外伝 「修正の使者」
2006/7/2 up
この作品は、玉井さんから、2003年の2月に原稿を頂いた作品です。
諸事情によって、なかなか発表することができなく、玉井さんには申し訳なく
思っていたのですが、ようやく発表することができました。
ただ、前作の「ナイトセイバー」のように、ちゃんとした形での発表となると、
どれだけ時間がかかるか見当もつかないことから、今回は玉井さんから頂いた
オリジナルの原稿をそのまんま発表するという形をとらせてもらいました。
テロップ:「午前8時23分」
アースディフェンダー基地にある正木の部屋。
一人の十代ぐらいと思われる若い男と正木省三がユーフォースの活躍をビデオで観
ていた。
男:「まだ根に持っているのですか?」
正木:「当然だ……。あの浅倉が編成したユーフォースが今も活躍していると思うと
腹が立つ。それだけではない。私が編成したユーファイターより強いと世間が
評価しているとなると、尚更だ!」
男:「彼らは前より強くなったのでしょう。彼らは以前より戦士としての自覚が…」
正木:「木梨、貴様も浅倉を賛美する気なのか!?」
木梨:「いいえ、賛美じゃありません。ただ事実を…。でもごめんなさい」
正木:「お前が馬鹿正直であることはわかっていたんだ。木梨、前々から聞きたかっ
たのだが、お前の本名は何だ?私が考えるところ君は偽名を使っている気がす
るんだが……」
木梨:「私は木梨です。それ以上でも以下でもありません」
正木:「そうくるか……」
オープニングタイトル『ユーフォース』
木梨:「そうくるって、本題を逸らさないでください」
正木:「あれはついでとばかりに質問しただけだ」
ユーファイターメンバー(伊達邦彦、陣内祐二、星野勝、天宮大輔、赤間良次の5
人)の姿が映っている。
木梨:「これは、もしかして盗撮!?」
正木:「馬鹿者!!私がそんなセコくて卑しい真似をするか。私の手の者に彼らの感想
をきいたのだ。あいつらの……」
サブタイトル 〜 外伝「修正の使者」
(ビデオ映像)
伊達邦彦:「俺は力が全てだと思っていたがユーフォースにそれがすべてではない事
を教えられた」
陣内祐二:「最初はあんな素人連中がと正直高をくくっていたが彼らも確実に強くな
っていることをあの戦いで思い知らされた」
星野勝:「俺も正直陣内と同じ考えだったが、彼らのやることをみて考えが変わった」
天宮大輔:「チームワークもあって俺達が思っているただの仲良し連中じゃない事を
思い知らされた。彼らの方が真の戦士に相応しいと思っている」
赤間良次:「アースディフェンダーに彼らのような存在も必要だと最近思うようにな
った」
(ビデオ映像終わる)
正木:「ふ、ふざけるな!!!?あいつらまであの憎ったらしいユーフォースを認めるの
か!!!!」
木梨:「ちょ、長官!!やめてください!!」
正木、怒って傍に置いてあった書類を紙くずのように丸め、開いていた窓ガラスか
ら川に放り込む。
川に流される書類。
木梨:「これはアースディフェンダーに関する重要書類ですよ!しかもこれは今日に
提出するものです」
正木:「わ、わかっている、9時までに提出しないといけない書類だろ。しかし、私
が編成した部下がユーフォースを賛美したのでつい興奮してしまって……」
顔面蒼白の正木。
正木:「私はもう終わりだ、何もかも……。あいつのせいで…こうなったらあいつを
道連れにしてやる、浅倉を……」
喚きだす正木。
木梨:「ら、乱心しないで下さい。気が変になったかと……」
正木:「乱心せずにいられるか」
溜息をつく木梨。
木梨:(……仕方ない。あれを使おう………)
テロップ:「午前8時30分」
ユーフォース作戦司令室
ユーフォースメンバーが集合している。
高井:「パトロールは異常無しだったな」
立花:「ああ」
中野:「こういう日が続けばいいな」
あかね:「そうね」
頷くみゆき。
みゆき:(亜希、必ず助け出すからね)
ユーファイターが入ってくる。
立花:「お前たちはユーファイターの……」
中野:「解散したんじゃ!?」
天宮:「上層部が万が一と思ってユーファイターを解散させないと判断したから」
あかね:「そうか、よかったね」
星野:「……。あ、ああ」
伊達:「君たちといっしょに訓練しようと思ってね。この先、俺達とユーフォースが
が組まないといけない事態が起きるかもしれないし……」
あかね:「成る程……」
高井:「それはいいな。じゃあみんな、ユーファイターと合同訓練するぞ!」
中野&みゆき&あかね&立花:「おー!」
テロップ:「午前8時49分」
訓練室
ユーファイターに誘われるところに着いたユーフォース一同。
赤間:「着いたよ。ここで訓練しよう」
みゆき:「訓練室の様子ががらりと変わったわね」
星野:「2チームの合同訓練だからね。そのために訓練の内容を変えるのは当然だ」
立花:「確かにね…」
伊達:「まずは俺と立花と中野の組で行おう」
中野:(ユーフォースのメンバーが欠けたときのためか……)
立花:「はじめるとするか」
天宮:「待て!」
高井:「どうした!?」
天宮、物陰に向かって銃を構える。
天宮:「そこにかくれているのはわかっているんだ!!でて来い!!さもないと、撃つ
ぞ!!」
謎の戦士、物陰から姿をあらわす。
その戦士は黒い鎧で覆われていて、胸には鳥を象った模様がある。
身構えるユーフォースとユーファイター。
謎の戦士:「……」
立花:「お前は敵か、それとも味方か!?」
謎の戦士:「どちらでもない。そして君たちの訓練を邪魔する気もない」
赤間:「もったいぶらずに目的を教えろ!!」
伊達:「待て、赤間!」
ビッ!
伊達の静止を聞かずに謎の戦士に向かって発砲する赤間。
フッ・・・
ユーフォース&ユーファイター:「消えた!?」
謎の戦士の声:「お前たちは、今のまま訓練をすればいい」
あかね「……!?」
瞬間移動し、いつの間にかあかねの背後に立っている謎の戦士。
謎の戦士:「…私は少し修正をしにきた……」
あかね:「修正!?」
みゆき:「その修正とは何よ!!」
謎の戦士:「それは言えない。言える事はお前達をどうこうするという事ではない」
天空から、黒い鳥の羽根が大量に降ってくる。
手を広げ、降り注ぐ羽根を受け止める謎の戦士。
謎の戦士:「・・・」
謎の戦士の手の中に集まった鳥の羽根が、黒く光り輝く丸い板に変わる。
それを鳳凰をかたどった杖に放り込む謎の戦士。
『TIME』
一同:「うわああ〜っ!」
吹き飛ばされる10人の戦士たち。
時計の針が、猛烈な勢いで逆回転していく…!
ナレーター:「ユーフォースとは何か、そしてレザーやアテナ帝国は何者かユーフォ
ースの今までの活躍を振り返ってみよう」
ナレーター:「地球の平和を守るために結成された“地球守備防衛隊・アースディフ
ェンダー”。その中でも、特に優れた隊員達を集めて結成された“ユー
フォース”。しかし、ユーフォースの隊員達の体を、より強力にするべ
く開発された“ユースーツ”は、普通の人間が装着するには、あまりに
もそのパワーが強力すぎた。そのため、この不完全なスーツを装着でき
たのは、“ライブパワー”と呼ばれる、特殊な力を持った人間だけであ
った。そんな折、地球征服を企む宇宙人レザーが、サイコモンスター
と呼ばれる怪獣を使って、地球攻撃を開始した。その場は、何とか切り
抜けたユーフォースであったが、再び現れたサイコモンスター・へブラ
スと、レザーの前に、大ピンチに陥ってしまった。この時、ユーフォー
スのピンチをすくったのは、ユーフォース隊員・野上亜希と一緒にライ
ブ星からこの地球にやって来たライブ星人の坂井みゆきであった。
何とかピンチを切り抜ける事ができたユーフォース。しかし、ユーフォ
ースが本当の力を発揮するには、最低5人のメンバーが必要なのである。
そのため、ユーフォースは、新たにライブパワーを持った人間を探さね
ばならなかった」
高井:「この前の戦いではっきりとわかった。ユーフォースは、3人だけじゃきつい!」
『TIME』
倒れるヘブラス。
亜希:「今度は、あんたの番よ!」
と、レザーに歩み寄っていく。
レザー:「くっ、こうなったら、」と言い、手から光線を発射。
それが、高井、立花、中野、みゆきに命中。
「ぐわっ!」と苦しむ4人。
亜希、振り返って「みんなーっ!」と、叫んだとき、レザーは、続けて、さっきの
とは違う光線を、亜希に向けて発射。
光線は、亜希に当たると、亜希の体を締め上げた。
亜希:「きゃあ、何これ!」
空中に持ち上げられていく亜希。
変身が解けてしまった。
みゆき:「亜希ーっ!」
レザー:「この女は、もらっていく」
亜希:「えっ?」
高井(あわてて):「やばいっ、助けるんだ!」
4人が、亜希に向かって駆け出したとき、倒れていたへブラスが、4人に向かって
光線を放った。
それをくらって、足止めされる4人。
立花(へブラスを見て):「こいつ、まだ生きてやがったのか!」
「ふははははは」と高笑いをしながら、姿を消すレザー。
亜希:「みんなーっ!」
みゆき:「(泣き叫ぶように)亜紀ーッ!!」
しかし、亜希の姿は、レザーと共に完全に消えてしまった。
『TIME』
ナレーター:「亜希がさらわれた…。これから、ますます激しくなるであろうレザー
の攻撃に対抗するには、何としても、あと1人、戦士が欲しい。そして
みゆきは……」
あかね:「あなたも、ユーフォースなんですか?」
みゆき:「うん。私、坂井みゆき。みゆきって呼んでね」
あかね:「私、今のところ、ユーフォースに入るつもりはないんですけど」
みゆき:「なんだってね」
あかね:「うん。私ね、今、新体操すっごくやりたいんだ。確かに、怪獣が出てくる
この非常時に、のん気な事言ってられない事くらいわかってるし、現に私も
怪獣に襲われたし…。でも、夢があるから」
みゆき:「私もね、最初ユーフォースから誘われた時、入るつもりはなかったんだ。
でも、友達がレザーに連れ去られちゃって…。かけがえのない友達だから、
絶対この手で取り返すんだ。」
あかね:「えっ!?」
みゆき:「それに、私、もう人が死ぬの、見たくないっ!」
あかね:「……」
みゆき:「私や中野君だって、元々ユーフォース計画とは、何も関係ない一般市民な
んだ。そんな私達でも、この美しい星を守るんだ、って気持ちがあれば、や
っていけるんだ。」
あかね:「……」
みゆき:「はい、ブレス」
青いブレスをあかねに差し出す。
あかね:「あ、あの……」
みゆき:「とりあえず受け取っておいて。今のところ、あかねしかいないんだ、この
ブレス着けられる人」
あかね:「え、でも……」
みゆき:「大丈夫。持ってるだけでいいから。はい」
みゆき、さらに差し出す。
ブレスと、みゆきの顔を見つめているあかね。
その脳裏に、みゆきの「もう人が死ぬの、見たくないッ!」という言葉が響いた。
みゆき:「お願い」
あかね:「…、うん」とブレスを受け取った。
にっこりと微笑むみゆき。
と、その時、2人はいきなり攻撃を受けた。
みゆき&あかね:「きゃあ!」
攻撃された方を見る、あかねとみゆき。
そこには、レザーに改造され、サイボーグのような形にされた亜希がいた。
「ふっふっふ」と笑いながら2人に近寄ってくる亜希。
みゆき:「あっ、亜希!」
あかね:「えっ?」
亜希:「私はサファイヤ。レザー様のために、お前達を倒す!」
みゆき:「亜希、何言ってのよ?」
というのを、全く無視し、「死ね!」と叫び、左手を虹色に輝く刀(レインボーソ
ード)に変え、2人に襲いかかってくる、サファイヤ。
『TIME』
ナレーター:「あかねが入り、遂に5人揃ったユーフォース。しかし、レザーの攻撃
は、ゆるまない。亜希は改造され、サファイヤとして、これからもユー
フォースを襲ってくるであろう」
地球のどっかにある、アレス帝国の基地。
稲光の中、立ち上がる女王アテナ。
それを出迎える部下達。
アテナ(部下達に向かって):「ふふふふふ。遂にこの時が来た。我々アレス帝国が、
再びこの地球の支配者になる時が」
幹部のジンメル、マテイス、モルーガ、戦闘員のメガロ軍団が声をあげる。
「女王様、万歳!」
アテナ:「思えば、長い時であった。10億年前に、人間どもに封印された屈辱、忘
れはしないっ!」
(回想)
ナレーター:「アレス帝国。 女王アテナ率いるアレス帝国は、10億年前、この地
球の支配者であった。 しかし、あまりの傍若無人な振る舞いに、古代
人達は科学を結集し、地底深くに封印することにしたのである」
10億年前の暴れ回るアレス帝国や、それを封印した古代人達の映像をインサートさ
れる。
(回想終わる)
現在(アレス帝国基地)
ナレーター:「そして今、この封印を解いたアレスは、再びここに復活したのである」
怒りの表情のアテナ。
『TIME』
アテナ:「私を封印した地球人よ、私の力を思い知るがよい!」
「そうは、いかん!」という、レザーの声が響きわたった。
高井:「何っ?」
アテナ:「我が名はレザー。全宇宙の支配者。」
高井:「レザーっ!」
あかね:「えっ!」
アテナ:「何だと!」
空を見上げる一同。
レザー:「ユーフォース、貴様らを倒す!」
空から姿を現したレザー。
アテナ(レザーに向かって):「邪魔をするな!」
レザー:「ほお、この私にはむかうか。ならば、貴様達から片づけてやっても、いい
んだぞ」
ジンメル:「ふざけるな!」
ジンメル、レザーに向かおうとするが、
アテナ:「待て、ジンメル!」
ジンメル(立ち止まり):「しかし、女王様…」
アテナ:「今、敵を増やすのはまずい」
レザー:「ほお。物わかりがいいようだな」
『TIME』
ナレーター:「レザーに加え、アテナ率いるアレス帝国の攻撃も始まった。スーパー
フェニックスの攻撃が通じない今、果たしてユーフォースは、地球を救
うことが、できるのであろうか?」
浅倉:「ギャラクシーファイヤー以上の技が必要ってことね。ギャラクシーファイヤ
ー以上の技かァ…」
一同が悩んでると、
「グランフォースだ!」
と、加藤博士が入ってきた。
一同:「グランフォース?」
ユーフォースに、グランフォースの説明する加藤。
加藤:「グランドライオンとスーパーフェニックスの合体、これを“銀河合体”と呼
ぶことにしたんだが、銀河合体は5人のアルティメットパワーが揃わないと、
できないんだ」
ユーフォース作戦室
浅倉:「グランドライオン、発進!」
格納庫
発進するグランドライオン。 そして空へと飛んでいった。
公園
空をかきわけやってくるスーパーフェニックス。
そこに搭乗する高井、中野、みゆき、あかね。
そして、フェニックスのメインコックピットに座った。
あかね(右手のブレスを見て):「まだ変身できない…」
高井:「あともう少し耐えるんだ。行くぞ!」
ジンメルに向かって攻撃をかけるフェニックス。
だが、ジンメルには効き目がない。
高井:「くそっ!」
中野:「あっ!」
高井:「どうした中野?」
中野(右手のブレスを見て):「ブレスが光った!」
あかね(同じく右手のブレスを見て):「私のも!」
それを聞いて、自分のブレスを確認する高井とみゆき。
2人の右手のブレスの『U』の字も光っている。
高井:「これで、変身できるぞ!」
みゆき:「うん!」
そして、「みんなー!」と立花からの通信が入った。
みゆき:「シュンちゃん!」
高井:「シュン!」
中野:「立花!」
あかね:「シュンちゃん!」
公園に到着したグランドライオンに乗っている立花。
立花:「変身したら行くぞ、銀河合体!」
高井:「OK!」
うなずく中野、みゆき、あかね。
高井:「よし、行くぞ!」
「ドリームチェンジャー!」
変身する5人。 そして、
立花:「行くぞ、銀河合体!」
高井:「おう!」
立花、高井がそれぞれ操作をすると、
合体体勢に入る、フェニックスとライオン。
アテナ:「何をする気だ?」
ジンメル:「やらせるかッ!」
ジンメル、合体を阻止しようと近づく。
合体のパワーに負けてしまい、はじき飛ばされるジンメル。
銀河合体完了!
巨大ロボ・グランフォースがその勇姿を見せた。
アテナ:「ジンメル、ひるむな!やってしまえ!」
立ち上がったジンメル、刀を抜いてグランフォースに向かっていく。
立花:「こっちも刀で勝負だ! ギャラクシーセイバー!」
グランフォースも、必殺剣ギャラクシーセイバーを抜いた。
刀を振るジンメル。
それをギャラクシーセイバーで受け止めるグランフォース。
激しい力比べが続く…。
遂にジンメルの刀が吹っ飛んだ。
そして、ジンメルも吹っ飛んだ。
立花:「チャンスだ! 高井、行くぞ!」
高井:「おう! ギャラクシースパークだ!!」
何とか立ち上がるジンメル。
そこへ、
「ギャラクシースパーク!!」
グランフォースの必殺光線ギャラクシースパークが、ギャラクシーセイバーから発
射された。
ジンメルを襲う光線。
よけられないジンメル。
ジンメル:「うわーッ!」
アテナ:「ジンメル!」
立花:「やった!」
ジンメルは苦しみながら姿を消した。
立花:「やったーっ! 勝ったーっ!」
みゆき:「シュンちゃんやった!」
立花:「ああ」
喜ぶユーフォース。
高井:「よっし!さすがグランフォース!」
ナレーター:「ニューマシン・グランフォースの力でアレス帝国に勝利したユーフォ
ース」
『TIME』
苦しみもがくタイガーキラー。
そこへ、高井も駆けつけた。
モルーガ「くっ、一旦撤収だ!」
姿を消すモルーガとタイガーキラー。
そして、中野、みゆき、あかねの3人も駆けつけた。
みゆき:「シュンちゃん!」
立花:「くっそぉ! あと一息だったのに!!」
と悔しがると、
高井:「バカ野郎!」
高井、立花に対して怒鳴った!
一瞬、緊張が走る。
高井:「シュン、今日の勝利はたまたまだ! お前の行動は、チーム
ワークを乱すスタンドプレイだ!」
中野:「おい、高井」
中野、二人の間に入ろうとするが、
高井(続けて):「いいか、戦隊の中では、隊長の命令は絶対だ!俺はみんなの命を
心配して退却を命じた。なのにお前は!」
立花:「じゃ、他人の命は見捨てていいのかよ!自分さえ助かればそれでいいのかよ!」
高井:「そうじゃない。あの時、この建物にいたのは俺達だけのはずだ。だったら、
逃げても大丈夫だったはずだ。」
立花:「お前、絶対に誰もいないって自信あんのかよ!」
ナレーター:「かけがえのない命を守るため…。お互いの純情がストレートに対立し
た今、ユーフォースはかつてない内部崩壊の危機を迎えていた。アース
ディフェンダー出身の高井と立花。民間人の中野、みゆき、あかね。彼
らの間にある考え方には大きな違いがでてしまった。そしてついに…」
『TIME』
高井:「そうじゃない!俺はお前らにもっと戦士としての自覚を持ってもらいたいん
だ!」
立花:「けどな、今のみゆきや中野、あかねには、お前が頼りなんだ。みんなお前を
信頼してんだ。なのにお前は…」
あかね:「そーだよ。今の私達には、アッ君が頼りなんだから」
中野:「みんなお前の事、信頼してるんだ」
みゆき:「そう、だからそんなことで喧嘩なんか…」
高井:「もういい、わかった」
顔を見合わせる立花、中野、みゆき、あかね。
高井:「お前らがそんな甘い考え方してんならそれでいい。けどな、俺を頼りにする
んじゃないっ!お前らが俺を頼りにしてる以上、俺は戻ってこないッ!」
高井はそう叫んで、右手のブレスを机の上に置いて、作戦室を飛び出す。
立花:「俺は今のままのユーフォースが好きだ!今のこの仲間が好きなんだ!だから、
みんなで高井に帰ってきてもらえるよう頑張ろう!」
中野、あかね、みゆきに言う。
ナレーター:「遂に高井が失踪した。このままユーフォースは解散してしまうのか?
高井のいない今、立花とみゆきの乗ったモールオーは、地底深くで動け
なくなってしまった。そして…」
ユーフォース作戦司令室
浅倉:「このままじゃ、まずいわ」
中野:「長官!」
あかね:「私達が行きます!」
浅倉:「中野君…、森崎さん…」
中野:「俺達に行かせて下さい!」
あかね:「私達、アッ君がいなくても、シュンちゃんがいなくても大丈夫だってとこ
見せます!」
浅倉(微笑んで):「よし、グランドライオン、頼んだわよ!」
中野&あかね:「はいっ!」
あかね:「行こ、健!」
中野:「オッケイ!」
作戦室から飛び出していく中野とあかね。
二人の姿を見て満足そうに微笑む浅倉。
浅倉:「あの2人も、だいぶ戦士らしくなったわね」
『TIME』
タイガーキラーに大苦戦するライオン。
そこへ、フェニックスから通信が入った。
高井:「中野、あかね、待たせてすまなかった」
あかね:「アッ君!」
中野:「高井!」
高井:「大丈夫か? まだエネルギーは残ってるだろ?」
中野:「ああ」
あかね:「バリバリ大丈夫!」
高井:「よーし、じゃ行くぞ!銀河合体だ!」
あかね&みゆき&中野&立花:「おう!」
空をかきわけやってくるフェニックス。
「銀河合体!」
フェニックスとライオンが合体。
グランフォースが完成!
そのコックピットに集まるユーフォースの5人。
高井:「中野、あかね、俺が悪かった」
中野:「気にすんなよ。 俺達も悪かった」
あかね:「うん。謝ったりするのは後にして、私達5人の本当の力を見せてやろう!」
立花:「俺達5人の真の力をな!」
みゆき:「うん!」
高井:「みんな…」
そして前方のタイガーキラーを見つめる5人。
高井 「行くぞ! グランフォース!!」
グランフォースがタイガーキラーに向かう。
「グランスパーク!」
胸から光線グランスパークを発射するグランフォース。
これがタイガーキラーに命中。
苦しむタイガーキラー。
しかし、すぐに反撃の光線を目から発射。
これがグランフォースに命中。
ユーフォース達「うわーっ!」
さらにタイガーキラーの攻撃。
グランフォースを思いっきりぶん殴る。
倒れるグランフォース。
立花:「くっそーッ!」
高井:「こんなんで、やられてたまるか!」
再び起きあがるグランフォース。
そこへ突進してくるタイガーキラー。
それに対し、右のフックで応戦するグランフォース。
これが見事にカウンターでヒット!
思いっきり吹っ飛ぶタイガーキラー。
中野:「あいつ、あんな攻撃で…」(ちょっと不思議そうに)
立花:「そっか!」
高井:「どうした、シュン?」
立花:「考えてみれば、前の時も、その前の時も、奴の左目を攻撃して勝ってきたん
だ」
みゆき:「そうだった…」
あかね:「って事は…」
中野:「奴の左目はもう…」
高井:「よーし、奴の左側から攻撃だ!」
なんとか立ち上がったタイガーキラーに対し、さらに右のパンチを浴びせるグラ
ンフォース。
ほとんどよけられないタイガーキラー、再びダウン…。
立花:「やった、効いてるぞ!」
アレス帝国基地
モルーガ:「くっ、タイガーキラーの左目はまだ治っていないッ!このままでは…」
街
高井:「ギャラクシーセイバー!」
必殺剣ギャラクシーセイバーを抜くグランフォース。
アレス帝国基地
ジンメル:「あ、あれは、この前俺がやられたやつだ!」
アテナ:「まずいぞ、モルーガ!このままでは……」
モルーガ「やむを得ん、撤収…」
と、命令しようとした時、
街
ユーフォース一同:「ギャラクシースパーク!」
グランフォースの必殺技ギャラクシースパークが見事にタイガーキラーを切り裂い
た。
大爆発するタイガーキラー。
「やったーっ!」とこちらは喜び大爆発のユーフォース。
立花:「見たか! 俺達の真の力!」
ユーフォース作戦室
柳:「見せてもらったぜ、シュン、高井、みんな…」
浅倉(涙声で):「みんな……、よくやったわ」
柳:「長官……」
握手する浅倉と柳。
街(グランフォースコックピット)
次々とハイタッチを交わすユーフォースの5人。
「やったーっ!」「イェイ!」「イェイ!」「イェーイ!」
変身を解く高井と立花。
立花:「高井、ありがとう」
右手を出す立花。
高井:「シュン、すまん」と
高井も右手を出し、がっちりと握手。
そして、中野、みゆき、あかねも変身を解き、次々と手を合わせていく。
高井(うれし涙を見せながら):「みんな…」
中野:「さっきも言ったろ。お前が謝ることはないって」
あかね:「そうだよ。私達だって悪かったと思ってるんだから」
高井:「でも、みんなが一生懸命頑張ってるのに俺は…」
みゆき:「私達は、5人でユーフォースなんだから。もし誰かがいなくなったりした
ら、それは残った人全員が力不足だった、って事なんだから」
高井:「みゆき……」
中野:「ああ」
あかね:「だね」
立花:「そうだぜ」
高井:「みんな………、ありがとう」
堂々と立ちそびえるグランフォース。
ナレーター:「度重なる危機を乗り越え、一歩一歩成長していくユーフォース達。彼
らに対し、アテナは、そしてレザーは、どんな手を使い反撃してくるの
か? 頑張れユーフォース!地球の未来は、君達にかかっている!」
謎の戦士:「修正は終わった」
伊達:「修正は終わっただと!?おい、待て!!!!」
伊達、謎の戦士に飛び掛る。
フッ……
姿を消す謎の戦士。
謎の戦士の声が訓練室中を響き渡る。
謎の戦士の声:「今のお前達は普段どおり訓練をすればいい!」
あたりを見回すユーフォースとユーファイター。
あかね:「あいつは何しにきたのよ」
星野:「修正といっていたが」
みゆき:「さっぱりわからん」
高井:「掴み様のない奴のおかげで時間が無駄になった。訓練をはじめるぞ」
高井の掛け声とともに合同訓練をはじめるユーフォースとユーファイター。
正木の部屋
部屋の中で何かを物色している正木。
正木:「木梨、あの書類はどこにあるんだ?」
木梨:「これですか?」
正木、書類を差し出す。
正木が怒り狂って丸めた挙句に川に捨てたはずの重要書類である。
その書類には丸められた形跡も川にぬれた跡も無い。
正木、書類を取り上げる。
正木:「これだ!君はこの重要な書類をどこに隠した?」
木梨:「私の家においていました。あなたがなくしたら困ると……」
正木:「私から泥棒するとは……。悪気はないのはわかっているが泥棒したことに変
わりはない。後でゆっくり罰を与えるから覚悟したまえ」
木梨:「す、すみませェん」
正木:「すみませんですむか!」
木梨:(何とかうまくいってよかったよ……)
彼のポケットには謎の戦士の胸に象っていた鳥の模様がついていたバッジが入って
いた。
(了)
後書き
今回は総集編のようでそのようではない形で書いてみました。
正木省三とユーファイターが気に入っていたので彼らを登場させてみました。
彼らの性格を私なりに書いたのですがどうでしょうか?
謎の戦士のいう修正とは正木が誤って川に捨てないよう重要書類を違う場所に配置するだけです。
その重要書類は読者自身の想像にお任せします。
前の話よりはよかったと私自身思います。
(2003年2月 玉井よしあき)
|