「代表」概念(43条)の意味の違いがよくわかりません。(p.264-265) |
43条1項「代表」の意義については、@純粋代表、A半代表、B法的代表、と学説が分かれていますね。これは、民意の反映を要求する強さが異なるんです。 まず、@純粋代表だと、自由委任ですから、民意を無視した政治が行われるおそれがあります。 そこで、自由委任に少し制限を加えようというのがA半代表です。すなわち、現実に民意を反映すべきことが憲法上要請されている、と考えるんですね。 で、これを徹底させると、B法的代表になるわけです。つまり、民意を反映しない奴はクビにしてもいいということになります。 |
「立法」(41条)の意義について、およそ一般的・抽象的な法規範と考えるならば、当然、個別的・具体的な規範もこれに含まれると思うのですが。(p.272-273) |
たしかに、「一般的・抽象的」の方が広そうに見えますが・・・。ここはそういう論理的大小の話ではなくって、権限を誰に与えるかという話なんです。 そもそも憲法は、国会が一般的・抽象的な法律を定め、その法律を内閣や行政機関が個別・具体的に適用していく、というシステムを予定しています。つまり、個別・具体的な規範定立というのは、内閣の権限に属するわけです。だから、当然に41条に含まれるということはできません。 もっとも、学説は、一定の要件の下で、国会が個別的・具体的法律を作ることも許されるとしています。この点については、論基礎で習うと思います。 |
条約締結の承認(73条3号但書)について、「まず、事前の承認が欠けている場合は、条約不成立となる」とあります。でも、事前に承認がなくても、事後に承認があればいいじゃないですか。(p.293) |
ああ、この言い回しはまぎらわしいなあ。 「事前の承認が欠けている」というのは、単に承認がないことを意味しているのではありません。これは、事前に承認を求めたにもかかわらず国会で否決された、という意味なんです。だから、後になって国会が承認することは通常考えられません。 |