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 債務不履行には、「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」の3種類があると書いてあります。でも、そもそも不完全履行なるものはどういう場合に起こるのでしょうか。特定物の場合、債務者は現状引渡義務を負う以上、不完全な履行という問題は生じないと思います。また、不特定物の場合も、債務者は調達義務を負う以上、不完全履行を議論しなくてもよいと思うのですが。(p.257)

 ああ、そうですよね。これも言葉の問題なんですが・・・。

 特定物の場合は、483条によって現状にて引き渡せば足りるので、瑕疵の部分は「一部」履行不能という処理になります。また、不特定物の場合は、調達義務を負いますから、瑕疵の部分は、「一部」履行遅滞という処理になります。

 つまりですね、不完全履行といわれる事例の大部分は、履行遅滞と履行不能に収斂されるわけです。その意味で、この3つを並列に並べてしまうのは、かえって理解の妨げになっているかもしれませんね。

 ただ、不完全履行独特のものとして、付随義務違反というものがあります。これについては、論基礎で学習します。

 

 民法416条につき相当因果関係説に立った場合、「脳梅毒患者の頭を殴ったら死亡した」という事例において、脳梅毒患者であることを予見できれば、「死亡したこと」が通常損害にあたるというのはわかります。では、この場合、特別損害とは具体的にどのようなものをいうのでしょうか。(p.268-270)

 たしかに、特別損害のイメージを自力で考えるのは難しいかもしれませんね。

 特別損害の具体例としては、二次的な損害が挙げられると思います。脳梅毒の例でいくならば、「脳梅毒患者が死んだ」というのが通常損害、「そのショックで、心臓の悪いおばあちゃんまで死んでしまった」というのが特別損害にあたります。

 

 解除と取消はどう違うんですか。(p.249)

 うーむ。これ、案外難しいなぁ・・・。

 「取消」は、意思表示自体に瑕疵がある場合に認められます。「解除」は、意思表示自体は問題ないが、契約の存続を困難ならしめる何らかの事情がある場合に認められます。

 おそらく、前者の場合の方が、「そいつを保護してやろう」というニュアンスが込められていると思います。だからこそ、取消には遡及効や現存利益についての明文規定が設けられているのでしょう。

 

 取消後の第三者保護については94条2項類推適用が多数説なのに、解除後の第三者保護については復帰的物権変動が多数説なのは、どうしてですか。(p.119-122、290-291)

 なるほど。もっともな疑問ですね。

 そもそも復帰的物権変動説の弱点は、遡及効を無視しているという点にあります。この点、取消については遡及効が明文で規定されていますが(121条)、解除については明文がありません。それゆえ、原則論を貫くべき要請の度合いに差があるのだと思います。

 さらに根底には、上に述べたような、取消と解除の違いもあるのではないでしょうか。

 

 412条3項の「請求」は、541条の「催告」を兼ねることが出来ます。しかし、そのような再度の考慮の機会を与えるという見地からすれば、そもそも「弁済の提供」も「催告」を兼ねることが出来るのではないですか。(p.280)

 ?? 考えたことなかったんですけど。

 「請求」というのは、早くしろ!とせかすわけだから、履行をなすか否かの考慮の機会が与えられてると言えます。でも、「弁済の提供」の場合は、債務の履行行為を行うにすぎません。それだけで再度の考慮の機会が与えられたと考えるのは、ちょっと無理がある気がしますね。

 仮に「弁済の提供」が再度の考慮の機会を与えるようなものであると実質的に言えるような場合には、当該行為自体を「弁済の提供」と「請求」に二重評価しうると思います。そのように考えるならば、現実には「弁済の提供」が「催告」を兼ねるか、という問題は生じないといえるでしょう。

 

 売買の買主に過失がある時は、瑕疵担保責任の追及はできません。この場合、買主は、別途に不当利得返還請求をすることはできないのですか。(p.319)

 それを認めてしまったら、善意無過失に限定した意味がなくなっちゃいます。

 不当利得返還請求が認められるためには、「法律上の原因」がないことが必要なんです。でも、原始的瑕疵の場合は、債権債務が有効に発生するわけでしょう。そして、損害賠償請求が認められないということは、その受益は法的に保護された財貨帰属秩序といえ、まさに「法律上の原因」があるといえるのです。従って、不当利得の問題は生じません。