草喰(そうじき)なかひがし

By神戸の船ちゃんさん

昨日、1ヶ月前から予約していた「日本一の昼飯」と評判の高い「草喰(そうじき)なかひがし」についに行ってきました。
場所は、京都の銀閣寺の手前の交番前にあります。
この店主「中東久雄」さんは、花背「美山荘」先代主人の弟さんで、ともに美山荘で勤めていたのだが、独立してここにお店を構えた。
「美山荘」は「摘草料理」で有名だが、「なかひがし」は「草喰料理」を名乗り、「足元にある自然の草でさえおいしく、そして身体にいいものを食べて欲しい」と思いが込められた言葉だが、決してベジタリアンの店ではない。川魚や鴨などもとにかくうまい。こんなプリプリのイワナ食べたことない、こんな滋味溢れる鴨食べたことない、という驚きの連続だ。
 早速、店内に入ると、店のしつらえはカウンター割烹で、厨房がほぼ見渡せるのだが、その真中にどかんと炭がいかっている、そこで焼かれるイワナ。その煙と香りだけで、ご飯が2杯くらい食べられそうだ。なかなか香り豊かな出迎えが上手だ。
 まず、最初の一皿。ご主人が摘んできたばかりの旬の草を利用した料理だ、いたどりやタラの芽、タンポポ等、野の素材の説明とともに供される料理は、清く旨い。京都で食べる和食は味がしっかりしている。またホタルイカや初カツオの薫製もいい薫りがしみ込むでなかなか美味しい。、京都名物ちまきの笹の葉を開けると中から鯖寿司が、これも最高!
この前菜には、エビスビールがよく合う。
 次ぎは、白味噌仕立てのとちの実の椀だ。甘い白味噌が美味しいのだ、「関西に生まれてよかった」と思う。
 その間にも、炭火の上ではずらりと並んだイワナが身をくねらせ、煙を上げる。頭もこんがりと、炭火で目の前で美しく焼かれたイワナのこれまた旨いこと!塩がなんとも言えず甘い。頭からしっぽまで骨付きのまますべて食べられる。
 次ぎの刺身は鯉のお造りである。地下水でしばらく飼って泥臭さを抜き、きれいにするという鯉のお造りは、やはり旨くて清らかだ。こんなきれいな鯉があるとは驚きだ!。
このお造りにはアルザスのリースリングがなかなかよく合う。
 次ぎは竹の子、ぜんまい、生麩、山椒の煮つけである。
柔らかくて美味しい竹の子である。また竹の子やぜんまいに力があるので、木の芽の力強い香りに負けない味わいである。
 次ぎの肉料理は鴨のグリエである。炭火でじっくり焼いたものである。薄く鴨の血のソースが混じった大根おろしが添えられている。ツールダルジャンの鴨をもっとあっさりしたような味わいである。あまりの美味しさに思わず赤ワインを注文してしまった。
 そして、うどのおひたしが出て、最後がこの店のメイン料理になる。
厨房の真ん中に備えつけられたベンガラ色のかまど(おくどさん)で、土鍋を使って炊いたごはんがまた旨い。二つの釜で時間をずらして、先発後発それぞれの組にちょうど頃合に炊きあがるようになっている。これを炭火で焼いためざしと漬物でいただく。
この、おくどさんで炊いたその炊きたてご飯は、目からウロコがポロポロ落ちる。そこについてくるめざしもすごい。思わず黙ってしまうようなめざしをはじめて食べた。
「日本人で良かったなー」としみじみ感じる。あまりにも絶品の味に思わずおかわりもしました。食の原点はこのシンプルな場所にあるんだなと思いました。
最後のデザートはイチゴとグレープフルーツの果物に、ウニ?みたいなシャーベットが添えられています。このシャーベットを食べてまたビックリ!!何ときな粉のシャーベットである。これが果物と不思議によく合っている。
全コース共、器は清水焼を利用しており、これも料理を美しく醸し出してくれました。
昼のコースの4000円〜6000円、今回は5000円のコースをいただいた。
夜でも8000円〜で以外とお手軽価格だ。
食べ終わって外に出る。じわーと満足感がこみ上げてくる。カラダ全体が静かに喜び、なるほど「最高の昼食」と噂されるのもうなずけた。こんな店、ちょっとないですよ!
お腹いっぱいとともに、こころが豊かになる食事である。
要予約(なるべく早めに!)

草喰なかひがし
住所/京都府京都市左京区浄土寺石橋町32-3
(白川通り銀閣寺道より銀閣寺方面に入ったところ交番前)
TEL/075-752-3500
営業時間/12時〜13時半、18時〜20時
昼 4000円〜 夜8000円〜
休日/月
備考/(要予約)
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今回頂いた5000円の昼食
前菜:アサツキの有精卵の出汁巻き、タンポポのおひたし、わらびの醍醐、
   タラの芽としいたけ白和えが出る。ホタルイカと初カツオのくんせい、
   鯖寿司のちまき。
お椀:とちのみの白味噌仕立て。
焼き物:イワナの塩焼き。
お造り:鯉とその皮の造り。
炊き合わせ:竹の子、ぜんまい、木の芽、生麩の煮つけ
焼きもの:鴨のグリエ、鴨の血の混ざった大根おろし。
炊き合わせ:うど、若葉のおひたし。
飯物:おくどさんで炊いた無農薬米、香の物、生干し、
果物:イチゴ、グレープフルーツ、きな粉のシャーベット添え