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 book.gif (1431 バイト) 芦部・憲法(岩波)

 評価:★★★★

 憲法学会の大御所・故芦部先生の教科書です。文章のわかりやすさに加え、現在の有力試験委員が芦部先生の門下生だということもあって、圧倒的な人気を誇っています。択一試験の問題の素材にもよく使われていますね。

 「行間を読まなければならない」と言われたりもしてますが、ひととおり勉強していれば、わりとさくさく読み進めると思います。(←それは理解できてない証拠だ、と言われそうですが・・・)

 もっとも、違憲審査基準に関する記述はかなり難しいと感じました。たとえば、「目的」ひとつをとってみても、@目的が正当であること、A目的が重要であること、B目的が必要不可欠であること、C目的がやむにやまれぬ必要不可欠なものであること、など、予備校で習うよりもはるかにキメ細かなヴァリエーションがあり、なんか、かえって混乱してしまいました。受験上は、ここまでやる必要はないと思うのですが・・・。

 

book.gif (1431 バイト) 上田・民事訴訟法(法学書院)

 評価:★★★★

 旧訴訟物理論・改正民訴にいち早く対応・元司法試験委員という三拍子揃った本で、一躍受験界のスタンダードテキストとなりました。

 内容は、分厚いだけあって、とにかく何でも載ってます。辞書にはもってこい。学説も答案で書きやすそうな穏当なものが多く、それなりの理由付けもなされています。また、文字のポイントが重要度に応じて3段階に分けられているなど、読みやすくする工夫もなされています。民訴さっぱりわかんないよーという方は、ぜひどうぞ。

 

book.gif (1431 バイト) 初宿・憲法2(成文堂)

 評価:★★☆☆☆

 佐藤幸治先生の後を継いで京大学派を背負う、初宿教授の教科書です。現在、司法試験委員をやっておられます。自分が京都大学にいたときに、憲法を教えていただいた先生でもあります。

 が、この本は・・・はっきり言って、受験勉強に使うには向いてないです。(もちろん、学問的価値はまた別だと思いますが) 論点の解説的な記述が少なく、「判例は、こういう結論をとった」と書いてあるだけで終わっていることもしばしば。他方、「この点、ドイツのヴァイマル憲法では、〜〜」と、外国法との比較がやたらと詳しかったりします。(「ワイマール」と記述しないあたり、妙にアカデミックだなぁ、と感じる・・・)。

 合格してから読みましょう、という感じの一冊ですね。

 

book.gif (1431 バイト) 田口・刑事訴訟法(弘文社)

 評価:★★★☆☆

 現在、司法試験委員をやっておられるということで、受験生の間では人気上昇中の基本書です。・・・が、記述がおそろしく薄いです。わからないことを調べようと思ってこの本の該当個所を読んでみても、やっぱりわからないということが多い気がするんですね。「基本書は読むものではなく、辞書のように引くものだ」という柴田先生の理論からすれば、使えないなぁ・・・という印象です。

 ただ、学説自体は穏当ですし、ページ数も少ないということで、基本書重視の人が勉強するには、とっつきやすい本だと思います。

 

book.gif (1431 バイト) 前田・刑法総論講義(東大)

 評価:★★★★

 こちらも現司法試験委員の基本書。二色刷と横書きがわかりやすいと評判です。受験生の間でも、前田説が増えてきているとか。かくいう自分も、去年までは前田説に立っておりました(汗)。

 記述が丁寧なので、わからないことを調べるときには、便利だと思います。ただ、学説まで前田説に乗り換えてしまうのは・・・。自分は、よう勧めません。なぜなら、基本書の記述ではまわりくどく、かつ長すぎるため、新たに論証を作りなおさなければなりません。市販の論証集も、まだ信頼できるものがなく、表現もこなれてないんです。

 また、そもそも前田説は、体系から演繹的に結論を導くという方法ではなく、「国民の納得いく解釈」を出発点しているため、理論重視の通説を勉強した人には耐えられない部分があると思います。

 

book.gif (1431 バイト) 弥永・リーガルマインド会社法(有斐閣)

 評価:★★★★

 受験生の間で人気が高いだけあって、使いやすいです。理由づけがオーソドックスかつ丁寧でわかりやすく、わからない点を辞書がわりで調べればたいてい載っていて、疑問解決しました。文章をそのまま論証に使うこともできると思います。

 形式的にも、横書きで読みやすいし、図表も多くて理解しやすいです。ただ、項目番号がやたらと多く、たとえば「7−3−3−5−2」とか標題に挙げられていても、全体の中でどういう位置にいるのかさっぱりわからなかったりします。(もっとも、はじめから通読していればわかるのかもしれません。自分のように、つまみぐい的な読み方をするタイプには、なんじゃこりゃという感じですが。)

 

※ 評価の基準は、以下の通りです。

  ★★★★★=必要的参考書
  ★★★★☆=有益的参考書
  ★★★☆☆=普通の参考書
  ★★☆☆☆=無益的参考書
  ☆☆☆☆=有害的参考書