裁判所事務官試験

 裁判所事務官試験には、T種とU種の別がある。どちらも明確に大卒程度とされている。

T種試験

 当然T種試験の方が格が上である。その結果、受験の申込みに際して,「特例」を希望すると,裁判所事務官I種試験に不合格となった場合に,裁判所事務官II種試験の受験者としての取扱いを受けることができる。そして、特例の有無が合否に影響することはない。だから、裁判所事務官が唯一・無二の志望である倍には、当然T種試験を受けるべきである。

 その場合、本学としては、行政科ではなく、司法科の方の課外講座に参加するべきである。なぜなら、試験科目的には通常の公務員試験よりも司法試験の方に近似しているからである。ただし、公務員課外講座の一般教養には参加するようにしなければならない。

 次の表が具体的な試験の内容である。

試験  
試験種目
内容・出題分野・出題数
解答時間
第1次試験
教養試験(択一式)
一般的知識及び能力についての筆記試験 50題
3時間
専門試験A(択一式)
専門的知識及び能力についての筆記試験
憲法,民法及び刑法 合計40題
2時間
専門試験B(択一式)
次のうち選択した1科目
1.民事訴訟法 2.刑事訴訟法 各10題
30分
第2次試験
教養試験(論文式)
課題に対する識見、判断力及び理解力についての筆記試験 1題
1時間
専門試験(論文式)
専門的知識及び理論の応用能力に ついての筆記試験 憲法 1題
1時間
民法,刑法及び次のうち選択した1科目
1.民事訴訟法 2.刑事訴訟法 各1題
3時間
口述試験
人柄などについての個別面接
第3次試験
口述試験
人柄などについての集団討論及び個別面接

 なお、平成15年度から上の表のとおり第2次試験の口述試験を個別面接のみとし,新たに第2次試験の合格者を対象に第3次試験として,口述試験(集団討論及び個別面接)を実施することとなった。

 このT種試験は、司法試験以上に難しい、といわれる。理由の第一は、上述のとおり、司法試験に匹敵する専門科目に加えて、公務員試験の一般教養も問われるからである。

 理由の第二は、倍率が高いことである。次表を見てほしい。大体100倍内外で推移していることが判る。30倍程度の司法試験、40倍程度の国T法律職をはるかに上回る難度であることが判る。この試験に通れば、司法試験と国Tの両者を制覇することも夢ではない。その意味からも、これを目指す人は、是非司法試験も受けるようにしよう。

       
  採用予定人数  
  申込者数  
第1次試験合格者数
 最終合格者数 
   倍率   
平成9年
20
1,563
98
12
130.3
平成10年
約15
1,353
102
15
90.2
平成11年
約15
1,341
101
12
111.8
平成12年
約15
1,138
105
13
87.5
平成13年
約15
1,221
116
11
111.0
平成14年
約15
1,343
162
15
89.5

受験資格
  受験する年の4月1日現在において満21歳以上満27歳未満の者
※ 平成16年度の試験から21歳以上28歳未満とする予定である。


U種試験

 この試験は、試験レベル的には国家U種と同等である。そのことは、受験資格が次のとおりに書かれていることに明らかである。

受験資格
  (1) 受験する年の4月1日現在において満21歳以上満27歳未満の者
(2) 受験する年の4月1日現在において満21歳未満の者で,短期大学又は高等専門学校を卒業したもの及び翌年3月までに卒業する見込みのもの
(3) 受験する年の4月1日現在において満21歳未満の者で,最高裁判所が(2)に掲げる者と同等の資格があると認めるもの
 ※ 平成16年度の試験から,受験資格(1)については21歳以上28歳未満とし,受験資格(2),(3)については廃止する予定である。

 受験倍率も、次表のとおり、一次試験申込者を母数として、最近では20倍程度にまで下がってきている。

      
採用予定人数
 申込者数
第1次試験合格者数
最終合格者数
倍率
平成9年
300
10,400
1,061
496
21.0
平成10年
約280
9,890
1,015
501
19.7
平成11年
約280
10,007
1,388
655
15.3
平成12年
約300
11,001
1,222
529
20.8
平成13年
約310
9,832
1,226
478
20.6
平成14年
約290
10,718
1,306
521
20.6
I種特例申込者を含む。

 試験の内容的にも、1次試験の専門科目は憲法、民法、刑法に限られているなどの点では、易しいと言える。但し、2次試験で、憲法の論文を要求される点で少し難しいが、T種法律職を念頭に置いて準備している人には何ら問題はない。

試験
試験種目
内容・出題分野・出題数
解答時間
第1次試験
教養試験(択一式) 一般的知識及び能力についての筆記試験 50題
3時間
専門試験A(択一式) 専門的知識及び能力についての筆記試験
憲法,民法及び刑法 合計40題
2時間
第2次試験
教養試験(論文式) 課題に対する識見,判断力及び理解力についての筆記試験  1題
1時間
専門試験(論文式) 専門的知識及び理論の応用能力についての筆記試験
憲法 1題
1時間
口述試験 人柄などについての個別面接

 したがって、こちらの試験は、国Uを中心として、幅広くそれと同格の試験を受けようと考えている人に向いていることになる。