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一 下級裁判所の裁判権の行使に関する本問の法律は、憲法上許さ
れるか。
二 まず、本問法律は、下級裁判所において憲法適合性の判断を受
けることを妨げる点で、裁判を受ける権利(32条)を侵害しな
いかが問題となるも、侵害しないと解する。
なぜなら、右権利は、裁判所以外の機関による裁判を強制され
ないということを意味するものであり、下級裁判所か最高裁判所
かということまで問題とするものではないからである。
三 次に、本問法律は、下級裁判所裁判官の職権行使の独立(76
条3項)を侵害しないかが問題となるも、侵害しないと解する。
なぜなら、本問法律は、下級裁判所裁判官の職権行使そのもの
に干渉することを認めるものではなく、最高裁判所への移送を義
務付けても、裁判官を萎縮させることはないからである。
四1 そうだとしても、次に、本問法律は、下級裁判所の憲法適合
性判断権を奪うものとして、憲法上許されないのではないか。
2 この点、81条は、最高裁判所が一切の法律等の憲法適合性
判断権を有する終審裁判所であるとしている。このことからす
れば、下級裁判所の憲法適合性判断権は否定されるとも考えう
る。
3 しかし、そもそも同条の趣旨は、終局的に解釈の統一性を最
高裁判所において確保することで、裁判所によって紛争解決の
内容が区々になるのを防ぎ、もって人権保障を図る点にある。
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とすれば、同条は、最高裁判所を「終審」裁判所としたとこ
ろにこそ意味があるのであって、下級裁判所の憲法適合性判断
権を否定する趣旨ではないと解すべきである。
むしろ、76条1項において、最高裁判所およびそれを頂点
とする下級裁判所が司法権を行使するものとされていることを
あわせ考えるならば、81条は、下級裁判所も憲法適合性判断
権を持つことを当然予定したものというべきである。
4 このように解しても、最終的な判断を最高裁判所が行うので
あれば、前述した81条の趣旨には反しない。
さらに、実際上も、最高裁判所のみならず、下級裁判所にお
いても当事者の主張を戦わせ、議論を尽くさせたほうが、真理
の発見ひいては人権保障に資すると考えられる。
5 以上から、憲法は、下級裁判所にも憲法適合性判断権を認め
る趣旨であると考えられる。
とすれば、憲法適合性の判断について、最高裁判所の判断を
「求めうる」とするのであればともかく、「求めなければなら
ない」と法律で規定することは、下級裁判所の憲法適合性判断
権を全面的に奪うものであって、81条・76条1項の趣旨に
反し、憲法上許されない。
以上
※ 問題文を読んで、「はぁ?」という感じでした。法律で定めて
るという点で、自由主義vs民主主義みたいな話をするのかなぁと
も思ったのですが、別に国会の判断を求めなければならないとし
てるわけではないので、そこは気にしなくてもいいのかなと判断
し、書きませんでした。
※ これは一体・・・何を書けばいいんでしょうね。 |