ぱてりとオットのサントリーニ&アテネへの旅!
2002.5.31〜6.11



★ギリシャ到着後の行程★

月日 スケジュール
6月1日(土) 07:05→タイ航空にてアテネ到着
09:40→エジアン航空352便にてアテネ出発
10:30→サントリー二島到着後、すぐにチェックイン。
遅い昼 ニコラス◎ フィラを散策。夜 Select○
フィラ泊
6月2日(日) オット風邪に倒れる。
ぱてりひとりでフィラからフィロステファニを散策。
昼 お菓子と水K 青帽子の教会を捜索、発見。
夜 ナウサ◎
フィラ泊
6月3日(月) バスに乗ってペリッサビーチへ。
昼 ペリッサのタベルナJ 
夜 カストロL× と Zotos○
フィラ泊
6月4日(火) バスでペリッサへ、その後バイクを借りてお気に入りのビーチへ。
昼 お気に入りタベルナ◎ 
夜 Roof Garden◎
フィラ泊
6月5日(水) タクシーでイアへ移動。
昼 メレビオ○ バイクを借りてアムーディへ。
水遊び後、道に迷う。なんとかフィラへ向かい、お食事。
夜 ナウサ◎ イアの街が丸ごと停電、びっくり!
イア泊
6月6日(木) Volcano Hot Springs Tourに参加。
昼 ティラシアのタベルナ◎ イアに戻った後、バイクでカマリビーチに向かうがまたまた道に迷う。
ペリッサのYazzでおいしいミルクセーキを飲み、イアに戻る。 
夜 OIA’S CAFE△
イア泊
6月7日(金) バイクでレッドビーチへ。その後お気に入りのビーチに移動。
昼 お気に入りタベルナ◎
一旦イアに戻り、バスでフィラへ。お土産などを購入。 
夜 Roof Garden◎
イア泊
6月8日(土) 13:55→オリンピック航空555便にてサントリー二出発
昼 サントリーニの空港近くのカフェ△
14:30→アテネ到着後チェックイン。プラカを散策、お土産購入。
夜 プラカのタベルナ× とPalia Plakiotiki○ メタモルフォシス教会にて結婚式に遭遇。
アテネ泊
6月9日(日) バスを乗り継いでバルキザビーチへ。
遅い昼 ビーチの売店のサンドイッチ○ 夜 ビザンティーノ△
アテネ泊
6月10日(月) 昼 Neon○
16:00→タイ航空にてアテネ出発
成田発着の飛行機はCASツアーで格安航空券を、現地(アテネ〜サントリーニ間)の飛行機とホテルは現地の旅行会社LA GRECAを通して予約。
 ホテルをデラックスルームとか、ハネムーンスイートとか、スタンダードでもAクラスにしたりして結構贅沢したので、ふたりで50万くらいかかりました(お土産込みで)。

ぱてりとオットのサントリーニ&アテネの旅行記、はじまりはじまり〜

2002年5月31日(金)
年明けから練りに練ったギリシャ旅行(ミコノスに行くか大変迷いました)、待ちに待ったギリシャへの、今日がとうとう出発の日!

3月頃からホテルを検索し始め、4月後半くらいに有名なイアのペリヴォラスやカティキアスなど高級ホテルにもアタックしたのですが、あえなく玉砕。まだ春だというのに、もう夏はいっぱいなのです。なんてみんな出足が早いんだ。飛行機が簡単に取れたので、あなどっていました。来年は気を付けよう。…と言っても、今後高級ホテルには申し込まないこと請け合いなのでございます。なぜなら、高級ホテルはあったりまえですが、高価なのであります。しがないサラリー生活を送る私たちには、手が届きそうで届かない(ここが悔しいところ!)そのうえ、ここで5万使うより、うまいものをたあっくさん食べようよ!という方向にしか思考が向かないふたり。涙が出るほどつつましい指向性。しくしく。いつか高級リゾートが似合う立派なオトナになりたいものですなあ。

散々迷って、自分たちの行動パターンからも1島に絞ることを決意。旅行は12日間もあるのですが、家族会議の結果、行動も思考ものんびりな私たちには、移動が多い旅は辛いという結論に達したのです。そして行き先は、数年前、今はもうなきレクル・ファムという雑誌のギリシャ特集を見て以来の、私の固い決意によりサントリーニに決定。

あとは滞在をどうするか、でした。ホテルにも散々迷って(こちらの掲示板にも随分質問させて頂きました)フィラのセンターに近い断崖ホテルに4泊、イアのアムーディ港を見下ろすOia Mare Villasに3泊、そしてやっぱりアテネもちょっとは見ないとということで、こちらに2泊というのんびり旅に決定しました。

飛行機はももこさん達の旅をマネして、タイエアーで行くことに。もちろん、トランジットを必要以上に長くとることも忘れませんでした。航空券をお願いした旅行会社の人に「バンコク行きにはもっといい乗り継ぎ便がありますが…?」と聞かれ、「いいんです」と言い切ったら、ああ、なるほどといった感じで納得されました。やっぱりトランジットも楽しんじゃう人って結構いるのでしょうね。

さてさて、今日のところはバンコクにて日付を越えます。久々のバンコクも楽しみ!ああ、さぞやうるさくて楽しいんだろうなあ、バンコク。

成田には朝9時集合。ひいい、仕事に行くより早起き。そして、いつものごとく成田エキスプレスに乗り遅れそうになる私たち。のっけから互いに掛ける言葉も少なく、階段という階段を登りまくり、走りまくり、大汗をかきながらスーツケースを引きずって、なんとか指定席に滑り込みセーフ。ふうう。

なんと挙式&新婚旅行の時は乗り遅れたのです!飛行機が夕方出発だったので、暢気に機中泊分のシャワーなど浴びていたら、もう時間。そして青くなりながらリムジンバスに飛び乗ったのでした。成田エクスプレスムダにしちゃった。ああ、ツアーじゃなくて良かったと思ったものです。あやうく人様にご迷惑を掛けるところでした。

成田は結構混んでいました。やっぱりワールドカップ絡みかな。きっと入国審査は大変なことになっているに違いない。
 機内食が出てくるまでお腹が持ちそうにないので、毎度おなじみロイヤルカフェで私は肉うどんを、オットは「ギリシャで食べられないもの」という基準のもとにラーメンを選択。いずれも想像にかたくないお味でした。

出国は実にスムーズ。混んでいるのはやっぱり入国のほうらしい。
 飛行機は定刻に出発。割と席もゆったりしていて、快適そう。空気枕や足置きマットを膨らましたり、毛布をいい具合に掛けたりと、一応の巣作りを終えると、ワゴンが近づいてくる気配が、そしてうまそうな匂いが。おお、機内食だ。お待ち申し上げておりました。

 いやはや驚きました。お昼ごはんのおいしかったこと!機内食がこんなにおいしいなんてもうびっくり。旅行中の食事は全てデジカメに納める!と思っていたのに、気が付いたら飢えた犬のように食べ尽くしていました。白身魚のソテー、かなり美味でした。付け合わせのヌードルも某航空会社のと違って、フォークで持ち上げても全部くっついてきたりなんてしないのです。

 そしてそして、午後3時頃だったでしょうか、ピンクや緑の小さな丸いものを満載したワゴンがやってきたのです。なんと、おやつだったのです。しかも和菓子!しかもしかも黒文字つき。ほんとうにびっくりです。一口囓ると、ほんのり上品な甘さのアンコ。緑茶を口に含むと適度な甘みが口いっぱいに広がり…恍惚。東京で食べるよりずっとずっとおいしかったのです!
おいしかった和菓子
お腹もふくれたし、昨日までの仕事の疲れもあって(本当か?)、うつらうつらしているうちにバンコクに到着。
 もわあんとした空気に触れたと思ったら、きいーんと冷えるもの凄い冷房。久々のフライトに朦朧としていた私たちは、空港を出る前に、トランジットツアーに捕まってしまいました。
つい、もう疲れたし、ふらふらっと。出来心だったんです。

ああ、大失敗。空港周りの屋台に繰り出そうと思っていたのに…。暑くて疲れてぼーっとしていたとはいえ、これは痛い出費でした。(送迎、夕食、マッサージで確か5千円くらいとられた。ひいい)

 でも、まあまあ美味しいお食事と(ほんとにまあまあ)、丁寧なマッサージが受けられた(これもほんとに丁寧だった)から良しとしよう。飛行機疲れの足を、ナイロンのブラシでがしがし洗ってもらった時はほんとに気持ちが良くて、これだけはお金を払った価値があったと思っちゃいました。バンコクは相変わらず蒸し暑くてほこりっぽくて騒がしい。タイもまた楽し、ですね。いつかまた近いうちに来よう。

あっという間にトランジット時間は過ぎて、さあ飛行機に乗るぞ、と降りたときにチェックしておいたゲートに向かいました。この日はどういうわけか、空港中の電光掲示板やモニターが調整中(故障??)で、インフォメーションカウンターに貼りだしてある手書きの小さな紙が頼りでした。それだけでは心配だったので、インフォメーションのお姉さんにチケットを見せてゲートNO.を書いてもらっていました。

ところが、です。

結構いい時間にゲートに向かったのに、セキュリティのおねえちゃんたちが「あと1時間待て」と言うのです。しかたなくカフェで時間をつぶしました。そして(満を持して)、何故かガラ空きのセキュリティを通り、階下へ降りてみると…やっぱり誰もいない。おかしいぞ!

 呆然と立ちつくす私たち。カウンターで電話をしていた空港職員のおじさんが、「どうしたの?」と声を掛けてくれました。チケットを見るなり、おじさんは「このターミナルじゃないよ、これ」と言い、素早く電話を掛けて確認してくれました。なんとターミナルも違うなら、ゲートも全然違う。慌てて走り出そうとする私たちに、おじさんは「落ち着いて、まだ時間はあるから間に合うよ!」と言ってくれました。ありがとうおじさん!

そしてセキュリティを逆送する私たち。さっきはいなかったセキュリティのお姉さんもチケットを見て顔色を変えました。もー何なんだよー!と、長い廊下を端から端まで走り、目的のゲートに到着。なんとか間に合い、一息です。
 待合室は超混みで、「やっぱりこうじゃなきゃねえ」なんて言っていたら、今度はなかなか搭乗アナウンスがない。10分過ぎ、20分過ぎても、ゲートが開かない。
 だんだん湿気と熱気がこみ上げてくる室内。ざわつく客達。すでに座れる椅子などない室内で、私たちはただひたすら立っていました。オットとふたり、「まだかなあ」「どうしたんだろ」「どうしたんだろうねえ」という不毛な会話を何度も繰り返していました。

 そして2時間後。
 何事も無かったかのように搭乗開始のアナウンスが入りました。遅れましてスミマセンとも、これこれこういう理由で遅れましたとも言わず、「では、ビジネスクラスの方から…」と、全く遅刻などなかったかのような平常心なアナウンスでした。いやいやこういうお国柄なんでしょうか。イライラも吹っ飛ぶ肩すかしでした。(もしかしてそれを狙ってたのかタイ航空!!というかドンムアン空港!)

 涼しくて快適な席に座るとすぐに、私はマッサージの効果か(飛行機の遅刻による疲れのせいか)爆睡してしまい、美味なるタイ航空の夕食を逃してしまいました。オットはしっかり食べたらしい。私ときたら、声を掛けても、ゆすっても起きなかったそうです。ああ、悔しい。
 しかし、トランジット時間にタイ料理アンドマッサージというのは名案です。ほんとよく眠れました。そして、バタバタしているうちに、日付を越えていたんですねえ。

2002年6月1日(土)
朝食はしっかり食べましたよ。ほんとおいしかった。私はクレープを選び、オットはオムレツ。やや量は多い(というか大変量が多い)のですが、おいしくて食べちゃいました。普段コーヒーしか飲まないオットもバクバク食べてました。
これもおいしかった、
クレープの朝ご飯!
ご飯を食べ、またうつらうつら…。あと3時間も乗っていたら牛になるに違いない。
再び目が覚めると深くて青い海の上を飛んでいました。いよいよ12年ぶりのギリシャに到着です!
翼から見たギリシャの夜明け
アテネの新空港はほんとにきれいになっていてびっくり。サインも分かりやすいし、明るいし、広い。まさに「近代的」といった感じ。エリニコンの田舎っぽい雰囲気も「外国に来た!」と言う感じでなかなか良かったんですけどね。

 ここで国内線のチケットと宿泊のクーポンを貰う手はずになっていました。荷物をコロコロ引きずって指定された旅行会社のカウンターに行き、名前を告げました。

 すると、受付のヒゲおやじは一言、「俺は知らん。聞いてない。」

 ええーっ。そんなことを言われても困るのよおじさん。チケットがないと島に行けないじゃないのよ。クーポンがなきゃどーやってホテルに泊まるんじゃい。うりゃあ。

 このときばかりは、控えめな日本人を返上して訴える。それ、そこ、そのカウンターの下のその封筒に名前が書いてあるでしょー、あたしたちのクーポンが入ってるんだよお、と訴えたが頑固一徹「俺は聞いてないね。」

 仕方なくまた長ーい廊下の果ての売店でテレカを買い(どーして端っこにしか売店が無いんだ!と意味不明な怒り)、使用可の電話を探し(なぜか故障中ばかり)、申し込みをした旅行会社に確認。
 担当の方はすぐさま連絡を取ってくれ、無事にクーポンを受け取れました。奴は「あいつらが客とは分からなんだ」と意味不明な言い訳を口走っていたそうです。なんだよー。あたりにクーポンもらいに来た日本人なんて私たちしかいなかったじゃないのよー。まあ、もういいけど。お陰でさっそく電話のかけ方も覚えられたし。

 新しい空港の、新しいマックカフェでカフェフラッペを飲み(味も分からないほどアワアワでした)、そして、いよいよサントリーニ島への飛行機に搭乗です。

 地面をぺたぺた歩いて乗り込むクレヨンみたいな飛行機はちょっと不安だけど、ああ、嬉しすぎて血管切れそう!機内も狭くて、田舎ちっくで、そんなところにも、ああ、遠くまで来たんだなあと感動する始末でした。
 そうそう、聞いていたとおり、エジアン航空のスッチーは色っぽいお姉さんでした。スッチーが飴を配る姿があんなにセクシーとは。ついつい視線がオヤジになってしまいます。

低く飛ぶ飛行機は、紺碧の海の上、幾つもの島を追い越していきます。青いシートに紙を幾つも千切ってばらまいたような島々。以前訪れたときは冬だったし、ミニクルーズをしただけだったので、上空から見る夏のエーゲ海の美しさに感動しました。

 飛行機はやがて高度を下げていきます。不意に眼前に岩山が見えたかと思うと、機体が大きく旋回。ドキドキしているうちに着陸。タラップを降りると、強烈な日差しが降り注ぎます。

 エアコンがあるんだかないんだかのバスに、ぎゅうぎゅう詰め込まれて届けられた真っ白い空港は、荷物待ちの人々で大混雑でした。外に出ると殴りつけるような日差しだし、かといって中はごった返してるし。チビな私は、大きな欧米人に今にも踏みつぶされそう。6月でこれじゃ、夏のピーク時には一体どうなることやら…。オソロシイ。

 なんとか(もちろんオットが)荷物をゲットし、タクシーをゲット。ようやくフィラの街に向かいます。
 昔イドラ島で見たような乾いた大地を、タクシーはぐんぐん突っ走ります。ブドウ畑を抜けると、ちらほら大きな建物が増えていき、前方に白い建物の固まりが見えてきました。長い直線の道路を走り、ホテルエルグレコを通り過ぎて、最後の坂をぐいーんと上がると、いきなりゴチャゴチャした町中に出ました。

 おお、これがフィラの街。

と感動もつかの間。運ちゃんに「ここで降りてね。ホテルはそこ上がって右曲がってちょっとだから」と言われ、ププーッと車は去っていきます。そんなアバウトな説明で辿り着くのだろうかと、ガタガタの石畳をスーツケース担いで登り、アトランティスホテルの横に出た途端!息を呑みました。

 今まで雑誌やインターネットでしか見たことがなかった断崖の景色が広がっていたのです。青く霞んだ岩肌と深い紺碧の海。断崖を飛ぶ白い海鳥たち。正面の火山島はほんとうに写真通りの形で海に浮かんでいるし、ティラシアは雪をかぶったよう。

 ここが、サントリーニ。これが、サントリーニなんだ。本当に来たんだ。
 日差しも荷物も忘れて思わず見とれてしまいました。
 強い日差しに頭が焦げそうになり、我に返りました。そうだ、景色は逃げないんだから、ホテルを探さなきゃ。

 と思ったら、目の前にホテルの可愛らしい門が。なーんだ運ちゃんの説明は正しかったんだなあ。大聖堂のすぐ前じゃん。
 しかし!ここからが大変でした。海に向かって突っ込んでいくような錯覚さえ覚える、急勾配で手すりのない階段を、大きなスーツケースを持って降りなければならないのですから。返すがえす、軽い荷物にしておけばよかったと後悔。腕は抜けそう、足はふらついて階段踏み外しそうだし、その上階段はペイントが可愛いけど著しく狭い。ここにはバリアフリーという言葉はないのか。

 感じの良いお姉さんがいるフロントを抜けて、狭い廊下を突き当たるとまた階段。階段を降りると、赤い扉が。えいっと扉を開いてまた呆然。さらに危なそうな階段。手すりどころか、崖にむき出しといった風情の階段なのです。思わずスーツケースを捨てそうになりました。

 でもでも、苦労した甲斐がありました。なんたる絶景。先ほどの景色がさらに眼前に迫っているではないですか。視界を遮るものは何もありません。
 ほんとここはフィラの特等席なんですね。 
かわいいホテル。
でもなんかうまく撮れない。
荷物を置いたらまずは昼ご飯です。時間はちょっと遅くなってしまったけど(もう2時過ぎ)、なにはともあれタベルナへGo!です。

 フロントの親切なお姉さんのお勧めは、ことごとくももこさんのお勧めと同じ店でした。と、いうわけで記念すべき第1食目はニコラスへ。時間が外れていたため、空いていました。この日以降、食事時にはかなり混んでいて一度も入れませんでした。

 顔は怖いけどご機嫌なおじさまに、知ってる限りのギリシャ料理を注文。はいはいとメモすると厨房へ大声で一喝。あっという間にグリークサラダが出てきました。

 私たちは、こういうタベルナが初めてだったので驚いたのですが、ドレッシングなんてかかっていないのですね。テーブルには塩、コショウにワインビネガー、そしてオリーブオイルがどんと置かれている。おお、自分で調合するのですな!適当にお酢やオイルをどばどばかけて、フェタチーズを崩しつつトマトを一口。

う、うまーい!うますぎる!

初めて食べるグリークサラダはもう感激!トマト甘い、タマネギ辛くない、スタッフドトマトもチキンインレモンソースもうますぎるー!ムサカもスブラキも食べたいけどお腹一杯だよー!!
その上安い。ブラボーギリシャ!あまりの感激に涙でトマトがにじんで見えたほどです。

さて、街をうろうろしましたが、やっぱりちょっとお疲れモードだったので、ホテルに帰って、巣作りすることに。お部屋は写真を見る限り、ももこさん達が泊まったところと一緒かもしれません。私は旅先でスーツケースを開き、洋服をクローゼットに入れる瞬間がとても好き。これから旅が始まるという、とっても嬉しい瞬間だからです。 

 この日は、ホテルのテラスから夕日を鑑賞しました。
初めてのサントリーニの夕日は格別でした。オレンジの光の玉が、海の上にやはりオレンジの道を作って水平線に近づいていきます。その色が白いフィラの街を染めていくのは本当に見事でした。ホテルのロケーションは最高でした。真西を向いているので午前中はかなり寒いのですが(毎朝フリース着て、Gパンに靴下はいてました)、夕日は真っ正面。
テラスからの夕日。
思えばここでの夕日が
一番素晴らしかったです。
 荘厳な夕日を見た後は、お食事です。でも、昼食が遅かったのであまりお腹は空きません。カフェにでも入ろうとふらふらしました。アギウ・ミナ通りを歩き、ケーブルカー乗り場を見たりして、いろいろ迷いましたが、雰囲気が良さそうなSelectに入りました。 
 ここのクレープは美味しかったです。甘いクレープも上品な甘さで美味しいし、オットが選んだお食事クレープのチーズも激うま!でした。でも、お値段はかなり高かったです。
 景色の良いテラス席は激寒だったので敢えて座りませんでした。風も強かったし。欧州人達は、肩むきだし、モモむきだしの姿でしっとりとおしゃべりしてました。きっと日本人とは体感温度が違うに違いない。

さて、記念すべき第1日目、シャワーを浴びて暑さと疲労に凝り固まった身体をほぐし、大きなベッドに横たわって、さあ夢見心地…。

というわけにはいきませんでした。
寒い!あまりに寒すぎる!ここはシベリアか!!

毛布だ。毛布がないと凍え死ぬ。部屋になかったら、ジャンケンしてどっちかがフロントにもらいに行こう。
そして毛布を捜索し始める私たち。部屋中の扉という扉を開けてまわった末、いかにもあったかそうな茶色の(起毛具合も実にあったかそうな)毛布を発見。二人して頭から被りました。それからは爆睡です。

そう言えば、今日がオットの二〇代最後の日だったんだっけ…。

2002年6月2日(日)
朝早く目が覚めたわたしは、つい窓の外を確認してしまいました。本当にサントリーニにいるのが、まるで夢みたいでした。相変わらず青く霞んだ断崖があって、黄色と白のしましまパラソルが並んでいて…あれ?なんだこの焦げ茶の毛の固まりは??
 おおお!猫だあっ。鼻と喉が悪いのか声が出ないけどめちゃめちゃフレンドリーでおっきな猫ちゃん。シャムの混血なのでしょうか。扉を開けると姿を消しましたが、数分後、お友達を連れて部屋にやって来ました。
早朝の訪問猫
さて、猫も堪能したし、朝食です。(食べることばっかし。ふふ)
 初めての朝食は、いわゆるホテルのバイキングみたいなものと違って、パンとフルーツの見た目質素な食事でした。
 ところが、ここのパンがめちゃうま!私好みの、甘みのない、素っ気ない味のパン。でも、しっかり噛み締めると小麦の味の中にほんのり塩味がするお食事向きのパン。たぶん大方の日本人には味気ないだろうそれは、異端のパン好き(酸っぱいのとか重いのとか、脂っけの無いパンが好き)の私にとって最高のパンでした。

「うまーい。いくらでも食べれちゃうよー」…とバクバク食べていたら、突然オットが呟きました。「お、俺だめだ」「へ?」「だめだ…」
 よく見ると顔色が良くない。

「まさか…」

 この休みのためもあって仕事に多忙を極めていたオットは出発前から風邪をひいていたのです。ここへ来て寒さと疲れから熱が上がってしまったようでした。慌てて部屋に帰り、こんなこともあろうかと医者でもらっておいた風邪薬を飲ませ、寝かせました。彼は真っ青な顔をして毛布を頭から被りまさにバタンキュー状態。

「ごめんなー。外行ってていいから…」

 そばにいても代わってあげられるわけもなく、ついているとたぶん彼も気にするだろうと思ったので、今日はひとりでフィラを探検することに。
 せっかくのお誕生日なのに…。彼の30代初めてのお誕生日をどこか素敵なレストランで、と思っていましたがしかたありません。
 
 オットをひとり部屋に残し、気を取り直して外に出た私は、まず、バスターミナルに向かいました。断崖の反対側に出たら、すでに午前中の日差しが眩しい。真西向きのホテルの部屋は寒いくらいなのに、町の東側に出るとフリースなど着ていられません。

 ペリカンスーパーで水とお昼ごはん用のビスケットを買い、ホテルでもらった簡単な地図を見ながら、イパパンティス通りを歩いていきました。
 途中、タベルナのチェックも欠かしません。お土産屋や貴金属店が立ち並ぶ小道を入ったり出たり。おお、ここにRoof Gardenが!ナウサがあるぞ!などと、食べ物屋ばかりチェックして、結局何も買わずに通り過ぎ、ほのかに疲れてきたころ、カストロが見えてきました。カストロ脇のケーブルカー乗り場で、乗ってみようかと迷ったのですが、ひとりで乗るのもなあと思い、そこもぐいぐい通り過ぎました。

 ひとりということもあったのか、とにかくもの凄い持久力でがんがん歩いていたら、左右が店ではなく、ホテルや別荘(?)、家など落ち着いた雰囲気になってきました。いつの間にかフィロステファニに到着していたのです。

 あまりの暑さに倒れそうだったので、バスロータリーの近くにベンチが置いてある場所(公園?)に木陰を見つけ、ベンチはカップルでうまっていたので、50センチほどの塀に腰掛けてお昼ごはんにしました。そこはカルデラの眺めも素晴らしく、人も少なくて静かですし、木陰の風も爽やかでほんとに気持ちが良かったです。お昼寝したいくらいの気持ちよさでした。

 それからはよそのホテルを覗いたり(と言っても門構えを見るくらいですが)、ぷらぷら歩きました。あまりの日差しに、意識して15分おきくらいに日陰に入らないと日射病にかかりそう。建物の陰より、木の陰の方が数段涼しいので、私は木陰ハンターになりながら、あちこちで写真を撮りました。どこもかしこもあまりに綺麗で、絵葉書のようで、変な表現ですけど写真みたいでした。

 フィロステファニからフィラの街を撮っていた時、ふと例の「青帽子の教会」を探してみようと思い立ちました。ガイドブックや町中のカレンダーに必ず載っている、例の教会です。
 あらかじめネットでチェックしておいたとおり、サントリーニパレスホテルを目指しました。ところが、なかなかホテルが見つかりません。何度も同じ道を行ったり来たり、登ったり降りたり、もうあきらめようかなあ…と思い始めた頃、やっとホテルを発見。そして、建物正面の駐車場を突っ切り、塀に登って見下ろすと…ありました。「あの」風景が!

 しばらくは感動で写真を撮るのも忘れました。 
青帽子の教会。
ああ、サントリーニに来たんだなあ…。
日が傾きはじめ、夕日を浴びる教会も見ていたかったのですが、フィラに戻りました。いっくら素敵な風景に感動してても、ひとりでは…同行者が気になります。
 太陽は西向きのテラスにさんさんと降り注いでいました。「ただいま!」とドアを開けて入っていくと、オットはいくらか顔色が良くなったよう。寒い室内から暑いくらいのテラスに移動したら、日陰に置いていた鉢植えを日に当てたように、さらに元気になってきました。お誕生日のお祝いはまた後日にして、早めの夕ご飯にしました。

 タベルナ第2弾はナウサです! 
ここのパンも激うま!
思わずアップで
撮ってしまいました。
料理ももちろんおいしかったし、お店も夕日は見られないけど2階で気持ちいいし、なによりスタッフのお兄さんが素敵でした。控えめだけど、こちらから話しかければ一生懸命答えてくれて、すごく嬉しかったです。
 ここでは、グリークサラダとスズカキアとタラモサラタを食べました。タラモはちょっとしょっぱかったけど、サラダは新鮮だし、スズカキアもトマトソースが抜群においしい!
 夕日も見ずにゆっくりゆっくりご飯を堪能して、今日のところは大事をとって終了。

2002年6月3日(月)
今日はオットも復活したので、ようやくふたり旅の再開です。

 さてさて、いよいよバスターミナルへ。ターミナルって?というような狭いスペースにバスがぎっしり詰まってます。でも、落ち着いてあたりを見回せば、行き先もちゃんと表示されているし、時刻表もあるし、結構分かりやすい。端っこのチケット売り場にはちょっと惑わされるけど(バスのチケットは車内で、という記事を読んでおいてよかったです。)しかも、まだシーズン前なのでバス自体は空いていました。ギリシャ人を跳ね飛ばす覚悟でいた私はホッとしました。

 ブドウ畑にぽつんと建っているちいさなチャペルや、サントワインのお城みたいな建物、緑の並木がきれいなピルゴスの町を経て、50分ほどでペリッサビーチに到着。オットが病み上がりなので今日はあまり無理をせず、ここで過ごすことにしました。
 ビーチ沿いにタベルナやカフェが立ち並び、浮き輪や日焼け止めを売っている店やレンタバイク屋なんかがあって適当に賑やかで、いい加減に力の抜けた楽しい雰囲気。
 朝ご飯を食べたばかりというのになんだかお腹が減ってきた私たちは、海沿いで客引きをしていたおばちゃんに誘われてタベルナに入りました。
 あんまり期待はしていなかったのですが、これが大当たりでした。

 ここでも、判を押したようにグリークサラダとタジキを注文。タジキめちゃめちゃお気に入りになってしまいました。パンにつけても、肉と一緒に食べても、単独で食べてもとにかくうまい!日本に持って帰りたい。
 スブラキにムサカを頼んで、オットは海を見ながら念願の地ビールを口にしてご満悦。ああ、サントリーニっていい!
ペリッサビーチ。
上機嫌なオット。
 ビーチはきれいに整備されていてびっくりしました。ヨーロッパのビーチってどこもこんな感じなんでしょうか?江ノ島の海に馴染んでいた私たちはきれいなサンベッドやパラソルにしみじみ感動。ももこさんのHP見てなかったら、「ここに座っていいんだろうか」とビクビクするところでした。
 さて、いよいよ海水浴。夏でも水が冷たいって聞いていたので、さりげに準備運動などする私。そして、いざ水の中へ。

 つつつつべたーーーーーいっっっっっっ!!!死ぬーーーーー!!!

 冷たい。冷たすぎる。本当にこんな海に入っていいんだろうか。何も知らずに心臓の弱い人が入ったら死ぬかもしれない。っていうか、私も心臓止まりそう。
 でもでも、水はめちゃめちゃ透明でキレイ。もっと入りたい。でもつべたいよー。思い切ってえいっと肩まで浸かる。ひいいいいーっ。
 これは修行だ。そうに違いない。肌が引き締まるかも。あっそうだ、カロリー消費もするかも。しかし…もう限界。身体がちっとも水温に慣れない。冷たすぎるー。

 結局オットは全身に鳥肌立てながら足首まで。私も2度目に入る勇気が出ずに(いくじなし)、サンベッドでお昼寝にしました。
 日の光は、もう強い夏の光。油断しているとひどい日焼けになりそう。でも乾燥しているので、パラソルの下に入れば涼しくて心地よい。ふたりとも本気で眠ってしまい、気がついたら日が傾き始めていました。
 
 またバスに揺られてフィラに戻り、今夜の夕食対策を練る私たち。折角こんなに景色の良いところに来たのだから、1回くらいは夕日を見ながら断崖のお店でお食事したいね、ということになり、一応フロントのお姉さんのお墨付きもあるし、ケーブルカーのところのカストロにしよう、と決定。前日にも私はメニューをチェックしていて、「値段高いなあ…」と思っていたので、店に着くまでもいろんなお店を覗いたりして、随分迷いました。でも、断崖側はどこもお高くて、似たり寄ったりだったので初志貫徹。ご入店。

 時間が早いこともあってお店はガラガラ。一番眺めがいいと思われる席に座れました。ところが、風が強いためビニールシートで周りを覆っているので、実は景色はよく見えません。でもまあ、ちょっと寒いし、仕方ないよねと話しながら、早速注文です。

 いつものようにタジキを頼み、サラダを…と思ったらグリークサラダが無い。仕方がないのでカストロ風サラダとマッシュルームの炒め物をとりました。とりあえずこれだけ。お料理の値段にびびった私たちは、まずは前菜を試してみることにしたのでした。
 始めに出てきたのは、アイスクリームみたいにきれいな形のハーブ入りのバター。きんきんに冷えた小さなガラスボウルにちまっとお座りしています。これはおいしかった。香りもいいし、味も良い。パンもうまし。

 それから暫くしてサラダが出てきました。これは、なんというか…、日本のファミレスでも出てきそうなお味。デ○ーズや、○イヤルホストなんかにありそう。まずくはないけど、おいしいかと言われると…ううむ。
 そしてマッシュルームのご登場です。ここまで来ると、風はいよいよ強さを増して寒くなって来ました。お料理の湯気もあっという間に吹き飛ばされ、とっとと食べないと冷めてしまいそう。見た感じおいしそうなので、(そしてお腹が空いているので)ぱくっと食べました。

「????」「どう?」「う、うーん」

 どのあたりを味わったらいいのか分からない一品でした。味が感じられないのです。素材の味を生かした料理かなとも思ったのですが、…これは私が料理してて「あっ塩入れるの忘れちゃった」っていう時の失敗料理の味です。
 安ければ笑えるかもしれないけど、日本円で計算してもかなりの値段な上に、恭しく「さあ、食べなさい」みたいに出されるとちょっと悲しくなります。なんでよ、もっと美味しいもの作れるでしょお?、という気持ちになります。

 結局メインを頼まず、早々に退出してしまいました。お店のひとは怪訝な顔をしていましたねー。ここはお茶にしておくのが良かったのかも知れません。でも、お料理がおいしかったという話もサイトなどで見るし、他の料理で見るべきものがあるのでしょう。

 でも、私たちはももこさんのお言葉をしみじみと思い返しました。高いレストランには入ったことがないという…、これが全てを語っていたのだと。

 傷心の私たちは、満たされぬ胃袋を抱えて町を彷徨しました。おおそうだ、まだグリークスウィーツにお目にかかっていないぞ。まだホテルに帰るには早いし(へこたれない。)

 ということで、ももこさんお勧めのZotosへ。お勧めのバナナクレープとカダイフィを食べました。バナナクレープはあっさりめでおいしかったです。可愛いチェック柄の紙皿とプラスティックのフォークでちょっとびっくり。パーティみたい。値段も安いし、フィルターコーヒーもいけます。カストロ後だったので余計に好印象。

 そしていざカダイフィです。…甘い。甘いと聞いていたが、本当に甘い。体中の浸透圧がどうにかなってしまいそうに甘い。蟻んこが食べたら即死ものではないだろうか(本当か嘘か、原糖倉庫には蟻がたからないとか。)しかーし、中のナッツとかマジパンみたいな中身は、非常に味わい深くてうまいではないか。 
 でも甘い。本体のみでも甘いのに、どうしてそこにいやと言うほど蜂蜜をかけるのか。いったいどこまで甘くしたら気が済むんだ。TVチャン○オンの甘いもの早食い王選手権に(というのがあるなら)出品したい。これを1分以内に飲み物無しで2個以上食べれる日本人は、この世に一体何人いるだろうか。
 甘いもの苦手なオットも始めはショック死するかと思うほどの形相になりました。病み上がりなのに。しかし、彼は言ったのです。

「…でも、うまいよこれ」「えっ、食べるの?」「食べる。お店のひとに悪いし」「無理しなくていいよ。また熱出ちゃうよ」「いいの。だって実はうまいもんこれ」

 結局どっちも平らげて、フィルターコーヒーを流し込んでました。本当、味はおいしかったですから。
 フィラの街は夜遅くても灯りがキラキラしてて、本当に安全でした。建物の隙間からふと見える景色の綺麗なこと。でもまだこの時期、イアに比べると風が強くて寒かったです。

2002年6月4日(火)
 さて今日は、いよいよももこさんお勧めのビーチへ行きます。オットも順調に回復して、海水浴やる気まんまん!

 バスに乗って、ペリッサでバイクを借りて(プジョーの黄色いの)、海岸線を走ります。あー気持ちいいー。Yazzとか見ながら行くと…あれ?ビーチが終わっちゃったぞ。いかんいかん。看板を見落としてしまったらしい。ちょびっと戻るとありました。

 いつでも空きっ腹の私たち。お勧めのタベルナに入りました。ももこさん達のHPプリントアウトして行ったら、お店のおじさんが嬉しそうに見入ってましたよ。
 ちょい汚れた青いチェックのクロスに、真っ白いテーブルクロス(サントリーニの地図がプリントされた紙の)をゴムでぱしぱしっと挟み込んで(このスタイルがサントリーニ風なのでしょうか?ナウサもペリッサのタベルナもこのスタイルでした)さてお食事です。陽気なおじさんにお勧めなど聞きながら、注文注文。

 グリークサラダにタジキに、スタッフドトマト、そして…カラマラキア。実は私は無類のイカ嫌い。もっと言うとタコも嫌い。あのくるんとした足先が、そこにくっついている吸盤が、味が、どうもいただけないのです。日本ではぜえったい食べません。でも、オットはこの二つが大好き。それにここでの名物料理ともなれば食べたいに違いありません。他の料理に比べてもちょっぴり高いし、と遠慮しているオットに「いいよ、食べなよ」と心の広い妻を演じてみる私。

 でもでも、おじさんが手にしてきた皿を見て、心が揺れました。いかにも「イカです!」という恐ろしげなゲソをうねうねさせて置かれた皿。ぷうーんと漂うハーブとオリーブ油の良い香り。オットの第一声。
「うまーい!激しくうまい!!」
 どう見てもおいしそうなのです。
「…食べる」
「ええっ?大丈夫?ほんとに??」
「頑張ってみる!」
 私の30有余年の人生の中で、こんなにおいしそうなイカは見たことがありませんでした。それでもゲソは避けて、胴体部を恐る恐る一口。 
「…信じられない。うまーいっ」

 恐るべしギリシャ。グランドキャニオンを見ても、エアーズロック見ても変わらなかったこの私の人生観を、イカの唐揚げひとつで根底から覆すなんて…。凄すぎる。
 勿論、そのほかのお料理も全ておいしかったです。最後にサービスで出してくれる西瓜のジューシーなこと!カストロの一件ですっかりももこさんの信者になった私たち。ももこさん、さすがだ!!と絶賛しまくり。
 こんなにおいしくて安くて、景色も最高でほんと素晴らしい。食べて食べて食べまくりました。あっ、海も堪能してきましたよ。ペリッサより水も冷たくないし、ずっと綺麗で、オットはぷかぷか浮いて「あーっ夏休みだー!」と叫んでました。

さてさて、ホテルに戻って、シャワーを浴びてすっきり。
 ところで、この日の朝ちょっとしたハプニングがありました。ベッドのライトをつけようとスイッチを押した瞬間、バチバチッ。火花が散って、部屋中のブレーカが落ちたのです!枕に火花が落ちてもうびっくり!!慌ててフロントのお姉さんに修理を依頼しましたが、そう簡単に修理できるはずもなく、結局滞在中には直りませんでした。
 困ったのがお風呂です。このライトと同じブレーカを使っているらしく、灯りを点けようとするとバチバチッといくのです。
 仕方なくお部屋に飾ってあったキャンドルを使いました。ロマンチックと言えばロマンチックでしたが。まあ、こんな島でお湯がたっぷり使えることだけでも有り難いし、贅沢なことなんだから、照明くらいどうってことありませんけどね。

 この日の夕食は、もう前日の寝る前から決めていたRoofGarden。
 確かにがらんと空いていて、広い店内は多少不安をかき立てられます。でもっでもっももこさんのお勧めだし!と勇気を奮い起こして入店。

 本当にサービスはのんびりしていました。ですが、メキシコほどではありませんでしたよ。メキシコではオーダーまで20分、ご飯にありつくまでゆうに1時間半かかって、あやうく飢え死にしそうになりました。他のお客を見ても、みんな実にのんびりとメニューを選んでいましたから、あれもお国柄だったんでしょう。

 そして、お料理がやって来ました。ここのタラモサラタといったら…!!!!!絶品です!オットはこの旅でのタラモ一等賞はRoofGardenだと申しておりました。あのふわふわ感はいったい何からくるんでしょう?油っこいと思いきや、絞ったバターっ気のないパンにぴったり。あまりの感動に涙でタラモが見えないくらい。
 その上、食後にサングリアをおまけしてくれました。これがまた…ワイン苦手な私にもすいすいいけちゃううまさ!ももこさん、ありがとーっ、とサントリーニの夜空に絶叫してきました(すぐに酔っぱらう下戸。)
 あ、そうそう断崖側とは違う、街の夜景も素敵でした。生活感があって、あったかい感じで。ちょうどワールドカップの中継があったらしく、町中のあちこちから同じタイミングで歓声が上がったりするのがとっても面白かったです。

2002年6月5日(水)
いよいよ今日はイアへの移動日。折角フィラの街にも馴染んできたのに、ちょっと後ろ髪引かれる思い。鼻づまり猫ちゃんと、トラ猫トラちゃんに別れを告げ、イアへ。

 タクシーは山の中腹にうねうねと蛇行する道路をすいすい走っていきます。道路の右下は海に向かって広がるほんの少しの平らな土地。ぽつぽつと小さな集落が見えました。断崖側とは全く違う風景。道路の脇には黄色や紫の小さな野の花がたくさん咲いていました。
 タクシーはバスターミナルをかすめてイアの街の背後に回り込み、ストップ。また運ちゃんに「そこの道をずーっと行って下だから」みたいな説明で降ろされました。フィラのつもりでふんふんと適当に聞いていた私たちは、痛い目を見ました。

 次の宿泊先、Oia Mare Villasはほんとに町のはずれ、アムーディ港とイアの町の中間にあったのです。ということは崖の中腹ということ。私たちは重いスーツケースを腰まで持ち上げて、階段を降りる降りる。もう手が千切れそう。血管切れそう。

 やっとホテルを見つけて、お兄さんがスーツケースを持ってくれた時はへなへなと崩れ落ちそうでした。
 ホテルは見たとおりとってもラブリー。部屋の中も青と白に統一されて、本当に可愛らしい。ここまで来る苦労も吹き飛びました。(ホントか?)
青と白のOia Mare Villas ハネムーンビラの1階、キッチン。

    

ホテルの部屋は外観と同じようにとっても素敵。ずっと夢見ていたサントリーニのイメージそのもの。ドアもペンキ塗りたてでぴかぴかだし、ベッドも清潔。土足で歩き回るのが勿体ない。(なんたって、ロバくん達の落とし物を踏んだりしてますからねえ)
 
 さて、移動するとお腹が空く私たちは、またおいしいものを求めて町へ。これがまた、ロバも足を滑らす急な階段を何段もあがって行かなくてはなりません。なんたって暑いし、息が切れるし、無駄口も出ません。まるでケンカした夫婦のように無言で歩く私たち。

 やっとの思いで町にあがると、ホテルのお兄さんおすすめのOia’s Cafeはお休みだったので、ももこさんのHPにあったメレヴィオを探すことに。途中、可愛いお店がたくさんあって参りました。なかなかお昼ごはんにありつけません。イアはフィラよりコンパクトでちょっとお洒落で、アンティーク寄りの雑貨屋さんが沢山あるという感じ。道が狭くて、ロバがやってくると、ギリギリいっぱい。至近距離でロバくんの大きな黒目がちの目に見つめられると、ドキドキします。

 雑貨の誘惑にうち勝って、やっとメレヴィオに到着。残念ながら一番眺めのいい席は全て埋まっていましたが、テラス中程の席からでも青く霞む断崖の絶景は充分見えました。
 私はほうれん草のパイとEkmekアイスクリーム、オットはチキンパイを選びました。ほうれん草パイは、うむむ、味がない。ちょっと失敗かも。でもチキンパイは絶品。すっごくおいしい。アイスクリームもおっきくて、アイスの下にカダイフィの春雨状のものやナッツやマジパンみたいのが敷いてあってとってもおいしかった!!

街はまた夕方にでも見るつもりで、ビーチ探しに出ました。日の長いギリシャってほんと時間を有効に使えますよね。
 ペリッサでレンタバイクの気持ちよさを知ったので、今日からはバイクふたり乗りで島中を回ろうということになりました。日本製のバイクがなかったので、仕方なくまたプジョーを借りました。見た目は可愛いんだけど、ほんとこれ、お尻痛くなるんだよなあ。

 バスターミナルから島の反対側へ向かって一気に坂を下り、イアの街のちょうど裏側にあるちいさなビーチに到着。あまりに小さく、海もそれほど綺麗ではなさそうなので、地図を頼りに移動。アムーディ港のところにビーチのマークがついていたので、早速島の東側からバイクで回り込んでみました。
 港の駐車場でバイクを止め、見下ろすと「あれ?」これがビーチ???

 シーフードで有名なタベルナが立ち並ぶちょっと手前に、10歩も歩いたら終わってしまいそうな赤石の波打ち際。コンクリートの桟橋に横になっている人もいるけど…これじゃあのんびり水遊びっていう雰囲気じゃないなあ。
 と、地元の若者やら、いかにも長期滞在っぽい観光客がバスタオルを抱えてぺたぺたと歩いて港を抜けていくのを発見。私たちもついて行ってみることにしました。

 港を通り抜け、小さな岬をぐるっと回ると岩がごろごろ転がっています。その岩場の上に、壊れかかった鉄筋の橋のような通路(?)がありました。ところどころ乗り越えるのにちょっと思案が必要な岩が乗っていたりして、冒険気分。いくらも歩かないうちに、子供達の歓声が聞こえてきました。

 そこはただの岩場なのですが、うまいこと海に降りられそうな段差があり、地元の子供や若者が遊んでいました。すぐ対岸に岩でできた小さな島があり、小さな水路のようになっています。結構な高さのある島の崖から飛び込んで遊んでいる若者もいます。ビーチなんてものじゃなく、子供達の秘密の遊び場みたいなところ。私たちも思い切って海に入ってみました。

 港の近くなので船が行き来しているのですが、この水路はどうやら船が通らないらしく、船の引き波にさえ注意すれば、流れもそれほど強くありません。水の透明度も高く、シュノーケルをつけると、お魚も沢山見られました。
 水路の中程まで泳いで振り返ると、右手にイアの街が見えます。水面にぷかぷか浮きながら街を見上げるのは、不思議な気分です。船なんかで見上げるのとは全く違います。自分の身体という定規で、街の高さとか、島の大きさとかが体感できる感じ。
 オットは子供達が連れていた真っ白い犬と仲良しになるし、小さい頃から江ノ島に行っても砂浜ではなく岩場で遊んでいた私にも、ここの岩場はとっても楽しかったです。デジカメを持っていかなかったので、ここに載せられないのが残念です。

 ただ、ここは多分公認のビーチではありませんので、全ては自己責任になるのでしょうね。泳ぎに自信のない人や、ダイビングブーツを持ってなくて足の裏が弱い人はやめておいた方がいいです。水から上がる時に、散々波に洗われたゴツゴツのコンクリートでふやけた足を傷つけられてしまいます。私たちはダイビングはしませんが、常に簡単なダイビングブーツを持っていくようにしています。知らない海の中には何がいるか分かりませんからねえ(経験者は語る。昔田舎の海でオコゼを踏んづけて痛い目を見ました。とほほ。)
 
 アムーディを後にした私たちは、さらなる美しいビーチを求めて島の東側を南下しました。いくつかのビーチを見ながら、もっといいところはないかなとどんどん海沿いを走ります。そうしているうちに、何処にいるのか分からなくなってしまいました。バイク屋の地図は簡単なので、細かい脇道など載っていません。いや、本当は脇道になど逸れない方がいいんですけどね。

 ガソリンも少なくなってきて、だんだん心細くなってきました。日も落ちてくるし、気温も下がってきて、寒くなってくるし。走っても走ってもガソリンスタンドは見つからないし、ふたり乗りなのでそれほどスピードも出ず、気づけばメーターはほぼEを指しています。泣きそうな気持ちになってとぼとぼ人気のない道路を走っていたら、道の脇で大きなバイクに荷物を積み降ろししているマッチョなお兄さんがいました。

「あのう、この辺にガソリンスタンドはあるんでしょうか?」

 お兄さんは、爽やかに笑って答えてくれました。
「ああ、あと200メートルくらいのとこにあるよ」

 うわあ!良かったあ。トロトロ(よろよろ?)走っていくと確かにGasの看板が!その文字は神々しくさえ見えました。オットは目に涙を浮かべていたかも知れません。
 そして無事プジョーくんをお腹いっぱいにすると、海沿いの道からはるか上方に見えるバス通りに登ることにしました。このスクーターで行けるのかどうか心配ではあったのですが。とにかくえいっとばかりに右折して、ぐいぐい坂道を登ります。もの凄い急勾配。プジョーくん、頑張ってくれいとお願いしながら、人の敷地ではないだろうかと思われるような狭い道を登りました。途中、牛が繋がれていたり(これにはびっくり)、ブドウ畑があったりして、余裕があれば楽しかったと思うのですが、それどころではありません。途中何度も止まりながら、ひたすら登り続けます。

 不意に目の前が開けました。バス通りです!山の中腹をうねうねと通っていくバスの道に出たのです。それから私たちはまっすぐフィラに向かい、まずは帰りの寒さ対策にウインドブレーカーを購入。お土産屋のもので、背中に思いっきりSantoriniって書いてあって、あんまり格好良くないけど、背に腹は替えられません。

 ほわんとあったかい上着を手に入れたら、お腹が空いてきました。「そうだ、Roof Gardenに行こう!」通りをぺたぺた歩きながら、ああ、この辺がナウサだよねえと、何気なく見上げたら、ナウサのお兄さんが手を振っていました。
「これは…」「入るしかないか」ということで、あっさりナウサに変更。
 ももこさんご推奨のトマトケフデテスは本当においしかった!!あっさりしていて、でもしっかり味がついていて、ここのが一番でした!小魚のフリットもカラッとしていておいしいし、チキンスブラキもいい!なんとなく、ギリシャの肉料理はチキンが最も私たちの口に合う気がします。炭焼きのコゲ具合がスパイスと合っていてすごくおいしい。

 ぱんぱんのお腹を抱えて、またバイクにまたがり、イアへ。ウィンドブレーカーのお陰か、ナウサの美味なるご飯のお陰か、元気りんりんバイクを走らせ、無事にホテルへ帰りました。

 さて、オットが「お先にどうぞ」と譲ってくれたので、初OiaMareVillasシャワーです。ぽいぽいっと景気良く服を脱ぎ散らし、コックをひねったその瞬間。バスルームが真っ暗になりました。なんとまたブレーカが落ちたようです。今度はどこのブレーカーだあと言いながら、オットが配電盤に近寄りました。
「あれ?ブレーカ落ちてない」「ええっ、どういうこと??」
 もしかして…。「他の部屋は?」「うーん、暗いぞ」「全部?」「おお、ぜぇんぶだ」
 ということはまさか!?

 とにかくバスタオルを巻き付けて、ドアから外を覗きました。やっぱりーーー!!
 イアの街中が停電していたのです。さっきまでクリスマスイルミネーションのように輝いてたお土産屋さんの電飾も、カフェの灯りも、街灯も闇の中。人々のどよめきが聞こえます。こりゃあ、回復には時間がかかりそうだ。

 しばらくしてホテル通路の足元ライトが点灯。早い。自家発電でしょうか。でも部屋の中はまだ真っ暗です。ロウソクをもらうため、オットをレセプションに向かわせました。
 闇の中で待つこと数分。外で話し声が聞こえたかと思うと、不意に扉が開きました。
「部屋にあるっていうんだけど、何処にあるか分からないからお兄さんに来て貰ったよー」「ええーっ。ち、ちょ、ちょっと待って!!」

 暗闇とはいえ、バスタオルいっちょ、しかも服は脱ぎ散らしたまま。服を抱えて、慌ててバスルームに駆け込む私。

 それからは、小さなロウソクの灯りでそそくさとシャワーを浴びました。なんだか、どこかでこんなことがあったなあ。まさかアテネでもあったりして。
 停電は結局30分ほどで回復しました。意外と早いものですね。

 でも、月明かりだけで見る海や対岸の島影は、普段より大きく見えて、なんだか迫り来るような感覚がありました。今となっては印象的なエピソードのひとつです。

2002年6月6日(木)
やわらかなベッドでぐっすり眠った私たちは、ちょっぴり早めに起きました。昨日申し込んでおいたVolcano Hot Springs Tourに参加するためです。これも、ももこさんのHPを読んで「行ってみたい」と思っていたもののひとつだったのです。

 さて、初めてのOia mare Villasの朝食は、可愛いの一言。愛らしい籠にはチェックの布が張られており、クロワッサン、テーブルロール、カップケーキなどがちょこちょこ詰められ、小瓶のジャムが添えられて、いかにもプチホテルの朝食。いずれも甘くておいしかったです。…ですが、私たちはすっかりフィラのホテルの朝食に慣らされていたため、甘ーいケーキに胃もたれしてしまいました。ああ、あの素朴な朝食のおいしかったこと。

 バイクでアムーディ港に到着すると、既に船出の時間でした。慌てて走り込みセーフ。船はアルメニ港にも寄って客を乗せると、火山に向かってすべり始めます。今日も快晴で、船の上は暑いけど気持ちいい!ヨーロッパ系のお客達は、長椅子に寝ころんで焼きに入っています。シミが出来るとか、あんまり気にしないのかな。私も気にしないけど。

 火山島のハイキングは楽しかったけど、予想以上に暑くて苦しかったー。火口近くの風景は何故か八ヶ岳のひとつ硫黄岳に似ていました。ガイドの説明を聞きながら歩き回り、吹き出すイオウの熱さに驚いたり、頂上から見る景色に感動したりしていました。
 登り以上に下りは足場の悪さに要注意!という感じ。ダイビングブーツの私たちは良かったのですが、サンダルで来ていたインド系の女性は鼻緒が切れてしまって苦労していました。

 再び船に乗り、お待ちかねの温泉へ!船は島をくるっと回って行きます。やがて前方に赤茶けた入り江が見えてきました。
(噂どおり、)船は入り江の手前で停止。海の中に梯子を降ろし、

「さあ、行きたい人はどうぞ!!」

 まだ海の色は青く、温泉までは結構ありそう。しかも海の水はかなり冷たそう。飛び込んでいく人数も、船に残る人数も同数くらいでしょうか。
 でもでも、温泉に浸かるためにここに来たのだ。行かねば!
 でっかい白人のおじさんがものすごい水しぶきを上げて飛び込んだ後、

「てぇーいっ」ばしゃーんっ。「のああああっ。冷たいーっっっ」

 あまりの水の冷たさに思わず全身が鳥肌。おおお、噂に違わぬ冷たさ。身体中の皮膚という皮膚が鳥肌どころか、トゲトゲになりそう!もしかして全身の余分な脂肪が燃焼してくれたりはしないか!?どうでもいいけど、とにかく泳がないと凍える。

 しかし…遠いんです。入り江はなかなか近づかない。なんだか冬山で遭難しそうな夫婦みたい。「寝ちゃ駄目だ!」などとふざけて声を掛け合い、それにちょっと疲れちゃったりしながら頑張る私たち。
 すると、前方よりなにやら茶色い水が流れてきました。それになにやらぶよぶよした赤茶色の物体が。まるで地球外生命体の切れ端のような物体。触るとぬめらーっと分解していくアメーバ状の物体がぶよぶよと漂っている。そして、かすかにぬるい水の気配が。

「これが、…温泉?」この冷たさ。「温」という字を使っていいものか…。確かに場所によりややぬるいのですが、それがまたその場所から離れたときの冷たさを倍増するんです。それに鉄分なんでしょうか、水着が見る見る赤錆色になっていきます。
 それにしても、この地球外生命体はなんだろう?もしかしてこれは、サントリーニの「湯の花」!?どうやら海底にも細かな砂やヘドロのような「湯の花」が堆積しているようで、なんとも気色の悪い感触。ぬめぬめぬめ。

 でもまあ、確かにこの感触は、ここでしか味わえないかも…ということにしておこう。ということで、早々に退散。上陸なんてしたら寒さが三倍増しになるに違いない。
 さて、帰りは当然ながら行きより疲れております。その上、他の観光船が次々にやってくるため、私たちの船ったら、移動して他の船の裏手になっていたのです。疲れと、冷たさに足がつりそうになりながらも、なんとか生還。ふー。もうここは一回来ればいいや。

 それから船は、甲板で暖をとる(といってもすぐに暑ーくなったんですけどね)私たちを乗せ、いよいよお昼ごはんの待つティラシアへ。
 船が接岸し、一歩港に出ると驚きました。海の色が違う!花の色も、日の光も、今までフィラやイアで見ていたよりもっとずっと鮮やかなのです。目の前の島に渡ってきただけなのに、この差は何でしょう。こんな綺麗な島で遊んでいる地元の子供達はなんて羨ましいんでしょう。

 集合時間を確認し、一斉に島の上へ登り始める乗客たち。島の上で絶景を見ながらお食事したい!そう思い、港のタベルナには見向きもせず急坂を歩き始めました。
 いくらも行かないうちに、ロバ乗り場があり、ガイドと一緒になって客引きが寄ってきました。でも、なんとなくこの暑い中ロバちゃん達を歩かせるのは酷な気がして、私たちはきっぱり断り、元気よく歩き始めました。
 しかし。つづら折りはどこまでも続きます。日差しはめちゃめちゃ強いし、坂はほんとに傾斜がきつい。しかも、ロバちゃん達の落とし物が…。息が上がって精一杯呼吸したくても、できない。くく、苦しいよう。なんであの時意地を張ってしまったのか。またしてもケンカした夫婦のようにもくもくと歩き続ける私たち。ロバフレグランスのお陰で、口を開けられず、水さえ飲めない。ああ、またしてもこれは修行だ。しかも苦行だ。なんたって、さっきは寒行したばかりなのだ。
 もうだめ、もうだめというのを心の中で数十回も繰り返して、最後の急坂をくるっと回ると、タベルナのおじさんが声を掛けてきます。力なく笑ってそれも断って、最後の力を振り絞り、残りの3段を這い上がる私たち。そして、ついに登りきったのです!!
 さて、さっきのタベルナは断ったものの、腹ぺこで倒れそう。それに暑くて暑くて日射病でも倒れそう。とりあえず、街をうろうろしてみました。
 フィラから見えていた雪のような街は、やはり目に刺さるほど真っ白でした。鮮やかなブーゲンビリアが白壁に映えて、海も空も一層青く見えます。本当にとっても美しい。真昼のティラシアの街はしんと静まりかえって、どこからかラジオの音がぼんやりと聞こえていました。タベルナも数軒しか営業していなく、一番見晴らしが良さそうなカフェもまだ営業シーズン前でした。 
タベルナから見た港。海が青い!
大変な坂を登ってきた私たちのお腹はもう限界。何か口に入れないともう倒れる。店の外で焼いていたスブラキがおいしそうだったタベルナに入りました。そこはつづら折りの階段から一番遠い場所(といっても、2、3軒ですが)で、夫婦ふたりでやっているようでした。

 ここも当たりでした。チキンスブラキの焼き具合も絶妙でしたし、タジキもパンもとってもおいしかったです。なにより、ニコニコとサーブしてくれるふたりがとても感じが良くて、「ああ、ここまで登ってきて良かった」としみじみ思いました。
 あまり時間もなかったので、また苦労して階段を降りた私たちは、へなへなになって船に乗り込みました。今度はあの見事に綺麗な海でのんびり海水浴したいものです。
 アムーディ港に戻った私たちは、バイクで今度はカマリビーチに向かうことにしました。今度はガソリンも満タンで、ぐんぐん行きます。

 フィラも通り過ぎ、また適当に脇道に入ったりしながら行くと…あれ?なんだかバスで見ていた風景と似ているようで違う。ビーチへの看板も見あたらない。それでも(やめればいいのに)走っていくと、今度は急な上り坂にぶつかりました。なんだか、ペリッサビーチで見ていた岩山に似ている気がしましたが、「ええい!登ってやる!!」とアクセル全開。うねうねの山道を登ります。だんだん景色が開けてきて、「おお、これは絶景」という場所で止まろうとしたら、「撮影禁止」の看板が。んんん?何だか妙だぞ。しかたなく前進。ようやく上り詰めたと思ったら「駐停車禁止」の看板が。よく見ると、テレビ塔のように見えていたものはレーダーにも見える。そして、ちらほらと「The army」とか「military」とかっていう単語も見える。…ということは。
 ひえええ。間違って軍の施設に着いてしまったのだ。

 でも、私たちのような人が他にもいたらしく、数台の車がUターンしてきます。私たちも慌てて山を下り、見慣れたバス通りを発見。ペリッサビーチに向かいました。既に日も傾き始めていました。
 Yazzの美味しいミルクセーキ(私はヘーゼルナッツ、オットはバナナ味)で一服した私たちは結局海にも入れないで、またイアに戻りました。しくしく。まあ、ミルクセーキがとってもおいかったから良しとしよう。
 
 イアに戻り、ひと風呂浴びて、いよいよ夕日鑑賞です。夕日ポイントは既に人でいっぱいだったので、ホテル近くのアムーディ港に降りていく階段のところで見ました。ホテルの部屋は向きが悪くて夕日を見ることができなかったのです。雑誌の宣伝文句には部屋のテラスから夕日が見える…とあったのですが、多分それはもっと上のカテゴリーのお部屋だったのでしょう。なんだか釈然としませんが。

 この日の夕日は最後は雲に隠れてしまいました。でも、やはり東京では見られない美しいオレンジ色の夕日でした。
 フィラと違って風が吹き付けないため、イアは夜でも暖かく、散策にぴったりです。街としては、フィラの方が騒がしくて楽しいんですけれどね。

 さてさて、夕日も見たし、夜ご飯です。今日はホテルのお兄さんお勧めのOIA’S CAFEに行くことにしました。オープンテラスの席は、凝ったインテリアでとっても素敵。さすがにいい席は予約済みということで、テラス席の隅っこに座らせてもらいました。

 お店の雰囲気は今まで行っていたタベルナとは違って、もうちょっとかしこまった感じでした。それは店員の態度ではなく(お店のひとはやっぱりフレンドリーでした)お客の服装です。値段もかなり高いし、きちんとお洒落してデートしようかといった感じでした。
 実はこのお店に決める前に有名な「1800(ヒリアオクタコシア)」も覗いてみました。腰を抜かすほどお値段が高かった!そして、あまりに雰囲気が高級そうで(笑)持っていった服では入れそうもなく、すごすごと退散してきました。

 OIA’S CAFEも私たちには価格も雰囲気もギリギリの線だったと思います。お店で使っているお皿もグラス類もテーブルセッティングも上品で素敵でした。イアはフィラに比べるとちょっと「お高い」のでしょうか。

 お料理はおいしかったです。お通し(?)のドライトマト、オリーブとケッパーも美味でしたし、パンもいろいろな種類が出てきておいしかったです。注文は値段が高いこともあって随分悩みましたが、いつものタジキと、冷たいベジタブルスープにチキンソテー、それから、それまでのお店でも気になっていたFavaというのを思い切って注文しました。

 Favaはおいしかったです!今まで注文してこなかったのを悔やむくらいでした。豆好きなら絶対気に入ると思います。新宿アイランドビルに入ってるシンドバットというレバノン料理屋にもこれに似たお豆のペーストがありました。

 タジキもちょっとRoof Gardenのタラモを彷彿させる味で満足!ふわふわでした。
 ベジタブルスープは、お上品にも足つきのグラスに入ってきました。見た目も味もタジキにそっくり。タジキをうすいヨーグルト味の水でのばした感じというんでしょうか、今ひとつはっきりしない味でした。まずくはなかったですが。
 しかし!メインのチキンソテーはいけません。しょっぱくて食べられない!!ニコラスのチキンインレモンソースを勝手にイメージしていたので、あまりのギャップに(しょっぱくて?)涙が出そうでした。オットは健気にも頑張って完食していましたが、塩ジャケも苦手な私はギブアップ。

 それでもデザートまでには気を取り直してバクラヴァに挑戦しました。これまた、甘い。カダイフィなみ。でもやっぱりおいしかった。でもでも、ここのはあまりに大きすぎました。バクラヴァのお皿、たぶんメインの肉料理を載せてもいい大きさのものです。これをこともなげに平らげてしまうギリシャ人って、凄すぎる…。

 全体にはまあおいしいお料理でしたが、ひとつ閉口したことがありました。店にいた犬です。人懐こいのはいいのですが、この犬、困ったことに口がくさい!お食事中に膝に顎を置いてきて、うう、食欲が…。お店のひとにもそれとなく伝えたのですが、「いやあ、外へ行けといっても言うことをきかないんだよねえ」といった感じで笑うだけ。どうやら店の中にいるのは容認されているらしく、こちらとしても邪険に追い払うわけにもいかず、いやはや参りました。きっと犬嫌いと思われたんだろうなあ。

 なんとか食事を済ませ、甘ーいデザートワインでほろ酔いになり、ホテルに帰りました。途中、道のど真ん中で倒れて死んだように寝ている大きな犬で遊んだり(前足を持ち上げてバンザイさせても、されるがまま。面白かった)、お土産屋で彫像のように座っているダルメシアンの頭をなでたり、にゃんこの影をみたりしました。この日はワインが効いて、いつ眠りに落ちたのか分からないくらいでした。少し疲れてきたのかもしれませんね。

2002年6月7日(金)
今日は丸1日遊べるということでは、サントリーニ最終日です。やはり早めに起きてバイクで出発!今日はレッドビーチに向かいます。

 まずは昨日までの教訓を生かして、おとなしくバス通りをたどっていきました。観光バスが何台も止まっているアクロティリ遺跡の横を通り抜け、花や緑で飾られた可愛らしい家が建ち並ぶ小道を行くと、不意に駐車場に出ました。

 どうやらここからは歩いていくらしい。標識に従って歩いていくと、なんだか道幅が狭い。しかも、前方にはビーチサンダルでは乗り越えるのには多少苦しげな岩が。これってもしかして、日本なら「落石注意」とか、香港なら「地滑小心」とか看板が出て、まず立入禁止になりそうな場所なんではないだろうか。しかし、遥かイアからお尻を痛くしてここまでやって来たのです。ここでくじけるわけには行きません。年配の欧米人も、若いカップルも通路の未整備具合を気にする風もなく歩いていきます。

 岩を乗り越え、ザレ地を歩くこと数分。なんだかアムーディで泳いだことを思い出すなあなどと考えていたら、おお!見えた。真っ赤な崖に囲まれた綺麗なビーチ!こんな場所なのにどうやって運んだのか、ちゃんとパラソルもサンベッドもある!!

 観光地として有名だと聞いていたので、規模も場所も意外でした。もっと車とかで乗りつけられるような(ペリッサみたいな)ビーチなのかなと勝手に思っていたのです。
 まあ、とにかくサンベッドを決めて、疲れたお尻をいたわろう。巣作りを終え、さっそく海へ。が、この日は曇りがちで海水浴するにはちょっと暑さが足りませんでした。海の水は相変わらず飛び上がるほど冷たい。いやホント、飛び上がりました。でも、赤い石が転がる浜は他では見られないもので、なかなか興味深いものでした。

 それからふたりで小一時間ほど頑張ってみましたが、だんだん退屈してきました。海風は気持ちいいけど、ビーチは小さいし、肝心の海には入れない。他にはなんにもないし。で、やっぱり移動することにしました。もちろん、お気に入りのビーチへ!

 途中、島の南側から見るカルデラの風景に感動しました。島の南側にも素敵なホテルが幾つかありました。ホテルというより長期滞在者のためのヴィラという感じでしょうか。食事とか買い物はちょっと不便かもしれないけど、静かでこじんまりとしたオトナの雰囲気のホテル。いつか泊まってみたいです。月単位とか、長期でいられるということがあったなら…ですが。

 今日もおんなじタベルナの同じ席に陣取って、注文しまくりました。
 いつもグリークサラダばっかりだったので、サントリーニスタイルのサラダというのをとってみました。これが大当たり!サントリーニの特産チーズは、フェタとはまた違ったモツァレラみたいな食感のもので美味だし、ケッパーもミニトマトも一層おいしい!!これは本当においしくて、またしてもふたりで、なんで今まで注文しなかったのか…と後悔の嵐!

 スタッフドトマトも、中のピラフがおいしい。いい具合にハーブが効いていて、塩味も丁度良い。スブラキもよく焼けていて、食べると口の中にじゅわーっと肉汁が広がります。 
おいしかったサラダ。
トマトの横の葉っぱは
何の葉でしょうか??
大変美味でした。
残念ながらこの後も気温はそれほど上がらず、海水浴は楽しめませんでしたが、お隣のChili’sから流れてくるご機嫌な音楽を聴きながら昼寝したり、同じようにビーチでマグロになっている人を観察したりしてのんびり過ごしました。やっぱり私たちは多少賑わいのあるビーチの方が面白く感じるようです。今度は是非、賑やかだというカマリビーチに行ってみたいものです。
 
 この日は帰り道で素敵な出会いがありました。フィラ〜イア間の道を走っていた時です。何気なく道路脇の景色を見ていた私の目に、茶色の物体が飛び込んできました。尖った岩の上に、ちいさな固まり。丸い頭、くるっとした大きな目、茶色のグラデーションの羽。
「フクロウだ!」
 野生のフクロウを見るのは、初めてでした。岩の上にちょんととまってこちらを見ています。慌ててバイクをとめ、音を立てないように近づきましたが、すぐに逃げてしまいました。保護色だったため、オットは目にすることができなかったようです。
 明日はアテネに行くという時にフクロウに出会うなんて、女神様にいらっしゃいと言われているようでとっても嬉しい気分でした。
 
 イアに戻り、バイクを返してシャワーを浴びると、夕食です。サントリーニ最終日の夕食。もうふたりの心の中は決まっていました。

「サントリーニはRoof Gardenでシメよう」

 おいしかったサングリアを飲むつもりだったので、バスでフィラへ。いくらたっぷりしたお肉で覆われているとは言え、やっぱりお尻にとってはバイクより快適です。フィラは相変わらず賑やかで、おいしそうな匂いでいっぱい。最後の町歩きを楽しみました。サントリーニ最後の夕日をフランコズバーの上で見て(結局寒くてここには入りませんでした)、Roof Gardenへ向かいました。

 この日は比較的お客がいましたが、やっぱりナウサなんかと比べると空いています。こんなにおいしいのに何故なんだろう??
 残念ながら今日サングリアはないよと言われたので、私は白ワイン、オットはミソスビールを注文。絶品タラモにタジキ、チーズサガナキにトマトケフデテス(これはナウサの勝ち。でもおいしかったけど)、チキンスブラキにスタッフドポークを頼みました。本当に本当においしかったー!!今度はフィラだけに滞在して、食べ損ねたトーストクラブのギロも絶対に食べなきゃ。 
絶品タラモと極うまタジキ
確かにこの日もRoof Gardenのサービスはゆっくりしていましたが、気になるほどではありませんでした。まだそう混んでいなかったせいかもしれません。その分、ゆっくり食事や夜景を堪能できましたよ。

 タクシーでイアに戻り、ほろ酔いの状態で荷物を詰めました。
「あーもっといたいよー。フィラに帰りたいよーーー」
 というセリフを何度繰り返したことか。
 アテネもきっと楽しいんだろうけど、サントリーニは楽しかった。ああ、本当に楽しかったなあ。

2002年6月8日(土)
いよいよ今日はアテネに向かいます。朝一番でヨーグルトを食べました。ギリシャのはおいしいと聞いていたのでスーパーで買ってみました。酸味が少なくてふわふわでマイルドで食べやすく、本当においしかったです。朝靄の海を見つめながらのヨーグルトはまた格別でした。その後ホテルの朝食もちゃんと食べましたよ。

 帰りはさすがに、タクシー溜まりまでロバくんに荷物を担いで上がってもらいました。
荷物を運んでくれたロバくん、
ありがとう。
 タクシーはあっという間にフィラを抜けて空港へ。ああ、サントリーニから離れちゃう。
 空港は大変な混雑!行列が外まで溢れています。しかも列はバラバラで、どこでチェックインしているか全く分かりません。ツアーで来たらしい日本人の団体もいました。このままボーッ待っていたら何時間かかるやら分かったものではありません。

 ううむ、どうしよう。きっとこの国にはおとなしく列を作って順番待ちという習慣などないのだ。そうに決まっている。「あたしの飛行機が先に出るんだからちょっと通してよ」「いや俺のが先だ」みたいな会話があちこちで聞こえるし。ええい!とにかく重い荷物を預けたい私たちは、人をかきわけ、まずはインフォメーションカウンターへ。お姉さんに窓口を教えて貰い、荷物をセキュリティに通して貰ってなんとかチェックイン。

 それから、お腹もへったし、来るときにタクシーから見えたカフェに行こうと、また人をかきわけて(今度は身軽なので気楽)、建物の外に出ました。振り返ると、中では日本人のツアー客がぼんやりと虚空を見つめてスーツケースに座っていました。こんな時の団体行動は大変です。

 空港そばのカフェは期待していなかったせいか、結構いけました。スブラキも焼いてから暫く時間が経過していると思われる冷たさでしたが、味はなかなかです。ポテトもパンも素朴で、味付けに無理してないのが良かった。お店はちょっと埃っぽいところにあるけど、ちゃんと空港のアナウンスも聞こえるし、テレビもあって(この時はもちろんワールドカップを放送していました)、時間つぶしには充分です。
 
 機内は結構混んでいました。どうやらツアーの日本人客がこの混雑のせいでまとまった席が取れなかったらしく、私たちが座った3人席にも席が離れてしまったと思われる若い女性がやって来ました。何か言いたげにうちのオットを見ていましたが、うちだって身体を張ってチェックインしたんだし、席を譲ってくれと言われてもなあと思っていたら、恨めしげに腰を下ろしていました。まあ、仕方ないですよね。

 飛行機はあっという間に飛び立ち、サントリーニ島を後ろに追いやり、感傷に浸る間もなく、アテネに降り立ちました。
 タクシーの誘いをふりきり、まずはバスのチケット購入。暫く待っているとエアポートバスがやって来ました。車体はとってもきれい。うーん、やっぱりアテネは都会だなあ。
 市内への道路はかなり渋滞していました。これでオリンピック大丈夫なんでしょうか。途中にあったフランスのスーパー、カルフールの巨大なお店が印象的でした。入ってみたかったなあ(私は無類のスーパー好き)
 久しぶりのシンタグマ広場は、やはり冬の時と印象がまるで違いました。やっぱりヨーロッパは夏に来ないとですね。緑はきれい、お花も咲いているし、なにより明るい!アテネはサントリーニより暑く感じました。
 何故か(?)道に迷ったものの、無事今日のお宿に到着。しかし…。

 なんだか、敷居が高いエントランスなのです。となりのグランブルターニュが改装中なので、あたりの格式の高さみたいなものはぐーんと下げられているのですが、アセンスプラザホテルの中はさすがに雰囲気が違う。ビーサン・短パンではとても入れそうにない。仕方なく、足元だけでもとサンダルを引っぱりだして入りましたが、うう、場違い感は拭えません。心なしかフロントの対応も冷たく感じられ(実際はそんなこともないのでしょうが)、部屋のドアを閉めた瞬間、はーっと脱力しました。
 ホテル選び、失敗したかも…。
 本当にゴージャスでどこもかしこも綺麗。クローゼットは天井まであるし、バスルームにはブルガリがあるし。でもでも、島でのんびりした生活に浸っていた私たちには少々高級すぎたかも、でした。もっとカジュアルなホテルで良かったのかもしれません。
 
 気を取り直し、服も都会バージョンに着替えて、プラカにお出かけ。途中デルフィを発見。時間もまだ早かったので、お店は準備中でした。キダネシオン通りは結構混んでいて、ほんと、すごい賑わい。どこまでもお店が連なり、土曜日ということもあってか、大変な人出です。

 さて、お目当てはももこさんご推奨のPaliaだったのですが、どうも見つかりません。結局店の名前が読めなかっただけだということが後で判明するのですが、さんざんうろうろして、お腹もへってしまい、客引きのおじさんに捕まって、ああもうここでいいや!と眺めの良さそうなタベルナに入ってしまいました。多分、プサラスとかの辺りだったと思います。

しかし、やっぱり「はまって」しまいました。眺めは良かったのですが、料理がいけません。前菜のグリークサラダがどうしてかまずい。西瓜ジュースに味がない。あああ、デルフィまで戻れば良かった。お得なコースメニューでデザートまでついていたのですが、あとはもう覚えていません。とにかく早々に退散しました。まわりのお客もあまり食が進んでいないようでした。

 やっぱりPaliaを探そう!と歩いていたら、控えめな客引きのお兄さんが「お食事はいかが?」と話しかけてきました。そう言えばさっきもこのお兄さんいたよなあ、とぼんやり店の看板を見上げたら、読みにくいギリシャ文字だったのですが確かに「PaliaPlakiotoki」と書いてあるではないですか!私が持っていたガイドブックの写真を指さし、「ほら、この店なんだよ」と得意げに微笑むお兄さん。さっきは無視して通過してしまってごめんよーーーー。
 でも、まだまだ食べられる私たちは、入りましたよ。グリークサラダにタラモ、オットはウゾまで頼んでました(オットはザルです。ザルの網目もないかも)
 私たちが入ったときは、お店はがらーんとしていていましたが、食事が進むに連れ、団体様ががんがん入ってきます。おお、やっぱりこうじゃなくっちゃ。地元の人たちでしょうか、何かのお祝いみたいで、おめかしした集団もいれば、年配のご夫婦もいます。音楽もダンスも始まり、やっとプラカらしい雰囲気を味わうことができました。
 お料理は…もちろん!おいしかったですよ!!   
楽しい雰囲気!
このあと満席になりました。
楽しくお食事を終えて、キダネシオン通りをぷらぷら歩いていたら、なにやら人だかりが。なんだろう、こんな夜中に。時刻はもう10時半を回っています。近寄ってみると、ボンネットにバラの花束を載せた黒塗りのBMW。…ということは?

 おお、結婚式だ!
 そういえばどこかでギリシャは夜にも結婚式をするというのを見たような気がします。 
 場所は大勢の人々が行き交う通りに面したメタモルフォシス教会。入り口には花が飾られ、既に扉は開かれていました。花嫁さんが出てこないかなとしばらく待ってみましたが、着飾った招待客は出てくるものの、いっこうにその姿は見えません。夜も遅いのにみんな抱き合ったり、おしゃべりしたり楽しそう。日本の黒一色な結婚式とは全く違って、思い思いの衣装でドレスアップしています。みんな手に白いチュールのふわふわした包みを持っていて、暗がりの中で綺麗な白い花が幾つも咲いているように見えます。

 いくら待っても花嫁さんは出てこないので、諦めて帰ることにしました。「いいね、こんな結婚式。みんな楽しそうで」などと話しながらふたりで歩いていたら、斜め前を歩いていた、タキシードで正装したおじさんが、ニコニコしながら寄ってきました。

 「○○○からのプレゼントだよ!(花嫁の名前と思われましたが、ちょっと聞き取れませんでした)」
 と言って、チュールに包まれたドラジェを私にくれたのです!

 「ええーっいいの?おじさん」と思わず日本語で驚いていると、素敵なワンピース姿の奥さんもニコニコしながらオットに同じものをくれました。招待客が手にしていたのと同じものです。日本で言うところの引き出物でしょうか。びっくりして立ちつくしている私たちに、「いいんだ、お祝いしてやってくれよ」みたいなことを言って、ふたりは笑いながら手を振って去っていきました。こんなところで、なんて嬉しい贈り物なんでしょう。
 自分たちまで結婚式に参列した気持ちになって、暗い夜道をウキウキした気分で帰りました。私だったら、その辺に突っ立っている異国人に幸せのお裾分けをするなんて思いつかなかったと思います。おじさんたちの大らかなお裾分けに、とっても心があったかくなりました。
これが、頂いたドラジェ。
ドラジェは東京に帰ってからいただきましたが、日本で見かけるものよりずっと大粒でとってもおいしかったです。さすがはアーモンドの国。リボンとチュールは今でも大事にとってあります。

2002年6月9日(日)
 この日はギリシャに来て初めて朝食をブッフェで摂りました。野菜あり、卵あり、ヨーグルトにフルーツにシリアルにジュースにケーキに…と、豪華なブッフェ。味も良く、雰囲気もゴージャスで良かったです。お皿もカトラリーもそれはゴージャスでした。

 そう言えば、ニューカレドニアのメリディアンのメインダイニングはカトラリーがクリストフル、グラスがバカラで手が震えたのを思い出しました。小市民なもので。へへ。

 フルに使える旅行日として今日は最後の日です。折角アテネに来たのだから、遺跡観光…とはなりませんでした。そこは海好きの私たち、折角アテネに来たのだから、アテネの人たちが遊びに行く海に行こう、ということで、バルキザビーチに行くことにしました。

 バルキザ行きは結構大変でした。バスのチケットを買うのに、英語と私たちの理解が通じなくて、ちょっぴり苦労しましたが、そんなことは大したことではありません。
 それよりもバスに乗れない!のです。シンタグマ広場近くのバス停でいくら待っていても、ちいっともバスに乗れないのです。バスはがんがん来るのですが、超満員。もうひとりも乗れないよ!というくらいぎっしり詰まったバスに、やはり海にいくのであろう若者達が大騒ぎしながら飛び乗っていきます。

 体格的にも精神的にもギリシャ人を押しのけるのに不都合がある私たちは、地下鉄でバスの始発の停留所に向かいました。始発なら座れるだろうという魂胆です。運良く一番前の座席を確保。まずは一息。
 ところが、さすがは日曜日というか、バスも道も大混雑。各駅停車のうえに、渋滞でなかなか進みません。なんとかグリファダに到着したのは出発から2時間後くらいだったでしょうか。

 グリファダはとっても綺麗な街で、なんだか泳げそうな海も近そうだったので、ここで泳いじゃおうか…と、ちょっと心が揺れました。そんな私たちの心を見透かすように「バールキザー!」というバスの運ちゃんの声。その声につられ、再びバスに乗り込みました。

 この先も大渋滞でした。まるで夏の伊豆です。ちいっとも車は進みません。くたくたになってバルキザに着いたのは、午後3時半を回っていました。日が長い夏のギリシャで良かったですー。お腹も空いていたし、ももこさんお勧めのお店にも入りたかったのですが、とにかく海に入りたくて、入場料を払ってビーチへ!うわあ、人がいっぱい!でも海きれい!!砂浜きれい!!!

 今までサントリーニの静かなビーチばかりだったので、あまりの賑やかさに面食らいましたが、写真で見ると真夏の湘南に比べたらまだまだ…ですね。さすがにここまで来ると日本人はいませんでした。
この日も晴天!
きれいで楽しいバルキザビーチ。
 売店でサンドイッチを買い、芝生でランチ。海風も日差しも心地よく、ここまで来て良かったあ、としみじみ。海の水も全然冷たくなくて、楽しく水遊びしました。島の透明な海とは比べるべくもないけれど、湘南になど比べられません。ゴミは落ちていないし、トイレも着替えロッカーも清潔で快適。地図を見ると、もうすぐスニオン岬なんですねえ。今度スニオンにできるというグレコテルホテルもきっと素晴らしいんでしょうね。是非一度泊まってみたいものです。あ、でもまたゴージャス過ぎて緊張しちゃうかな。
 バルキザは地元の子供達も元気に遊んでいて楽しい雰囲気。賑やかですが、アテネの喧噪とは全くかけ離れていて心からくつろげました。帰りもかなり時間もかかったし、体力も使いましたが、ほんと行って良かったです。
 
 遙かなるバス旅の終わりにアテネに着いたのは、夜の10時くらいだったと思います。しかし、腹が減っては眠れまい。疲れていてもやっぱり食べ物を求めてさまよう私たちなのでした。デルフィを目指して行ったら、なんと日曜定休。しくしく。

 さすがにPaliaまで歩く元気はなく、そこらで一番賑わっていたビザンティーノに入りました。日本語メニューを出された瞬間、しまった!と思いましたが、それでもグリークサラダ、タジキ、エビのグリル、スブラキと山のように注文しました。レツィーナワインも頼んでみました。クセがあると聞いていたので、覚悟を決めて口にしましたが意外とおいしかったです。さっぱりとしていて、松ヤニの匂いもそれほど気になりませんでした。

 料理の味はガイドブックが絶賛するほどではありませんでしたが、エビとか肉はおいしかったです。高かったけど。でも、グリークサラダはもうまったくサントリーニの勝利でした。野菜の新鮮さが断然違います。当たり前ですが、新鮮さによってこんなに味が違うものなんだなあと実感しました。トマトなんてもう、悲しくなるくらい味がないんです。でも、一定のレベルは保っていたと思いますし、便利なところにあるし、通りを行き交う人々や、夜中だというのに(しかも明日は月曜日というのに)やあやあという感じでやって来るお客さん達を観察見ているのは楽しかったです。

 料理を食べ終えたのは日付も越えた頃で、お腹をさすりながらホテルに帰って、シャワーを浴びて、眠りについた時間は…覚えていません。

2002年6月10日(月)
 今日は本当のギリシャ最終日。飛行機は夕方の4時発なので、午前中いっぱいは時間が有効に使えます。時間が惜しいので、朝食はルームサービスにしました。そしたら、私の注文間違いで、大量の朝ご飯が!私は単品でシリアルとフルーツを頼んだつもりだったのですが、豪華なコンチネンタルブレックファストにそれらがプラスされて来てしまったのです。フルーツも山盛りなら、デニッシュ類も何人前だ!?という量。大変心苦しかったのですが、残してしまいました。とほほ、持って帰りたかったよ。
 
 さて、初ギリシャのオットを連れて来たからには、やっぱりアクロポリスに登らないで帰るわけにいきません。十数年前にはなかった地下鉄で麓まで向かい、パルテノン参りしてきました。いやほんと、地下鉄が出来て楽になりましたねえ。

 前は今みたいにインターネットが普及してなかったので、ライブな現地情報なんて手に入りにくかったし、初めての海外旅行でギリシャ語表記しかないバスにも乗れなくって、リカベトスからとことこ歩いてきたもんですよ。(前回はセントジョージリカベトスホテルに泊まりました。ちょっと昔話)

 しかし、なんですなあ。オリンピックのためとは言え、プロピレアもパルテノンも修復のための足場で景観台無しです。っていうか、私が10数年前来たときもパルテノン修復中だったぞ。一体いつからいつまでを目標に修復をしているのでしょうねえ。ほんとにオリンピック前に終わるのかなあ。
パルテノン参りの証拠写真
 オットはそれなりに感動していたみたいです。やっぱり教科書で見た建物を現実に見るって、すごいことですよね。しかも、もともとは紀元前に建てられたものなのですから。
 アクロポリスを降りて、キダネシオン通りで最後のお買い物をすると、もう時間です。感傷にふける暇なく、ぱたぱたとチェックアウト。

 またお腹が空いたので、大きな荷物を引きずっていても入れるお店、Neonへ。お店の前にはクルーリとかドーナツとかの屋台が出ていてとっても魅力的でしたが、荷物もあるし、誘惑を振り切りました。

 カフェテリア方式の店内は明るくて清潔。品数が多くて迷ってしまいます。オットは甘いものが苦手なのに、屋台のがよっぽどおいしそうに見えたのか、巨大なチョコレートドーナツを選んでました。私は野菜の煮込みとサラダをチョイス。煮込みはおうちで作ったような素朴なトマト味でおいしかったです。パン皿からはみ出さんばかりの巨大ドーナツもあまり甘くなくて、モチモチしていて、かなり美味でした。たくさん買って日本に持って帰っても良かったかも。店は旅行者や地元の家族連れ、サラリーマンやOLたちなどが、入れ替わり立ち替わりやって来ます。結構繁盛していました。いろいろ食べれてバランスも取れているし、まあまあ安いし、おいしいし、うちの職場の近くにもひとつ欲しいなあ。
 
 空港へは地下鉄でエスニキ・アミナ駅まで行き、そこでエアポートバスに乗り換え。帰りのバスは驚くほどスムーズで、楽々チェックイン。渋滞を見込んでいたため、時間が余ったので、空港のお店を見て回りました。
 何気なく本屋さんをのぞくと、Living in Greeceという巨大なインテリア写真集が展示されていました。あまりの表紙の綺麗さに手に取ってしまいました。値段を見るとびっくりするほど安い。日本の半額?3分の1??タダでさえ荷物が重いというのに、衝動買い。あわせて、ALL THE GREEK ISLANDSというまさにギリシャの島全部が掲載されたガイド本も。こちらはサイズは小さいのですが、オールカラーでやはり重かったです。でも、今も時折開いては楽しんでるんだから、いい買い物と言えるでしょう。(と、結局最後まで荷物を持ってくれたオットに言い聞かせている)

 本屋以外にも特産品コーナーなど、心揺さぶるお店があって困りました。フェタチーズ持って帰りたかった!乾燥地獄対策のため、メイク落としたり、いろいろしている間にもう搭乗開始。タイ国際航空は定刻に離陸しました。

 帰りの飛行機の中はあまり覚えていません。寝てばかりいました。
 翌朝6時前にバンコク到着。帰りはしくじっちゃならんと、ちゃんとトランジットカウンターへ行って搭乗ゲートを確認。2時間半ほどあるトランジット時間は、行きにチラシを貰ったマッサージ屋さんで過ごすつもりでした。まずトランジットカウンターのそばの店に行ったら、24hourと書いてあるのに受付には誰もいません。上の階にもお店があるので、行ってみると、やはり24hourという看板がありながら店内は暗い。なんだか閉店の様子。そうは言ってもやっぱりマッサージしたい。勇気を出してカウンターから「すいませーん」(何故か日本語)と声を掛けてみました。

 すると、カウンターの裏からむくっと起きあがる人が!眠そうな目をして、若い女性が「マッサージ?時間は?」と受付。彼女が店内に向かってなにやら大声で叫ぶと、雑魚寝していた店員がむくむくと起きあがってくるではないですか。なんだか悪いことしちゃっみたいだなあ…。

 結局私たちのあとにもお客はどんどん入り、私たちがそう恐縮することもなく済みました。やはりお湯で足を洗ってくれて(これがなんたって気持ちいい!)マッサージ。かなり手荒い感じですが、これは「痛い」とか「やさしくして」とか言えば済む話なので問題なし。一晩中狭い座席に固まっていたので、背中とか肩とか押してくれるのが気持ちよかったです。 

 実はこのマッサージの影響か、後でオットに大変なことが起きたのです!!
 イアに移った翌日くらいから、オットは「足が痛い」と言い出したのですが、「日頃の運動不足がたたってるねー」などと軽ーく受け流していたのです。ちょうどものすごい階段を上り下りした時でしたし。バンコクのマッサージの時も、「足痛いからここはやらないでね」とか言ってました。

 帰国した翌朝になってびっくり!オットの両足がサリーちゃん足になっていたのです!「足首はどこ?」という状態。真っ赤に腫れ上がっていかにも痛そう。慌てて冷えぴたシートを貼り、病院に連れて行きました。原因は不明だったのですが、意外にも冷えぴたシートが効いて、あっという間に腫れは引き、拍子抜けするほどすぐに治ってしまいました。なんだったんでしょう。疲れでしょうか、それともカゼ菌??いまだに不明です。

 とにかく、無事に成田に到着して、重ーい荷物を引きずっておうちに到着。留守を頼んでいた母のお陰で、猫も元気でホッ。どこへ行っても、彼女の三毛顔をみると「ああ、おうちに帰って来たんだなあ」と心から安心しちゃいます。

 職場に復帰したら、私は「うわー、黒い。茶色じゃなくて黒いよ」と言われ、普段から色黒なオットは「白目と歯が妙に白い」と言われたそうです。季節を先取りしてしまいましたからねえ。それから、「いかにも楽しかった夏休み、って顔してるよ」とも言われました。うーん、分かるう?

 本当にこの旅はももこさんご夫妻に感謝感謝でした。ギリシャでこんな楽しみ方が出来たのはももこさん達のHPに出会ったからです。暮らすように、でもちゃんと観光客して毎日おいしいもの食べて、見たいもの見て。なによりサントリーニ島を体感することができました。ギリシャってやっぱり遺跡観光だけのイメージですよね。まわりの友達に何してきたの?と聞かれて、「海水浴してきたよ」って答えるとみんなびっくりして、「へええ、ギリシャってそんな楽しみ方があるんだね」という反応が返ってきます。そんな時はちょっぴり得意になったりして。

 今まで行った旅行のなかでも最高の旅行になったと思います。また来夏の旅行も狙っています。眩しい太陽に明るい人々、びっくりするほど透明な海や細身の猫たちに会いに、そしてどこより美味しいギリシャ料理をおなかいっぱい食べに!!
おうちにて
 最後に、思いつくまま長々と書き連ねた、読みずらいこの旅行記を読んで頂いてありがとうございました。私にはHPを立ち上げる技術がないので、ももこさんのHPを楽しませて頂くことにしています。これからも、ももこさんの旅行記を楽しみにしています!!

ぱてり
nemo(ぱてり)さんのHPはこちら