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Otomo

「じゃ、答練の話が出たので、その流れで、次は論文の勉強にいきましょうか。」

タキさん

「はい。」

Otomo

「論文は、なんといっても、答練の受け方をどのようにするか、というのが最大の関心事ですよね。」

タキさん

「んー。」

Otomo

「何か変わったこととかしてました?」

タキさん

「してないですよ。インプットは答案の読み込みです。」

Otomo

「それは、論マスでやる新しい問題?」

タキさん

「過去問と、問題研究ですね。それから、秋季答練でやった資料です。直前答練は、各予備校のを2年分くらいですね。」

Otomo

「自分も2年分です。それ以前のは捨てました(笑)。多すぎて見返せないですから・・・。見返せない資料は、ごみと同じですからねぇ。」

タキさん

「あと、民法は一行問題集、刑訴はバランス感覚もやってました。」

Otomo

「自分は論文の森をやってました。バランス感覚も評判いいですけど、どうでした?」

タキさん

「まぁまぁじゃないですか。」

Otomo

「あれって、過去問集ですか?」

タキさん

「過去問と新作、両方ですね。納得いかない部分もありましたけど、まぁ完全な問題集など無いので、自分で調べて修正すればいいかっていう感じで。」

Otomo

「みんながいいと言うからには、それなりの理由があると思うのですが。」

タキさん

「論述が具体的ですよ。あと、論証のパターンが一定してるので、頭には入りやすいでしょう。」

Otomo

「学者執筆の本は必要でしょうかね? 基本書、演習書含めて。読んでました?」

タキさん

「必要だと思えばやればいいでしょう。というか、学者本なんて手段なので、手段が必要ですかって聞かれても(汗)。」

Otomo

「通読するか、辞書代わりにちょくちょく見るかっていうので大きく使い方が分かれると思うのですが、どっちでした?」

タキさん

「僕は後者でした。でも、結局全部読んだパターンが多かったですよ。法律の沿革とかそういうのはともかく(笑)。」

Otomo

「自分も後者でしたね。ただ、ちまたでは、部分的につまみぐいするのは良くない的に言うむきもあるみたいですが。」

タキさん

「いやぁ、答案を書くのに弊害があるとは思えないですけど。答案さえ書ければそれでよいわけですから。」

Otomo

「答案に書ける内容は、分量的にもしれてますからね。」

タキさん

「でも、添削してると、分量を書けない人、多いですね。2ページくらいの答案が多いじゃないですか。4ページ書いてる答案は少ないですよね。」

Otomo

「あんまり見かけないね。タキさんは、結構書いてたほう?」

タキさん

「必要なことは緻密に過不足なく書くようにはしてました。」

Otomo

「で、そうすると、4ページ目くらいにはたいてい行った、という感じ?」

タキさん

「そうですね。まぁ、ページ数は、結果論ですけど。」

Otomo

「なるほど。書くスピードにもよるとは思いますけどね。答案構成に、どのくらい時間かけてました?」

タキさん

「本試験時で、5分から10分ですね。」

Otomo

「速いなぁ。それは、4ページ書くのも訳ないよねぇ。自分は、25から30分かかりました。それでも、4ページ目に行くこと多かったですが。」

タキさん

「でも、本試験の刑法は焦りました。書いてる途中で悩んじゃって、時間ぎりぎりになって。」

Otomo

「そういうのを避けるために、構成を丁寧にやれ、と予備校講師は言うわけですが(笑)。」

タキさん

「はは。」

Otomo

「タキさんのときの刑法って、なんだっけ。えーと。」

タキさん

「文書偽造です。偽造罪を2つ成立させるべきかで悩んじゃいました。」

Otomo

「あー、あれね。」

タキさん

「あと、1問目の強盗の問題。結論は強盗未遂にしたかったんで、その法律構成に悩みました。」

Otomo

「結論がまずあるわけですね。」

タキさん

「そうですね。法律なんて手段ですから、結論の妥当性はあってあたりまえ、それを前提にいかに法律的に筋を通すかだと思います。で、どうしてもしんどいときは、結論がマズイことに気づいてますという程度のアピールをすることですね。」

Otomo

「なるほど。あと、答案を書くときの心構えですが。タキさんが、ファイナル答練掲示板に書いておられたコメントが大変ためになったんですよ。今、ここにあるんですけどね。」

(以下、引用)

『本試験ですが、嘘と余事記載に気をつけてくださいね。問いに答えることを離れないこと、問題文から強引に論点を書き出そうとしないこと。独りよがりな論述をしないこと。一瞬で評価は下がりますよ。簡単な問題でも、半分はどうせ書けてません。』

『本当に、みんな基本が書けていないものです。そして、基本問題で目新しいことを書いたりして差をつけようとしている人の大半は失敗しているというのが印象です。当たり前のことを当たり前に淡々と書いている答案がどれだけ少ないことか。』

『そして、難しい問題は、本当にみんなできません。びっくりします。ちょっと条文と趣旨から筋を通すだけで、跳ね上がると思います。』

『書かない勇気、問いから逃げない勇気。変な欲を捨てること。これらが本当に大事だと思います。』

特に最後の部分は、自分が今年本試験を受けてるとき、ずっと頭の中にありましたね。

タキさん

「そうそう。Otomoさんの去年の商法と刑訴法のミスですね。余事記載と問いに答えること。」

Otomo

「あぁ、この書き込みは自分への警鐘だったんですか(笑)。」

タキさん

「(笑) いやいや、多くの方が陥るミスでしょう。」

Otomo

「今年はなんとか克服したつもりですが(笑)。・・・あと、判例とか、どうでしょう?」

タキさん

「判例、大事ですよ。と、今は思います。判例ぬきに問題点や問題意識は出てこないでしょうから。」

Otomo

「うん。百選とか使ってました?」

タキさん

「刑訴法と憲法だけです。あと、各論で重要なもの。」

Otomo

「自分は予備校の資料でいきましたが。」

タキさん

「それ以外は、予備校の資料で済ませてましたけどね。必要な部分を引用してくれてるし。大事なのは判例の問題点と論証に必要な限度の知識ですから、それさえあればあとは不要でしょう。」

Otomo

「事案はどうです?」

タキさん

「判例の射程の把握に入りますね。でも、その限度です。」

Otomo

「関係ないけど、判例マンガ本、面白いですよ(笑)。」

タキさん

「いやぁ読んでないです。」

Otomo

「あと、どの説がいい、よくない、みたいな話はどうなんでしょうね? おすすめあります?」

タキさん

「問題が求めているものに当たらない学説はだめでしょう。」

Otomo

「問題を見て選ぶ、と?」

タキさん

「僕は、判例通説絶対主義者(笑)。」

Otomo

「自分もそうかな。そこに気づくのに2年かかりましたが(笑)。」

タキさん

「いまだに創造説を教える予備校ですもんねぇ。」

Otomo

「違う違う(笑)。それ、高野クラスだけだもん。高野先生がやめた時点で、LECは交付契約説にシフトしてるよ。」

タキさん

「おー。いいことだ。」

Otomo

「でも、塾のやつとはちょっと違いますね。田辺ベースです。」

タキさん

「あ、田辺先生の本はいいですね。」

Otomo

「自分も持ってますけど、あれはわからないことを調べるのに便利でした。弥永先生の本よりも遥かに(笑)。」

タキさん

「刑訴法の田宮もわかりやすいですね。」

Otomo

「田口先生のはえらく簡潔だものねー。」

タキさん

「簡潔すぎてわかりにくい部分が多すぎる。今読むと、行間を埋めて読めるんですけどね。」

Otomo

「今読むと、でしょ?(笑) やっぱり田宮先生のがよかったな。新しい強制処分説はとらないですけど(笑)。」

タキさん

「あー、無駄が多いですからね。学説選択は、書きやすく端的明快なのが良いですね。僕の論証は、ほとんど趣旨からなんで、必然的に判例通説になります。」

Otomo

「なるほど。反対説の紹介とかはどうしてました?」

タキさん

「反対説は、反対利益への配慮とか問題の所在がクリアになるときにやってました。」

Otomo

「そうそう。大事なのは反対利益を見せることであって、『この点〜。しかし〜。』じゃないんですよね。」

タキさん

「『確かに・・・の利益も無視できない』とか。」

Otomo

「問題提起の中に、反対説の考え方を入れておくみたいなこともやりましたね。」

タキさん

「よくやってましたね。『この点・・・だとするなら・・・なため・・・が問題となる』と。」

Otomo

「あんまりやると、問題提起がえらく長くなりますけど。」

タキさん

「いいんじゃないですかねぇ。読み手からすれば、早いうちにこの人がわかってるかどうか、判断できた方がいいと思うんですよ。」

Otomo

「なるほど。それは思いますね。採点してると。」

タキさん

「それから、当てはめは評価理由を明らかにするといいですね。」

Otomo

「当てはめは、事実を引用するだけじゃなくて、それに自分の評価を加える、と。」

タキさん

「自分なりの、というより、判例をぱくります(笑)。当てはめにオリジナル性なんていらないでしょ。プロがやったのをまねるのが一番。憲法判例はこわいですが、評価の仕方だけまねて常識的なあてはめになるようにしてました。」

Otomo

「判例のあてはめを知らないと、あてはめできない(やりにくい)問題とかありますよね。」

タキさん

「で、当然そこでは判例の勉強が顔を出すわけですね。」

Otomo

「目的としてあてはめの勉強があって、手段として判例があると。」

タキさん

「あと、価値判断で法解釈してる答案も、印象よくないですね。」

Otomo

「価値判断だけ、だと苦しまぎれに見えるよねー。でも、普通は論証を用意してるわけだから、そういう事態に陥ることって、そう無いと思うんですけど。」

タキさん

「添削で、しょっちゅう見ますよ。理由はどれでもいいっていう意識があるんじゃないでしょうかね。」

Otomo

「なるほど。価値判断も、『必要性』という点では理由のひとつですしね。」

タキさん

「典型的な論証ぐらい書けないと。」

Otomo

「論証は、キッチリ覚えてました? それとも、割とその場で作る感じ?」

タキさん

「入門時期は完全暗記主義者。で、本番が近づくにつれて、論証が自由自在になっていきました。」

Otomo

「どの部分を覚えるのか、という話ですよね。定立する要件とかは正確に覚えるわけですし。刑訴の判例の規範とか。」

タキさん

「趣旨とか規範とか、動かない部分は覚えるしかないですね。本当に理解してキーワードを覚えてたら、その場でも書けますよ。今でも書けますもん(笑)。」

Otomo

「すごいなー。自分はもう今は書けない(笑)。」

タキさん

「はは。一応、講師業やって、自分で論証とか答案を書いてますから。」

Otomo

「けど、いっぺん入門のときに、完全暗記主義の時代を経てるから、そういうふうにスッと頭に入ったのかもよ。」

タキさん

「そうかもしれないですねぇ。」

Otomo

「一度覚えたものを、また次に覚えなおすのは比較的楽だと思うし。」

タキさん

「猿のように覚えてましたよ。一言一句。」

Otomo

「それはすごい。やろうとしても無理でしょ、普通。」

タキさん

「あほでしたけどね(笑)。」

Otomo

「論証の暗記は、よく『ブロックの弊害』とか言って叩かれてますね。けど、自分は逆に、その弊害を言い訳にして暗記をさぼってるのもどうかと思うんですよ。あんまり暗記をさぼると、正確に書くべき論証まであやふやになって、価値判断で論証を書いちゃったりする。『ブロックの弊害の弊害』、とでも言うべきかな(笑)。」

タキさん

「僕は、2年目の最初まで、答案も丸暗記でした(笑)。理由付けの意味もわかってなかった・・・。」

Otomo

「ま、論文の勉強については、こんなところで。また足りなければ、第二弾も検討しますので(笑)。」

 
<次回につづく>