小学校とさほど変わらない進行で進むつまらない入学式。 あんまり暇で首をごきごきっと回した瞬間に見つけたオトコノコ。 それをこれだ!って思っちゃったわけよ。 |
これだ |
なんでかは分からないんだけど私には将来性を見抜くチカラがある。 私がこれだって思ったモノは大抵売れる。 それは人であったり、物であったり。私の好き、嫌いに関わらず。 例えば私はあんまり好きじゃなかったけれど、売れそうなお菓子だなあって新発売のお菓子を見てたらそのお菓子一大ブームになちゃたし。 アイドルグループの後ろで踊ってる男の子が妙に目に付くなって思ったら、その子今じゃ人気の演技派男優になってるし。 ホントつんくみたいなプロデューサーになろうかなって考えるくらい。 綺麗なツヤツヤの黒髪。 健康そうな白い肌。 どこぞのアイドルみたいなお人形顔じゃないけど、大きくなったら絶対カッコよくなる整った顔。 私はその子に将来性充分有りのハンコを押した。 「つまり、まだカッコイイわけではないと」 私の話を静かに聞いていた相手が嫌そうな顔で言った。 「だって今チンチクリンでしょ」 彼の顔が引き攣る。 女の子が彼にまだ注目しないのは、その平均よりも遥かに低い身長が一因にあると思われる。 ご両親の切なる願いなのか、彼の学ランは少し大きめに作ってあり、そのぶかぶか加減が更に彼を小さく見せていた。 「人が気にしてるコトをズケズケと・・・・・・」 あ、やっぱりコンプレックスなんだ。 「大丈夫だって、背が伸びて周りの嗜好が変わったら、モテるようになるからvv」 「どうだか」 私のチカラを疑ってる目。失礼な。 「まあ、そういうわけで仲良くしましょ」 「・・・なんで」 彼は心底嫌そうな顔をする。 ああ、私のこと気にしてるとか? 「大丈夫だって、私はあんた狙いじゃないから」 だって私の好みのタイプじゃないし。 ひ弱そうだし、神経質そうだし、冷たそうだし。 「・・・オイ」 あらら、いつの間にか口に出してた。 うわ、青筋立ってる。 「じゃあなんで俺とナカヨクするんだよ」 彼のその言葉に私はにやりと笑った。 「いい男にはいい男の友達ができるものでしょ」 私の統計によれば、だけど。 「今のうちにあんたと仲良くなっておけば、そういう人とのツナギが出来るってわけ」 「・・・・・・・・・・・・・・・お前ってバカ?」 うわ、めちゃくちゃ突き放した目しやがった。 「いいでしょ。玉の輿か、カッコイイ人と結婚するのが小さい頃からの夢なんだから」 「・・・・・・・・・セコイ夢」 ・・・絶対、私コイツのこと好きにならないわ。 まあ別にコイツが目的じゃないんだし、目的はその先にあるんだから。 「まあ、そういうわけでヨロシクね。どうせ名簿の並びからいって、同じ班だろうし。たぶん1学期の半ばまで一緒だよ」 中学校が小学校と同じようなモノなら、これは動かしがたい事実だ。 わざとらしく満面の笑みを浮かべて、もう一度ヨロシクと言うと、彼は盛大な溜息を返してくれた。 |
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