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「スイカの種」

 

その電話は、部下のYanaからだった。

Yana巡査「Otomo警部! また京大法学部教授が殺されているのが発見されました!」
Otomo警部「なにぃ!! で、ガイシャは?」
Yana巡査「民法第二部の講義を担当していた、山木敬三です!」
Otomo警部「わかった、すぐ行く!!」

俺は現場に急行した。今度の現場は中央食堂だった。

Yana巡査「今回も、外傷は全くありません。今のところ、死因は不明です。」
Otomo警部「また同じ手口か・・・?」

山木は、京大法学部でも1、2を争う人気教授だ。恨みを買っていたとは考えにくい。一体、誰が、何のために・・・。

Yana巡査「やっぱり毒殺ですかねぇ。このへんに紙コップでも落ちてないかなー。・・・・あれ、何だこれ。」
Otomo警部「あん? ただのスイカの種じゃねーか。・・・・・あれ?京大の食堂にスイカなんて置いてたっけ・・・?」

その時、俺の野生の勘が騒いだ。俺はすぐさま署に帰り、鮭教授殺害現場での押収物を調べなおした。すると、やはりその中からも、スイカの種が付着したものが数点出てきた。
Otomo警部「両事件の接点は、スイカの種・・・・か。」

翌日、俺とYanaは、京大法学部キャンパスを聞き込みして回った。その結果、前回容疑者とされているToshi、Takashi、Junichiは鮭ゼミ所属であることがわかった。また、Kenjiと一緒にいたK子も鮭ゼミ所属とのこと。また、4人は、数回だが山木の授業にも出ていたと
いう。

一通り聞き込みを終えた俺とYanaは、ルネで遅い昼食をとることにした。俺はブラックのコーヒーとピザ、Yanaはどんぶりを食べている。

Yana巡査「もぐもぐ・・・。やっぱり、山木殺しと前回の鮭殺しは別犯人ですかねぇ。あの4人と山木の接点も今一つ見えないですし・・・。」
Otomo警部「ふむ・・・。しかし、二人とも食堂で殺されていることといい、外傷が全くないことといい、手口がよく似ている。俺は同一犯だと思うな。」

Yanaは、ものすごい速度でどんぶりを平らげていく。
Otomo警部「・・・おまえ、妙などんぶり食べてるなー。なんだそりゃ?」
Yana巡査「ステーキ丼です。京大の食堂は本当にメニューが豊富ですねぇ。どんぶりだけでも10種類くらいありますよ。まぐろのたたき丼とか、たこやき丼とか・・・。」
Otomo警部「・・・まともなのはないのか?」

その時、俺の頭にある考えがよぎった。
Otomo警部「もしや!!」

俺はすぐさまルネの入り口のオープンケースのところに駆け寄った。ロウでできたメニューのサンプルが大量に陳列されている。それを見た瞬間、俺は、自分の考えに確信を抱いた。

Otomo警部「・・・・そうか、わかった、わかったぞ!!」

 

つづく