法務省を目指す人へ

 国家公務員試験を志望している学生諸君に、志望官庁を聞くと、法務省と答える場合が圧倒的に多い。

 だが、法務省という人によく聞いてみると、多くの場合、単に自分が法学部にいるから、という程度の理由のことが多い。

 もし本当に法務省に入って、様々な業務を担当したいのであれば、公務員試験を受けるのは間違いである。法務省は、司法試験に合格することでいくべき官庁だからである。すなわち、本省の課長以上のポストは、建設専門職という唯一の例外を除き、すべて司法試験合格者によって占められている。

 普通の省庁だと、国T合格者は本省として採用され、本省の権限に属する様々な業務を担当し、最終的には事務次官など、本省の中枢を占める。

 これに対して、法務省の場合には、その位置を占めるのはすべて司法試験合格者である。法科大学院創設に伴う新司法試験の導入で、将来は法務省も変化するのではないかと予想しているが、現在のところでは変わっていない。

 その結果、国T合格者に対する本省採用はなく、すべて特定部局での採用である。これは他省庁では、国Uあるいは国U相当職(例えば国税専門官、労働基準監督官など)に対する採用制度と同一である。したがって、例えば民事局採用になっても、本省民事局長という可能性はなく、地方局の局長などが最終的地位となる。これも、他省庁でいえば国U合格者のトップのつく地位である。 

 だから、せっかく国Tに受かりながら法務省に行くのは、あまり勧めることはできない。また、国Uに受かって法務省を志望するのもそれと同じ理由であまり勧められない。他省庁であれば、国Uが占める地位を国U出身者が占めている結果、国U出身者は、押し出されてしまって、他省庁での国Vに近い処遇と考えることができる。

 しかし、それはそれできわめて重要な職種なので、それに君たちが本当に一生を投じたいという情熱を持っているならば、法務省はやりがいのある職場といえる。

 その場合には、漠然と法務省を志望してはいけない。あくまでも採用される特定の部局の活動を十分に把握し、それが一生を掛ける価値のある仕事であることを自分で理解した上で応募しなければ、採用にはつながらない。

国家T種から採用になる法務省の部局

内部部局等 採用試験区分
民事局(訟務部門・人権擁護局) 行政,法律
矯 正 局 行政,法律,
保 護 局 行政,法律,
入国管理局 行政,法律,経済
公安調査庁〔外局〕 行政,法律,経済

年度別・部局別・試験区分別採用状況

  民事局 矯正局 保護局 入国管理局 公安調査庁  
平成
15年
採用
予定
行政
法律 4(1) 2(1) 4(1) 12(3)

平成
14年
採用
        
行政  1  1      2
法律  1  3(1)  1  4(1)  9(2)

平成
13年
採用

行政  1(1)        1(1)
法律 4(1) 2(1) 9(2)

平成
12年
採用
行政      1(1)    1(1)
法律 2(1) 8(1)
注)( )内は,内数で女性の数を示す。

 公安調査庁は外局である。現在の時点では、同庁は15年度採用を公表していないため、14年度15年度ともに空欄となっている。

 

入省後の処遇
行政・法律・経済区分の内部部局採用者

 採用後10年間をOJC(職場研修)期間と位置付け,人事課策定の計画に基づいた組織間にわたる人事異動を行っています。また,10年経過以降も本人の意思を尊重し,組織間,府省間の人事交流を図っている。

 

  公安調査庁採用者

試験区分に関係なく,一定期間の研修・実務修習を経て,本庁と地方支分部局の間を一定のサイクルで異動していくことになる。

国家U種から採用になる法務省関係職種

◇法務局,地方法務局 
 登記・戸籍・国籍・供託等の民事行政事務,国の利害が関係する訴訟において国の代理人として活動する訟務事務及び人権意識の啓発活動等を行う人権擁護事務等を行っています。
[所管する本省の局等]・・・大臣官房訟務部門・民事局・人権擁護局

◇地方検察庁   
 社会の法秩序を維持することを使命とし,裁判所に対応して設置されている役所です。犯罪の捜査,刑事事件に関する公訴の提起,裁判所に対する法の正当な適用の請求,裁判の執行の監督等を行っています。
[所管する本省の局]・・・刑事局

◇矯正管区,刑務所,拘置所(矯正官署)     
 刑務所及び少年刑務所は,刑が確定した受刑者に対し刑の執行を通じて,その改善更生と社会復帰を図るため,様々な矯正処遇を行い,拘置所は,刑が確定していない被疑者・被告人を収容しています。
[所管する本省の局]・・・矯正局

◇地方更生保護委員会,保護観察所(更生保護官署)
 犯罪や非行をした人達が,通常の社会生活の中で,健全な社会の一員として更生するよう,指導や援助等を行っています。
[所管する本省の局]・・・保護局

◇地方入国管理局(入国管理官署) 
 外国人の出入国管理・在留管理,日本人の出帰国の確認及び不法入国者・不法滞在者の摘発・退去強制等を行っています。
[所管する本省の局]・・・入国管理局

年度別・組織別採用状況
   部局
年度
法務局
 
検察庁
 
矯 正
官 署
更生保
護官署
入 国
管理局
公安調査庁   計
 
平成15年
採用予定者数
150 98 1 20 15   290
平成14年
採用者数
156(47) 112(26) 1 29(7) 33(11)   332(91)
平成13年
採用者数
 190
 (56)
  79
 (19)
  1 
  (1)
   27
 (10)
  10
 (4)
34(0)  341
 (90)
平成12年
採用者数
180
 (48)
56
 (15)
3 
  (1)
32
 (10)
11
 (5)
30(1) 314
 (80)
平成11年
採用者数
 175
 (54)
 112
 (23)
  1 
  (1)
  20
  (8)
  9
  (3)
33(4)  351
 (93)
平成10年
採用者数
 177
 (44)
  95
 (20)

 
  24
 (10)

 
   299
 (77)

注)( )内は,内数で女性の数を示す。

勤務時間

検察庁及び公安調査局では宿日直勤務が,また,矯正官署及び地方入国管理官署では夜間勤務がある場合もあり,それぞれ手当が別途支給される。

昇進

 法務局

 登記専門職等に昇進し,その後,勤務成績等に応じて,登記調査官,登記官等を経て課長職に就くのが通例です。さらに,努力次第で法務局部長・地方法務局長等上級幹部への昇進も可能です。

検察庁

 主任,主任捜査官又は係長に昇進し,その後は勤務成績等に応じ,課長補佐,課長又は統括捜査官に昇進します。さらに,努力次第では首席捜査官,事務局長等上級幹部への昇進も可能です。また,試験により検察官になる道も開かれています。

矯正官署

 昇進は原則として選考試験によりますが,U種試験合格者の場合,係長までは試験免除です。高等科研修入所試験に合格し同研修を修了すれば,課長,部長,さらに上級幹部への昇進も可能です。

更生保護官署

 保護観察官に昇進し,その後は勤務成績等に応じて,保護観察所課長等へと昇進します。さらに努力次第では保護観察所長,地方更生保護委員会事務局長等上級幹部への昇進も可能です。

地方入国管理局

 入国審査官又は係長に昇進し,その後は勤務成績等に応じ,課長補佐,課長又は統括審査官へと昇進します。さらに努力次第では,首席審査官,地方入国管理局長等上級幹部への昇進も可能です。

 
 

 公安調査庁について


 公安調査庁の職員は,原則として人事院が実施する国家公務員採用試験(I種,II種,III種)の合格者から採用します。

 I種試験合格者は本庁に,II種及びIII種試験合格者は原則として採用試験を受験した地域に所在する公安調査局又はその管内に所在する公安調査事務所に配属されます。
 I種試験合格者は,配属後の1年間は本庁に勤務し(法務本省等における初任者研修を含む),2年目から2年間は,公安調査局又は公安調査事務所で現場の実務を経験します。4年目以降は本庁へ戻り,調査部,総務部で調査・分析,管理等の各分野で様々な職務を経験することになりますが,この間,本人の希望・適性等によっては再び現場へ配属されることもあります。その後,おおむね採用12年目以降,順次,管理職として全国各地の勤務を経験することとなります。異動のサイクルは,おおむね2〜3年程度です。
 II・III種試験合格者は,原則として,採用された公安調査局とその管内に所在する公安調査事務所の間で各種・各地の勤務を経験することになりますが,本人の希望・適性等によっては,他の公安調査局(及び管内公安調査事務所)や本庁に勤務することもあります。異動のサイクルは,平均すると3〜5年です。
 また,I種,II・III種試験合格者とも,他省庁との人事交流により,2〜3年の任期で法務本省(官房),入国管理局,内閣官房,外務省(本省,在外公館)等に派遣される場合があります。

入国警備官採用試験

 注:この試験は、V種格(高卒)の試験である。が、受験資格が18歳から24歳となっており、大卒でも受験可能である。警察官を志望する場合、滑り止めとして考えて損のない試験として紹介する。

入国警備官とは

 入国警備官は,我が国を訪れる外国人及び我が国に在留する外国人の管理を通じ,日本の安全と国民生活を守るため日夜活躍しています。

日本の安全を守る重要な使命

 外国との交流が活発になるにつれて,世界各国から多数の人々が様々な目的で日本を訪れています。他方,観光などの目的を装って入国し,不法に就労する外国人や犯罪を犯す外国人も増加しています。
 入国警備官は,これら法律に違反する外国人に厳正に対処することにより,日本の安全と国民生活を守る一翼を担っています。
 また,その仕事は外国人とじかに接することが多いので,常に毅然とした態度と,国際的にも通用するスマートな感覚が要求されます。
退去強制される外国人の増加

 最近,観光目的で入国し,不法就労する外国人が増加しています。これらの外国人は,入国警備官により強制的に国外に退去させられることとなりますが,平成11年のその数は約5.5万人でした。しかし,日本に不法残留している外国人は約25万人(平成121月現在)と推定されており,入国警備官の仕事はますます重要なものとなっています。

摘発

 入国警備官は,違反調査の過程で必要がある場合には,裁判所の許可を得て,強制的に捜索等を行うことができます。また,法律に違反している外国人の存在が判明し,逃亡のおそれがある場合には,違反者の身柄を拘束することができます。これらは通称「摘発」と呼ばれています。摘発は,早朝や深夜に及ぶことがあり,また,工場など危険な場所に赴く場合があるので,機敏な動きと瞬時の判断力が要求されます。

収容・警備

 摘発により身柄を拘束されたり,また,自ら出頭した外国人は,地方入国管理局に設置された収容施設に一旦収容されます。これらの施設を警備し,収容の手続きを行い,収容中の処遇にあたるのも入国警備官の仕事です。収容された外国人は,入国審査官による違反審査を受けた後,退去強制すべきかどうかが決定されます。

送還

 違反審査の結果,退去強制と決定された外国人は,速やかにその国籍国などに送り返すことになっています。これが「送還」です。入国警備官は,これらの外国人を空港まで護送し,確実に我が国から出国させて退去強制を執行することとしています。なお,直ちに送還できない外国人は,長崎県大村市,茨城県牛久市及び大阪府茨木市に設置されている入国管理センターに収容されます。

 

試験の方法

試験種目

内容

教養試験
(
多岐選択式)

一般的な知識(国語,社会,数学,理科,英語など29題)
知能(英文を含む文章理解10題,判断推理9題,数的推理
5題,資料解釈2題)についての筆記試験

作文試験

文章による表現力,課題に関する理解力などについての筆記試験

人物試験

人柄などについての個別面接

身体検査

主として胸部疾患(胸部エックス線撮影を含む),血圧,尿
その他一般内科系検査

身体測定

身長,体重,胸囲,視力,色覚についての測定

体力検査

身体の瞬発力,腹筋力についての検査

(注)作文試験の評定結果は第1次試験の合格決定には反映させず,最終合格者の決定の際に他の試験種目の成績と総合します。

 体力検査の内容

  垂直跳び(瞬発力)……

その場でどれだけ高く跳ぶことができるか

  上体起こし(腹筋力)……

膝を曲げ,あおむきに寝た姿勢で,一定時間内に何回上体を起こすことができるか

 

次のいずれかに該当する者は不合格となる。
  ・身長が男子160cm,女子156cmに満たない者
  ・体重が男子47Kg,女子46Kgに満たない者
  ・胸囲が78cmに満たない者
  ・裸眼視力がどちらか1眼でも0.6に満たない者(ただし,矯正視力が両眼で1.0以上の者は差し支えない。)
  ・色覚に異常のある者
  ・四肢の運動機能に異常のある者