Kazushigeのサントリーニの1日

サントリーニ島は僕にとっての天国である。サントリーニ島で過ごす全ての瞬間が好きだ。
朝、フィラの絶壁に面したホテルの洞穴で 真っ白な壁で出来た部屋で目覚める。起きて窓を見ると真っ青で絹のように滑らかな海が広がっている。部屋のテラスから海を見下ろ すと遠くで自分より下を鳥達が気持よさそうに飛びまわっている。

朝食のテーブルに座るとウェイターではなくホテルに住む猫の親子が最初に僕達を迎えてくれる。隣のテーブルで先に朝食を摂っている客に朝の挨拶をする。世界中からこの島へやってくる客はと てもフレンドリーで気軽にテーブル越しに話しかけてくる。今回の旅行ではNYからやって来たデニスさん一家と仲良くなって朝食 時にいろんな事を話した。「美味しいレストラン知らない?」とか「今日は何処へ行くの?」から「日本の新しい首相はハンサムね! 」なんて事まで…。デニスさん一家は子供が夏休みということでサントリーニ〜イタリア〜スペインを巡り約1ヶ月の旅行だそうだ。 僕たちは2週間・・・日本を発つ前は長い旅行だな、と思っていたが世界的視野で見ると2週間の旅行なんて短いかも・・・。

フルーツとパンとコーヒーの朝食をゆっくり摂り、朝食に付いてくるチーズを猫に分け与えた後はスクーターに乗ってイメロ ビグリやピルゴス等の街をちょっと探検。途中で綺麗な景色が見える場所があったらスクーターを止めて写真を撮ったり 付近を歩いたりして楽しむ。ロバに乗ったお爺さんとすれ違う。サントリーニ島にいるお爺さん達は僕にとって特別な存在だ。 見ているだけでとっても可愛いし、ロバに乗ったお爺さんとすれ違うだけで旅を一層楽しいものにしてくれるのである。

そんなことをしているうちにお昼になるのでお気に入りのビーチへ向かう。ビーチへの道のりは30分程度だが海とブドウ畑と 白と青色をした家や教会の景色が目を楽しませてくれるのでちっとも遠く感じない。ビーチに着いたら妻のお気に 入りのタベルナの横にスクーターを止め、いつも店にいる笑顔が素敵なおじさんに手を挙げて挨拶をし、 ビーチへ向かう。彼への挨拶は「後で食べに行くよ!」の合図も兼ねている。

お昼12時頃のビーチはとても空いている。 パラソルもほとんど使われてない。ギリシャ人にとってお昼のビーチは日本人にとっての朝のビーチに等しいらしい。サンオイ ルを体にたっぷり塗って、借りたパラソルとベッドで一休み。ギリシャの日差しはかなり強く数時間毎にサンオイルを塗りな おさないと大変だ。妻は日に焼けるのが好きなのでパラソルの下にあったベッドを太陽の下へ引きずり出し、顔だけタオルで 隠して肌を焼いている。1時間くらいベッドで寝そべったら海に入る。サントリーニの海は気候に比べて冷たいが今年は若干暖 かく感じる。このビーチは黒砂のビーチなので遠目から見るとそれほど綺麗な海には感じないが、潜るとそこは別世界。 水中メガネをかければ14〜5メートル先まで楽に見える。海にはほとんど誰も泳いでいないので貸切状態である。 泳いだりビーチベッドに寝そべったりしているうちに2時半くらいなる。

妻のお気に入りのタベルナへ昼食を食べに行く。 おじさんが笑顔で迎えてくれ、テーブルにつく。ここでは妻独特の流儀があり、自分達のテーブルを決めたらテーブルに 置かれたメニューを一切見ずにキッチンの中に入って今日の料理を見に行く。ギリシャのタベルナは大概作りおきの日替わり 料理があるので「キッチンを見たい」というと案内してくれる。キッチンで今日食べたい料理を吟味してオーダーするのだ。 ここはムサカが美味しいのでいつもオーダーするのだがそれ以外では煮込み料理が素朴でとても美味しいのでそれもオーダーする 。お薦めはインゲンとポテトのハーブ、オリーブオイル、トマトで煮込んだ料理。本来ギリシャでは前菜か付け合せで食べる 料理なのだろうが僕と妻はメインとして食べる。3品も食べたら2人ともお腹一杯だ。夕方4時頃になると夜通し遊んだと思われ る若いギリシャ人がどこからともなく現れビーチは賑わい出す。タベルナを見ると12時頃はガラ空きだったのにほぼ 満席になっている。とっても不思議である。日本の海なら夕方4時といったら皆帰りだすのに…。

6時頃までビーチで遊んでから ホテルのあるフィラへ帰る。夕方6時でも太陽はまだ高く日本でいったら午後3時という感じ。サンセットが8時45分頃なのでそれに 間に合うようにちょっと寄り道をしたりしてホテルに帰ってシャワーを浴びる。

妻がシャワーを浴びている間に部屋のテラスで 景色を眺めていると下の階のデニスさんもテラスにいて僕に手招きしている。デニスさんはお酒を飲みながらサンセットを待 っていて上機嫌。デニスさんは無類のモルトウィスキー好きでNYの家からわざわざ持参してきたマッカラン18年を僕にもご馳 走してくれた。妻もあとから参加し、皆でサンセットまでお酒を飲みながら歓談。話が楽しいし、お酒も美味しいのでつい サンセットを忘れてしまう。ハッと気付いて夕日の方向を見たらサンセットは終わっていた。僕は「サンセット見逃したね。」 と皆に言うと「僕らはちゃんと見たよ。見逃したのはKazuだけだよ。」とからかわれてしまう。
サンセットが終わったらいよいよ夕食だ。ギリシャの夕食は夜10時がピークである。人気のあるレストラン、タベルナは満席で待ち客 が並んでいる。レストランによっては待ち客にワインをサービスで振舞ってくれたりする。

僕達は去年も行って美味しかった「ルーフ ・ガーデン」で夕食をすることにする。ここの料理は全体的に濃い味なので人によって好き嫌いが分かれると思うが、ここは僕達夫婦 のお気に入りのレストランである。店名のとおり店内が屋根の上のお庭という雰囲気。店内からフィラの街を一望出来るロケーション も気に入っている。入り口の階段を上っていくとシェフの格好をした等身大の人形が出迎えてくれる。 店内を見ると100人以上は入れそうなテーブル数があるのにも関わらずピーク時間でも満席どころかいささか閑散とした雰囲気。 ひょっとして去年より不味くなったかな、なんて考えが頭をよぎるが去年も空いていたな・・・と思い直し隅っこのテーブルに座る。 去年食べて美味しかった野菜を豚肉で巻いたスタッフド・ポークとスズカキア(ギリシャ風ハンバーグ?) をメインにタラモサラダ(タラコのペースト)とトマトサラダを前菜として、それから白ワインをオーダーする。 ここのタラモサラダは本当に美味しい。パンにタラモサラダをつけて食べていたら全部食べてしまいパンのお代わりをしてしまう。 トマトサラダも美味しい。トマト自体に力強い味がある。メインのスタッフド・ポーク、スズカキアにはそれぞれピラフのようなご飯 とオリーブオイルでカラッと揚げたフライドポテトが山盛りついている。本当に全て美味しかった。食事をしたあと夫婦でどうして この「ルーフ・ガーデン」はピーク時間でも混まないのか?について話した。料理の味がちょっと濃すぎる (しょっぱい)のでヨーロッパ、アメリカ人には余り好まれない、100人以上も座れるテーブルがあるくせにウェイターが1人 (※もう1人いるが後片付け専門)しかいないのでサービスが異様に遅い(オーダー取りに来るのに少なくとも15分はかかると思う) 、という2点が人気をいまいちにしているという結論に達した。

食事を終えて「ルーフ・ガーデン」を出るときには夜の11時過ぎ。 通りがかりにクラブやバーを覗いてみたりするが全然人が入っていない。サントリーニの夜は12時以降から盛り上がるのだ。 そして夜中の3〜4時まで皆遊ぶそうである。ギリシャ人ってとっても不良・・・でもサントリーニの夜の街はちっとも危険な香り がしない。夜の12時近くになっても街中で小さな子供同士が遊んでいるのを見かけたりする。何でこんなにも危険な香りがしない のかな?なんて考えて街を歩いていたらふと気が付いた。この街には風俗関連のお店が見当たらないのである。せいぜいお 土産屋さんに女性のヌードのカレンダー、トランプ類が売っているくらいなのである。どうしても女性の裸が見たかったら ビーチに行けば見れるし…本当に良い島である。

妻はクラブで踊りたいといっていたが「ルーフ・ガーデン」でワインを飲みすぎて 少々ダウン気味だし、考えてみたらギリシャの夜11時は日本時間の朝5時!眠いはずだと思いながらホテルへ戻って寝る。 僕はサントリーニ島では夢は見ない。起きているときの方が夢よりもずっと素敵だから。

サントリーニ島での1日を書き綴ってみました。やっぱりサントリーニ島は天国です。