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一人の少年が海に触れたいと思った
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だから 少年は海の絵ばかりを描いているのです
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寒い朝には 凍えながら
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悲しい夜には 涙をながし
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ただ
海に触れたくて
青い海の絵を何枚も描き続けました
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少年の描いた海の絵の中に
カモメが一羽だけ いつも 飛んでいました
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それは
「海で死んだ人はカモメになる」と信じていたから
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そう教えたのは少年の母
少年は 少しでも 母の
その言葉を忘れたことはありませんでした
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だけど 本当は
この幼い少年に母はいないのです
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やさしく彼を抱きしめてくれた母は
思い出だけを残して
今は どこにもいないのです
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少年は
淋しくなると
カモメにたずねる
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『ひとり という とりはどんなとり?
そのとりは 青い?それとも白い?』
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カモメは答える
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『ひとり という とりの羽には
かなしみ という しみがあるように
母のない子のために 海がある』
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たまらなく
さびしいときは
だまって海を見ていたい
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かなしみはいつだって
外から見送るものだから
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