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権利の主体・客体

公益法人は、設立の登記をした時に権利能力を取得する。 × 登記は対抗要件にすぎない。権利能力は、許可(34条)を得た時点で取得する。
民法125条の「全部又ハ一部ノ履行」には、履行の受領も含まれる。  SC.S8.4.28。
未成年者Aは、Cの詐欺により、自己の所有の土地をCに売却した。この場合、Aが詐欺に気づく以前になした法定代理人Bによる追認は有効である。  124条3項。
13歳のCは、1万円以上の取引は法定代理人の同意を要するという条件つきの許可を受けて、学用品を販売した。かかる行為は、取り消すことができる。  一個の営業の一部のみを許可することは認められていない。
15歳のFは、その所有するパソコンを売却するにあたり、法定代理人Gの同意を得ていたが、この同意は買主Hの強迫によるものであった。Gが強迫を理由にこの同意を取り消したときは、FH間の売買契約も遡及的に無効となる。 × 同意の効果が消滅しても、売買契約は取り消しうる行為となるだけである。
甲(19歳)から甲所有の土地を購入した乙は、1年後、甲に対して追認するか否か1ヶ月以内に確答すべき旨を催告した。甲は乙に対し20日後に取消の意思表示を発信したが、郵便が延着し、通常なら2日で到着するところ、12日後に到着した。この場合、甲乙間の売買契約は追認されたことになる。 × 無能力取消の催告に対する確答は発信主義が採用されている(19条)。なお、契約の承諾とは異なり、到達しなければ効力を生じない旨の規定は存しない。
補助開始の審判は、自己決定権尊重の見地から、本人の請求または同意が要件とされている。  14条2項、16条2項。
被保佐人が贈与をなすには保佐人の同意を要するが、単に贈与を受けるには同意を要しない。  不利益を被るおそれはない。
未成年者が法定代理人より営業の許可を受けたが、後に営業に堪えないため許可が取り消された場合、この取消前になされた行為は完全に有効である。  許可の取消は撤回の一種であり、将来効とされている。
未成年者Aが土地を売却した。Aの法定代理人が右土地での営業を許可していた場合、右売買契約はもはや取り消せない。 × 土地上での営業の許可があっても、土地そのものを売る許可はない。
不在者の財産管理の請求は、検察官もなしうる。  25条1項。
被保佐人は、不在者の財産管理人になることはできない。 × 法定代理人・任意代理人の二種があるが、いずれも102条が適用され、行為能力を有しない。
Xの財産管理人Yは、Xの不在中に家庭裁判所の許可を得ることなくX所有の土地を期間7年の契約でZに賃貸した。この場合、後に帰来したXは、Zに対して土地の明渡しを請求することができない。 × 管理人は、保存・利用・改良行為のみをなしえ、これ以外の行為をなすには家庭裁判所の許可を要する(28条本文)。そして、賃貸借は一般には利用行為だが、602条を超えるものは処分権限を要するので、許可なき限り無権代理となる。
失踪宣告の請求は、検察官もなしうる。 × 利害関係人のみ(30条1項)。死亡を擬制することは、帰来を待つ親族に不利益となりうるから。
甲の失踪宣告により、国庫は恩給支給を免れた。失踪宣告の取消により、国庫は甲に対して財産返還義務を負う。  32条2項は、給付義務を免れた場合も含む。
甲の配偶者乙は失踪宣告を受けたが、その後生存が判明し、宣告が取り消された。甲が乙にかけられていた生命保険金を受け取って全額を生活費にあてていた場合、甲はその相当額を保険会社に返還する義務を負う。  32条2項は、返還の相手方が被宣告者である場合に限定していない。
失踪宣告の請求をなしうる利害関係人には、一般的に、債権者・債務者などの取引関係の相手方も含まれる。 × 配偶者・法定代理人などをいう。
公益法人が目的の範囲外の行為を行うことは、公益に反するため、設立許可の取消原因となる。これに対して、主務官庁の命令に対する違反は、取消原因とならない。 × いずれも取消原因とされている。
法人の理事は、権限の全部を代理人に委任することができる。 × 特定の行為の委任のみが許されている。(55条)
法人の代表者が選任した代理人が、職務を行うにつき他人に損害を加えたときも、法人は責任を負うことがある。  44条にはあたらないが、715条にはあたりうる。
法人には理事を必ず置かなければならないが、監事は必ずしも置く必要はない。  58条。
法人の土地を担保に、理事が銀行から金銭を借り受ける場合には、特別代理人を選任しなければならない。  57条。
公益法人がその債務を完済することができなくなったときは、法人を監督する主務官庁は破産の申し立てをすることができる。 × 理事もしくは債権者の請求または職権による。(70条1項)
公益法人は、定款に定めない場合でも、理事全員の一致があれば解散することができる。 × このような解散事由は認められていない。(68条参照)
公益法人は、定款に定めた目的たる事業の成功不能が確定した場合でも、その事業の目的を変更することによって解散を免れることができる。 × 68条1項により解散しなければならない。
定款で、定款変更を許さない旨を定めても、その定めに拘束力はない。  ただし、「総社員の同意によってのみ変更可」と解した上、その限りで有効とされている。
社団法人は、その社員が一人になったときは、当然に解散する。 × 社員の欠乏(ゼロ)により解散する。(68条2項2号)
法人擬制説に立つと、法人の代表者が物を占有していても、それは占有補助者にすぎない。 × 法人実在説に立った場合の帰結である。
法人擬制説に立つと、民法101条はあくまで準用ないし類推適用されるにすぎない。 × 法人実在説に立った場合の帰結である。
公益社団法人甲の定款の代表権制限に反して、理事乙は丙から一億円を借り入れ、自己のために費消した。この場合、丙が当該定款の規定を知っている以上、乙の自己利用目的を知らなくても、丙は甲に対して一億円の返還を請求できない。 × 別途、110条を適用する余地がある。
法人の理事の代表権に定款又は法令による制限がある場合に、相手方が制限の存在・要件の具備のいずれについても軽過失があるときは、一切保護される余地はない。 × 44条で保護される余地はある。
定款で、理事会の決議により定款を変更できると定めても、その定めに拘束力はない。  総会の専権事項とされる。
定款で、社員総会の招集を請求するには、総社員の過半数をもってしなければならないと定めても、その定めに拘束力はない。 × 事実上行使不能な数にすることは許されないが、過半数程度なら可。
公益法人の場合、構成員の個人財産が法人の債務の責任財産となることはない。  営利法人における合名会社のような例外はない。
法人の不法行為責任は、理事や支配人の行為により生じる。 × 支配人のように、理事から一定の権限を与えられたにすぎない者は含まれない。SC.T6.4.7。
法人の理事甲が、理事乙を代表者としてその法人から財産を譲り受けても、利益相反行為にはあたらない。  他の理事が法人を代表する場合は、利益相反にあたらないとされる。
公益社団法人の社員総会では、定款で理事その他役員に委任したものを除くほか、法人の運営に関するあらゆる事項について決定する権限を有する。  63条。
理事が複数いる法人において、理事の一人が多数決に従わずに代表行為を行った。法人は原則として代表行為の無効を主張しうる。 × 52条2項は内部関係にすぎない。ただし、多数決なきことにつき悪意の者に対しては、54条の趣旨から無効となる。
被保佐人は、社団法人の理事にはなれない。 × 代表には代理の規定が類推され、102条により行為能力を要しない。
法人が公益を害する行為をしたときは、主務官庁の申し立てにより、裁判所がその法人の設立許可を取り消すことができる。 × 設立許可の取消は、主務官庁自身が行う。(71条)
従物の要件として、主物の常用に供せられることが必要であるが、これは専ら客観的に決められるものであって、付属させる者の意思は客観的に現れない限り影響しない。  社会経済的利益を趣旨とするから。
庭園に配置される石灯籠や五重塔などは、土地に符合しているから、従物ではない。 × 土地の付着物にすぎず、従物である。
主物は従物の処分に従うのであり、主物について売買、賃貸借その他の債権契約がなされたときは、別段の意思表示なき限り、従物をも包含する。  「処分」(87条2項)は、債権的処分も含む。

 

意思の瑕疵・欠缺

Aが甲に対する債権をBに仮装譲渡したところ、Bが右債権を取り立てる目的でCに譲渡した。この場合、AB間の事情についてCが善意でも、AはCに対して自己が債権者であることを主張できる。  固有の利害関係を有しない。
民法93条但書の「真意ヲ知リ」とは、隠れた意思を知る必要はなく、単に真意でないことを知っていれば足りる。  かかる場合には、もはや保護の必要性はないから。
AがBの強迫により完全に意思の自由を失って、自己所有建物を譲渡した場合、Aは強迫を免れてから5年経過後は建物引渡請求をなしえない。 × 完全に意思の自由を失っている場合は、意思能力を欠くので、当然無効。
詐欺とは、欺罔によって人を錯誤に陥れることであるが、詐欺となる欺罔行為は、積極的な作為に限らず、沈黙も含まれうる。  SC.S12.11.18。
未登記建物の固定資産課税台帳の記載も、94条2項類推適用のための外観にあたる、というのが判例である。  SC.S48.6.28。
相手方のない単独行為には、通謀の可能性がないから、財団法人の設立を目的とする寄付行為に、虚偽表示の規定は適用も類推適用もされることはない。 × 実質的にそれが関係者の通謀に基づくものであるときは、類推される。SC.S42.6.22。
利息をその発生の都度元本に組み入れる旨の債権者・債務者間の約定は有効である。  ただし、利息制限法には反しえない。SC.S45.4.21。
BはAに「殴るぞ」と冗談を言ったところ、Aはこれを本気にし、Bの機嫌をとるため、自己の宝石を格安で譲渡した。Aは右譲渡を取り消しうる。 × 強迫の故意を欠くため、96条の強迫は成立していない。
AはBにだまされて土地をBに売却した。その後、Bは相当期間を定め催告したが、確答はなかった。Aはもはや取り消しえない。 × 催告・確答は、無能力取消の場合のみ。