多くの問題にあたる 論文の力をつけるため、できるだけ多くの問題を検討する必要があることは、異論のないところだと思います。しかし、答案それ自体を多く書くことの必要性は、あまり叫ばれていません。一般には、@問題文にざっと目を通したあとすぐに解答例を読む、又は、A15分ほど答案構成をした上で解答例を読む、といった方法がとられています。 確かに、全ての問題について実際に答案を書いていたのでは、とても時間が足りません。自分も、答練の予習のメインは、上のような方法での問題検討でした。厳密には、上の@とAの中間ぐらいだと思います。5分ほど頭の中で答案構成をして、解答例をチェックする、という感じでした。(純粋な@は、「考える」ということをしなくなってしまうので、あまりオススメできません。また、Aについては、「答案構成ノート」という物体を作成することに意味があるのではなく、あくまでその問題を検討することに意味があるという点を忘れないで下さい。)
また、上のような問題検討とは別に、自分は一日一通の答案を必ず書くようにしていました。具体的には、前年度の各予備校の予想答練をあらかじめ集めて体系別に並べておいて、後期答練のスケジュールにあわせて、朝一番にまず答案を書くようにしていました。自分の論文合格は、この「一日一通」なしにはありえませんでした。 まず、答案のバランスを整える力がつくと思います。たとえば、「この論点は本問のメインじゃないから、5行程度におさめよう」と思ったとしても、それを実際に5行におさめるのはそう簡単ではありません。論述の分量を自由にコントロールするには、実際に多くの答案を書く必要があります。 次に、「答案構成」を「答案」に変換する能力が上がります。一般に、論文の答案を書く際には、まず答案構成を作成して、それを答案に変換するという作業を経ますね。このとき、答案構成が丁寧であれば変換は楽だし、逆に答案構成を所々でハショると、変換の際にそれを補う必要があるので複雑になります。しかし、実際に答案をたくさん書いて、たくさん右の過程を経れば、変換能力も向上するので、ある程度ハショった答案構成でも答案が書ける(答案構成にかける時間を短縮できる)ようになります。 さらに、答案を書くスピードそれ自体も速くなります。自分は、はじめ、答案を書くのが遅いほうでした。しかし、本試験の刑法第1問では、答案構成に30分ほどかけても、3ページ半ほど書くことができました。毎日書けば、腕っぷしが強くなるのは当然です。 このような力は、上で述べた@Aの方法だけでは身につきませんし、たった週2回の答練では必ずしも十分とはいえません。そこで、ぜひみなさんに一日一通をオススメしたいです。 |