司法試験の傾向と対策(憲法)

 

目  次
平成14年度司法試験(第2次試験)考査委員

の主要著書・論文

過去の司法試験問題

 

 

平成14年度司法試験(第2次試験)考査委員の主要著書・論文

青柳幸一 横浜国立大学教授

研究テーマ

・人権の基礎理論・人権の実効的保障・少数者の人権

所属学会

・日本公法学会・全国憲法研究会・国際憲法学会・国際人権法学会・日本EC学会・日独学会・日本選挙学会

著書・論文

個人の尊重と人間の尊厳』尚学社1996年
『憲法(2)〜(3)』有斐閣1995年
『自由・平等・友愛−憲法のこころ』八千代出版1989年
『憲法の基本問題』有斐閣1988年


・「定住外国人の参政権」国際経済法学(1995年)
・「青少年の保護と表現の自由」芦辺先生古稀記念論文『ゲンダイ立憲主義の展開(上)』有斐閣(1993年)
・「『個人の尊重』と『人間の尊厳』」横浜経営研究(1988年) 

 

岩間昭道 千葉大学教授

研究テーマ 

21世紀の憲法理論の構築、環境国家論

著書・論文

憲法(1)(2)    別冊法学セミナー―司法試験シリーズ (No.128、129)

「第6条 天皇の任命権」有斐閣注釈憲法第1巻2000年
「ボン基本法の環境保全条項に関する一考察」ドイツ憲法判例研究会編『未来志向の憲法理論』信山社
「環境保全と日本国憲法」ドイツ憲法判例研究会編『人間・科学技術・環境』信山社219-234頁
「生存権訴訟における『厳格な審査』」『現代立憲主義の展開上』芦部信喜先生古希祝賀記念論集(有斐閣)
「議員と民意」憲法理論研究会編『戦後憲法政治と議会制』敬文堂
「最高裁判所の憲法解釈の限界」『憲法裁判と行政訴訟』園部逸夫先生退官記念論集(有斐閣)
「憲法の生成と変遷」ジュリスト1192号
「国政における国会の役割」ジュリスト1089号
「国連軍(平和主義)」法学教室224号8-12頁
「議会制の近代と現代」法学教室163号9-16頁
「西ドイツ選挙制度の概要と問題点」法律時報61巻12号



 大沢 秀介 慶応大学教授


専攻領域 憲法


担当学科目  憲法,アメリカの司法と政治,研究会


所属学会・団体  日本公法学会,日米法学会,全国憲法研究会,憲法訴訟研究会,アメリカ学会,日本政治学会,日本選挙学会

著書・論文


『現代アメリカ社会と法ーー公共訴訟』慶応通信 1987年
『現在型訴訟の日米比較』弘文堂、1988年

「公金支出の制限:私学助成を中心に」ジュリスト1192号
「インターネットと表現の自由」法学教室194号


岡田 信弘教授 北海道大学教授

研究テーマ

選挙制度や国民投票制度といった国民の国政への参加に関わる統治の仕組みについての比較研究

著書・論文

『現代の法3 政治過程と法』(岩波書店)
「第三世代の人権論―その提起するもの」 人権論の新展開 [北大法学部ライブラリー 1]
「議院内閣制の運用」ジュリスト1177号
「首相公選論の『重さ』と『軽さ』」ジュリスト1205号


 

  釜田 泰介 同志社大学教授

研究テーマ
  立憲主義の比較研究

著書・論文


「年齢による区分の憲法的問題点」アメリカ研究14号58頁(1978年)
「司法制度改革の現代的課題――憲法的視点からの一考察」法学教室253号
「法律と裁判所規則」『憲法判例百選U』222事件 有斐閣


工藤 達朗 中央大学教授

研究テーマ

 憲法学における基礎概念の再検討
 日独比較憲法など

著書・論文

「内在的制約説の解釈論上の意義・基本権の保護領域の確定について」受験新法108号
「個人の自由と国家の役割」中央評論50号
「国家の地位と任務」法学教室212号


 

初宿 正典 京都大学大学院法学研究科教授


研究テーマ
 日本国憲法・国法学および近代ドイツ憲法史に主たる関心を持っている。


<主要著作>
(主な著・編書)
 『判例法学』(共著、初版、1988年、改訂版、1992年、改訂版増補、1995年、第3版、1996年、有斐閣)
 『基本判例憲法25講』(初版、1989年、訂正版、1992年、成文堂)
 『人権の現代的諸相』(阿部照哉先生還暦記念、共編、1990年、有斐閣)
 『憲法判例〔第3版〕』(共編、1994年、増補版、1997年、有斐閣)
 『憲法(1)〜(4)〔第3版〕』(共編、1995/96年、有斐閣)
 『いちばんやさしい憲法入門』(共著、1996年、有斐閣)
 『憲法2 基本権』(1996年、成文堂)
 『目で見る憲法』(共編著、1999年、有斐閣)
 「憲法と人権」(田畑茂二郎編『21世紀日本の人権』(明石書店、1996年)
 「基本法の人権条項の規範性――第1条2項の成立過程と連邦憲法裁判所の判例を中心に」  

『現代立憲主義と司法権』〔佐藤幸治先生還暦記念〕(青林書院、1998年)


 

 高橋和之 東京大学大学院法学政治学研究科教授

 


『国民内閣制の理念と運用』有斐閣1994年
『憲法判断の方法』有斐閣、1995年
『インターネットと法』有斐閣、1995年
「文面上違憲の法理」ジュリスト952-954
「国民の選挙権vs政党の自律権」ジュリスト1092

 



辻村みよ子  東北大学法学部教授

著書・論文

『憲法』     2000年・日本評論社
『女性と人権』 1997年・日本評論社
『女の人権宣言 ―― フランス革命とオランプ・ドゥ・グージュの生涯 ――』オリヴィエ・ブラン著、辻村 みよ子 訳 岩波書店1995年
『権利としての選挙権』勁草書房1989年
『フランス革命の憲法原理/近代憲法とジャコバン主義 』 日本評論社1989年

「日本の戦後政治と女性」『アジア女性史』1997、勁草書房1997 pp.149-158
「市民の政治参画国家像の変容と「市民主権」・NPOの可能性」ジュリスト1133号
「基本的人権の擁護者としてのフランス憲法院」『日仏法学21』 日仏法学会 有斐閣 1998年 ジャック・ロベール 辻村みよ子訳

 

 

 戸波 江二  早稲田大学法学部教授

研究課題
 科学技術の発展と人権
 先端医療と生命倫理(クローン研究、遺伝子治療)
 自己決定権
 国の人権保護義務
 国際人権の保障
 教育権論
 地方自治論
 違憲審査制
 ドイツ憲法・判例理論
 日本の憲法判例

所属学会
 ・日本公法学会 ・全国憲法研究会 ・日本教育法学会 ・日米法学会
 ・日独法学会 ・法政策学会 ・日本高等教育学会

著書・論文

『在外選挙について』地方自治論文集(自治省編)

『在外選挙・外国の制度と日本の課題』(岡澤憲芙と共編)インフォメディア・ジャパン

「学問の自由と科学技術の発展」ジュリスト1192号
「自己決定権の意義と範囲」法学教室158号
「在外日本人の選挙権」法学教室162号
「職業の自由と違憲審査」法学教室174号
「裁判を受ける権利」ジュリスト1089号



戸松 秀典 学習院大学教授


[研究テーマ]
 憲法訴訟論、憲法訴訟の日米比較 


[著書論文等]
『憲法訴訟』(2000年・有斐閣)
『ユーブング憲法第2版』(共編著)(1997年・有斐閣)
『憲法判例[第3版増補]』(共編)(1997年・有斐閣) 
『違憲判断の方式』樋口陽一編・講座憲法学(1995年・日本評論社)
『プレップ憲法第二版』(1994年・弘文堂)
『立法裁量論・憲法訴訟研究U』(1993年・有斐閣)
『平等原則と司法審査・憲法訴訟研究T』(1990年・有斐閣)
『司法審査制』(1989年・勁草書房)
「司法国家の理念」芦部信喜先生古希祝賀『現代立憲主義の展開』下(1993年・有斐閣)

「情報の公開」岩波講座『現代の法10 情報と法』(1997年)
「鼎談・愛媛玉串訴訟最高裁大法廷判決をめぐって」ジュリスト1114号4頁(1997年) 
「憲法訴訟論の方法」法曹時報46巻10号1頁(1994年)

 

松井茂記, 大学院法学研究科教授

【専門分野】憲法学,マス・メディア法

【研究テーマ】司法審査理論、表現の自由、デュー・プロセスに関する研究

【所属学会】公法学会,日米法学会,関西アメリカ公法学会

【主要著書・論文】

『アメリカ憲法入門(第4版)』(有斐閣・2000)
『日本国憲法』(有斐閣・1999),
『インターネットと法』(有斐閣・1999)(共編)、
『マス・メディア法入門 (第2版)』 (日本評論社・1998), 
『情報公開法』 (岩波新書・1995),
『二重の基準論 』(有斐閣・1994),
『裁判を受ける権利』 (日本評論社・1993),
『司法審査と民主主義 』(有斐閣・1991) 






過去の司法試験問題
(平成以降の憲法の司法試験問題)

平成16年 第 1 問
 13歳未満の子供の親権者が請求した場合には,国は,子供に対する一定の性的犯罪を常習的に犯して有罪判決が確定した者で,請求者の居住する市町村内に住むものの氏名,住所及び顔写真を,請求者に開示しなければならないという趣旨の法律が制定されたとする。この法律に含まれる憲法上の問題点を論ぜよ。

第 2 問
 公職選挙法第10条は,被選挙権を有する者を,衆議院議員については年齢満25年以上の者,参議院議員については年齢満30年以上の者と定めている。この規定の憲法上の問題点を論ぜよ。
 また,同条を改正して,衆議院議員及び参議院議員のいずれも年齢満35年以上の者とした場合は,憲法上どのような問題が生じるか,論ぜよ。

平成15年 第 1 問
 以下の場合に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。
 1  再婚を希望する女性が,民法の再婚禁止期間規定を理由として婚姻届の受理を拒否された場合
 2  女性のみに入学を認める公立高等学校の受験を希望する者が,男性であることを理由として願書の受理を拒否された場合

第 2 問
 政党が民主政治において重要な役割を果たしていることにかんがみ,政党助成金の交付を受けるためには「党首を党員の選挙によって選出しなければならない」との条件を法律で定めたと仮定する。この法律の合憲性について論ぜよ。

 

平成14年 第1問

 A市の市民であるBは、A市立図書館で雑誌を借り出そうとした。ところが、図書館長Cは、「閲覧用の雑誌、新聞等の定期刊行物について、少年法第61条に違反すると判断したとき、図書館長は、閲覧禁止にすることができる。」と定めるA市の図書館運営規則に基づき、同雑誌の閲覧を認めなかった。これに対し、Bは、その措置が憲法に違反するとして提訴した。この事例に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。

第2問

 以下の各訴えについて、裁判所は司法権を行使することができるか。

1 国会で今制定されようとしているA法律は明らかに違憲であるとして、成立前に無効の宣言をするよう求める訴え。

2 B宗教の教義は明らかに憲法第13条の個人の尊重に反しているとして、その違憲確認を求めてC宗教の信徒らが提起した訴え

3 自衛隊は憲法第9条に違反する無効な存在であるとして、国に対して、自己の納税分中自衛隊に支出した額の返還を請求する訴え。

平成13年

第1問

 法律上強制加入とされている団体が,多数決により,特定の政治団体に政治献金を する旨の決定をした。この場合に生ずる憲法上の問題点について,株式会社及び労働 組合の場合と比較しつつ,論ぜよ。

 

第2問

 下級裁判所の裁判権の行使に関し,「下級裁判所は,訴訟において,当該事件に適用される法令が憲法に違反すると認めるときは,その事件を最高裁判所に移送して, 当該法令の憲法適合性について最高裁判所の判断を求めなければならない。」という 趣旨の法律が制定された場合に生ずる憲法上の問題点について論ぜよ。

 

平成12年 第1問

 学校教育等の規定によれば、私立の幼稚園の設置には都道府県知事の認可を受けなければならないとされている。

 学校法人Aは、X県Y市に幼稚園を設置する計画を立て、X県知事に対してその認可を申請した。X県知事は、幼稚園が新設されると周辺の幼稚園との間で過当競争が生じて経営基盤が不安定になり、そのため、教育水準の低下を招き、また、既存の幼稚園が休廃園に追い込まれて入園希望児及びその保護者の選択の幅を狭めるおそれがあるとして、学校法人Aの計画を認可しない旨の処分をした。

 この事例における憲法上の問題点について論ぜよ。

第2問

 最高裁判所の規則制定権と国会の法律制定権の競合関係について、議院の規則制定権と国会の法律制定権の競合関係と対比しつつ、論ぜよ。

 

平成11年 第1問
 受刑者Aは刑務所内の処遇改善を訴えたいと考え、その旨の文書を作成して新聞社に投書しようとした。刑務所長は、Aの投書が新聞に掲載されることは刑務所内の秩序維持の上で不相当であると判断して、監獄法46条2項に基づき、文書の発信を不許可とした。
 右の事案に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。


第2問
 X市は、住民の静穏な生活環境を良好に保持するために、次のような趣旨の条例を制定した。この条例の憲法上の問題点について論ぜよ。
1 X市の一定の区域内でパチンコ店を営業しようとする者は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の許可のほかに、あらかじめ市長の同意を得なければならない。
2 市長の不同意に不服がある者は、裁判所に訴えを起こす前に、X市の設置する、市長及び議会から独立して職権を行使する不服裁定機関の最低を受けなければならない。

平成10年 第1問
 公立A高校で文化祭を開催するにあたり、生徒から研究発表を募ったところ、キリスト教のある宗派を信仰している生徒Xらが、その宗派の成立と発展に関する研究発表を行いたいと応募した。これに対して、校長Yは、学校行事で特定の宗教に関する宗教活動を支援することは、公立学校における宗教的中立性の原則に違反することになるという理由で、Xらの研究発表を認めなかった。
 右の事例におけるYの措置について、憲法上の問題点を指摘して論ぜよ。


第2問
 国会法第56条第1項は、「議員が議案を発案するには、衆議院においては議員20人以上、参議院においては議員10人以上の賛成を要する。ただし、予算を伴う法律案においては、衆議院においては議員50人以上、参議院においては議員20人以上の賛成を要する。」と定めているが、この規定には、憲法上どのような意味と問題があるかを論ぜよ。
 また、右規定の但書を改正し、「ただし、予算を伴う法律案を発議するには、内閣の同意を必要とする。」とした場合の憲法上の問題点について論ぜよ。

平成9年 第1問
 地方公共団体が、職員の採用について、日本国籍を有することを受験資格の一つとした場合の憲法上の問題点について論ぜよ。
 また、日本国籍を有することを管理職登用資格の一つとした場合についても論ぜよ。


第2問
 住民訴訟(地方自治法第242条の2)の規定は、憲法第76条第1項および裁判所法第3条第1項とどのような関係にあるかについて論ぜよ。
 また、条令が法律に違反することを理由として、住民は当該条例の無効確認の訴えを裁判所に提起できる旨の規定を法律で定めた場合についても論ぜよ。

平成8年 第1問
 団体Aが、講演会を開催するためY市の設置・管理する市民会館の使用の許可を申請したところ、Y市庁は、団体Aの活動に反対している他の団体が右講演会の開催を実力で妨害しようとして市民会館の周辺に押し掛け、これによって周辺の交通が混乱し市民生活の平穏が害される恐れがあるとして、団体Aの申請を不許可とする処分をした。
 また、団体Bが、集会のために右市民会館の使用の許可を申請したところ、市民会館の使用目的がY市の予定している廃棄物処理施設の建設を実力で阻止するための決起集会を開催するものであることが判明したので、Y市庁は、団体Bの申請を不許可とする処分をした。
 右の各事例における憲法上の問題点について論ぜよ。


第2問
 政党を基礎にした拘束名簿式比例代表制について、「選出された国会議員が、自発的に党籍を離脱した場合又は所属政党から除名された場合は、当該議員は議員の地位を失う。この場合、当該議員が所属していた政党の名簿上の順位にしたがい、繰り上げ当選人を決定する。」という趣旨の規定が法律で定められたと仮定する。この規定に含まれている憲法上の問題点について論ぜよ。

平成7年 第1問
 放送法は、放送番組の編集にあたって「政治的に公平であること」「意見の対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を要求している。新聞と対比しつつ、視聴者及び放送事業者のそれぞれの視点から、その憲法上の問題点を論ぜよ。


第2問
 国が、私立学校法にいう私立学校に対して補助金を支出することは憲法上許されるかどうかについて論ぜよ。

平成6年 第1問
 用地の取得が著しく困難な大都市において、公園及び公営住宅の建設を促進するために、当該としに所在する私有の遊休土地を市場価格より低い価格で収容することを可能とする法律が制定されたと仮定する。この法律に含まれる憲法上の問題点をあげて論ぜよ。


第2問
 国会議員が院内で人の名誉を傷つける発言をした場合、民事上、刑事上の責任を問われるか。また、所属議院において、右発言を理由に除名の決議がなされた場合、当該議員はその決議の効力を訴訟で争うことができるか。地方議会の議員の場合と対比して、憲法上の観点から論ぜよ。

平成5年 第1問
 都道府県知事の長期在職は、地方自治の固定化ないし沈滞を招き、地方自治の発展を阻害するとして、知事の連続4選禁止の規定を公職選挙法に設けたと仮定する。そのような立候補の資格制限は、憲法第14条、第15条第1項、第22条第1項、第92条に違反するかどうか、論ぜよ


第2問
 次の各事例における裁判所の措置について、「裁判公開の原則」との関係で生ずる憲法上の問題点を挙げて論ぜよ。
(1)映画の上映がわいせつ図画陳列罪に当たるとして、映画製作者が起訴され、当該映画の芸術性・わいせつ性を巡って争われた刑事訴訟において、裁判所が、わいせつ物の疑いのあるものを一般傍聴人の目にさらすのは適当ではない、という理由で、公判手続きの傍聴を禁止した場合
(2)ある企業が、その保有する営業秘密を不正に取得し、使用しようとする者に対し、右不正行為の差し止めを求めた民事訴訟において、裁判所が、審理を公開すると営業秘密が公に知られる恐れがあるという理由で、口頭弁論の傍聴を禁止した場合
(3)右の(2)の訴訟において、裁判所が、口頭弁論の傍聴は禁止しなかった者の、傍聴人がメモを取ることを禁止した場合

平成4年 第1問
 A市は、市営汚水処理場建設について地元住民の理解を得るために、建設予定地区にあって、四季の祭を通じて鎮守様として親しまれ、地元住民多数が氏子となっている神社(宗教法人)境内の社殿に通じる未舗装の参道を、2倍に拡幅して舗装し、工事費用として100万円を支出した。なお、この神社の社殿に隣接する社務所は、平素から地区住民の集会場としても使用されていた。A市の右の措置について、憲法上の問題点を挙げて論ぜよ。


第2問
 「いわゆる部分社会における法律上の係争は、その自主的、自律的解決にゆだねるのが適当であり、裁判所の司法審査の対象とはならない。」という見解について、事例を挙げて論ぜよ。

平成3年 第1問
 「市の繁華街に国政に関する講演会の立て看板を掲示した行為が、屋外広告物法及びそれに基づく条例に違反するとして有罪とされても、表現内容に関わらないこの種の規制は、立法目的が正当で立法目的と規制手段の間に合理的な関連性があれば違憲ではないからやむを得ない。」との見解について論評せよ。
 なお、「小中学校の周辺では扇情的な広告物の掲示は出来ない。」との規制の当否についても論ぜよ。


第2問
 検察官が捜査中の刑事事件について、報道機関が、国会議員Aの絡んだ贈収賄事件に発展するかもしれないと報道し始めた段階において、A所属の議院が、真相を解明する必要があるとして、担当検察官及びAを証人尋問することには、憲法上いかなる問題があるか。また、Aが起訴された段階及びその裁判が確定した段階においてはどうか。

平成2年 第1問
 ある市において、一般職員の採用に関し、身体障害者については健常者に優先して一定の割合で採用すること、男性については肩までかかる長髪の者は採用しないこと、を内容とする条例を定めたとする。この場合の憲法上の問題点について論ぜよ。私企業が同じ取扱いをした場合についても論ぜよ。


第2問
 法律と予算の不一致がどのような場合に生ずるか。その原因を説明し、不一致が生じた場合の国会と内閣の責務について論ぜよ。

平成元年 第1問
 法人の「政治的表現の自由」について、外国人の場合と比較しながら、論ぜよ


第2問
条約を違憲とした判決の効力と、法律を違憲とした判決の効力について、異同を明らかにしながら論ぜよ。