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一1 民事訴訟においては、手続が公開されるのが原則である(憲
法82条1項、公開主義)
これは、手続を公開することによって裁判を国民の監視の下
におき、これにより適正公平な裁判を実現し、国民の裁判に対
する信頼を確保するためのものである。
2 もっとも、@手続が公開されることによって当事者に不利益
が生じることになれば、訴訟による紛争解決を避けることにな
りかけない。
また、A手続を公開しないほうが、迅速かつ柔軟な紛争解決
が可能となる場合がある。
そこで、一定の場合に手続が例外的に公開されない場合があ
る。
二1 まず、裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序または善良
の風俗を害するおそれがあると決した場合には、対審は公開し
ないで行うことができる(憲法82条2項本文)。
具体的には、企業の営業上の秘密に関しての紛争は「公の秩
序」にあたり、手続を非公開とすることができる。
これは、コンピューターの設計図やノウハウのような企業秘
密であるべき事柄に紛争が生じた場合に、手続が公開されるの
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では秘密が一般にも公開されることになってしまう。これで
は、秘密の価値が全くなくなってしまい、訴訟による紛争解決
を避けることになりかねない。
そこで、この場合手続を公開しないことができる。
2 次に、弁論準備手続(168条)の場合にも手続が非公開とさ
れる。
弁論準備手続は、関係者には公開されるが一般には非公開と
されるため(169条2項)、これも手続が公開されない場合の
一つといえる。
一般には公開しないで裁判官室や和解室で争点・証拠の整理
をすることで、率直な意見交換が可能となり、柔軟かつ迅速な
紛争解決が可能となる。
以 上 |