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 中断の相対効の例外として、地役権の284条2項が挙げられています。でも、同条項は「各共有者に対してこれを為すにあらざればその効力を生ぜず」と規定しており、これはまさに相対効について定めた条文のように見えるのですが。(p.840)

 相対効というのは、たとえば、Aに対してだけ請求をした場合、「Aについては時効中断するが、他のBCに対しては時効中断しない」という考え方ですよね。

 これに対して、284条2項の方は、Aに対してだけ請求しても、「誰についても時効中断しない」んです。Aとの関係ですら、時効中断しないんですね。よって、債権者は、必ず全員に対して請求をすることが要請されます。

 これは、相対効でも絶対効でもありません。まさに、地役権に独特の処理ということになります。

 

 時効と登記のところで、判例に対する批判として、「時効の起算点を動かしえないとするのは、時効制度の趣旨と矛盾する」とありますが、これはどういう意味ですか。(p.849-853)

 ここでいう「時効制度の趣旨」とは、立証困難の救済です。

 たとえば、Aさんが50年前から土地を占有していたとしましょう。この場合に、もし起算点を動かしえないとするならば、Aが時効取得したことを裁判で主張するためには、50年前から40年前までの10年間(善意の場合)の占有を立証しなければなりませんよね。これでは、あまり意味がないわけです。

 「昔の事実は、立証が困難だろうから」という時効制度の趣旨からするならば、立証が容易な直近10年(10年前から現在まで)での時効取得を認めるべきだ、と学説は主張しているわけです。

 

 時効と登記のところで、判決確定時説の理由として、「占有と結びついていた所有権が、判決確定後近代的所有権に転化する」とありますが、これはどういう意味ですか。(p.849-853)

 ふむ・・・。このフレーズは難解ですね。

 「近代的所有権」は、今まで勉強してきた普通の所有権のことです。(近代的、という語は、法的な意味付けを与えられているという点を強調しています)  これに対して、「占有と結びついた所有権」というのは、その前の段階です。占有から派生してきた所有権の卵みたいなものだと考えるとわかりやすいでしょう。

 判決がいったん確定すれば、卵がかえって、普通の所有権となるのだから、それ以降は登記で決着をつけなさい、というのが、判決確定時説の考え方なのだと思います。

 

 抵当権が396条ないし167条により消滅時効にかかりうるのだとすれば、この時効消滅を防ぐためには、債権者はいったいどうやったらいいんでしょうか。(p.861)

 おっ、これはレベルの高い質問ですね。

 判例・多数説は、被担保債権の請求により、抵当権の時効も中断すると考えています。根拠は、担保権の付従性ですね。また、保証人における457条との均衡も図っているのでしょう。

 ちなみに、少数説は、抵当権存在確認訴訟という、訴えの提起によって時効中断すると考えているようです。まぁ、このへんは、論基礎ないし択基礎で勉強すると思います。