・本堂ふすま落書事件(昭和58年択一試験問題) Xは、有名な画家であるが、とある禅寺の本堂のふすまに、住職に無断で得意の絵筆をふるって裸婦を描いた。Xには器物損壊罪が成立する。
・無免許開業医事件(昭和51年択一試験問題) Xは、無免許開業している医院の待合室で、患者に向かって、「この先生では生命が危険である」と叫んだ。そのため、何人かがそのまま帰ってしまった。Xには威力業務妨害罪が成立する。
・養子せっかん事件(昭和52年択一試験問題) Xは、養子である6才のYをせっかんするため、Yにふとんをかぶせ、その上から麻縄で縛り、うつぶせにして放置した。食後間もないYは、胃の内容物をもどし、気管につまらせて窒息死した。この場合、Xは親であるから、相当な懲戒権の行使といえ、暴行罪は成立しない。
・深夜密会事件(昭和57年択一試験問題) XとYは、強く反目し、それぞれの家族に対し相手方の家族を自宅に入れることを禁止していた。ところがX家の長男甲とY家の長女乙は深く愛し合う間柄となり、某夜、甲は、乙とあらかじめ示し合わせた上、乙女専用の部屋の窓からYに知られないよう立ち入った。この場合、乙女専用の部屋は管理権が乙にある以上、甲に住居侵入罪は成立しない。
・遠隔装置放火事件(昭和61年択一試験問題) Xは、保険金詐取目的で自宅に放火する計画を立てた。そこで、遠隔操作による時限発火装置を作成し、これを隣人のYに渡して「これは犬にえさをやる装置に電波でスイッチを入れる装置です。出張しますので、夜になったら押してください」と告げた。Yは言われたとおりにスイッチを押し、X宅および隣家が全焼した。Xには現住建造物放火罪が成立する。
・モーターボート殺人事件(昭和52年択一試験問題) 甲は、乙を殺そうと思って、全く泳げない乙をモーターボートに乗せて海上に連れ出し、海中へ突き落とした。乙は、偶然付近を通りかかった別のモーターボートに助けられたが、このモーターボートは接岸する際に岸壁に衝突した。乙は、たまたま心臓病をわずらっていたため、衝突のショックで死亡した。甲には殺人未遂罪が成立する。
・吸いがら混入事件(昭和56年択一試験問題) 甲は、乙が飲んでいる高級ウイスキーのグラスに、隙をみてタバコの吸いがらを入れた。甲には器物損壊罪が成立する。
|