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 目的二分論のところで出てくる「消極目的・積極目的」というのは、公共の福祉論の「自由国家的公共の福祉・社会国家的公共の福祉」のことですか。(p.174、88-89)

 いいところに気がつきましたね。まさにその通りです。プロヴィデンステキストは、この点をはっきり明示すべきだと思います。

 

 消極目的の制約を厳格な基準で審査し、積極目的の制約を緩やかな基準で審査するということは、生命身体を保護する法律の方が違憲になりやすいということになり、変だと思うのですが。(p.174-175)

 これも鋭い指摘ですね。おっしゃる通りです。

 ただ、目的二分論を主張する学者も、「生命身体の保護は薄くていい」と言ってるわけではありません。すなわち、審査基準論を役割分担論として捉えているんです。

 経済活動の問題は、政策判断が必要だから、政治部門の役割。生命身体の問題は、政策判断が不要だから、裁判所の役割。という風に、審査能力に応じて仕事を割り振ってるだけであって、別に生命身体を軽んじてるわけではないのです。

 

 「私有財産制」の意味がよくわかりません。具体的財産権とどう違うのでしょうか。(p.183-184)

 「私有財産制」というのは、資本主義体制のことだと思います。だから、生産手段(ex.工場)を全て国有化してしまう=社会主義は、私有財産制に反しますね。(通説)

 「具体的財産権」というのは、国家が個人の財産をむやみやたらに侵害することはできないという権利です。土地収容などの場合は、こちらが問題となりますね。

 

 財産権侵害に対する損失補償の要否について、@「一般人」に対するA「強度」の制約であれば補償が認められる、という学説に立つと、それ以外の場合の処理はどうなるのですか。(p.191-192)

 この質問をした人は、かなりきちんと復習をやっていますね。以下に、それぞれの場合の処理を書いておきます。

 「一般人」・「弱度」 → 公共の福祉の範囲内・補償不要(29U)
 「一般人」・「強度」 → 公共の福祉の範囲外・補償必要(29V)

 「特定人」・「弱度」 → 平等原則(14)違反
 「特定人」・「強度」 → 財産権(29T)侵害・賠償必要(17)