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 債権者代位権の対象が動産・金銭である場合には、直接自己に引き渡せと請求できる、とあります。でも、第三債務者にしてみれば、直接面識がないのだから、本当にその人に引き渡していいのかどうか困りませんか。ニセモノだったらどうするんですか。(p.557)

 うーん・・・。でも、それは別に債権者代位権に限ったことではないでしょう。代理受領のような場合も同じだと思います。さらに、直接受領する場合でも、必ずしも面識あるとは限りませんしね。

 権利行使の際に、請求者の側が「自分は権利者なんだ」ということを証明します。それを信用して支払ったのにニセモノだったという場合には、478条によって保護すればよいと思います。

 

 債権者取消権の効果は相対的効力であり、取消権者と被告の関係にのみ効力が及ぶとされています。つまり、債務者には影響しないんですよね。だとすれば、そもそも登記名義を債務者のところへ戻すことはできないと思うのですが。(p.579-582)

 これは難しい。自分もよくわかりません。以下は私見ですので、参考程度に読んでください。

 おそらく、「相対的効力」というのは、厳密には、責任財産の保全に必要な限度においてのみ取消の効力が生じるという意味なのだと思います(←LEC岩崎先生の説明)。よって、責任財産保全に必要な限りで、債務者にも影響を及ぼすのではないでしょうか。それゆえ、登記名義を債務者に戻し、債務者の責任財産の枠へ土地を戻すことも許されるのだと考えられます。

 

 債権者取消権の対象が動産・金銭である場合には、直接自己に引き渡せと請求できる、とあります。でも、按分額の支払拒絶権も認められないし、按分の分割請求権も認められないとすれば、取消権者が全部横取りすることになって、必要以上に保護されてしまうのではないですか。(p.586-588)

 ご指摘の通りだと思います。そもそも平等な分配を目的とした制度ではありませんからね。仕方ないのでしょう。学者の方も「制度の欠陥で、やむをえない」とおっしゃってます。

 まぁ、債権者取消権は裁判上でしか行使できませんしね。熱心に債権回収しようとした者にごほうびをあげるのも、あながち不当とはいえない気がします。