Otomo警部「本日、みなさんにお集まりいただいたのは、実は、犯人が分かったからなんです。」
当初から容疑者とされていた、Kenji、Toshi、Takashi、Junichiの四人がルネに集められていた。四人に緊張が走る。一瞬の静寂。そして−
Otomo警部「・・・Kenjiさん、犯人はあなたです。」
Toshi「げっ!!」
Takashi「まさか!!」
Junichi「ほぉ・・・。」
Kenji「ちょ・・・ちょっと待って下さいよ、刑事さん。僕がそんなことするわけないでしょう。だいたい、僕にはアリバイがあるじゃないですか。その時は、K子さんとしゃべっていたんです。」
Otomo警部「あなた、K子さんとはつきあっておられますね。」
Toshi「えっ!」
Takashi「そうなん?!」
Junichi「なんと破廉恥な・・・。」
Otomo警部「K子さんは、あなたをかばって偽証していたんです。一発どついたら、すぐに白状してくれましたよ。」
Kenjiの顔色が変わった。
Kenji「刑事さん、デタラメはやめて下さい。僕にはそんなことをする動機がないでしょう!」
Otomo警部「・・・なぜ、鮭と山木が殺されたのか。」
Kenji「?」
Otomo警部「あなた、去年、憲法と民法第一部の単位を落としておられますね。そのせいで、卒業が危ういそうじゃないですか。」
Kenji「!」
Otomo警部「進路は就職を考えておられるそうですね。だからこそ、どうしても単位が欲しかった。二人のことを、相当恨んでたんじゃないですか?」
Kenji「う・・・うそだ!
そんなこと、証拠になるわけないだろう!
死因も凶器もわかってないじゃないか!!」
Otomo警部「Kenjiさん、ルネも中央食堂も、メニューが豊富ですね。どんぶりだけでも10種以上もありますよ。」
Kenji「?」
Otomo警部「うちのYanaも、ステーキ丼とやらを食べてました。・・・でも、僕ぐらいの年齢になると、そういう変わったものよりも、オーソドックスなものを選んでしまいますねぇ。たとえば、天丼とか・・・。」
Kenji「・・・・・。」
Otomo警部「教授くらいの年頃の方も、そうだと思いますよ。」
Kenji「何が言いたいんだ!」
Otomo警部「二人の現場からねぇ、スイカの種が見つかってるんですよ。これ、どういうことだと思います?」
Kenji「!!」
Otomo警部「天ぷらとスイカ・・・・食い合わせですよ。あなたは、天丼を食べている教授にスイカを勧め、食中毒で二人を死亡させたんです。どうりで外傷が一切残ってないわけだ。」
その時、一台のパトカーが止まった。Yanaだ。
Yana巡査「警部!
鮭と山木の家族から、ようやく解剖の許可がおりました!
解剖の結果、二人の死因は食中毒だそうです!」
それを聞いたKenjiは、がっくりとひざをついた。
Kenji「くそっ・・・。俺もLECに行っておけば、こんなことにはならなかったのに・・・。K子、すまん!」
Otomo警部「K子さんは、きっと、あなたが出所するまで待っててくれますよ・・・。」
あれから数年後・・・。俺のもとに一通の手紙が届いた。Kenjiからだった。
刑事さん、覚えていますか。いつかお世話になったKenjiです。
あの後、僕は、canary先生という有能な弁護士さんのおかげで、なんとか執行猶予をつけていただくことができました。今は、LECに通って、まじめに勉強しています。司法試験にうかったら、K子と田舎に帰って、町の法律相談でもやろうかと考えています。あの時の僕はどうかしていました。
刑事さん、本当にありがとう。
京大法学部連続殺人事件・完 |