウンターで直接カウントし、デジタル表示する受信機を発表しました。
これなら、デジタルカウンターを見れば、ダイヤルは見なくてもチューニングできます。画期的な技術でした。SONYでは6800が該当します。
しかしながらアナログの進歩はこれで終了となり、これ以降は、デジタルシンセサイザーにより指定の周波数を作り出す方式となってしまいました。
現在はすべて、デジタルシンセサイザー方式です。高精度のアナログバリコンを作れる職人がいなくなったのも原因です。

最近、30年ぶりに最新のラジオを買って海外放送を聴き始めたのですが、デジタルチューニングで面白くなく、小型軽量で、うすっぺらで
所有して楽しくなく、そのため、見て、触って、所有して楽しい、でかい昔の「BCLラジオ」の収集することになったわけです。
三丁目の夕日的安らぎがあり部屋のインテリアにも最適で、なによりもデザインがすばらしものです。以下の写真を御覧ください。すべて個性的で存在感があるものです。
また、30年の年月を経ても、変わらない性能を誇る素晴らしい製品作りに感心させられます。

30年前のアナログラジオは、グリコのおまけやタカラの「青春のオールナイトニッポン」のフィギアになるほど人気があります。
また、プロシード2800は、人気TVアニメケロロ軍曹の「ギロロ伍長」のテント内ラジオとして使用されているほどです

現在のお気に入りは、22:00から15分間放送されるラジオタイランドと22:30から1時間放送されるイラン国際放送です。
ラジオタイランドは、熱帯の国らしく大雑把な放送で、内容はニュースだけ。いまどき珍しいレトロな雰囲気の内容が好印象です。
また、イラン国営放送も、遠い中東の地テヘランから聞こえてくる、現地暦(イスラム歴やラマダーン歴)やコーランによる祈りが精神的に癒されます。
北朝鮮の力みきった女性アナウンサーによる金正日一族の宣伝放送やベトナムの声の訛った日本語によるレトロな放送も異文化が楽しめます。



イラン・イスラム共和国国際放送(テヘラン)    22:30〜23:30  15555KHZ
ラジオタイランド(バンコク)                22:00〜22:15 11625KHZ
中国国際放送(北京)                   18:30〜24:30 7190KHZ
台湾国際放送(台北)                   20:00〜21:00 9735KHZ
韓国国際放送(KBSソウル)              20:00〜21:00 7275khz
 ベトナムの声(ハノイ)                   21:00〜21:30 12020KHZ
ベトナムの声放送                       21:00〜221:30 12020khz
(以上、2008年5月1日現在)
 


私が初めて接したラジオ。ナショナルパナソニック8(1971年製)。AM・SW。
SWでは何が聴けるのかわからず、ダイヤルを回してみると、ピーピー、ガーガー。
まるで宇宙から送信されているような音に遥かなロマンを感じ、いじっていたものです。
でたらめにダイヤルを回していると、北京放送が良好に聴けたことをよく覚えています。
当時のものは廃棄されたため、ネットで探し、事情を話したところ無料にて頂戴したものです。
当時の雰囲気が味わえます。ありがたいことです。


【SONY スカイセンサー】


SONYスカイセンサー5500A(1975年製)。初期型5500(1972年)の改良版。FMに力が入っており、
ミューティングスイッチが追加され、上部の右側のバースイッチが5500の2個に対し、5500Aは3個になっています。
5500は、従来のようにダイヤル指針が左右に動くのではなく、フィルムスケールが動くのが画期的で、これがカッコよかったものです。
また、白枠の中に、周波数表示、レベルメーター、タイマー残量などが一括して集中表示されるのも新時代のラジオのイメージでした。
比較的小型で、タイマーやFMトランスミッター機能もあり、当時の深夜放送やDJ気分を楽しむには、うってつけのラジオでした。




SONYスカイセンサー5600(1975年製)。丸いダイヤルスケールと赤や黄色のプラスチックのスイッチがとてもカラフルでキュート。
このラジオもFMに力が入っており、当時レコードが高価で思うように買うことができずFMで楽しまざるを得ない、という世の状況を反映しています。
FMミューティングスイッチやAFC、同調位置を示すFMヌルインジケーターが装備されていてFM受信機能がとても充実しています。
タイマーやダイヤルロック機能もあり、ジェットストリームなど深夜のFM番組を安定して必要な時間楽しむのに最適なラジオでした。
マルチプレックスアウト端子にステレオコンバーターを付けて、丸くてでかい密閉型ヘッドフォンでFMステレオ放送を聴くのが夢でした。



(スカイセンサー5700は欠番で、メーカーからは商品化されておりません)



SONYスカイセンサー5800(1973年製)。私がBCLを始めるきっかけになったラジオ。累計100万台売れたというベストセラーラジオ。
当時は短波3〜12MHZが一般的でしたが、5800は28MHZまで拡大されており、15MHZ等々の未知の領域の電波をとらえることができ、
まさに一般のラジオとは一線を画するスペシャルなラジオでした。操作も全て前面集中配置で「黒」という通信機のような風貌が革新的でした。
これに外部アンテナを接続して放送を聞き、「ラジオの製作」等の雑誌に「○○放送受信 使用受信機ICF5800」と載せるのが流行でした。
当時ほとんどの使用機種がスカイセンサー5800でしたので、これを持てば世界の全ての放送が聴けると錯覚するほどのカリスマラジオでした。
5バンドで28MHZまで受信可能、短波用の1mという長大なロッドアンテナ、1時間のタイマー付もこのラジオのアドバンテージでした。
ふとんの中で深夜放送を聴きながら寝てしまっても大丈夫でしたので、所有者の多くは短波ではなく深夜放送を聴いていたのではないでしょうか。
本機の周波数表示は大雑把で、「砂場で砂金を探すような」受信しかできませんでしたが、BCLとしては、一番楽しかった時代のラジオです。



SONYスカイセンサー5900(1976年製)。周波数直読ラジオの普及型1号機。1975年にこのラジオが出た時、
欲しくて欲しくてたまらず、中学生なのに春休みに1週間アルバイト(確か時給は350円で一日2800円でした)をして、
そのお金で、自分で電気店に買いに行った、非常に想い出深いラジオです。
5800を使っていた時はチューニングダイヤルに紙をくっつけ、放送局の位置を書き込み、「周波数直読」をしていたのですが、
この機種から周波数が10khz単位で読めるようになり、放送開始のインターバルシグナルから楽しむ待ち受け受信が可能になりました。
BBCのビッグベンの鐘の音やラジオオーストラリアの笑いカワセミの声が、バッチリ最初から受信できたときの感動は相当なものです。
しかしながら、直読のため、受信のテクニックや熱意が必要なくなり、時間と金(高価な受信機とでかいアンテナ)の時代に突入してしまいました。
ダブルスーパー、ギア駆動、銀の駆体と新時代のマシンでしたが、電波探索の楽しみはなくなり、次第にBCLから遠ざかっていきました。
この5900は初期型で、私が酷使したワンオーナー完動品です。30年経った現在でも直読精度は放送周波数+5KHZの精度です。



SONYスカイセンサー6000(1976年製)。なんとアウトドア指向の防滴設計ラジオ。スカイセンサーでは異種です。
当時は、市民無線(CB)が流行っており、これを縦にしたようなゴツイ防滴型無線機を持っているのがカッコ良かった時代でした。
その影響が見受けられるラジオです。ドラム式回転ダイヤルはプロシードのような印象ですが、周波数はもちろん直読ではありません。
短波は通常の3〜12MHZに加え、当時のNSB(日本短波放送)が簡単に受信できるよう6MHZだけスプレッドバンドになっており、SW2バンド
FMとAMを加えた4バンド設計です。感度は結構よく、アウトドアタイプらしく電池でも、簡単かつ良好に受信できます。
チューニングダイアルは小型ですが、防滴設計らしくゴムパッキンが付されており、すべりなくチューニングができます。
躯体は予想するより大きく、アウトドア用としては相当ヘビーな感じです。地震等の災害対策用ラジオとしていいですね。




SONY ICF6800A(1981年製)。ラジオというよりは通信機に近いものです。アナログBCLラジオの完成型です。
短波は1MHZ毎に29バンドあり、下のドラム型スプレッドダイヤルで下3桁の周波数を合わせる方式です。
真ん中の細長いスケールはプリセレクター、その横はデジタルの周波数カウンターです。1KZ直読です。
感度も非常に良く、周波数表示もバッチリです。ナショナルのプロシード2800より値段の分だけしっかりしています。





【National クーガ・プロシード】


ナショナルのクーガ888(1972年製)です。「吠えろクーガ」として有名で、ナショナル博物館にも展示されている有名なラジオです。
色は黒、赤、青があり、所有機は黒になります。16cm大口径スピーカーによる迫力の音質でFMなどを聴くことができます。
タイマーも装備されており、差詰め深夜放送ラジオというところでしょうか。一応短波で北京放送等を聴くことができます。
デザインは元気が良かったナショナルの製品らしく、結構カッコよく、インテリアにも最適です。




ナショナルのクーガNo7(1973年製)。グリコのおまけやタカラ「青春のオールナイトニッポン」のフィギュアにもなる個性的なラジオです。
自衛隊員が持って歩くようなゴツイ形とレーダーのようなダイヤルスケールが素敵で、飛び出るジャイロアンテナも楽しいものです。
この当時のラジオは、スカイセンサー5800もそうですが、モジュールを組み合わせたようなプロを意識させるデザインとなっています。
一見、ダイヤルモジュールやメーターモジュールなどの組み合わのようなデザインになっており、丁寧にネジ穴のような穴まで付いています。
感度と音もすばらしく、今でも素晴らしい受信性能と音質で楽しませてくれます。個性的なデザインでオブジェとして最適です。



ナショナルのクーガ113(1975年製)です。「横長のクーガ」として有名です。
デザインは黒で横長、日立のサージラム2200(以下参照)と同様のデザインで結構カッコイイです。
タイマーやバーニヤダイヤルによるファインチューニングもあり短波も28mhzとワイドレンジです。
意外と受信性能が良く、115より短波は受信しやすいかもしれません。結構レア機ですよ。



ナショナルのクーガ115(1975年製)。SONYのスカイセンサー5800の対抗機種。全面シルバーのアルミパネルに
16cmの大口径スピーカー、ジャイロアンテナと個性的で、デザインが非常に美しいラジオです。
短波は1.6MHZから30MHZまで受信可能で、スカイセンサー5800(3.9〜28)よりワイドな受信範囲でしたが
よりワイドなエリアを5800と同様の3分割としているため、風波数の刻みが狭く、受信しにくいのと、感度が低いのが難点です。
音は16cmの大口径スピーカーを使っているため、低音が良くでます。オーディオ的な柔らかな音です。
シルバーのアルミパネルも当時流行しはじめたコンポステレオのイメージで、美しく、オブジェとしても最適です。



ナショナルのクーガ118(1975年製)。本機はクーガ1180の改良版のクーガ1188です。
クーガ115が26900円、5800が20800円の時代に43800円という非常に高価なラジオでした。6バンドとなっていますが、
SW1が1.6MHZ〜3.6MHZという通常の短波帯の下のバンドになっているため、実質は他のラジオと同じです。
短波帯は1.6〜30MHZフルカバーで、特筆すべきは、ダイヤルスケールの長さにあります。通常の受信機の倍は長さがあります。
側面にあるファインチューニングを利用すると、直読はできませんが、楽にチューニングすることができます。
高級品らしく、チューニング感覚も素晴らしく、ダイヤルにフライホイールが装備されていることから、
他機とは違ったスムースかつコリっとしたチューニング感覚が味わえます。雑音も少なく今でも非常に使いやすいラジオです。
タイマーも2時間用が装備されており、中波用にジャイロアンテナも付いているなど、こだわりのある個性派ラジオです。
改良前の1180に比べ、1188はダイヤルが黒からアイボリーに、ファインチューニングありなど、購入するなら1188がお薦めです。



ナショナルのクーガ2200(1976年製)。ソニーのスカイセンサー5900の対抗機種。周波数10khz直読ラジオ。
周波数直線バリコンを使用しており、どの周波数帯域でもダイヤル1周が1MHZという非常に使いやすく、通信機のようにカッコイイラジオです。
直読精度もスカイセンサー5900より高く、現在でもピッタリの精度を維持しています。素晴らしい作りです。
スカイセンサーより半年以上遅れて出たことと、価格が高かったことから販売台数ではスカイセンサーに及びませんでしたが名機です。
ギア駆動のメインダイヤルはバックラッシュもなく、タッチも素晴らしく、感度もバツグンで、実用性は最高です。
デザインも非常に現代的になってきました。ナショナルのデザインはいつまでも風化しない優れたデザインです。



ナショナルのプロシード2800(1977年製)。ダイヤル式のアナログラジオの最高峰。時代はついに1KHZ直読です。
5900や2200のようにクリスタルマーカーで受信位置を更正するタイプではなく、受信位置をカウンターで示すタイプです。
手間がかからず、簡単に周波数を合わせることができるため、現在でも重宝しているラジオです。写真は北京放送(7.190MHZ)受信中です。
まさにアナログの究極の形で、黒く大きなボディに赤い周波数カウンター、ダイヤルを引くと微調、押し込むと通常というロジックも快適です。
周波数も現在でもピッタリで、子供でも金庫のダイヤル合わせのように簡単に使えることから「金庫ラジオ」と呼んでおり実用性の高いラジオです。
金曜日17:00〜、12chで放映中の人気TVアニメ「ケロロ軍曹」の「ギロロ伍長」がテント内で愛用しているラジオでもあります。ケロ!



【その他】


東芝トライX1600(1975年製)。マーカーとチューニングダイヤルに書き込まれた周波数表示により直読可能です。
デザイン的にはコンパクトで、丸い潜水艦の望遠鏡のようなダイヤルスケールが可愛い感じですが、
マーカーが水晶発振ではないため、発信位置が相当ずれており、マーカーに合わせると周波数が合わず、
仕方がないので周波数に合わせマーキングポイントを書き込んでいます。手がかかるところもかわいいものです。




東芝のトライX2000(1976年製)。チューニングダイヤルにビッシリ書き込まれた周波数表示が精密な受信性能を想像させます。
個人的にはスカイセンサー5800のチューニングダイヤルに紙をはり付け、受信位置を記録して翌日の受信の目安にしていましたが、
クリスタルマーカー付とは言え、大メーカーがこんな原始的な方法を採用するとは。まさにファンキーなアナログラジオの極致です。
直読とはいっても、単純に周波数を割って表示しているため、3MHZ台は5KHZ刻みで周波数が書き込んでありますが、
周波数直線バリコンでないため、しだいに刻みが荒くなり、21MHZ台では20KHZ刻みという大雑把な表示になっています。
クリスタルマーカーもスカイセンサーやクーガと違い、ゼロビートポイント方式ではないため、キャルのポイントが正確に
割り出せない感はありますが、そこそこ受信周波数が合っているところには感心します。周波数誤差はせいぜい±10KHZ程度です。
FMと中波についても、受信した放送の周波数にダイヤルスケールの位置を合わせ、それを基に直読するという超アナログ的な技が使えます。
また、左右の一見チューニングダイヤル風の大きなベルトフックや2段折れのロッドアンテナなどアナログ的なギミックがステキでです。
躯体は意外と大きく存在感があり、原始的な感じも個性的で、大好きなラジオです。



三菱のジーガム404(1975年製)です、約30年前、5800でBCLを楽しんでいたころ、
巷のラジオが軒並みシングルスーパーだった時代に、ジーガム404はダブルスーパーの復調回路を有する
いわゆる高性能ラジオとして名を馳せていたラジオです。アンテナも5800のようにポップアップ型で、
FMワイヤレス機能や60分タイマーも装備されているなど、黎明期のBCLラジオとしての基本は押さえています。
当時、雑誌の裏などにはたいてい本機のCMが載っており、使用者から「アルゼンチン国際放送が聴けた」などと
誇大広告がなされていたため、本機を使えばいとも簡単にアルゼンチンが聴けるような錯覚をしたことを思い出します。
まあ、実際に、感度は現在でも良い部類で、5800よりは上、という感じです。ただ上面のチューニングダイヤルが
使い勝手とデザインで優れておらず、その点では、5800などの方がいいということになるのでしょうか。



三菱のジーガム505(1977年製)です、上記404の後継機種ですが、当時NSB(日本短波放送)で「ハロージーガム」
という番組を放送しており、確か肝付兼太がDJだったと記憶していますが、そこで大々的に宣伝されていたラジオです。
404と同様に、ダブルスーパーの増幅回路を持っており、感度調整とファインチューニングダイヤルが追加された短波専用ラジオです。
周波数直読ラジオではありませんが、ダイヤルスケールの目盛が正確で、簡単に周波数を合わせることができます。
また、スカイセンサー5900と同じオシレーターダイヤルが便利で、5900のように目盛とキャルを付ければ直読ラジオになったようです。
感度も素晴らしく、大きさもちょうど良く、形も個性的な横長ラジオで、直読時代のレア物ラジオとして気に入っています。



日立のサージラム2200(1977年製)です。外見は予想するより遥かに大きく、重さは驚くほど軽いラジオです。
別名、「機関車ラジオ」で、石炭をくべる入り口がある機関車の運転台と雰囲気が似ていたので付いた名前と思われます。
中波から連続して1.6〜30MHZまでの短波帯をフルカバーしていますが、直読ではないため選局は困難です。
多少ギアで減速しているとはいえ、中央の大きな円盤を回してチューニングするという通信機のような雰囲気を採用しています。
でも直読はできません。10khz直読の5900が出た後なので、BCLマニアは購入することはなく、田舎によくあった「日立のお店」で
中学生や高校生が、父母やじいさん・ばあさんから買ってもらい、深夜放送を楽しんだ、というようなラジオでしょうか。
使ってみると、感度はまあまあですが、もっとコンパクトになるのにと思う、ハリボテラジオの印象です。



東芝サウンド750GTV(1974年製)のデットストックを手に入れました。短波とテレビ音声の受信ができます。
今となってはテレビを買った方がよっぽど安いのですが、テレビが1家に1台しかなく音声が聴けるだけでも価値があった時代の遺物です。
学生が、親に隠れて11PMとかのエッチな番組を布団の中や机で聴くのに良かったラジオではないかと思っています。
「750(ナナハン)や」「GTV」という名称も時代を感じさせ、750ライダーやセリカGTVの古き良き時代のラジオです。



ナショナルのマリン1号(1974年製)。海や風呂に浮かべて楽しめる防水ラジオの第1号機です。
こちらもデットストックを入手しました。現在では、こんな大がかりでなくてもシャワーラジオはいくらでもあります。
デザインが非常に個性的で、雑誌「ドーラク」によると、これを持って海や銭湯にいくと、当時はヒーローだったということです。
ヨットマンもヨットに括り付けてFMを聴いていたおしゃれなラジオです。こんなラジオは今では見かけません。風呂には液晶テレビの時代です。



ソニーSW07(2003年製)。最新のデジタルラジオです(定価6万3千円)。本体に内蔵されているROMに周波数が記憶されており、
テンキーによるダイレクトチューニングとROM呼び出しによるワンタッチ受信が楽しめるシンセサイザー方式受信機です。
ドイツ、アメリカ、イギリス、フランス、日本など主要な放送局は最下段の大きな専用キーにメモリーされており、ワンタッチで受信できます。
これがあまりにも面白くなく、機械も小さく個性が無いため所有する喜びもなく、昔のアナログラジオに回帰してしまいました。
このラジオはSONYの盛田会長と大賀社長が大のラジオ好きで、海外出張にコンパクトで高性能なラジオを持っていきたいということで
自社に作らせたラジオとして有名です。小さな躯体にこれだけの機能を詰め込むのに、大変苦労したと言われております。
海外出張の多いビジネスマン向けの携帯ラジオとしては最適ですが、趣味向けではありません(実用品ですね)。



昔集めた、受信証明書(ベリカード)の一部。国名はいくつおわかりになりますか。
正解は、最上段左から右へイギリス、ノルウェイ、チェコスロバキア、インド。バチカン、中国、ドイツ、
南アフリカ、スウェーデン、オランダ、オーストラリア、ベトナム、ナイジェリア、エチオピア、ロシア、イスラエルです。
アフリカ大陸や北欧の国々などが比較的珍しいと思います。



今では、日本ではBCLが全く廃れ受信機すらなくなってしまったので、文献はネットで取り寄せています。
この本はPWBRとWRTHの2007年度版です。いわゆる周波数帳です。英語表記で不便ですが、
ピーピーガーガーの短波よりインターネットの時代なので仕方ありませんね。




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