468条2項と94条2項が衝突する場面では、譲受人は「第三者」に該当すると考えるのに、541条但書との衝突の場面では「第三者」に該当しないと考えるのは、どうしてですか。(p.443-447) |
ひえー、これは難問だ・・・。 たしかに判例は、541条の時に限って、「債権そのものの譲受人はダメだ」と言ってます。この論法でいくならば、94条の時にも譲受人は「第三者」に該当しないはずですよね・・・。 おそらく、これは理屈ではなく実質的な考慮によるものでしょう。すなわち、94条の時は、債務者は自ら通謀を行っているわけで、要保護性が低いですよね。他方、541条の時は、債務者自身には帰責性がないので、要保護性が高いです。このような違いから、妥当な結論を導くために、「第三者」の射程範囲を変えているのではないでしょうか。 |
468条2項の「事由」の解釈で、「抗弁事由発生の基礎をも含む」と広く解するのは、債務者保護の見地から納得できます。でも、468条1項の「事由」の解釈は、広く解するとかえって債務者保護にならないのではないですか。(p.452-454) |
なるほど。1項の「事由」を広くすると、抗弁が切断されやすくなりそうですもんね。 でも、公信力説に立つならば、抗弁の切断が認められるためには善意無過失が必要ですよね。この点、1項の「事由」を広く解釈すれば、その分、悪意有過失の範囲が大きくなるわけです。だから、やっぱり、2項と同様に広く解した方が債務者保護に資するんです。 |