.。

。.

.

.

一人の少年が海に触れたいと思った

.

..

.

.。

.

2201001010_middle.jpg

.

.

.

だから 少年は海の絵ばかりを描いているのです

.

.

.

2201001008_middle.jpg

.

.

.

.

寒い朝には 凍えながら

.

.

悲しい夜には 涙をながし

.

.

ただ

 海に触れたくて

青い海の絵を何枚も描き続けました

.。.2201001008_middle.jpg

.

.

少年の描いた海の絵の中に

カモメが一羽だけ いつも 飛んでいました

.

.

それは

「海で死んだ人はカモメになる」と信じていたから

.

.

.

/

t1a.jpg

.

.

.

そう教えたのは少年の母

少年は 少しでも 母の

その言葉を忘れたことはありませんでした

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

だけど 本当は 

この幼い少年に母はいないのです

.。。。

やさしく彼を抱きしめてくれた母は

思い出だけを残して

今は どこにもいないのです

.

.

.

.

.

.

2201001007_middle.jpg

.

.

少年は

淋しくなると

カモメにたずねる

『ひとり という とりはどんなとり?

そのとりは 青い?それとも白い?』

/。

/。

カモメは答える

。。。

『ひとり という とりの羽には

かなしみ という しみがあるように

母のない子のために 海がある』

たまらなく

さびしいときは

だまって海を見ていたい

かなしみはいつだって

外から見送るものだから

/

/

/

/

/

/

/

/

部屋へ戻る