日本映画  ま〜わ (映画は五十音順になっております)

 

麻雀放浪記
1984年  東映  109分    監督 和田誠    
                     出演 真田広之/大竹しのぶ/加賀まりこ/鹿賀丈二
 
よくもあれだけくだらない映画ばかり作れるものだと、私をあきれさせ続けてくれた角川映画の中で
唯一味のある映画。
原作が阿佐田哲也さんだけに、とても面白い作品に仕上がっている。何といっても麻雀の戦いの
場面が優秀で見ているだけでワクワクする。
高品格演ずる雀士が心臓発作で卓の上で死ぬ。その死体を他の雀士が「死んだら負けよ」といって
庭に放り投げるシーンが圧倒的。

 


 

マタンゴ
1963年  東宝  90分      監督 本多猪四郎    音楽 別宮貞雄
                      出演  久保明/土屋嘉男/水野久美/小泉博
 
東宝特撮映画もここまでくると凄い!と初めてみた時に思い、2回目に見た時にもういい、ウンザリ
と思ってしまった映画です。
金持ちとそのグルーピーがヨットで遭難し、ある孤島にたどり着く。その島のジャングルで不思議な
キノコを見つける。それを食べてしまうと・・・・・・
とにかく人間の嫌らしさをこれほど全面に押し出した映画も珍しく、本来の生の人間の姿を的確に
表現していると私は評価している。怖いですよ、ホント!

 


 

マルサの女
1987年  伊丹プロ  127分   監督 伊丹十三   音楽 本多俊之
                       出演  宮本信子/山崎努/津川雅彦/大地康男
 
これを初めてみた時、「これで日本映画は立ち直れる」と感じた。
抜群の着想と、魅力あるキャラクター設定と的確な俳優の配置。そして素晴らしい音楽。(本多さん、
あなたは素晴らしい仕事をしました。)
お客さんを映画に引き込むことを熟知した伊丹監督ならではのエンターテイメント作品である。
特にマルサの新人の宮本信子さんと、脱税をする山崎努さんの関係の設定が秀逸。こんな映画が
作れる伊丹監督はもういない。残念至極。

 


 

乱れ雲
1967年 東宝 108分   監督 成瀬 巳喜男   音楽 武満 徹
                  出演  司葉子/加山雄三/草笛光子他
 
ヒロイン演ずる司葉子のベストの作品であり、女性の心の移ろう変化を見事に演出した成瀬監督の
傑作である。
あらすじは夫を交通事故で殺された妻とその加害者である青年との純愛を描いている。
初めは夫を殺した憎くても憎みある加害者の青年と何度か接する内にヒロインの心境がだんだんと
変化していくその様子を見事なプロットで作り上げられている。
映像の美しさもじっくりと味わっていただきたい作品である。本来、日本人はこの映画のように情愛
の細かい美しい心を持っていたのだと何かしら納得してしまいながら見てしまう。
この心の機微を今の日本映画人に見習ってほしいものだ。

 


 

夫婦善哉
1955年  東宝  120分   監督 豊田四郎    
                    出演 森繁久弥/淡島千景
 
大阪を舞台にした、一組の男女の生活をおもしろくて哀しくもある姿を風景的ショットで重ねていった
ような映画である。
森繁さんのこの主人公の演技は素晴らしく、森繁さんの地で演技しているとしか思えない絶妙な間を
使っている。それよりもいいのは淡島さん。この人のベストの映画で、宝塚歌劇にいただけに関西弁
も違和感なく聞くことが出来て大阪の芸者を完璧に演じている。(彼女は東京生れだが)
特に、法善寺横町を二人で歩く姿はとても情感が滲み出ていてよかった。

 


 

妖星ゴラス
1964年  東宝  88分   監督 本多猪四郎     音楽 石井歓
                   出演 池部良/白川由美/久保明/水野久美
 
東宝特撮シリーズでこれほど奇想天外のストーリーはない。どう考えても常人では考え付かない話で
笑ってしまう。
ゴラスという流星が観測され、地球との衝突は避けられない事態に陥った。そこで科学者が考えつい
た解決方法とは・・・・・・
映画を見ながら「そんなこと出来るわけないやろ」と誰しもがツッコミを入れること必至の映画なので
ある。騙されたと思って見てください。必ずツッコミを入れる自分に会えます。

 


 

用心棒
1961年 東宝他  110分    監督 黒澤 明   音楽 佐藤 勝 
                     出演 三船敏郎/仲代達也/山田五十鈴
 
見事なエンターテイメント作品である。そして豪華な役者の素晴らしい演技を堪能できる逸品である。
何といっても脚本が素晴らしい。映画を見ている間、少しも飽きさせないところが黒澤監督の黒澤たる
ゆえんである。私の大好きな三船さんの圧倒的な存在感が心地よい。これは他のどの役者でもとって
変わることは出来なかったであろう。また、飲み屋の主人を演じた東野英治郎さんが素晴らしい。
この映画の主要なポイントは実は東野さんがかっさらっていた。山茶花究さんもとても魅力的にやくざ
を演じていたし、加東大介さん、山田五十鈴さん、河津清三郎さんもみんないい。とてもいいのである。
仲代さんのキャラの設定も好きである。ずる賢くて、いなせで、でも最後はきっちりと三船さんにやられ
てしまう。今までの日本映画になかったキャラクターである。キャラクターの設定から間違っているので
最近の日本映画はつまらないのだ。最後に、佐藤さんの音楽は本当〜に素晴らしい!日本映画音楽
の中でもベスト3に入る傑作である。是非、音楽に注意して見て頂きたい作品である。

 

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