[The Mellow Light]のるやさんから。
小話『お持ち帰りで、いただきます』の飯島くんです。
好青年の仮面をかぶった狼らしいですよ。

 

というわけで。便乗便乗のおまけは金田より。

ずずずと下に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてこんなことになってしまっているのか。

 玄関にて、しばしの理解不能。額に手をついて苦悩。

 ていうか、これって。

 いいってこと、なんだろうか。

 もはや、スヤスヤとしか形容できない眠り姫が手の届く所に。
 いばらに(もとい、雑誌に)囲まれたベッドの真ん中に。
 姫の眠りを覚まさせるのは、いつだって王子様の役目と決まっている。

 と、思って身を乗り出した瞬間に違うなと悟った。

 つまり、王子様じゃないなと。
 つまり、オレはどちらかというと、狼のほうがはまり役だと。
 ってことは、眠り姫よりも、赤ずきんのほうか。そうかそうか。

 それもまたよし。

「いただきまーす」

 と言った瞬間に開いた目と、ばっちり合った。
 すごく大きい黒目の中に吸い込まれそうになった。

「え?・・・え?」

 可愛い疑問符が飛んでいるうちにと思って、さらに顔を近づけたら身をよじって下から逃げられた。
 狼は、捕獲失敗を悟らざるを得ず。

 すっかり緊急事態を察知した赤ずきんの行動は迅速だった。
 足元のタオルケットを胸のあたりまで引き上げて、ベッドのかどまで高速バックした。
 そして背中から雑誌の山に体当たりしていった。

 ざざざ、と崩れた山。

「・・・ご、めんなさい」
 雑誌の雪崩に呆然とした声。
 その中には赤ずきんとは相性の悪いものもあったので。
 しょうがないなと手助けを名乗り出た。
 びくっと露骨に反応した身体は、夢じゃなければ、オレの正式な彼女もののはず。
 およそ三ヵ月間、サイフを空にし続けた結果、やっとお買い上げできた品物のはず。

「どうして、コンビニ行ってるちょっとの間に寝れるのかねぇ」
「・・・なんかお腹いっぱいになったら眠くなっちゃって」
「へぇ。それはそれは」

 記憶しておかなければ。
 と床に落ちているスナック菓子の袋をちら見する。

「あのさ」
「・・・はい」
「自分のベッドの中で赤ずきんが寝てたら、いただきますよ。狼の名誉にかけて」
「・・・おおかみのめいよ?」
「そう。しかもそれが、赤ずきんなんかじゃなくて、彼女だったりしたら、ねぇ?」

 謎かけのように問い掛ける。
 彼女なはずの澤田さんに。
 澤田さんは小首をかしげて、上目遣いで、ちょっと泣きそうで。
 まるで天敵に睨まれた小動物のように。

「・・・いただきます?」

 模範解答に、にっこりとして。
 雑誌を片付ける優しいフリをして近づいて、狼の牙をむいた。

 

 

 

あとがきなし。逃げ。

 

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