承継的共同正犯否定説は、殺人罪の場合は殺人未遂罪の共同正犯として処理します。なのに、強盗罪の場合は、なぜ窃盗罪の共同正犯として処理するのですか。強盗未遂罪の共同正犯とする方が整合性がとれるように思うのですが。(p.323-328) |
ふんふん、なるほど。 えっとですね、殺人の場合は、後行者も暴行などやっているわけですから、殺人の「実行の着手」ありといえますよね。 ところが、強盗中に、盗みの部分だけ加功したという場合は、後行者は暴行脅迫を何ら行っていません。すなわち、強盗の「実行の着手」すら認められないのです。その代わり、盗みを一緒にやっている以上、窃盗については一部実行全部責任が認められるということになるわけです。 |
結果的加重犯は、抽象的事実の錯誤とどう違うのですか。(p.335) |
おおっ、これは全く予想してなかったなぁ・・・。でも、たしかに、「傷害するつもりだったのに、死の結果が生じた」とか言われると、抽象的事実の錯誤じゃないかとも思えますよね。 抽象的事実の錯誤というのは、「予想に反して生じた結果について、故意を認めうるか」という問題です。これに対して、結果的加重犯は、「予想に反して生じた結果につき故意がなくても、重い責任を問う」という犯罪類型です。 |