厚生労働省を目指す人へ

 大卒で厚生労働省を目指す場合、採用試験の区分としては、国家T種、国家U種、労働基準監督官試験Aと3種類あり、採用者としても本省の他に社会保険庁と労働基準局があるなど、少し複雑である。また、仕事の内容も、かつての厚生省と労働省にまたがっている。したがって、漠然と同省を目指すのは禁物で、どういう仕事をしたいのか、ということを明確に認識した上で、行動しなければならない。

 すなわち、厚生労働省では、保健医療、福祉、社会保険、働く環境の整備、雇用の安定など、国民生活を支える重要かつ広範な役割を担い、国民のニーズに的確に対応した介護サービスや所得保障など各種の生活支援体制の整備、国民の健康確保、雇用創出・安定などの重要な課題に取り組んでいる。国家T種で採用になった人は、当然のことながら、このすべてに等しく強い関心を持っていなければならない。ややもすると、例えば「老人福祉に関心があるから厚生労働省」という式の、極端に狭い志望動機を持っている人があるが、そういう狭い志望動機は、本省採用には適さないと言うことを認識してほしい。

国家T種から採用になる厚生労働省
国家U種から採用になる厚生労働省
国家U種から採用になる社会保険庁
労働基準監督官A試験

国家T種から採用になる厚生労働省

  国T法律職の場合、同省では本省採用となり、対応するのは大臣官房総務課(Tel 03−5253−1111 内7114)である。

 平成14年度の採用実績は次のとおりである。

  行  政 法  律 経  済
平成14年度 1(0) 16(3) 6(1) 23(4)


国家U種から採用になる厚生労働省

 厚生労働省では、国Uからも職員の採用を行っている。その場合、

本省採用では、

大臣官房人事課             TEL 03-3595-2077 又は 03-3595-2383

のほか、

労働基準局総務課秘書人事係    TEL 03-5253-1111(内線 5402〜5404)
職業安定局総務課人事給与係          〃    (内線 5714、5716)
雇用均等・児童家庭局書記室人事係       〃    (内線 7805)

がある。それぞれ採用の内容が違うから、明確に志望動機を確立した上で訪問しよう。

さらに、地方局採用がある。次の表がそれである。

人事院事務局別 採用予定機関窓口
北海道事務局 北海道労働局TEL 011-709-2311
東北事務局 東北厚生局(東北管内国立病院・療養所)TEL 022-291-0439
青森労働局TEL 017-734-4111
岩手労働局TEL 019-604-3001
宮城労働局TEL 022-299-8833
秋田労働局TEL 018-862-6681
山形労働局TEL 023-624-8221
福島労働局TEL 024-536-4600
関東事務局 成田空港検疫所TEL 0476-34-2301
東京検疫所TEL 03-3599-1511
横浜検疫所TEL 045-201-4458
国立身体障害者リハビリテーションセンターTEL 042-995-3100 内線2113
関東信越厚生局(関東信越管内国立病院・療養所)TEL 048-740-0712
関東信越厚生局麻薬取締部TEL 03-3719-8111
茨城労働局TEL 029-224-6211
栃木労働局TEL 028-634-9110
群馬労働局TEL 027-210-5000
埼玉労働局TEL 048-822-7935
千葉労働局TEL 043-221-4311
東京労働局TEL 03-3814-5311
神奈川労働局TEL 045-211-7350
山梨労働局TEL 055-252-4856
新潟労働局TEL 025-234-5262
長野労働局TEL 026-234-5121
中部事務局 東海北陸厚生局(東海北陸管内国立病院・療養所)TEL 052-971-8831
岐阜労働局TEL 058-245-8101
静岡労働局TEL 054-254-6326
愛知労働局TEL 052-972-0264
三重労働局TEL 059-226-2105
富山労働局TEL 076-432-2727
石川労働局TEL 076-265-4420
福井労働局TEL 0776-22-2655
近畿事務局 大阪検疫所TEL 06-6571-3521
神戸検疫所TEL 078-672-9651
近畿厚生局(近畿管内国立病院・療養所)TEL 06-6942-2244
近畿厚生局麻薬取締部TEL 06-6949-6336
滋賀労働局TEL 077-522-6647
京都労働局TEL 075-241-3211
大阪労働局TEL 06-6949-6482
兵庫労働局TEL 078-367-9171
奈良労働局TEL 0742-32-0201
和歌山労働局TEL 073-422-2171
中国事務局 中国四国厚生局(国立下関病院、国立療養所広島病院、国立療養所山陽病院)TEL 082-223-8209
鳥取労働局TEL 0857-23-2191
島根労働局TEL 0852-20-7001
岡山労働局TEL 086-225-2011
広島労働局TEL 082-221-9241
山口労働局TEL 083-995-0360
四国事務局 四国厚生支局(四国管内国立病院・療養所)TEL 087-851-9565
徳島労働局TEL 088-652-9141
香川労働局TEL 087-831-7281
愛媛労働局TEL 089-935-5200
高知労働局TEL 088-885-6021
九州事務局 福岡検疫所TEL 092-291-4092
九州厚生局(九州管内国立病院・療養所)TEL 092-472-2363
福岡労働局TEL 092-411-4861
佐賀労働局TEL 0952-32-7155
長崎労働局TEL 095-846-6343
熊本労働局TEL 096-211-1701
大分労働局TEL 097-536-3211
宮崎労働局TEL 0985-38-8820
鹿児島労働局TEL 099-223-8275
沖縄事務所 沖縄労働局TEL 098-868-4003

 

近年の採用実績

試験区分 12年度 13年度 14年度
II種(行政) 73(26) 72(16) 61(23)

 

国家U種から採用になる社会保険庁

社会保険庁とは・・

 社会保険庁は、国家U種の大口採用先で、諸君の先輩も多数奉職している。そのため、毎年志望者が多いが、ここで注意する点がある。それは、社会保険庁は「外局」だと言うことである。本省と外局の関係は、政策官庁と現業官庁の差である。すなわち、社会保険に関する政策の規格・立案・実施は、本省の保険局や年金局の仕事である。それに対して、社会保険庁は、そうした社会保険、すなわち国民年金、厚生年金保険、政府管掌健康保険、船員保険の運営実施の実務を担当している。したがって、社会保険庁の面接を受けに行って、社会保険に関する政策に関心がある、という類のことを言うのは自殺行為以外の何ものでもない

 具体的には、被保険者の記録管理、保険料収納、年金給付の裁定、支払い、年金相談等の膨大な事務等である。本庁以外に施設等機関として社会保険業務センター及び社会保険大学校を置き、また、地方支分部局として都道府県単位に地方社会保険事務局、その出先機関として全国265ヶ所の社会保険事務所を置き、現在約17,000人の職員が社会保険事業に取り組んでいるという巨大官庁である。

近年の採用実績

試験区分 12年度 13年度 14年度
II種(行政) 34(9) 41(8) 46(8)

 

 

労働基準監督官試験A

労働基準監督官とは・・

 6,000万人の労働者の生命と健康を守り、人間尊重の基本理念に立脚した法定の労働条件を確保することを任務とし、労働本省又は全国各地の労働局、労働基準監督署に勤務して、労働基準法、労働安全衛生法などに基づいて、工場、事業場などに立ち入り、帳簿・書類の点検、関係者の尋問、機械・器具の構造規格、性能及び安全装置の検査、作業環境の測定などを行い、これらについて違反があった場合には、機械・器具の使用停止などの緊急措置を命じたり、刑事訴訟法に規定する司法警察員としての職務を行う。

特に最近は、労働条件の確保・改善、労働災害の防止、職業性疾病の予防を推進する面でも労働基準監督官の活躍が期待されている。

試験の区分・採用予定数

現在の時点では、まだ15年度の試験予定が発表になっていないので、参考までに以下に紹介しているのは、14年度試験である。

 
労働基準監督A (法文系)約60名
労働基準監督B (理工系)約25名
 

試験種目・試験の方法

第1次試験 教養試験
(多枝選択式)
公務員として必要な一般的な知識及び知能についての筆記試験
出題数は55題

(必須)25題(時事[3]、文章理解[8]、判断・数的推理[10]、資料解釈[4])

(選択)30題(自然、人文、社会各[10])から20題

3時間
専門試験
(多枝選択式)
出題数50題

(必須)次の12題
労働法[7]、労働事情(就業構造、労働需給、労働時間・賃金、労使関係)[5]

(選択)次の38題から30題
憲法、行政法、民法、刑法[16]経済学、労働経済・社会保障、社会保障、社会学[22]

2時間30分
専門試験 (記述式) 労働法、労働事情(就業構造、労働需給、労働時間・賃金、労使関係)から各1題 2時間
第2次試験 人物試験 人柄などについての個別面接  
身体検査 主として胸部疾患(胸部エックス線撮影を含む)、血圧、尿、その他一般内科系検査
身体測定 視力、色覚、聴力についての測定

(注)[ ]内の数字は出題予定数であり、「憲法、行政法、民法、刑法[16]」とは、憲法、行政法、民法及び刑法の出題分野から16題出題する予定であることを示す。

第2次試験の際、人物試験の参考とするため、性格検査を行います。

 
次のいずれかに該当する者は不合格となります。
  裸眼視力がどちらか1眼でも0.6に満たない者(ただし両眼とも矯正視力が0.7以上の者は差し支えありません。)
  全色盲である者
  2000、1000、500各ヘルツでの検査結果をもとに算出した聴力レベルデシベルが、片耳でも50デシベル以上の者
  四肢の運動機能に異常のある者(ただし、職務遂行上支障のない程度のものは差し支えありません。)

申込者

合格者

倍率

平成14年度 4,128 98 42.12
平成13年度 4,080 98 41.63
平成12年度  4,157 98 42.42

平成11年度

5,804

139

41.76

平成10年度

3,997

142

28.15

平成 9年度

4,614

140

32.96

平成 8年度

4,893

152

32.19

 労働基準監督官は、格としては国家U種とほぼ同格の身分である。そこで、労働省を目指す場合、どちらを主として狙うか、という問題が起こる。おおよそ次のような利害得失がある。

 監督官は全国転勤あり、U種は原則試験区域内での転勤。

 監督官は本省内部では専門的職種に就く傾向が強い、U種は何でもあり。

 監督官の方が入省時での給与が上。