「不特定物売買においては、瑕疵ある物を持って行っても履行義務を免れない」とあります。でも、品物を持って行ったということは、その時点で特定が生じ、それを渡せば履行義務を免れるのではないですか。(p.215) |
なるほど、483条ですか。たしかに、持参債務においては、「現実の提供」があれば特定が生じますね。 この点、本件の売主も、品物を持って行ってます。でも、それはあくまで瑕疵物ですから、「現実の提供」とは言えません。債務者が物の給付をなすのに必要な行為を完了したとは評価できないので、そもそも特定が生じてないんです。 実質的に見ても、瑕疵物に限定されるというのは、あまりにも買主に酷だし、公平を欠く結果でしょう。 |
制限種類債権の目的物が不可抗力により全部滅失した場合、債権者主義と債務者主義のどちらが適用されるのですか。 |
たしかに、制限種類債権は、全部滅失によって履行不能となる点で、特定物と共通します。しかし、あくまで制限つきの「種類債権」なのであって、危険負担の処理においては、種類債権(≒不特定物債権)と同様の処理をすべきだと思います。すなわち、536条1項により、原則として債務者主義と考えるべきでしょう。 実質的にも、534条1項は、支配の移転を根拠としていますが、「倉庫の中にあるうちの50個」というだけでは、支配の移転を認めることはできないと思いますね。 |