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選挙

拘束名簿式比例代表選挙において、除名が無効であるときは繰り上げ当選無効の原因となると考える説に対しては、訴訟形態として選挙会を被告人とするのは妥当でない、との批判がある。  除名を行ったのは政党であるから、政党を被告とすべき、とされる。
公選法16条が「現在の衆議院・参議院議員は、行政区画の変更によりその選挙区に異動があっても、その職を失わない」とするのは、全国民の代表制・法的独立制の現れである。  このように解するのが一般である。
秘密投票制との関係で、無資格者や不正投票者の投票用紙の検索が許されるかが問題となる。この点、最高裁は、詐欺投票等の捜査・処罰のためには投票の秘密は制約されるが、投票賄賂罪に関しては投票用紙の検索は許されないとした。  SC.H9.3.28、および、SC.S24.4.6
大選挙区制・制限連記投票制を採用すると、少数代表法となり、これには政党の得票数と当選者の比率がかなり偶然によって支配されるという批判がある。  選挙戦術の成否などの偶然に左右される。(政策論争にならない)

 

立法権

不逮捕特権の例外として、院内および院外での現行犯罪の場合がある。 × 自律権の尊重から、院内ではもっぱら議長の警察権に委ねられる。
国会議員のリコール制を違憲と解する説は、代表制とリコール制を原理的に相反するものと考えている。 × 自由委任と相反すると考えられている。(「代表制」それ自体は、命令委任的に捉えることも可能なので、原理的に相反するとは言いきれない。)
憲法50条にいう「逮捕」には、刑事手続としての広義における身体の拘束が全て含まれ、財産刑の換刑処分としての労役場留置も「逮捕」に含まれる。 × 確定判決に基づく以上、濫用のおそれはない。
逮捕が正当か否かの判断は、それにふさわしい適正な調査能力と法技術的な判断能力を前提とする。これは、不逮捕特権の目的を議員の身体的自由の保障とする見解の根拠となる。 × 議院には、逮捕の正当性を判断する能力はなく、議院の活動への影響を判断しうるのみであるとして、むしろ議院活動保障説の根拠となる。
憲法50条にいう「逮捕」には、刑訴法上の逮捕・勾引・勾留のみならず、警職法上の保護措置も含まれるが、精神保護法上の保護拘束は権力的作用ではないので含まれない。 × 行政上の拘束を広く含むとされる。
緊急集会は、所定の期日の経過によって終了する。 × 緊急の案件が全て議決された時に終了する。
議院の議長は、可否同数の場合の決裁権を持っているため、表決そのものには加わらないことが先例として確立している。  56条2項後段参照。
臨時会以外の場合については、憲法は、国会召集の実質的決定権者を明示していないが、内閣が召集権を有する。その根拠は7条2号と解しうる。  解散とは異なり、内閣が実質的召集権を有する点に争いはない。ただし、根拠を議院内閣制に求めることは可能。
内閣は、いずれかの議院の出席議員の4分の1以上の要求があれば、国会の臨時会の召集を決定しなければならない。また、衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたとき、および参議院議員の通常選挙が行われたときは、原則として臨時会を召集しなければならない。 × 前半は、いずれかの議院の総議員の4分の1。後半は正しい。
憲法73条3号にいう「条約」とは、憲法98条2項の「条約」よりも広いと解される。 × 国会の承認を要しない条約もあるので、むしろ前者の方が狭い。
国会の事後承認が得られない条約の効力について、承認規定が周知のものであることを要する説に立つと、それが周知でなかった場合には、条約は国内法上も有効となる。 × 国内法上はあくまで無効とされる。
「立法」の意義につき、国民の権利・義務を規律する規範と捉える見解によると、内閣の組織に関しては必要的法律事項と解することはできなくなる。 × 66条1項により、必要的法律事項であることに争いはない。
「立法」の意義につき、国民の権利・義務を規律する規範と捉える見解によると、行政組織の大枠を必要的法律事項と解することはできなくなる。 × 行政の民主的統制や73条4号の趣旨から、必要的法律事項と考えることも可能とされる。
憲法が条約に国内法の法形式としての性質を認めている。このことは、憲法と条約の優劣に関する憲法優位説の論拠となる。 × 一元論を説明したものであり、憲法と条約の抵触を論じる前提にすぎない。
議長等の役員に対する不信任決議や常任委員長の解任決議を可決した場合、罷免と同じ法的効果を有する。  一般に、決議には法的拘束力はないとされるが、議院には役員選任権があるので、本肢のように解されている。
決議は、議長の発議もしくは議員の動議により、又は決議案の形式をもってなされる。  動議とは、議員が特に持ち出した議題をいう。
衆議院の行う決議と、参議院の行う決議とでは、その効果は異ならない。 × 内閣不信任決議は、衆議院のみ法的効果がある。
国政調査権は、行政権に対しては広く及ぶが、これによって個々の行政を直接に抑制することはできない。  適法性・妥当性の調査まではなしうるが、個々の行政を直接に抑制することは権力分立に反し許されない。
議院の懲罰権は、その所属議員のみに及ぶ。それゆえ、衆議院議員たる国務大臣が参議院における言動により参議院の秩序を乱しても、参議院はこれを懲罰できない。  各議院の議員のみ。
議院規則制定権にいう「規則」とは、衆議院規則や参議院規則のほか、規定などの定めも含まれる。  名称・形式のいかんを問わず、内部に関し自律的に定めるものを広く含む。
議院規則には、天皇の公布は要求されていない。  「憲法改正、法律、政令及び条約」のみ(7条1号)。
衆議院議員の選挙において、法定得票数に達しなかった議員が当選者とされている場合、衆議院は、資格争訟裁判によりその者の議員資格を失わせることができる。 × 当選無効訴訟によるべき。

 

行政権

内閣が職権行使するにあたり、大臣が会合することなく文書を持ちまわって署名を得る「持ち回り閣議」を行うことは許されない。 × 閣議とは、単に内閣の議決を意味するに過ぎず、持ち回り閣議も許される。(この点、商法の取締役会とは異なる)
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない。これは、内閣の一体性の趣旨に基づく。  検察権力からの不当な圧迫を防ぎ、内閣の一体性と活動の保全を図るためとされる。
憲法63条は、内閣総理大臣その他の国務大臣の議員に対する出席権および出席義務を規定する。ここにいう「議院」とは、本会議のみを指し、委員会は含まれない。 × 実質的審議に参加させることで、対議会責任を明確にできる。(この点、公開原則は本会議のみであることと異なる。)
内閣総理大臣に事故のあるとき、欠けたときは、あらかじめ閣議によって指名された国務大臣が、内閣総理大臣の職務を行う。 × 内閣総理大臣が指定する。この者を一般に副総理と呼んでいる。
行政事務を分担管理しない無任所大臣も認められ、この者は法律および政令に署名しない。  「主任」の大臣にはあたらない。
国務大臣も、その職を退けば訴追しうることになるから、内閣総理大臣の同意が得られなくて訴追しえなくなった時(拒絶の時)から公訴時効が停止する。  停止時点は、拒絶の時とするのが通説である。
国務大臣の任命のみならず、罷免についても、天皇がこれを認証する。  7条5号。
国の収入支出の決算の国会への提出は、憲法上、内閣総理大臣の権限として規定されている。 × 内閣総理大臣ではなく、内閣の権限である(90条1項)。
内閣による最高裁判所裁判官の任命は、裁判官諮問委員会の答申に基づくとされている。 × 当初そのような運用がなされていたが、内閣の任命責任を明確化するために諮問委員会は廃止された。
74条は、法律・政令について国務大臣の署名・内閣総理大臣の連署を要求しているが、条約についてもこれらが必要といえる。  内閣の責任表示のため。先例により、条約や予算にもなされる。

 

司法権

国会議員の除名処分につき、最高裁判所は、一見極めて明白に違憲無効と認められない限りは裁判所の司法審査の範囲外であるとした。 × 議院の懲罰についての判例はない。(なお、議事手続については、全面否定説をとった判例がある)
衆議院の解散の効力については司法審査は及ばない。これは、機関の自律性の法理から説明が可能である。 × 統治行為論ないし裁量論から説明される。
懲罰を受けた国会議員が裁判所に出訴して議決の取消しを求めうるかという問題について、憲法が採用した国家権力間の抑制均衡の原則を重視するならば、肯定説に至りうる。  抑制均衡という点を重視すれば、裁判所のコントロールを認めやすい。他方、議院の自律性を重視すれば、認めにくい。
アメリカにおける陪審制は、評決に拘束力が認められている。  一定の拘束力を認めている。
戦前に行われていた陪審制は、刑事事件における事実認定を行うものであったが、一部の刑事事件に対象が限定されていたため、よく機能しなかった。  明治憲法下での陪審法。
明治憲法下の行政裁判所は、特別裁判所とはされていなかった。  そもそも司法権の範囲は、民事・刑事に限られていたから。
軽微な事件について、警察官に終審として刑罰を課する権利を与えた場合、その警察官は特別裁判所にあたらない。  警察官は、訴訟手続により刑罰を課す機関(裁判所)ではないから。もっとも、本問のような制度は、76条1項・2項後段に反し許されない。
高等裁判所が上告審としてした裁判であっても、憲法違反を理由とする場合には、さらに最高裁判所へ上訴することが許される。  特別上告(民訴409条の2)。最高裁は違憲審査権を持つ終審裁判所だから。
最高裁判所は、最高裁判所の職員ならびに下級裁判所およびその職員を監督する。かかる司法行政事務は、裁判官会議の議によるものとされ、最高裁長官がこれを統括する。  裁判所法80条1号、12条。
憲法77条1項の「弁護士に関する事項」については、その多くが法律で定められている。これに対し、「裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項」は、もっぱら規則で独自に定められている。  弁護士法。
最高裁の規則制定権につき、裁判所の立法能力の欠如を理由に法律の実施細目を定める権限と捉える見解に立つと、最高裁の法案提出権を考える余地はほとんどなくなる。  立法能力の欠如を前提とするから。
政治犯罪・出版に関する犯罪・国民の権利義務が問題となっている事件の対審は、常にこれを公開しなければならないのが原則である。もっとも、例外的に、訴訟関係人のプライバシー権が害される場合には、公開を停止することも可能である。 × 82条2項但書には、例外は認められない。秘密を守るための非公開は、同条項本文の問題であって、但書にふれないことが前提である。
「憲法80条1項が、下級裁判所裁判官について任期制を採用したのは、そもそも法曹一元制度を予定していたからである」という考え方は、再任についての自由裁量説の根拠となる。  いずれ在野の弁護士に戻ることが予定されていたとすれば、文字通り任期と考えることになる。
「良心」の意義について、客観的な裁判官としての良心と解する立場に立つと、「良心」に従ったか否かが客観的に判断できることになるので、良心違反それ自体が独立して上告理由となる。 × 本来法的規律になじまないものであり、それ自体は独立して法的効果を持たないとされる。SC.S23.11.17。
裁判官に罷免事由がある場合であっても、「訴追」がなければ、弾劾裁判所が弾劾裁判を行うことは一切認められない。  64条1項。

 

財政

予算行政説は、法規範というものを、国家と人民の間に効力を有するものと捉える。ここで、法規範というものをより広く、国家機関のみを対象とするものを含むと考えれば、予算国法形式説に至る。  予算も法規範性を有することになる。
予算国法形式説は、予算の公布を不要としても、91条の報告をもって公布にかえているとみることができる、としている。  国民への報告も含まれているから。
租税法律主義の原則は、84条のみならず30条でも確認されている。  法律に基づく納税の義務。
租税の定め方は、変更廃止されるまで継続して効力を有する永久税主義と、一年ごとに定めるとする一年税主義があり、法的安定性は前者、予見可能性は後者が勝る。 × 法的安定性、予見可能性は、ともに永久税主義の方が勝る。
納税の義務を規定する30条の「国民」には、国民および法人が含まれるが、権利能力なき社団は含まれない。また、外国人は、日本に居住し課税の目的たる物を所有し行為をなす場合には、「国民」に含まれる。 × 前段は、権利能力なき社団も含む。後段は正しい。
予算法形式説は、予算に法的拘束力があることを理由として、予算に反する政府の支出行為はその相手方との関係において法的に無効であると主張する。 × 予算法形式説も、予算に反する支出を無効とするわけではない。
決算の国会への提出時期は、90条1項が明文で「次の年度に」と定めている。  90条1項。

 

地方自治

地方公共団体の長は、議会の解散権を有するが、これは不信任決議がなされた場合またはそのようにみなしうる場合に限定されており、内閣の解散権よりも厳重な制約に服する。  地方レベルは、原則は大統領制。
条例は、地方公共団体の自主立法として制定されるが、それは「法律の範囲内」で認められるので、その法的効力が法律より下なのは明らかである。しかし、政令との関係では、「地方自治の本旨」の観点から、政令よりも上位にあると解されている。 × 法律に基づく政令は、法律と一体とみることができるため、条例の方が下位とされている。
地方自治法が政策的な住民投票について何ら規定を設けていないことは、これを認める趣旨とも認めない趣旨とも考えられる。  禁止規定がない以上、認められると考えることもできる。しかし、他方、多くの直接民主的制度を定めていながらあえて住民投票の規定がない以上、これを認めない趣旨とも考えられる。
地方自治の本旨につき、制度的保障と解する立場に立った場合、長の四選連続禁止を定めたとしても、これが地方自治制度の核心を侵すものではないと考えれば、違憲の疑いが生じる余地はない。 × 立候補の自由の制約を問題とする余地はある。
地方公共団体の議会の議員の被選挙権は「住民」にのみ与えられるが、長の被選挙権は「住民」でなくても与えられる。  公選法10条、地自法19条。
住民による解散請求があったときは、有権者の投票により過半数が同意すれば解散する。  地自法76、78条。
地方公共団体の長を、個人ではなく、合議制の委員会の形態とすることも、93条には反しない。  同条は、「長」を「直接」選挙すべきとしているのみである。
近代主権国家は、主権の単一不可分性から、地方自治制度を消極的に解していた。そして、第二次大戦後になって、ようやく地方自治制度の意義が評価された。 × 近代主権国家においても、中央政府が全てを統一的に支配することは実際上不可能であり、地方自治制度の意義は認識されるようになっていた。
都道府県と市町村という二段階制の地方公共団体が憲法上保障されているかについては、争いがある。この点、二段階制を立法政策とし、一段階制とするか二段階制とするかは立法政策に委ねられているとする見解に立つと、地方公共団体の廃止は違憲とはなりえなくなる。 × 二段階制の採用を立法政策と捉えたからといって、地方自治の本質まで立法政策説をとる必然性はない。
95条の地方特別法の手続は、条例でこれを定めうる。 × 法律によるべきとされる。
複数の地方公共団体が地方自治特別法の適用対象となる場合には、住民投票は個々の地方公共団体ごとに行われる。  「一の」とは、特定のという意味であり、複数でもよい。そして、その場合、本肢のように解されている。
地方自治権は、国家の承認に基づき、国家の承認する限りで認められるものである、との見解に立つと、現行憲法の諸条項は地方自治権の確認規定ということになる。 × この見解は、国家の承認によりはじめて地方自治権が認められるとするのであるから、憲法の地方自治の規定は創設規定ということになる。

 

憲法訴訟その他

国家緊急権は、立憲的な憲法秩序を一時的ではあるが停止させ、執行権への権力の集中と強化を図って危機を乗り切ろうとするものであるから、立憲主義を破壊する大きな危険を持っている。従って、法律で緊急の事態に対処すべき方法を定めることは一切許されない。 × 緊急権そのものを認めることは許されないが、緊急事態の措置について定めることは許されてよい。
一般的効力説は、個別・具体的な適用行為に関する憲法判断も一般的効力を有するものと考える。 × 事柄の性質上、当該事件どまりとされる。
違憲判決の効力について、いかなる立場に立っても、下級裁判所の違憲判決は当該事件の当事者限りにおいて当該法令の適用を排除する意味しか持たない。  最終的な憲法判断権を有していない。
付随的審査制は、司法権の本質から当然に認められる。これは、一般的効力説の根拠となる。  このように解すると、あえて81条があるのは抽象的審査権を認めるためだと解しうる。
判例は、必ずしも、抽象的審査を完全に否定しているわけではない。  法律事項説も可能。
憲法判断回避否定説は、実体法と手続法を混同している。  実体法上の違憲と、裁判での審理の有無は別。
イタリアは、憲法裁判所を設置している。  大陸法系とされる。
合憲限定解釈は、付随的審査制の一属性であるが、さらにより広い基盤に立っているものであり、抽象的審査制の下でも、憲法裁判の準則として妥当しうる。  立法府の判断の尊重、混乱の回避など。なお、ドイツでも現に採用されている。
憲法改正について、国民の承認を得たときは、天皇は直ちに自らの名でこれを公布する。 × 「国民の名で」(96条2項)。
憲法改正に限界はないと解し、かつ上諭の文言を重視すれば、日本国憲法は欽定憲法として成立したと解することも可能である。  法的連続性を認めうる。
国会による憲法改正の発議が成立すると、国会は、国民の承認を得るため、改めてこれを提案しなければならない。 × 「発議し、国民に提案」とは、別個の行為ではなく、可決にいずれも含まれているとされる。
憲法改正行為は、国民の承認によって成立するのであり、国民の承認を条件として効力が発生するのではない。  成立要件とされている。
8月革命説は、憲法成立の事実経過の説明として客観的に疑問の余地があるとされる。  例えば、ポツダム宣言が国民主権の要求を当然に含むものであったか、など。